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投稿日:2025年6月4日

インバー材の入手・加工の委託方法

インバー材とは何か?製造業における役割と重要性

インバー材は、主に鉄とニッケルを主成分とする合金で、その最大の特長は「極めて低い熱膨張率」にあります。

精密機器部品や計測器、液体窒素や液体ヘリウムを扱う極低温環境、また航空宇宙や電子部品の分野など、寸法安定性が求められる現場で幅広く利用されています。

昭和時代から現代に至るまで、日本のものづくりに密着してきたインバー材ですが、その入手や加工は非常に専門性が高く、未だにアナログな商流や加工ノウハウが根強く残っているのが現実です。

製造業の調達・購買担当者、またその供給を担うサプライヤーにとって、インバー材の入手と加工委託の最適な方法を知ることは極めて重要になっています。

インバー材の特性と、一般的な用途

インバー材の物理的特性

インバー材は、鉄(Fe)を約64%、ニッケル(Ni)を約36%含有する合金で、0~100℃の間で熱膨張率が極小になるのが最大の特長です。

そのため、わずか数μm単位での寸法変化が許されない部品に対しても、長期にわたり安定した精度を保つ材料として重宝されています。
また、磁性も持つため、特殊な磁気用途にも活用されます。

インバー材の主な用途と現場事例

1, 計測機器のフレーム・ベース
2, 航空機・宇宙開発の精密部品
3, FPD(フラットパネルディスプレイ)のマスクフレーム
4, 半導体検査治具部品
5, 眼鏡フレームや医療用器具

いずれも「寸法が変わったら致命的」な現場を支えています。
特に、半導体や液晶パネルの分野では、インバー材の安定供給が生産計画の根幹を成すケースが多々見受けられます。

インバー材の調達・購買の実際

インバー材の国内流通の現状

インバー材はステンレスやアルミ素材のように広範な流通網ができているわけではありません。

国内では、住友金属鉱山、日立金属、その他数社の専業メーカや、輸入代理店・専門商社(※例えば、日発販売、トラスコ中山など)が、原材料や半製品を供給しています。

一方、ニッチな需要ゆえに、どこでも小ロットで購入できるわけではなく、「都度見積り」「発注リードタイムが長い」「在庫が極めて限定的」など、非常にアナログな調達現場がまだ多く残っています。

アナログで属人的な発注文化

昭和時代からの流れで、「材料の取り寄せは昔ながらの取引先に電話・FAXで見積もりし、納期や価格も担当者の経験と勘頼み」というパターンが地方工場や下請け企業には色濃く残っています。

そのため
・新規調達先との付き合いが不安
・品質トラブルの対応力にバラツキ
・営業窓口が変わるとリードタイムも不安定
といった、アナログ特有のリスクも存在しています。

インバー材の入手経路・調達戦略の基本

入手するには:一次商流・二次商流を理解する

最新のおすすめ調達パターンは、以下のようになります。

1, インバー材の国内メーカーまたは輸入総代理店に直接問い合わせる(一次商流)
2, 加工を伴う場合は、インバー材専門の加工メーカーにまとめて依頼(材料+加工ワンストップ対応)
3, 小口・短納期・規格外なら、在庫を持つ専門商社や全国流通ルートを活用(二次商流)

「使いたい部品の仕様(図面、数、寸法公差)」によってベストな調達ルートを選択することが大切です。

バイヤー目線で見る見積りのポイント

インバー材は普通鋼やステンレスと比べて高価です。

価格だけでなく、以下の点にも留意すると良いでしょう。
・最小ロット:1枚、1本からOKか
・希望規格外でもカスタム対応可能か
・納期、海外調達の場合は物流リスク
・JISまたはASTMなど品質証明書の有無

工場の生産計画や品質保証部門との連携も前提に、「誰が・どこから・どうやって・どれだけの期間で・どんな品質保証レベルで手当てするか」を明確にしましょう。

インバー材の加工委託、ここが実践ノウハウ

加工の特性:なぜインバー材は加工が難しいのか

インバー材は、ニッケル含有量が多いゆえに「材料が粘る」「熱がこもりやすい」「刃物摩耗が激しい」など、一般の鉄やステンレスとは切削特性が大きく異なります。

特に、極薄板や高精度フレームの機械加工、溶接やレーザー加工には独自のノウハウが求められます。

工場現場では
・刃物選定や切削条件の最適化
・加工熱と歪みのコントロール
・バリやクラックの防止
が日々の課題です。

加工メーカー選定のチェックポイント

インバー材の加工を委託する際は、以下の点を必ず確認しましょう。

1, 加工実績の豊富さ…図面や用途を見ただけで「できる・できない」が即答できるか
2, 加工設備…微細切削や高精度プレス、レーザー・ワイヤーカット等の設備を保有しているか
3, 品質管理体制…ミクロン単位での寸法保証、公的な材料証明・検査報告書が発行可能か
4, 量産にも問題なく対応可能か…試作だけでなく、量産品での品質・納期コントロールまで実績があるか

意外と見落としがちなのが、「どこまで検査・補償してもらえるか」です。
自社用途に合った精度や管理レベルを事前にすり合わせることが重要です。

現場ベースのトラブル・リスクとその回避策

・材料同士の接合(インバー材と異種金属の溶接の困難さ)
・バッチ単位による品質ばらつき
・輸入ロットでのコストダウン時に顕在化する品質トラブル
こうした課題には、「信頼できる加工サプライヤーを選ぶ」「試作段階で十分に評価する」「QC工程表を相互に共有する」など、昭和のアナログ現場だからこそ磨かれてきた”対話”と”現物確認”が、今もなおリスクマネジメントの要です。

DX時代の調達購買、インバー材でも進化は始まっている

最新の調達手法:プラットフォーム活用

昨今では、ものづくり関連のBtoBプラットフォーム(Mitsuri、Monotsukuri.com、meviy、オーダースーツなど)でもインバー材の加工相談・一括見積りが可能となってきました。

図面ファイルをアップロードすれば、複数の加工会社から情報や見積もりを自動収集できるため、
・比較検討の効率化
・一見の新規サプライヤーでも信頼性が高い
・調達リードタイムの短縮
といったデジタルならではのメリットが生まれています。

ただし、プラットフォームごとに”得意分野”や”対応できる公差”、設備などに差異がありますので、図面内容や数量・精度に応じて上手に選ぶことがポイントとなります。

アナログ現場の知見とのハイブリッド

とはいえ、材料入手の安定供給やトラブル時のリカバリーには、結局のところ「顔の見える取引」「小回りの利く交渉」「現物を見ての現場力」が欠かせません。

バイヤーとしては、デジタルで効率よく情報を集めつつ、必要な場面ではアナログの粘り強い相談・現地視察にも力を入れる”ハイブリッド型”調達体制が重要と言えるでしょう。

まとめ:インバー材の調達・加工は現場と未来の知恵で最適解を探そう

インバー材という特殊素材は、日本の製造業現場で半世紀以上にわたって培われてきた職人技とネットワークによって支えられています。

一方で、DXやプラットフォームの普及による効率化も進展し、従来の枠組みを大きく変えつつあります。

まとめると

・図面や用途に合わせて最適な調達チャネルを選び
・加工メーカーの技術力・検査体制・納期管理まで見極め
・デジタルの最新手法とアナログの現場力を使い分け

この三位一体で、インバー材の調達や加工委託を強化していくことが、現代の製造業に求められていると言えるでしょう。

新しい発想や手法を取り入れつつ、現場で積み上げた知恵や経験こそが、日本の製造業の地平線をさらに切り開くカギになるのです。

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