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簡潔に伝えるためのロジカルな報告・説明の実践演習講座

目次
製造業で求められる「伝える力」とは?
製造業の現場では、技術力や現場経験がものを言う一方、情報を明確に、簡潔に伝える力が非常に重要です。
報告・説明一つでその後の流れや信頼関係が大きく変わることも珍しくありません。
特にアナログ文化が色濃く残る日本の製造現場においては、感覚やベテランのカンに頼った口頭報告が主流であった時代が長く続いてきました。
しかし、グローバル化や世代交代、IT化の波を受けて、曖昧な伝達のままでは業績や現場力に限界がきている企業も多いものです。
本記事では「簡潔に伝えるためのロジカルな報告・説明の実践演習講座」と題し、20年以上の現場経験をもとに、即実践できるノウハウをお伝えします。
ものづくりに携わる方はもちろん、バイヤーやサプライヤー、関係部門の方にも役立つ内容となっています。
なぜ「簡潔」で「ロジカル」な伝え方が必要なのか
製造業の現場で巻き起こる伝達ミスの実態
現場でよく耳にするのが、「話は聞いたけど、意図がわからない」「結局何が言いたかったんだ?」という声です。
これにはいくつか理由があります。
まず、現場のベテランが無意識のうちに専門用語や状況依存の表現を多用し、報告を受ける側と認識に差が生じること。
また、報告内容が時系列や因果関係にそって整理されていないため、情報が散乱し、本質がぼやけてしまうことが挙げられます。
現場視点で言い換えれば、「俺は知っている」「現場なら察してくれる」などの属人的発想が根強いのも一因です。
昭和のやり方が招く弊害と新しい潮流
かつてはベテラン職人が口頭のみで指示をし、それを弟子が背中を見て盗むという文化が美徳とされてきました。
しかし、多様な人材活用やコンプライアンス、トレーサビリティが重視される時代、暗黙知のままでは伝達ミス、責任の所在不明、再発防止の限界など様々な問題が表面化します。
そのため、誰でも理解できる「簡潔でロジカル=論理的」な報告・説明力が急速に求められているのです。
ITや自動化が進む今こそ、人間ならではの「伝える技術」が重要な差別化要素となります。
「簡潔」に伝えるための三大鉄則
1. 主語・述語をハッキリさせる
報告や説明で意外と抜けやすいのが主語・述語です。
例えば「トラブルが発生しました」では主語も原因もぼんやりしています。
「組立2課のAラインで10時に搬送トラブルが発生しました」と言えば、一発で状況が伝わります。
Who(誰が)What(何をした)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どうやって)を意識すると、情報の穴がなくなります。
2. PREP法で構成する
ビジネスの報告・説明ではPREP法(Point→Reason→Example→Point)が有効です。
まず結論(ポイント)を述べ、その理由、具体例、再度結論の順で展開します。
例:「本日A製品に重大な不良が発生しました(P)。原因は新ロットに切り替わった材料の硬度異常です(R)。実際B工程でNG品が10個発生しています(E)。至急材料切替を中止し、旧ロットに戻します(P)。」
このフレームを意識するだけで、誰が聞いても要点を逃しません。
3. 「余計なつなぎ言葉」を減らす
「ちなみに」「一応」「とりあえず」「ご覧のとおり」など、意味のないつなぎ言葉が多いと、内容が薄まります。
できるだけ、事実・現象・原因・対策を論理的に並べ、余計な修飾は省きましょう。
また「なんとなく」「多分」などの曖昧表現は責任や信頼を損ないます。
ロジカルな説明をするための実践トレーニング
1. フレームワークを意識する
ロジカルに説明するために、現場で使いやすいフレームワークをいくつか身につけましょう。
例えば、「5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どうやって)」「MECE(モレなくダブりなく分類)」「因果関係(~だから~になった)」などです。
トラブル報告であれば、「現象」「影響範囲」「原因」「応急処置」「恒久対策」の順で説明するのが効果的です。
