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投稿日:2025年6月1日

液体商品を充填するプラスチックボトルの調達先選定ポイント

液体商品を充填するプラスチックボトルの調達先選定ポイント

はじめに:昭和の調達から令和の調達へ

製造業、とくに液体商品を扱う企業において、プラスチックボトルの調達は商品の品質・ブランド価値、そしてコスト競争力を左右する重要な工程です。
一方で、昭和時代の「決まったサプライヤーとの長年の付き合い」の慣習が根強く残る分野でもあります。
この記事では、約20年超の工場での調達・購買、生産管理経験を生かし、最新の業界動向と現場目線から、プラスチックボトル調達の本質的な選定ポイントを深掘りします。
バイヤーを目指す方、サプライヤーの皆さまに“今”求められるリアルな視点を共有します。

液体商品におけるプラスチックボトルの役割と調達の重要性

プラスチックボトルは単なる包装資材ではありません。
液体商品(飲料、洗剤、化粧品、薬品など)の品質、消費者への訴求力、サプライチェーン上の効率性をも支える“商品設計の一部”です。

消費者目線では美しさや使い勝手、メーカー視点ではコスト、供給安定性、性能(耐薬品性・遮光性・密閉性など)が問われます。
どれか一つでも欠ければ、ブランド毀損や生産トラブル、コスト競争力低下といったリスクにつながります。
このため、適切なサプライヤー選びは生産では決して後回しにできない最重要課題です。

プラスチックボトル調達先選定の実践ポイント

1. 安定供給能力は“当たり前”ではない

多くの調達現場で「大手の有名メーカーなら大丈夫」という思い込みが見られます。
しかし、コロナ禍で原材料の入手難、物流の混乱、生産ライン停止といったリスクは現実のものとなりました。
サプライヤーの安定供給能力は「在庫の厚み」「複数工場体制」「原材料の調達ルートの多重化」「非常時のBCP(事業継続計画)」で判断すべきです。

受け身ではなく、調達側から
・保管能力やバックアップ体制の定期ヒアリング
・複数サプライヤーからの現物比較
を習慣としましょう。
また、近年は地政学リスクを避けるため、国内生産への回帰やサプライチェーンの短縮化も進展しています。

2. 品質要求は“現場レベル”で共有を徹底

品質要求は、図面やスペックシートにとどまらず、工場現場で実際に起こっている「ヒヤリ・ハット」「充填工程でのトラブル」「ユーザーからのクレーム」までサプライヤーに正確に伝えましょう。

とくに大量充填ラインの場合、
・ボトルの寸法誤差が自動搬送コンベアでの詰まりを招く
・樹脂のにおい移りや静電気による粉塵付着
・ラベルが貼り付けにくい表面形状
・指定以外リサイクル材が混じっていたケース
といった、「現場ならでは」の問題発生例は数えきれません。

定性的な不満も“見える化”し、サプライヤーと改善サイクルを回せる体制を築くことが、長期的な品質向上とコスト低減につながります。

3. 原材料・製造工程の“透明性”は競争力の源泉

近年はSDGs、サステナブル調達、ESG経営の高まりとともに、プラスチックボトルにも「リサイクル材比率の明確化」「製造工程のカーボンフットプリント」「労働環境配慮」などが強く問われています。

調達先を選ぶ際、サプライヤー工場見学や監査、原材料トレーサビリティの確認を欠かさず行いましょう。
マーケティング上の“売り”にもなるうえ、社会的信用リスク回避にも直結します。

また、最近は“ボトルtoボトル”の水平リサイクルや、生分解性プラスチック・バイオマスプラスチックの先端技術を持つメーカーも増えています。
新技術へのアンテナを張ることで、他社よりも一歩先行く付加価値訴求が可能です。

4. コストダウンの焦点は“見えないコスト”にあり

価格交渉の極意は「単価を叩く」ことではなく、「全体最適コスト」を下げることです。

たとえば
・充填作業の自動化にフィットした形状提案
・ボトル軽量化による原材料使用量・物流費削減
・キャップやラベル一体化など工程集約
といった「ロスの根本解決」こそ競争力の差になります。

現場と一体になり「現物・現場主義」で工程改善アイデアを吸い上げ、コストダウンを共創できるサプライヤーこそが真に選ばれる存在です。

5. コミュニケーション力は“品質保証”に匹敵

対サプライヤーコミュニケーションは、仕様伝達や納期調整にとどまらず“共にものづくりを進化させるパートナー”としてリスペクトとオープンネスが不可欠です。

現場立ち会い・工場見学・課題改善ミーティングなど、フェイスtoフェイスの機会を意識的に増やしましょう。
また、トラブル・クレーム時の対応スピードや誠意ある説明は、量販・量産現場ほど大きな付加価値となります。

バイヤーの成長=組織の競争力強化であり、理論やデータだけでなく“人間らしさ”の備わった現場力が現代調達の肝です。

アナログ現場こそラテラル思考で競争力を磨く

なぜ日本の製造業のプラスチックボトル調達はアナログなのか

日本の多くの業界は、いまだ「FAX・電話伝票」「秘密主義」「変化を嫌う組織風土」に支配されている部分があります。
この現実を否定するのではなく「なぜ変わらなかったか?」をラテラルに考察すると、
・現場ごとの暗黙知の蓄積
・失敗を繰り返さない“安全志向”
・サプライヤーとの長期的信頼関係
といった、日本独自の“現場力”が支えてきた面も見えてきます。

しかしDXや脱炭素へのシフト、新興国メーカーの台頭、グローバル調達の加速など変化は急速です。

ラテラルシンキングで「新しい調達の地平」を開拓する

今後のプラスチックボトル調達では、
・異業種との技術連携(自動車、食品、IT…)
・データ活用による工程可視化・AI需給予測
・3Dプリンターやオンデマンド生産による柔軟な試作
・ベンチャーやスタートアップとの協業
・消費者とサプライヤー双方の双方win-win設計
といった新機軸を現場起点で回していく発想が重要です。

現場で生まれた小さな改善や失敗からヒントを得て、“横断的な発想=ラテラルシンキング”で新しい調達戦略を構築しましょう。

まとめ:現場目線+未来志向の調達バイヤーが業界を牽引する

プラスチックボトルの調達先選定は、単なる「価格比較」ではなく、現場力・品質・サステナビリティ・コミュニケーション・新技術など多面的なバランスが求められます。

長い目で企業ブランドやサプライチェーン全体の最適化を考え、現場の経験や知見を最大限に活かしつつ、新たな選択肢を探求する姿勢がこれからの時代のバイヤー像です。

サプライヤーもバイヤーの思考やニーズを深く理解し、共に成長する“仲間”として強いパートナーシップを築くことが、両者の生産性向上と業界進化を実現します。

経験豊富な現場目線に、ラテラルな発想と新しい技術・社会潮流への感度を組み合わせ、“地平線のその先”を目指していきましょう。

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