- お役立ち記事
- IoTのためのLPWA LoRa SigFoxとNB-IoT技術およびその応用
月間93,089名の
製造業ご担当者様が閲覧しています*
*2025年6月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

IoTのためのLPWA LoRa SigFoxとNB-IoT技術およびその応用

目次
はじめに:製造業におけるIoT技術の重要性とLPWAの役割
IoT(Internet of Things)は、製造業の現場において、第四次産業革命とも呼ばれる「スマートファクトリー化」を推進しています。
現場の機械やセンサー、部品、作業者からリアルタイムにデータを取得し、その情報を活用することで、生産性向上や品質管理の強化、ダウンタイムの短縮など、様々なメリットが生まれています。
そして、IoTの鍵を握るのが「通信技術」です。
特に広域かつ低消費電力で多様なデバイスを接続できるLPWA(Low Power Wide Area、低消費電力広域無線通信)は、工場や倉庫、サプライチェーンの基盤インフラとして不可欠な存在となりつつあります。
本記事では、LPWAの代表的な技術、LoRa、SigFox、NB-IoTの特徴や業界動向、そして製造現場での応用事例をご紹介します。
LPWAとは何か?製造業の現場目線で理解する
LPWAの概要
LPWAは、通信速度や通信容量よりも「省電力」「広範囲」「低コスト」にフォーカスした無線通信技術です。
わかりやすく言えば、「バッテリー1つで数年間動き続け、遠く離れたモノ同士が簡単・安価につながる」ことを実現します。
IoTの主戦場は必ずしも都市部や高インフラ環境ではありません。
製造業の現場は、郊外の工場や広大な敷地を持つ物流拠点、屋外保管場、遠隔地の設備管理など、従来のWi-FiやLTEでは通信コストやカバレッジの問題がつきまとってきました。
この課題を一気に解消したのがLPWAの登場です。
LPWAが従来のIoT通信技術と何が違うのか
IoT通信といえば、以前は3G/4G(LTE)、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなどが主要な選択肢でした。
しかし、全てのソリューションが万能ではありませんでした。
広域カバーやバッテリー寿命が求められる用途には、LPWAがベストチョイスとなる理由は以下です。
– 数kmから十数kmを通信可能(建屋をまたぐ/屋外〜屋内)
– 10年単位のバッテリー寿命
– デバイスや通信コストが非常に安価
– サーバーやクラウドと直接つながる(ゲートウェイ不要の場合も)
LPWAの三大技術「LoRa」「SigFox」「NB-IoT」の特徴と比較
LoRa(LoRaWAN)
LoRaは、セムテック社が開発した物理層技術であり、日本国内やグローバルで幅広く利用されています。
オープンなLoRaWANプロトコルを採用しているため、多様なメーカーが機器やモジュール、ゲートウェイを供給できるのが特徴です。
– 周波数:日本では920MHz帯
– 通信距離:2km〜10km(見通し距離はさらに長い)
– バッテリー寿命:5〜10年
– ネットワーク構成:自営(プライベートネットワーク)、パブリック(通信事業者)
– 用途例:工場内センサー、物流トラッキング、農業IoT、防災向け
ローカルな工場ネットワークとして自分達でゲートウェイを設置できることが、日本の製造業で強く支持されている理由です。
「昭和の名残からデバイス一元管理にこだわりたい」「社内のIoT実験を小さく始めたい」現場に向いています。
SigFox
SigFoxは、フランスに本社を置く事業者が推進する、グローバルなIoTネットワークサービスです。
専用通信網で極限までコストを抑えたシンプルな設計が特徴で、「安価な年額課金」と「超狭帯域通信」が売りです。
– 周波数:日本では920MHz帯
– 通信距離:3km〜20km(都市部/郊外)
– バッテリー寿命:5年以上
– ネットワーク構成:オペレーターが提供(自社設置不可)
– 用途例:温度監視、在庫管理、盗難防止タグ、遠隔地インフラ監視
自社内でネットワーク構成をいじれない一方、「ネットワーク構築・運用はプロに丸投げ」「量産品にタグを貼るだけ」のような大規模・全国展開向けソリューションに適しています。
NB-IoT
NB-IoT(Narrowband IoT)は、3GPP(世界標準化団体)が整備したセルラー通信規格です。
既存の携帯電話基地局インフラを流用できるため、通信品質やカバレッジで有利です。
主要な通信大手キャリアがサービスインを進めています。
– 周波数:LTE・専用帯域
– 通信距離:1km〜10km
– バッテリー寿命:5〜10年
– ネットワーク構成:キャリア依存
– 用途例:電力量計、水道メーター計測、遠隔監視、防災IoT
「都市部から郊外までカバーしたい」「インフラと同じ管理体制でIoTをやりたい」といった、安全重視/スケーラビリティ重視の現場に支持されています。
三大LPWAを業務用視点で比較
