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投稿日:2025年6月11日

ロジカルに「伝える力」と明確かつ適切に「聴く力」の徹底習得・実践講座

はじめに:製造業における「伝える力」と「聴く力」の重要性

ものづくりの現場では、機械や技術の進化が日進月歩です。
しかし、現場でどんなに高度な技術が導入されても、人と人とのコミュニケーションが円滑でなければ、成果を最大化することはできません。
とりわけ「伝える力」と「聴く力」は、現場の安全・品質・納期、ひいては組織全体のパフォーマンス向上に直結します。

昭和から令和へ、製造業界もデジタル化や自動化の波を受け、急速な変化の渦中にいます。
その一方で、現場で根強く残るアナログ的な思考パターンや、世代間のコミュニケーションギャップによる問題も散見されます。
こうした背景を踏まえ、今回は「伝える力」「聴く力」をロジカルに鍛え、実務で徹底して活用するためのメソッドやポイントについて解説します。

ロジカルな「伝える力」を磨く:5つの着眼点

1. 「何を」伝えるかを明確にする

まず大前提として、「伝えたいこと」が明確でなければ、誰に何を伝えているのか自分自身でも分からなくなります。
例えば「あの部品、今日中に調達してください」ではなく、「AラインのX部品(品番12345)を本日18時までに購買手配してください」と具体的に述べることで、聞き手が混乱せずにすみます。
曖昧な言葉や慣用句は極力避け、必要な情報を端的にまとめる力が重要です。

2. 相手の立場・前提知識を考慮する

現場には多様なバックグラウンド、経験値の人材が混在しています。
新人オペレーター、ベテラン班長、海外の実習生など、相手の職域や能力、知識量にマッチした伝え方を選ばなければ、意図した内容が伝わりません。
例えば、専門用語を多用した説明はわかる人には効率的ですが、知識が浅い相手にはかえって混乱を招きます。
相手が「何を知っているか」「どこまで理解しているか」を意識し、必要に応じて手順書や図表を活用すると効果的です。

3. ロジックツリーで情報を整理する習慣

複雑な案件や伝えるべき情報が多い場合は、ロジックツリーやマトリクスを用い、論点を細分化・階層化して伝えることが大切です。
たとえば「不良品が多発している原因」を伝える際、「設備要因」「人為的要因」「材料要因」に整理して説明します。
聞き手も情報を筋道立てて咀嚼でき、納得感ある伝達が実現します。
メールや議事録にも応用できるため、全社的に定着させることで情報伝達の質を底上げします。

4. 「読み手」「聞き手」が行動できるよう動機づける

単に情報を伝えただけでは、現場が動きません。
「なぜ必要か」「どのような影響があるか」「何を期待しているか」を示し、相手に“行動を促す”伝え方を意識しましょう。
たとえば、「この安全ルールを守らなかった場合、重大な事故やライン停止につながります」とリスクと目的、背景まで伝えることで全員がベクトルを合わせやすくなります。

5. 「見える化」で伝達力を強化する

口頭や文字による説明だけでなく、現場での見える化(掲示板、5S管理、作業標準動画など)の仕組みを活用します。
ビジュアル化することで多文化・多世代にも分かりやすく、伝達漏れや誤認を最小限に抑えられます。
最近では社内チャットやスマートフォンを用いた動画共有も普及しており、世代を問わず伝える形態を柔軟に選ぶことが重要です。

「聴く力」を本質的に鍛える:3つのコアスキル

1. 「傾聴」の姿勢を“型”から身につける

現場の課題が表面化しない・隠れた要因が見つからない――。
その多くは、管理職や購買担当者が現場スタッフやサプライヤーの声を十分に聴いていないことが原因で発生します。
「傾聴」は単に黙って話を聞くだけでなく、相手の表情や視線、言葉の裏側に隠れた意図まで読み取ることです。
相槌やオウム返し、適度な質問など基本的な傾聴スキルを“型”として体で覚えるとともに、どんな立場の人の話でもフラットに受け止める態度が大切です。

2. 相手の言いたい“本質”を見抜く対話力

言葉の表層だけでなく、「なぜこの要望が出てきたのか」「どんな前提や根本的な問題があるのか」を掘り下げて聴くことが求められます。
例えばサプライヤーからの「納期が厳しい」という訴えの裏に、購買側の無理な仕様変更や情報共有の遅れなどが隠れているケースも少なくありません。
真意や本質を探るには、“なぜ”、“どうして”という問いかけを重ね、建設的な対話を重視しましょう。

