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ソフトウェアにおけるテスト技術と効率的・効果的な進め方

目次
はじめに:ソフトウェアテストが製造業に与える影響
近年、多くの製造業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる中で、工場の自動化やIoT導入が進んでいます。
この大きな流れに連動し、製造現場で使われるソフトウェアの品質が、これまで以上に重要な経営課題となっています。
従来、製造業の強みはハードウェアの堅牢性やオペレーションの効率化でしたが、今や「質の高いソフトウェア」が生産効率・品質・安全を左右する大きな要因になっています。
本記事では、製造業におけるソフトウェアテスト技術と、その効率的・効果的な進め方をご紹介します。
現場目線の実践的知見や、伝統的なアナログ体質から脱却してDXを推進するためのヒントをお伝えします。
製造業におけるソフトウェアテストの重要性
生産設備・装置の制御には必ずソフトウェアが存在する
工場には、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)やSCADAなど多くの制御ソフトウェアが組み込まれています。
これらのソフトウェアは、生産設備の動作をミリ秒単位で制御したり、不良品検知やトレーサビリティを管理したりと、ハードウェア同様に製造現場の根幹を担っています。
したがって、ソフトウェアの不具合やバグは、そのまま生産ラインの停止・品質トラブル・納期遅延などの重大な経営リスクにつながります。
「うちはものづくりだからソフトは二の次」と考えるのは、今や命取りです。
ソフトウェアの品質不良がもたらす現場の混乱
テスト工程を軽視したり、アナログな検証で済ませてしまったりすると、現場ではどうなるでしょうか。
たとえば、新ライン立ち上げ直後のデバグ作業が長期化し、人も資材も遊んでしまった、という経験はありませんか?
また、納入初期は動いていた設備が、操作画面のバグで誤動作を起こし現場が混乱した、という事例も珍しくありません。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、適切なテスト技術の導入と、効率的なテスト実施体制の確立が欠かせません。
ソフトウェアテストの基本プロセスと用語整理
まず、基本となるソフトウェアテストの全体像を整理しましょう。
製造業の現場ではテストと検証、バリデーション、レビューといった用語が入り混じりやすいですが、一般的には以下のように定義されます。
- 単体テスト:個々のプログラムモジュールが設計通りに動作するかを検証
- 結合テスト:モジュール同士を組み合わせ、インターフェースやデータ連携を確認
- システムテスト:全体のシステムが要件通りに機能するかチェック
- 受入テスト:現場ユーザー・顧客の観点から、実用上問題がないことを確認
製造業ならではの特徴として、「ハード・ソフト・オペレーション」を一体にした「現物現場での最終検証」が必須になる点を押さえましょう。
なぜ製造業では“現地現物”のテストが重視されるのか
現場で実際の装置・センサー・ライン制御を含めて検証しないと、どれだけ事務所でシミュレーションを繰り返しても「机上の空論」に終わる恐れがあります。
そのため、現地現物での「通し運転」やエッジケース(想定外の異常系)テストが品質保証の肝となります。
現場が陥りがちな“テストの落とし穴”とは
昭和時代から続く日本の製造業現場では、以下のようなテストに関する典型的な課題が根強く残っています。
「紙運用」「人任せ」による属人化
テスト手順やシナリオが紙ベースで管理され、「この作業はあのベテラン担当者しか知らない」「引継ぎがうまくいかない」という属人的な運用が温存されています。
ソフトウェアアップデートの度に過去ログや経緯が追えず、同じ不具合を繰り返す事態も散見されます。
見栄え重視の“ショーアップ”テスト
上司や顧客の目を気にして「問題がなさそうなシナリオ」ばかり通し、異常時の耐性やストレステスト、ランダム試験を省略してしまなる傾向も見られます。
このような上辺だけの検証では、運用開始後の想定外トラブルが避けられません。
テスト自動化の遅れ
プログラム修正のたびに手作業でエビデンスを残す運用が多く、自動化ツールやスクリプト作成のリソースが割かれにくい現実もあります。
開発とテストが一体化せず、スケジュールとコストのダブルパンチに苦しむ現場も少なくありません。
効率的・効果的なソフトウェアテスト推進のポイント
伝統的なアナログ現場体質から脱却するためには、次のステップで考えることが重要です。
1. テスト文化の浸透――「現場VSエンジニア」の壁を超える
現場スタッフと開発エンジニア(ベンダー含む)が早い段階から課題・要求を共有し、テストストーリーの共同設計を行いましょう。
できれば装置納入前から「現場代表者を含めたテスト設計レビュー」を実施し、本当に業務フローや運用オペレーションに合致しているかを何度もすり合わせてください。
鍵となるのは現場ユーザーの本音・暗黙知(NOK対応やリカバリの手順など)の吸い上げです。
形式的な仕様書の範囲外で“起こりうるイレギュラー”をシナリオ化し、テストカバレッジを高める意識が欠かせません。
2. テストドキュメント・エビデンス管理をデジタル化する
クラウドやバージョン管理ツール(たとえばRedmine、TestLink、Jenkinsなど)を活用し、誰が・いつ・どんな条件で・どこまでテストしたか記録を残しましょう。
紙運用や共有フォルダで埋もれがちだったノウハウの可視化、失敗・改善プロセスの「見える化」は品質文化を変える大きな一歩です。
3. テスト自動化とCI(継続的インテグレーション)の導入
要求仕様が安定している部分は、PythonやRPA、CIツールを活用しテスト自動化を推進しましょう。
単体テスト・結合テストの自動スクリプト化により、何度でも再現性のある検証が可能になります。
これにより、「ちょっとした修正ごとに全テストやり直し」の負担が大幅に軽減されます。
4. 品質保証(QA)担当の役割強化と組織横断コミュニケーション
調達購買・生産管理・現場運用部門まで巻き込んだ横断的なQA(品質保証)組織を立ち上げることも有効です。
バイヤーやサプライヤー、システムベンダーとの間で仕様差異・認識ズレを事前に解消できれば、納期遅延や再工事リスクも大幅に減らせます。
サプライヤー・バイヤー双方の「競争力向上」に向けて
サプライヤー、バイヤー双方ともに“コスト低減”だけを追求する時代は終わりつつあります。
高品質かつ現場ニーズに即したソフトウェアを素早く開発・導入できる体制を持つことが、サプライチェーン全体の競争優位をもたらします。
サプライヤーの立場で知っておきたい「バイヤーの目線」
バイヤー(発注者)は、実稼働後のトラブル発生を最も恐れています。
つまり、単なる「スペック達成」よりも現場で本当に使われる仕様・オペレーションとの適合性、予定納期厳守、そして長期的な保守・アップデート体制を注視します。
サプライヤーは、最終納入前のエビデンス重視、事前の現場オーナー巻き込み、運用後のサポート体制まで見据えた提案が差別化の鍵となります。
まとめ:製造業のテスト技術は「地道な蓄積」と「攻めの自動化」が両輪
昭和から引き継いだ「現場叩き上げの職人気質」と、デジタル活用による「自動化・IT効率化」。
この両輪をバランスよく進化させることが、これからの製造業に求められるテスト力の本質です。
現場が本当に安心して使えるシステムを構築するために、単なる形式的なテストではなく、現物・現場に根ざした実践的なテスト文化を育みましょう。
ソフトウェアテストの品質向上は、現場に「信頼」と「安心」という無形の価値を創出し、製造業としての競争力強化に直結します。
本記事が、バイヤーを目指す方、現場でテストに関わる全ての方のヒントとなり、業界発展の一助となることを願っています。
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