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投稿日:2025年6月11日

Pythonの基礎とデータ分析への活用法

はじめに:なぜ製造業でPythonが注目されているのか

製造業と聞くと、機械油の匂いや、工場ラインで動き回る作業員の姿を思い浮かべる方も多いでしょう。
一方で、業界は今、昭和から続くアナログ作業から抜け出し、デジタル化・自動化へと大きく舵を切ろうとしています。
この流れの中で、「Python(パイソン)」というプログラミング言語が注目を集めています。

Pythonは、世界的に見てもトップクラスの人気を誇り、統計解析・機械学習・自動化・IoTなど、製造業に活かせる分野が非常に幅広いのが特徴です。
現場主導で改善活動(カイゼン)を進めてきた日本の製造業ですが、今後はPythonを使った「データに基づく改善」が不可欠になるでしょう。

本記事では、Pythonの基本を押さえつつ、現場目線での実践的な活用例や導入上のポイントについて詳しく解説します。
製造業で働く方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場からバイヤーのニーズや思考を理解したい方に、具体的なヒントをお届けします。

Pythonの基礎を押さえよう

Pythonとはどんな言語か?

Pythonは、シンプルで分かりやすい文法が特徴の、初心者にも扱いやすいプログラミング言語です。
1990年代にオランダのグイド・ヴァンロッサムによって開発され、現在はオープンソースとして多くの人々が改良・活用しています。
学習コストが低い一方で、データ分析・Web開発・AI開発など多彩な分野に使われ、特に「データサイエンス」分野では標準的な言語となっています。

Pythonを使うメリット

Pythonは次のような利点があります。

– 文法が直感的で覚えやすい
– 世界的な技術動向に沿っている
– データ分析・自動化・機械学習・画像処理などの充実したライブラリ(追加機能)が揃っている
– 情報や学習教材が豊富

これにより、これまで専門のIT部門や外部業者に依頼していた“ちょっとした自動化”や“簡単なデータ解析”も、現場主導で進めやすくなっています。

Pythonの基礎構文

最低限「これだけは知っておきたい」基本構文を挙げます。

– 変数(データを保存):`x = 100`
– 条件分岐:`if x > 0: print(“正の数”)`
– 繰り返し:`for i in range(10): print(i)`
– 関数(よく使う処理のまとめ):`def 足し算(a, b): return a + b`

これらはエクセルの「関数」や「VBA」に近い感覚で使えます。
実験的に自分で動かしてみることで理解が深まります。

製造業現場で活きるPython活用法

1. 生産管理や品質管理のデータ分析

製造業では日々大量のデータが蓄積されています。
歩留まり、稼働率、不良率、納入実績…。
これらのデータは「現場改善」や「経営判断」の大切な資源ですが、Excelなど手作業では非効率なことも少なくありません。

Pythonには「pandas」や「numpy」など、強力なデータ集計・分析用のライブラリがあります。
膨大なデータの中から、異常や傾向、要因を自動抽出するシステムのプロトタイプを、現場の担当者自身が作れるのです。

例えば
– 不良発生の「曜日」「時間」ごと集計、グラフで“山”がどこか一目瞭然
– 異常値(外れ値)だけを効率よく抽出
– 「この工程とこの資材の組み合わせで不良が多い」などの相関分析

現場経験を持つ担当者こそ、「現実的な集計」「現実に即した分析結果」へとカスタマイズするノウハウがあります。
これが、外部ITベンダー任せでは得られない現場改善への直結効果といえるでしょう。

2. 原材料手配・購買業務の自動化

ここ数年、調達・購買業務でも自動化が進んでいます。
例えば、発注点を下回ったら自動的に発注案内メールを送る、納入遅延を予測しアラートを出す、といった事務自動化(RPA)にもPythonが活用できます。

また、社内外で異なるフォーマットのデータを一つに集約整形する“データ前処理”の自動化も容易です。
従来Excelマクロ(VBA)で対応していた処理に比べ、Pythonはメンテナンス性・拡張性も高いため、今後はPythonへ置き換える動きが加速するでしょう。

3. 現場設備と連携した自動計測・監視

モノづくり現場では設備に多様なセンサーやIoTデバイスが導入されています。
Pythonは「外部機器との連携」が得意な言語です。
簡単なスクリプトで
– 設備の温度・振動データを30秒ごとに取得し、異常値時だけアラート発報
– 集めたセンサーデータを自動でグラフ化して、現場の壁に貼るA3レポートを毎朝出力
– IoT通信経由で、遠隔地の本社から工場の生産状況をモニター

