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投稿日:2026年10月26日

両面テープ JIS Z 1528・Z 1541 の指定——基材と保持力の種類、超強力テープと試験方法の読み方

この記事のポイント(結論先出し)

部品の固定や銘板・カバーの貼付けに使う両面テープを「強力両面テープ」とだけ書いて発注すると、基材の種類も、ずれに耐える力も、何の試験で比べた強さかも決まらない。JIS Z 1528(両面粘着テープ)は、テープを基材と保持力で 1 種〜5 種(記号 D1-1〜D5)に分け、種類ごとに引きはがし粘着力(4 種は 90°、ほかは 180°)の下限と、40 ℃ での保持力(ずれ 3 mm 以下)を求める種類を決めている[1]。荷重の一部を負担させる用途には JIS Z 1541(超強力両面粘着テープ)があり、構造用接合部用の 1 種から室内用の 3 種まで、引張せん断の接着力などで分けている[2]。ただし規格の値はステンレスの試験板と決まった条件で測った値で、実際の相手の面・温度・はがす速さで変わる[3][5]。発注では規格番号と種類(記号)・厚さ・寸法を書き、貼る相手の材料と使う温度で試作の確認をしてから量産の条件にする。

「強力両面テープ」では何が決まらないのか

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工場では、樹脂カバーの仮止め、パネルへの部品の固定、銘板や表示シートの貼付け、緩衝材やシール材の取付けに、両面テープ(両面粘着テープ)を部材として使う。図面や部品表に「両面テープ(強力)」とだけ書くと、仕入先や組立先は手元の品を使い、夏場の倉庫や装置の熱で部品がずれ落ちてから問題になる。

この記事は、工業用途の部材として両面テープを指定するとき、図面・部品表・注文書に何を書き、受け取るとき・試作のときに何を確かめるかを整理する。家庭や DIY での使い方の話ではない。銘板を粘着で貼る場合の粘着力の値の読み方は銘板(ネームプレート)の発注で、液状の接着剤とシーラントの指定は接着剤・シーラントの仕様指定で扱った。ここでは両面テープそのものの種類と性能の書き方に絞る。

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粘着と接着、保持力——言葉をそろえる

JIS Z 0109(粘着テープ・粘着シート用語)は、粘着を「状態の変化を起こさず短時間わずかな圧力を加えるだけで接着する現象」、接着を「同種又は異種のものが一体化すること又はその状態」としている[4]。両面テープは、基材(支持体)の両面に粘着剤の層を設けたもので、基材のない両面テープもある[4]。

性能の言葉も分けて使う。粘着力は被着体に貼って圧着した後に引きはがすのに要る力、保持力は長さ方向に静荷重をかけたときに粘着剤がずれに耐える特性で、一般に一定時間にずれる距離などで表す。凝集力は粘着剤の層が内部破壊に耐える力、タックは軽い力で短時間に被着体に接着する特性である[4]。「よく付く」が引きはがしに強いことなのか、重さを掛け続けてもずれないことなのかで、選ぶテープは変わる。部品を吊るす・壁面に固定するなら、見るべきは保持力である。

JIS Z 1528 の種類——基材と保持力で分ける

JIS Z 1528 は、主に物体の保持・接合・封かんなどに用いる、支持体の両面に粘着剤を均一に塗布した、又は粘着剤を均一なフィルム状とした両面粘着テープを規定している。2009 年改正の版で、2024 年 10 月 21 日に確認されている[1]。種類は支持体と保持力で分かれる[1]。

種類(記号) 支持体 粘着力の下限(常態) 保持力(40 ℃)
1 種 1 号(D1-1) 紙(不織布を含む) 180° 2.00 N/10 mm 規定なし
1 種 2 号(D1-2) 紙(不織布を含む) 180° 1.60 N/10 mm ずれ 3 mm 以下
2 種(D2) 布 180° 2.35 N/10 mm 規定なし
3 種 1 号(D3-1) プラスチックフィルム 180° 1.60 N/10 mm 規定なし
3 種 2 号(D3-2) プラスチックフィルム 180° 1.60 N/10 mm ずれ 3 mm 以下
4 種(D4) 発泡体 90° 1.60 N/10 mm ずれ 3 mm 以下
5 種(D5) なし(粘着剤だけ) 180° 1.20 N/10 mm 規定なし

表は JIS Z 1528 の表 1 と表 2 をまとめたものである[1]。粘着力は常態と促進保存性処理の後の両方で、保持力は常態・耐熱処理(100 ℃ で 4 時間)の後・促進暴露処理の後の 3 つで、同じ値を求めている[1]。同じ紙の基材でも、1 号は保持力の規定がなく、2 号はある。重さのかかる用途で「1 種」とだけ書くと、保持力を求めない 1 号が来てもおかしくない。

