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回転機械ロータダイナミクス振動解析とトラブル解決策

目次
はじめに:回転機械ロータダイナミクス振動解析の重要性
製造業において、回転機械は工場設備の心臓部ともいえる重要な機器です。
モーターやポンプ、ファン、タービンなど、あらゆる生産現場で使用されている回転機械の安定稼働は、製品の品質維持や生産効率の向上、予期しないダウンタイムの削減に直結します。
その中でも「ロータダイナミクス振動解析」は、回転体の故障を未然に防ぐ上で欠かせない要素です。
昭和時代の現場では「とりあえず動けばOK」といった感覚も根強く、振動現象に対する理解や解析は後回しにされがちでした。
しかし、現代ではIoT技術や自動化の進展とともに、振動データの活用やトラブル発生のメカニズム解明が急速に重視され始めています。
この記事では、現場で培った知見も交えて、回転機械ロータの振動トラブル、その原因、解析法、そして実践的な対策まで徹底解説します。
バイヤー志望やサプライヤーの方にとっても、現場で実際に起こる課題の「本質」を知ることで、より価値ある提案や課題解決につなげられるでしょう。
ロータダイナミクスとは何か
ロータ=回転体の力学挙動
ロータダイナミクスとは、回転体(ロータ)が回転中にどのような力学的振る舞いを示すかを解析する学問・技術分野です。
回転機械のロータは、理想的には「回転軸を中心に滑らかに回る」ことが期待されますが、実際には芯ずれ、アンバランス、軸受けの摩耗、吸い込み異物、熱膨張など、さまざまな要因で理想から逸脱します。
このとき発生する「振動」は、機械の寿命低下や壊滅的な破損事故につながる致命的な要素です。
なぜ振動が問題になるのか
・軸受やシール、ギヤへの過大な負荷
・増大した摩擦熱による焼き付き
・ねじや固定部品の緩み、脱落
・異常振動による共振の発生
・異音や騒音の発生による周囲環境悪化
これらは一見単純な故障原因に思えますが、根底にはロータの振動現象が潜んでいるケースが非常に多いのです。
一度、重大事故に至ると修理・復旧コストや生産停止損失は計り知れません。
このような事態を未然に防ぐため、振動の兆候を早期に捉え、根本原因を突き止めて対策を施すことが求められます。
現場で多発するロータ振動トラブルと発生メカニズム
アンバランスによる振動
ロータの重心が回転軸からずれている場合、たとえ見た目にはわずかであっても、運転中には大きな遠心力が発生します。
たとえばファンブレードの付着物、モーター軸の曲がり、組付け時の偏心などは、どの現場でもよく起きる現象です。
アンバランスを放置すると高回転域で顕著な振動・騒音を生み、最悪の場合には軸受損傷やロータ破断といった重大事故につながります。
ミスアライメント(芯ずれ)
回転軸同士(例:モーターとポンプ)の連結部が、設計通り同一直線上にそろっていない場合も、異常振動が発生します。
これは据付時のレベル出し不足、基礎の沈下、熱膨張による伸縮差などが原因です。
昭和的な「職人勘」のみで据付作業を進めると、このミスアライメントの検出が困難になり、後々トラブルの温床となるケースも少なくありません。
共振現象
ロータが運転中に「共振周波数」と呼ばれる特定の回転数で運転されると、振動エネルギーが極端に増幅されます。
現場では「軸受けがやたらと熱くなる」といった兆候や、「特定の回転数でだけ異音が出る」といった問い合わせが典型例です。
これらを無視して運転を続けると、短期間で破損・停止につながります。
ロータのゆがみ・たわみ・摩耗
長時間運転や過負荷、あるいは異物噛み込みによって、ロータ自体が塑性変形や摩耗を起こすこともあります。
特に製鉄や紙パルプのような重工業ラインでは、ロータの激しい摩耗や削れが、半年にも満たないうちに「新品と全く異なるバランス状態」に至ることが珍しくありません。
ロータダイナミクス振動解析の基本プロセス
難解な振動理論をすべて現場で活用することは困難ですが、実践に生かすためのエッセンスを現場目線で整理します。
1.現象の可視化:計測とデータ取得
まず「何がいつ、どこで、どのように振動しているか」を定量的に把握することが出発点です。
・振動加速度センサーや変位センサーの設置
・FFT(フーリエ変換)解析による周波数成分の抽出
