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OEM消耗品の生産コストを抑える材料選定と設計工夫

目次
はじめに
製造業の現場では、「コストダウン」は永遠のテーマです。
特にOEM消耗品は、価格競争が激しいため、いかにトータルコストを最適化できるかがサプライヤー・バイヤー双方の命題となります。
この記事では、20年以上の製造現場経験と調達・品質管理・工場自動化の知見を活かし、OEM消耗品のコストを抑える具体的な材料選定の視点と、設計面での工夫を取り上げます。
伝統的な「昭和型」の慣習に囚われず、新たな視点で現場を深掘りしていきます。
OEM消耗品におけるコスト構造の基本理解
OEM消耗品とは、完成品メーカーの指示や要求仕様に従って作る部品・部材・資材を指します。
これらの多くは「消耗」が前提となるため、品質は担保しつつもいかにコストを最適化できるかが重要です。
一般的なOEM消耗品のコストは、以下の要素で構成されます。
- 原材料費
- 加工費(人件費・機械稼働費)
- 間接費(物流費、管理費など)
特に原材料費と加工費がコストの大半を占めるため、この2つの領域での工夫がダイレクトなインパクトを持ちます。
1. 材料選定が与えるインパクト
1-1. 似た性能の材料で一歩踏み込む
消耗品の場合、材料トレードオフ(コストとパフォーマンスのバランス)をどうとるかが最大のポイントです。
指定材料に固執せず、必要強度、耐久性、耐薬品性など“満たすべき要件”の再確認が第一歩です。
たとえばナイロン樹脂が指定されている場合でも、要件次第でPBTやPPといった樹脂で十分なケースも少なくありません。
材料メーカー、生産者双方で“ギリギリ下限”に踏み込むことが、省コストには極めて有効です。
1-2. 二次材料・サーキュラーエコノミーを活用
最近は再生材やオフスペック材(規格外材)も機能要件に合致すれば活用できる事例が増えています。
再生樹脂・スクラップメタル・バイオ材料なども候補になります。
サーキュラーエコノミーへの取り組みを示すことで、SDGs要求がある取引先にも評価されやすく、一石二鳥です。
1-3. サプライヤー選定のラテラルシンキング
従来から取引している材料商社・卸業者のみならず、産官学連携のオープンイノベーションや、海外含む新興メーカーの活用も検討の余地があります。
材料トレンドは“価格安定=成熟市場”と捉えられがちですが、中には眠れる低コスト高性能素材が埋もれています。
2. 設計の工夫で加工費を削減
2-1. よけいな機能・加工工程を徹底的に減らす
仕様書通りに作るのは容易ですが、必要以上の強度・精度・装飾が含まれていないか見直すことが大切です。
例えば「ミクロン単位の公差が本当に必要か」「着色の必要性はあるか」「部品点数を減らせないか」といった観点から、“引き算の設計”を実践しましょう。
2-2. 汎用金型・共通部品化で投資負担を分散
新規金型をオーダーメイドで作る前に、既存の汎用金型や既成部品で代替できないかを探ります。
同じシリーズや他部品との部品共通化も進めて、金型償却期間や部品管理コストの圧縮が見込めます。
また、短納期対応やロット最適化の面でも大きなメリットがあります。
2-3. 工場自動化との組み合わせ最適化
製造工場の自動化は「大ロット大量生産」に特化しがちですが、中小ロット対応の“フレキシブル自動化”が普及してきています。
設計段階から自動化を意識し、搬送・組立・加工の自働化率を最大化できるか検討しましょう。
シンプルな形状・組立容易な設計にするだけで、自動化の恩恵が拡大します。
3. 調達・購買現場での実践ポイント
3-1. コスト起点のRFQ/RFP作成手法
長年の現場経験から、調達バイヤーは「必要機能・目標単価」から逆算して見積依頼(RFQ/RFP)を作成することが、低コスト部品獲得の近道です。
図面や仕様書だけでなく、「なぜ必要なのか」「どこまで許容できるのか」をベースに、サプライヤーと協働で仕様緩和・材料見直しを積極提案しましょう。
3-2. サプライヤーとの連携とインセンティブ
サプライヤーは、単なるコスト交渉相手ではありません。
“設計段階から材料・工法に明るいサプライヤー”と早期に二人三脚で動くことで、量産時のコスト最適解を導きやすくなります。
設計変更によるコストダウン分をサプライヤーとシェアするインセンティブ設計も有効です。
3-3. 国内外の最新トレンドを踏まえた情報収集
調達担当者は、国内業界だけでなく海外の材料動向や製造革新、コスト動向にもアンテナを張るべきです。
欧米中国では材料のリユースや自動化設備のレンタルモデルなど、俊敏なコスト最適化策が進んでいます。
日本独自の「仕組みの常識」に囚われず、グローバルな視点で新たなサプライヤー・ソリューションを探しましょう。
4. バイヤー志望者・サプライヤー担当者必見の習慣
4-1. 「現場」起点で考える癖を持つ
バイヤーもサプライヤーも、コストダウン成功のポイントは「工場現場目線」で再設計・再構築することです。
現場を歩き、実物を触り、設備・材料の制約を体感することで、机上論では見えない改善余地がわかります。
4-2. 昭和モデルからの脱却
未だに“昔ながらの決まりきった仕様書”や“材料は変えたくない”という心理的ハードルが残ります。
しかし、現代の製造業はVUCA時代(不確実性の時代)に突入しています。
「なぜ従来通りなのか」「もっと良い手はないか」と疑問を持ち、今こそ昭和型の慣習から抜け出す時です。
4-3. 情報発信・社外連携の推進
自部署内の閉じた改善だけではなく、業界横断の勉強会や異業種交流、大学・ベンチャー企業との情報交換を積極的に行いましょう。
他業種の知見から意外なヒントが得られることも多いです。
部品・材料を扱う製造業こそ、ラテラルシンキングで新たな知を取り入れることが求められます。
まとめ:OEM消耗品コスト抑制は「素材×設計×現場力」が鍵
OEM消耗品のコストを抑えるには、材料選定の知恵、設計視点での引き算、最新技術・仕組みの導入、そして実際の現場力が不可欠です。
目先のコストだけでなく、長期的・本質的な仕組み変革を進める姿勢が業界で生き残るカギとなります。
今後は「バイヤー/サプライヤー対等型」の新しいパートナーシップのもと、互いの現場知・問題意識を共有することが、日本の製造現場の競争力強化につながります。
この記事が、製造業で働く皆さんの気づきや実践のヒントとなることを心より願っています。
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