3. 論理的にフィードバックする応答力

「聴く力」の到達点は、聞いた上で相手に的確なフィードバックを返し、次のアクションを促すことです。
「それはこういう意味ですか?」「この部分は、こう改善すれば良いのですね?」と論理的に内容を整理しながら応答すると、双方の納得感や合意形成が高まります。
独断で結論を押し付けるのではなく、現場全体を巻き込みながら“合意と実行”につなげていく応答力を磨きましょう。

昭和的アナログ文化との向き合い方と新たな地平線

アナログ文化の良さ・課題とは

日本の製造業には、口頭伝承や現場主義、職人の“背中を見て覚えろ”文化など、良い意味での「現場力」が根付いています。
一方で、こうしたアナログ的な風土は「言わなくてもわかる」「経験で乗り切る」といった思考停止を生み、トラブルや人的ミスの根因となることも珍しくありません。

チームの垣根を超えた情報共有や多様性の尊重、論理的意思疎通が必要な今こそ、“昭和型アナログ”の良さ(現場を知る感性や五感)を生かしつつ、デジタル技術やロジカルシンキングを融合させていくことが、新たな地平線を切り拓く鍵となります。

ギャップを埋める現場主導型の工夫

例えば手書きの日報やメモは、要点をシンプルに伝える訓練材料として捉え、そこにデジタルツール(音声メモやLINE WORKSなど)を組み合わせることで世代ギャップを埋めることができます。
また会議や作業指示の際、「目的→背景→期待成果」の“三段論法”を徹底した共有ルールにすれば、ベテランも若手も迷うことなく同じ方向を向いて動けます。

バイヤー/サプライヤー間の信頼関係構築に必須な「伝え方」と「聴き方」

購買・調達の現場で求められる力

バイヤーや購買担当は、サプライヤーと社内の橋渡し役として高度な「伝える力」「聴く力」を問われます。
発注条件や仕様変更は正確かつ具体的にすり合わせ、不明点・懸念点は早期にヒアリングします。
サプライヤーの立場に立ったヒアリング力を養い、トラブル時も感情論や責任回避に走らず、事実とロジックをもとに「対話」に徹すること。
日常的に誤解やすれ違いが起こる場面を想定し、「伝え漏れ・聞き漏れ」をチェックリスト化するのも一案です。

“難しい話”を咀嚼して「現場に伝える」能力

購買や生産管理においては、役員会やエンジニア、海外拠点の意見や最新情報を現場スタッフに“翻訳”し、中間管理職として噛み砕いて説明する力も不可欠です。
たとえばISOやIATFなどの品質基準、新しい調達方針、サプライチェーンのリスク管理など、普段現場で馴染みのない専門用語を、やさしい日本語や例え話を交えて伝える工夫が求められます。

伝え方と聴き方を鍛え上げる現場改善トレーニング

1.「振り返り」習慣の徹底

毎日の朝礼や終礼、ミーティングで「今日の伝達事項は伝わったか」「誤解や聞き漏れはなかったか」を振り返りましょう。
小さな失敗もチームでシェアし、再発防止策を皆で考えることで「伝える力」「聴く力」は実践的に磨かれます。

2.ロールプレイ・逆転トレーニング

役割を入れ替え、バイヤー役・サプライヤー役で対話練習をしてみましょう。
「自分がサプライヤーだったら」「自分が新人だったら」と立場を変えることで、伝え方も聴き方も視野が広がります。
実際のトラブル事例を題材に、どう伝えれば誤解が防げたか、どんな質問をすべきだったかを議論すれば、現場で即使える力となります。

まとめ:伝える力・聴く力が未来の製造業を変える

「伝える力」と「聴く力」の徹底習得は、現場の効率・品質・安全といった“当たり前品質”のベースであると同時に、社内外の信頼や新しい価値創造のエンジンにもなります。

昭和型の現場文化を大切にしながら、ロジカルシンキングやデジタル技術とも調和させ、新しいコミュニケーションスタイルを定着させることが、製造業の更なる発展につながります。

この記事が、現場で働く皆さまの「明日から使えるヒント」になれば幸いです。
明確に伝える、徹底的に聴く――。
この両輪を回し続ける現場は、必ずや時代に負けない強さを持つことでしょう。

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