・運転パラメータ(回転数、負荷、温度)の同時計測
これらの計測データを集めることで、「ピンポイントでどの条件・回転数でトラブルが顕在化するか」を明確化できます。
2.原因仮説の立案
振動パターンや周波数をもとに、発生源を推定します。
・1×回転数成分が支配的:アンバランスが主因
・2×回転数:ミスアライメント、軸曲がり
・高調波成分やサイドバンド:歯車異常、軸受け損傷
・明確な共振ピーク:構造共振や系全体のダイナミクス問題
単なる「感覚」や「これまでの経験則」だけでなく、データに裏打ちされたロジックを組み立てることが肝要です。
3.現物確認・要因の切り分け
データ解析のあと、現物機械の点検が非常に重要です。
・ロータに物理的な損傷や摩耗が無いか
・軸受や結合部のガタ、緩み、グリス枯渇有無
・据付レベルや基礎、アンカーボルトのゆるみ
・周囲環境や使用条件(温度、湿度、異物混入)の変化
現場では「一見問題なさそうに見える」ケースでも、実際にロータを分解・精査して初めて異常個所が判明する場合も多いです。
4.対策の実施と再検証
原因が特定できたら、必要な補正・修理・再組立てを行います。
・アンバランス:動的バランシング作業の実施
・芯ずれ:精密アライメントや据付調整
・軸受け交換や潤滑条件の最適化
・構造共振への制振ダンパ設置や剛性向上
作業後は必ず再度振動測定・データ取得を行い、「対策効果が再現できたか」を検証します。
このPDCAサイクルの徹底こそが振動トラブルゼロへの近道なのです。
「昭和的な現場」と「現代のデジタル活用」
現場のリアルでは今でも「長年の勘と経験」が幅を利かせているのが実状です。
しかし、IoTセンサーやエッジコンピューティングの導入によるデジタル変革は、ロータダイナミクス解析のあり方自体を変えようとしています。
IoT活用で予兆保全・未然防止へ
・常時オンラインでの振動監視
・AI・機械学習による異常パターン自動検出
・クラウドを活用した保全履歴・トレンド管理
これらはバイヤーやサプライヤーにとっても「設備投資のROIをどう示すか」「信頼性・安全性の裏付けをどう担保するか」といった商談の武器になります。
アナログな残存習慣が抜けきらない現場であっても、「データに基づく改善提案」を地道に続けることで大きな信頼と業績向上につながります。
現役工場長直伝・トラブル解決の現場テクニック集
すぐ始められる現場改善ポイント
1. 日常点検時の「気になる異音・発熱」は必ず記録し、次回定期点検で実機振動を必ずチェックする。
2. 据付後・大修理後には必ず「据付精度確認」と「初期振動測定」を実施する。
3. ロータの洗浄や保守の際には、バランシング状態を確認し、異物付着や摩耗部の記録を取る。
4. 生産条件や運搬・搬入のたびに据付レベル変化もチェックする(工場ラインの床沈下なども重要)。
特に若いバイヤー・サプライヤーの方は「センサーや計測装置」のみで安心せず、「なぜこの振動解析が必要なのか」「現場では何がボトルネックになるのか」を徹底的に現物主義で追求しましょう。
バイヤー・サプライヤー目線でのロータダイナミクス解析の競争力アップ法
技術+論理+現場=三位一体の提案がカギ
・「データの見える化」による納得性(信頼性第一)
・取引先現場に即した実効性ある対策案
・納入後のアフターサポート・トラブル時の即応体制
・自社(調達側・サプライヤー側)の実体験共有による説得力
表面的な価格競争だけではなく、「相手の課題・困りごと」にどこまで本質的に寄り添えるかが中長期のパートナーシップを決定づけます。
まとめ:ロータダイナミクス解析は製造現場の真価を決める
回転機械の振動トラブルは、現場の目線に立った根本原因の見極めと、地道な計測・検証サイクルの徹底によって劇的に減らすことが可能です。
昭和時代から続く「現物主義」「熟練者の技」と、現代のデジタル解析手法の融合こそが、これからの製造業の競争力向上につながります。
自分自身の経験や知見を活かし、「トラブル未然防止」「稼働率向上」「品質安定」という大きな成果を実現しましょう。
そして、バイヤーやサプライヤーとして現場の本音・実情を深く理解することが、新たな提案力や付加価値につながり、製造業そのものの進化を確実に後押しするのです。
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