投稿日:2025年3月5日

FTA手法・ETA手法による製品の故障要因摘出の実践手法と対策への活かし方

FTA手法とは?

FTA(フォールトツリー解析)は、製品やプロセスの故障要因を体系的に分析する手法です。
トップに問題(故障、性能の低下)を置き、その原因をツリー状に分解していくことで、どこに潜在的な問題が存在するかを特定します。
この手法は、量産製品から大型機器、さらには複雑な製造プロセスにまで広く適用されます。

FTAはその直感的なビジュアル化により、チーム内でのコミュニケーションを円滑にし、問題の発見を容易にします。
また、複数の要因が絡み合って発生する問題に対して、関連性を明確にすることで、効果的な対策を講じるためのパスを示します。

FTAの適用の流れ

1. **トップ事象の定義**:
最初に、どの故障または不具合を解析するのかを決定します。
これは解析の全体像を把握するためのスタートポイントとなります。

2. **ツリーの構築**:
トップ事象からさまざまな故障要因を階層的に掘り下げて描き出します。
この時、各階層の要因には「ANDゲート」または「ORゲート」を用いて関係性を示します。

3. **データ収集**:
必要なデータを集め、各要因の発生確率や影響度を評価します。

4. **解析と対策の策定**:
発見された要因に対し、どのような対策が有効かを検討し、改善策を導き出します。

FTAが有効なケース

– **システムレベルでの複雑な不具合**:
複数のコンポーネントが絡み合って発生するようなシステム故障では、FTAの階層化が原因分析に力を発揮します。

– **重大な安全問題の予防**:
事前に潜在的な重大故障を予測することで、安全対策を適切に講じることができます。

ETA手法とは?

ETA(イベントツリー解析)は、起こり得るイベントの連鎖を逐次的に分析する手法です。
フォールトツリー解析とは異なり、通常は事象が発生した後の結果を評価します。
つまり、ある事象が置かれた状況下で、どのように状況が進展していくかを追跡することを目的としています。

ETAは、特にリスクアセスメントにおいて重要な手法であり、事象の枝分かれの中から最終的な結果を評価し、問題の発生確率とその影響度を見積もります。

ETAの適用の流れ

1. **イベントの選択**:
初期事象を選びます。
これは通常、何らかのシステム的なイベントまたは故障から始まることが多いです。

2. **結果の枝分かれ分析**:
初期事象が発生した後の可能な進展を分岐として描きます。
各分岐には、その結果がさらにどのように展開するかを示します。

3. **進展経路の評価**:
それぞれの進展経路において、発生確率や影響度を計算し、リスクを定量化します。

4. **リスクの低減策の検討**:
最も影響の大きいまたは発生確率が高い経路に対して、適切な対応策を講じます。

ETAが有効なケース

– **災害対応計画**:
災害が発生した場合の対応シナリオを練り、安全な避難や救護活動を計画する際に役立ちます。

– **非常事態のリスク評価**:
万一の事故や重大な故障に対し、どのように事態が進展するかを事前に評価し、備えを強化します。

FTAとETAの結びつけ

FTAとETAはそれぞれ異なるアプローチで故障やリスクを解析しますが、組み合わせることでより効果的な対策を導くことができます。
FTAが複雑なシステムやプロセスの根本原因を特定するのに対し、ETAは事象発生後の結果を追跡し、影響を評価します。

この両手法を使い分ける、または連携させることで、初期の故障予防から、発生後の被害軽減まで、包括的なリスク管理が可能になります。

FTA・ETAの実践事例

具体的な実践事例として、製造業ではしばしば以下のような場面での利用が見られます。

– **製品設計段階での問題予測**:
新たな製品を開発する際、FTAを用いて潜在的な故障要因を予測し対策を行います。
発見された要因に従い、設計の修正や材料の選定を検討することができます。

– **稼働中設備の故障原因分析**:
設備が予測外の停止をした場合、ETAを適用して事象発生時の影響を追跡し、再発防止策を立案します。

– **品質改善活動**:
生産プロセスにおける品質問題に対し、FTAで不良品の発生要因を解析し、適切なプロセス改善を提案します。

FTA・ETAの活用による製造業での成果

このように、製造業においてFTAとETAを活用することで、以下のような数々の成果が期待できます。

– **トラブル発生前の予防対策**:
システムやプロセスの欠陥を未然に把握し、壊滅的な故障を予防します。

– **迅速な問題解決**:
イベントツリー解析により、発生した問題に対する迅速な原因究明と対応が可能となります。

– **資源の最適利用**:
ロスを低減し、効率的な生産活動を実現します。

– **コンプライアンスの遵守**:
法規制や企業の社会的責任(CSR)に対する取り組みを支援することで、安心・安全な製品供給に貢献します。

以上のように、FTAとETAは製造業における故障解析やリスク管理において非常に効果的なツールとして活用されており、企業の競争力を高めるための強力な手法であると言えるでしょう。
製造現場での実践的な経験を活かして、これらの手法を駆使し、さらなる製品品質の向上と安全性の確保に努めていきましょう。

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