| 技術 | 主な強み | 運用コスト | 構築の柔軟性 | 用途イメージ |
|—|—|—|—|—|
| LoRa | 自営可能、エコシステム豊富 | 初期投資〇・運用〇 | 高い(自社構築可) | 工場モニタリング |
| SigFox | 最小データ・全国対応 | 安価なサブスクリプション | 低い(専用ネットのみ) | 資産管理・物流 |
| NB-IoT | キャリア品質 | サブスクリプション | 中(キャリア設備依存) | 公共インフラ・管理 |
昭和のアナログ現場が抱える課題とLPWA導入のインパクト
アナログ慣習と手作業の限界
2020年代に入っても、多くの日本の製造現場はいまだに紙ベースの点検記録や目視点検、電話やFAXでの進捗報告が日常です。
「毎朝の現場巡回で温度計を書き写す」「夜間のパトロールで異常検知」など、属人性が高く、ノウハウの継承や人手負担の増加が問題になっています。
IoT活用の壁は「初期導入コスト」「ネットワーク構築の難しさ」「専門担当者不足」、そして「社風・慣習からの抵抗感」に集約されます。
LPWAは「通信距離や敷地内カバーが全て解決する」「多配線がいらない」「数千台スケールでも安価」という特性から、工場の“地味だけど現実的な制約”を一つずつ乗り越える力を持っています。
LPWA導入の現実的メリット
例えばこうした現場において、LPWAデバイスを利用することで得られるメリットを以下に挙げます。
– 温度・湿度・振動・ガス漏れなどの24時間常時監視
– 電力や設備稼働状況の正確な把握
– 配管や建屋各所のデータをリアルタイムに収集し、アラート通知できる
– 中小規模工場でも、配線工事や大掛かりなインフラ変更が不要
– 現地に人が常駐しなくとも遠隔管理ができる
アナログ慣行が強い業界ほど、LPWAの「小さく始めて大きく広げる」アプローチは非常に現実的で、昭和から令和への変革を加速させます。
代表的な応用例:製造業でのLPWA実践活用法
工場設備の予防保全・状態監視
工場の設備や機械は、突発故障が生産ライン全体の大損失につながります。
これまでは熟練作業員の“カンと経験”に頼る点検が主流でしたが、LoRaやNB-IoTモジュールを使い、温度や振動、電流値を常時センシング→自動でクラウドに送信することで、異常傾向を早期に検知できる仕組みが実現します。
物流・資材棚卸しの最適化
サプライヤーから納品された部材の所在や数量、本当に指定場所で保管されているか、現物とシステムがズレることはしばしばです。
SigFoxやLoRaタグを付けた資材管理IoTによって、帳簿入力や現場巡回の手作業が不要となり、リアルタイムに在庫状況が確認できるようになります。
省エネ/環境モニタリング
電力量メーターや室内環境センサーをNB-IoTやLoRaで繋げば、敷地全体、複数工場をまたがる形で「どこで・どのタイミングでエネルギーが消費されているか」を見える化できます。
省エネ施策やISO14001対策としても、データドリブン経営が可能です。
工場労働者の安全管理
工場労働者の安全もIoTの大きなテーマです。
WBAN端末や位置情報タグとLPWA技術を組み合わせれば、人が立ち入り禁止区域へ入った時や体調悪化の兆候を検知→即時アラート通知する仕組みも比較的簡単に導入できます。
今後の業界動向とLPWA技術の進化
LPWAは、これまでスポット的なセンサー活用や試験導入が中心でしたが、今後は「数千〜数万台規模のネットワーク」へのシフトや「機械学習連携によるデータ利活用の高度化」が進みます。
通信キャリアによるNB-IoT本格普及、グローバルサプライチェーン全体での標準化、そしてユーザーコミュニティによるLoRaWAN自営網の拡大など、事業規模や用途に応じて選択肢が広がっています。
一方で「現場の知恵」と「IT技術」の橋渡しとなる現場リーダーやバイヤー、サプライヤー側のIoT知識の深化もますます重要です。
まとめ:LPWAは製造業の次世代バイヤー・サプライヤーに必須スキル
製造業の現場、調達購買部門、現場管理職にとって、LPWAはただの通信技術以上の変革要素です。
現場を知り抜いたバイヤーが、LoRa、SigFox、NB-IoT等の技術特性を理解できれば、「現場に本当に必要な仕様は何か」「どこでコストダウンできるか」「どうやって投資効果を最大化すべきか」といった、経営的に重要な判断ができるようになります。
今、昭和時代のアナログ的な慣習が根強く残る日系製造業こそ、LPWAで小さな一歩を踏み出しましょう。
自ら“成功と失敗を体験した現場目線”でIoT時代を拓いていくことが、これからのサプライチェーンを支えるバイヤー・サプライヤー、そして製造業全体の成長につながります。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
ユーザー登録
受発注業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた受発注情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)