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最新のバリア技術とデバイスへの応用・例

目次
はじめに:製造業におけるバリア技術の重要性
製造業、とくに電子デバイスや医療分野、パッケージング等において、今や「バリア技術」はなくてはならない存在です。
バリアとは、酸素や水分、化学物質、紫外線、微生物など、外部からの侵入を遮断したり、内容物の劣化や変質を防いだりするための技術を総称しています。
昔から食品包装や薬品容器などで多用されてきましたが、近年はデバイスの高性能化・高信頼性化とサステナブル志向の高まりから、製品設計における「バリア」の役割が大きく変化しています。
本記事では、最新のバリア技術の動向と、実際のデバイス応用例、現場での課題や今後の展望について、実践者の視点から詳しく解説していきます。
バリア技術の進化とトレンド
従来バリアと最新バリアの違いとは
昭和の時代から利用されてきた代表的なバリア素材といえば、金属箔や樹脂フィルム、セラミックコーティングなどがあります。
アルミ箔で覆うことにより空気や光を遮断する、ポリエチレン等の多層フィルムで水蒸気の侵入を極力防ぐ、といった工夫は今でも広く使われています。
しかし近年、デバイスが小型化・高密度化し、さらに省エネや環境負荷低減が叫ばれる中で「さらなるバリア性能」と「薄型・軽量・リサイクル性・生産性」、この相反する両立が業界として大きな課題となっています。
そこへ、原子層デポジション(ALD)や超薄膜成膜技術、新規高分子複合材、グラフェンやナノ材料の応用など、革新的技術が登場し始めました。
例えば、透明性の高いオキサイドバリア薄膜、高分子と無機ナノ粒子をハイブリッドしたコーティング、分子設計による自己修復性バリア層など、多彩なアプローチが進んでいます。
環境対応と高機能化の両立
サステナビリティの潮流により、従来の「プラスチック×アルミ箔」など多層パッケージは分別・リサイクル性、CO2排出量の観点で見直されています。
そのため、単一素材で高いバリア性能が得られるバイオマス由来のフィルム、紙ベースの高機能バリアコート、再生可能エネルギー由来原料を活用したバリアシート等も登場しています。
一方、半導体や有機ELディスプレイ、二次電池、医療用ウェアラブルデバイスといった先端分野では、「ナノメートル単位のピンホールフリー」「層間剥離防止」「低温プロセス」といった極めて高度なバリア制御が要求されます。
つまり、これからのバリア技術は、“環境適合”と“高機能細密化“という二つの軸が融合・高度化していく段階に突入しつつあるのです。
製造現場視点で見るバリア技術の実践例
有機EL・フレキシブルディスプレイへの応用
たとえば、テレビやスマートフォンだけでなく、自動運転車のディスプレイやスマートウォッチ、電子ペーパーなど“曲がる”デバイスは今後さらに拡大していきます。
これら有機EL(OLED)デバイスは、水分と酸素による劣化に極めて弱く、従来型の厚いガラスカバーはフレキシブル性を損ないます。
そこで、幅わずか数十nm~数μmの無機/有機多層バリア膜や、特殊な樹脂+ナノ粒子の高遮断コーティングが活用されています。
実際の現場では、歩留り(不良率)との闘いです。
ピンホールや異物混入、パーティクルによるバリア欠陥など“見えない微細トラブル”が最悪の場合全ロット不良にも繋がります。
このためクリーン度管理や独自の欠陥検査装置、IoTセンシングを用いたリアルタイム監視、さらにはAI画像解析による欠陥予兆検知など、製造プロセス自体も進化しています。
リチウムイオン電池・全固体電池の安全設計
車載や定置型ストレージ、IoT機器、医療用インプラントにも使われるリチウムイオン電池では、「ガス・電解液の漏洩=事故リスク」となります。
従来のラミネートフィルムだけでなく、耐薬品性・耐熱性に優れたセラミックバリアコーティングや、自己修復性の表面被覆などが活躍しています。
また、全固体電池(次世代電池)の開発に伴い、100℃以上の熱に耐えて膨張や収縮にも追従するウェット/ドライ両用バリア設計が模索されています。