2. ホワイトボードや図解で「見える化」する
口頭だけの説明では誤解が生じがちです。
現場で有効なのは、ホワイトボードや紙に図を書いて、「この席のこの工程で」「この順番が逆になった」「こことここの違い」など視覚で伝える工夫です。
三現主義(現場・現物・現実)を体現するためにも、目の前でメンバーと内容を確認しながら合意形成する力が求められます。
3. 相手に「理解できているか?」確認する
伝わったかどうかは自分ではなく、相手が決めるものです。
報告や説明のあと「ここまでで不明点はありますか?」「ご理解いただけましたか?」など双方向の確認を加えましょう。
また、重要なポイントや要望はメモに残し、「念のため書面(議事録)で確認しましょう」とフォローを徹底します。
これにより認識齟齬や責任逃れを防止できます。
購買・調達部門のバイヤーに求められる伝わる力
ポジションごとに求められる説明スキルの違い
バイヤーは社内の要求部門や経営層、そしてサプライヤーそれぞれに対し、簡潔かつ合理的な説明力が必要です。
例えば、価格交渉においても「なぜこの価格でなければならないのか」「現行課題をどう解決するためにどんな提案をするのか」をロジカルに伝えることで、相手に納得感と安心感を与えます。
サプライヤーとのやり取りでは、現場での納期遅延や品質異常に対し、「ファクト」を中心に、理由や背景、リスク、打ち手を簡潔に示すことで信頼構築が図れます。
自社評価も「伝わる力」で変わる
部署横断プロジェクトや、経営層への報告では「簡単明瞭に要点だけ伝えてくれる社員」は必ず重宝されます。
一方で、冗長で情報の整理が甘い報告は「改善余地あり」と評価されやすいものです。
ロジカルな報告・説明を反復して訓練することで、社内外での信頼度や評価、キャリアアップにも直結します。
バイヤーを目指す方・サプライヤーの方への実践演習
演習①:「自社の最近のトラブル」を3分説明する
実際に自分が関わったトラブルや課題を、上記フレームワーク(現象・影響・原因・対策)で3分間話してみましょう。
必ず結論から入ること、因果関係と数字(データ)を加えることがポイントです。
録音した音声を聞き返すと、「回りくどい表現」「つなぎ言葉」「根拠の薄さ」など改善点が明確になります。
演習②:「サプライヤーへの要請」をメールで書いてみる
例えば「部品の納期遅延」に対し、どう要請すればシンプルかつ納得感のある依頼ができるか練習してみましょう。
主語・述語・固有名詞・時系列・具体的な数字(◯個、◯日など)を盛り込むことが重要です。
締めの一文で「ご不明点はご連絡ください」「対応策をご返信願います」と双方向のアクションも忘れずに。
演習③:「現場改善提案」をA4一枚でまとめてみる
現場の生産性やコスト改善案などについて、ラフにA4一枚企画書を作ってみましょう。
「誰に、どんな価値が、どれくらい生まれるのか?」を意識すると、無駄な情報が削ぎ落とされ、簡潔な構成になります。
これは日常的な訓練に非常に有効です。
現場目線だから分かる「伝える技術」の奥深さ
これまでの現場経験で痛感しているのは、「たかが報告・説明、されど報告・説明」ということです。
技術力があっても、自分の考えや事実を相手に伝えきれなければ、結果として仕事の質も評価もついてきません。
特に日本のモノづくり現場では、長年擦り込まれてきた「阿吽の呼吸」「ハンコ文化」「決まったフレーズでのお茶濁し」が、今や限界を迎えています。
ロジカルで簡潔な伝え方は、生産性の基盤であり、チーム力を最大化する必須スキルです。
まとめ~伝え方を進化させるのは誰か?
従来のやり方を変えることには勇気が要りますが、現場のひとり一人が「伝える力」の研鑽を怠らなければ、組織全体が進化します。
マニュアル化やツール活用も重要ですが、やはり実践演習とフィードバックの積み重ねが最短距離です。
製造業に携わる全ての方へ、「伝わる報告・説明」の質を一歩進化させていくことで、現場も人も組織も、昭和から令和、そして未来へ大きく変わっていくと確信しています。
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