…など、昭和的な現場感覚(毎朝の見回り・日誌記入・手書きレポート)を、Pythonを軸とした「令和の自動化」へ進化させることが可能です。

4. サプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化

部品・資材の調達、工場間の在庫融通、納期遅延リスクの計算、こうしたサプライチェーン領域はアナログの壁が未だに根強い分野です。
Pythonは、大量データ処理や予測モデルの開発に強みがあり、天候や為替変動、部材調達タイムラグも加味した「需要予測モデル」を社内でも作れる土壌が整っています。

実際、サプライヤー各社の納期・品質データから“信用スコア”を算出し、リスク分散調達の意思決定に活用する企業は国内にも増えてきています。
バイヤーの考え方や外部環境の変化をデータで見える化する動きも、Python人材の育成によって現場主導で進むでしょう。

昭和から抜け出せないアナログ文化、その壁と向き合う

現場の「紙文化」「属人化」はなぜ根強いのか

製造業は“現場主義”“熟練者頼み”の文化が今なお強く残る業界です。
たしかに「帳票は紙が一番」「データは職人が頭の中で分析している」という現場も少なくありません。
こうしたアナログ文化を否定するのではなく、「現場の知恵をデジタルに変換する」のがポイントです。

Pythonは、現場の「痒いところに手が届く」自動化や分析を、比較的低コストかつクイックに実現できます。
現場目線の業務プロセスを守りつつ、「楽になるところ」「手間が減るところ」から小さな成功体験(プチDX)を積み重ねることが、アナログ脱却の最短ルートです。

経営層・管理職が押さえておきたいこと

現実的には「現場のIT人材不足」が課題です。
大手メーカーで経験してきた立場から言うと、まずは「現場リーダー向けに、“簡単なPython”から始められる研修」を投資的に整えることをおすすめします。
また失敗を恐れず「試行錯誤の時間」を現場によき与え、インセンティブを用意するなど、組織全体で“デジタルお試し文化”を醸成することが成功の鍵となるでしょう。

Python習得のプロセスと学び方のコツ

最初は「現場の困りごと」を題材に

いきなりAIや機械学習から手を付ける必要はありません。
業務で「毎日やっている手作業」「分析したいけど人手で無理がある工程」をリストアップし、そこから一つずつ自動化や可視化に取り組みましょう。

習得の一番のコツは、学んだ知識を「自分の仕事」にすぐ応用することです。
例:注文データの集計/設備の日報自動作成/サプライヤーとの納期照合…など。
Pythonなら「やってみる」ハードルが低いので、声の大きな現場リーダーからトライしてみてください。

おすすめの学習方法

1. 書籍なら「Python 1年生」「ゼロから始めるデータ分析」など初心者向けからスタート
2. 無料Webサービス(Google Colaboratory、paizaラーニング、Progate等)ならインストール不要ですぐに体験できます
3. 週1回、現場メンバーで「Pythonもくもく会」を立ち上げ、経験共有の場にする
4. 一定レベル以上になれば、Kaggle(世界的なデータ分析コンペ)への“お試し参加”も推奨

重要なのは「自分にもできる!」という実感を持つことです。
難解な業界用語より、「効率化や自動化の一歩」が現場と製造業全体を変える原動力になります。

まとめ:データ分析の力を味方に、現場を“次の時代”へ

昭和から平成、令和へ。
製造業を支えてきた現場主導の知恵と工夫は、今後も変わらず大きな強みです。
ですが、国内外の情勢変化や人材不足、サプライチェーンのグローバル化など、従来のやり方では立ち行かなくなる場面も増えています。

Pythonは「現場改善のためのプログラミング」「データ分析による新しい意思決定」を手の届くものにしてくれる、有望なツールです。
最初は小さな自動化や分析からで十分。
ステップバイステップで、「データの力を活用できる組織」「Pythonを使いこなす現場」へシフトチェンジしていきましょう。

これからの製造業は“現場×デジタル×データ分析”が当たり前の時代です。
次世代バイヤー、現場リーダー、サプライヤー企業も、このうねりを自分ゴトとして捉え、一歩踏み出すことが業界全体の競争力強化や付加価値向上につながります。

一緒に“新たなモノづくりの地平”を切り拓いていきましょう。

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