現場目線で言えば、原材料のロットごとの物性バラツキや、複雑な材料構成ゆえの層間剥離、バリア膜と活物質の界面付着トラブル(デラミ)など、多種多様な現象に根気強く向き合う現場改善・問題解決スキルが求められています。
食品・医薬品パッケージ分野における動向
消費者ニーズの変化により、保存料削減、電子レンジ対応、シームレス開閉、見た目の美しさ(透明性・光沢)など、包装材にも多様な機能が必要とされています。
これに対応するため、「紙+高分子バリア」のモノマテリアル化技術や、非石油系フィルム(PLAなど)&ハイバリアコーティング、匂い・酸素までブロックする多機能バリア設計といった新潮流が進展。
しかし一方で、素材ごとの刃物適性や接着・印刷の条件、耐水性・シール性・生産効率の維持(ラインスピード・保守性)、設備改造コスト等、現場が直面する「リアルな壁」も多いのが実情です。
このように、バリア機能向上と現場の可用性, サステナビリティ実現を両立させる知恵と工夫が、いままさに製造の現場には強く求められています。
バイヤー・サプライヤー視点でみるバリア素材調達の重要ポイント
コスト・性能・安定調達のトレードオフ
高度なバリア材料は価格も高く、供給実績のあるメーカーが限られがちです。
市場需給バランスや原油高騰、地政学リスク、SDGs順守特約、各国規制への対応など、従来以上に“リスク分散”や“マルチソーシング”の視点がバイヤーには欠かせません。
単なる価格交渉だけでなく、「品質の安定」「特性保証」「長期納入体制」から「テクニカルサポート」まで、サプライヤーとの継続的パートナーシップ構築が勝負となります。
サプライヤー側も、相手企業が最終製品でどのような機能を求めているのか、どんな不具合や品質トラブルを重視しているのか、その理由や設計思想への理解が必要不可欠です。
バリア膜評価・検証技術の開発動向
最新の微細バリア技術では「透過度(OTR, WVTR)」のみならず、分子ごとの拡散特性、接着・剥離挙動、極小ピンホール数、ナノレベルでの構造均一性など、多角的な検証アプローチが不可欠です。
従来のJISやISO規格に照らしながらも、個社独自の材料評価技術(AFM, TEM, XPS等)の開発、異常値の早期検知AI、製造トレーサビリティの自動化システムなど現場主導でのデジタル化が急加速しています。
バイヤーとしては、単なる「カタログスペック」ではなく、「現場導入試験」「多角的な検証プロセス」「持続可能なライフサイクル評価」という多面的な指標をもって、サプライヤーと建設的な話し合いをすることが重要です。
今後の展望と製造業人材に必要なラテラルシンキング
日本のものづくり現場は、一部が“昭和の慣習”から抜けきれずにいるのも事実です。
七つ道具(QC活動)、改善運動、現場力といった昔ながらの知恵も活きる一方で、
・デジタル時代の現場可視化
・AI・センシング活用によるバリア品質の高精度化
・グローバルなSDGs・規制動向への俊敏な対応
・カーボンニュートラル、循環型社会への転換
といった新たなパラダイムシフトに立ち向かう必要があります。
現場で長年培った泥臭い知恵(たとえば粉塵や油、温度変動のノウハウ)と、新素材・新技術・IT・外部連携の「横断知」=ラテラルシンキングを組み合わせることが大切です。
情報アンテナを高く張り、現場の課題から逆発想で新しいバリア応用を“自分ごと”として提案する人材が、これからの製造業にはますます求められます。
まとめ:現場×技術×ラテラルの融合でバリアの未来を切り拓く
最新のバリア技術は、単なる「素材選定」や「カタログスペック」を超え、設計、製造、品質管理、調達購買のあらゆる現場活動に深く結びついてきています。
技術の進歩と業界動向を押さえ、「現場のリアリティ」と「新しい視点=ラテラルシンキング」を掛け合わせることが、“次の地平線”を切り拓くカギとなります。
製造業で働くみなさまと共に、バリア技術の可能性を最大限に引き出し、グローバルかつサステナブルな成長を実現していきましょう。
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