保持力の試験は、試験板に 25 mm×25 mm で貼り、反対の面に厚さ 25 µm の PET フィルムを貼り合わせて圧着し、40 ℃ に 60 分以上置いてから 1 kg のおもりをかけ、60 分後にずれた距離を測る[1]。「ずれ 3 mm 以下」はこの条件での値で、使う場所の温度や荷重がこれと違えば、そのまま当てはまらない。

厚さの許容差と、製品の呼び方

厚さははく離ライナーを除いた厚さで、許容差は種類と厚さで決まっている。たとえば 3 種で 0.1 mm 未満なら ±0.02 mm、4 種(発泡体)で 1 mm 未満なら ±0.2 mm、1 mm 以上 3 mm 以下なら ±0.5 mm である[1]。発泡体のテープは、すき間を埋める・段差を吸収する目的で使うことが多いが、±0.5 mm の幅で部品の位置が変わることは図面の公差に入れておく。

製品の呼び方は、規格名称、種類又は記号、厚さ、幅、長さの順で、例として「両面粘着テープ 1種1号 0.10 mm×25 mm×20 m」「両面粘着テープ D1-1 0.10 mm×25 mm×20 m」が挙げられている[1]。包装には規格名称又は番号、種類又は記号、寸法、数量、製造年月、製造業者名を表示する[1]。この呼び方を部品表にそのまま書けば、基材と保持力の有無が一度に決まる。

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荷重の一部を負担させるなら JIS Z 1541

JIS Z 1541(超強力両面粘着テープ)は、高い接着力をもち、耐熱性にも優れ、接合部などにかかる荷重の一部を負担することができる両面テープを規定している[2]。種類と主な用途は次のとおりである[2]。

1 種 1 号(S1-1)・1 種 2 号(S1-2):構造用接合部。
2 種(S2):一般用。
3 種(S3):室内用。

規格の注記は、1 種が国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」(平成 19 年版)の鋼製建具の材料にある「構造用接合テープ」に該当する、としている[2]。性能は、90° 引きはがしの接着力のほかに、引張せん断の接着力(N/100 mm2)、耐熱処理・促進耐候性処理・耐湿熱性処理の後の引張せん断の接着力、高温での保持力(落下しないこと)で決めており、種類ごとに求める項目と温度の条件が違う[2]。厚さの許容差は、1.0 mm 未満が ±0.2 mm、1.0 mm 以上 3.0 mm 未満が ±0.5 mm、3.0 mm 以上が ±0.8 mm である[2]。

読み落としてはいけないのは「荷重の一部を負担する」という書き方である。規格は、超強力の両面テープであっても、それ単独で荷重のすべてを受け持つものとは書いていない。人の頭上や通路の上にある部品、外れると事故になる部品をテープだけで固定する設計にはせず、ねじ・リベット・引っかけなどの機械的な保持と組み合わせる。ここは規格の要求ではなく、発注・設計側の実務としての提案である。ガラスのカバーを貼り付ける場合は、ガラス側の割れ方も一緒に考える。ガラスの指定は強化ガラス・板ガラスの発注で扱った。

規格の値は、ステンレスの板の上の値

試験方法を定めた JIS Z 0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)は、包装・封かん・標識などに用いる粘着テープと粘着シートの試験方法を規定し、2022 年に改正されている[3]。引きはがし粘着力の試験は、特に指定のない限り標準状態(23 ℃±1 ℃、湿度 50±5 %)で行い、方法 1(テープとシートをステンレス試験板に対して 180° に引きはがす)から方法 6(90° に引きはがす)まで分かれている。両面テープをステンレス試験板に対して 180° に引きはがす方法は、方法 3 として別に立てられている[3]。

一方、JIS Z 1528 の粘着力の試験は「JIS Z 0237 の 10.3 の方法 1 によって」ステンレス試験板に対する 180° 引きはがし粘着力を求める、と書かれている[1](4 種は 90° で引きはがす)。JIS Z 1528 は 2009 年版で、JIS Z 0237 は 2022 年版である。仕入先の試験成績を受け取るときは、JIS Z 0237 のどの方法で、どの試験板に、どの角度で測った値かを確かめる。保持力についても JIS Z 0237 は、国際規格(ISO 29863)の 7 つの方法のうち、鉛直の標準鋼板を使う方法だけを規定し、ずれの長さ(mm)での評価もできるようにしている[3]。

実際に貼る面はステンレスの板とは限らない。片面の汎用テープ(セロハンテープとメンディングテープ)で調べた報告として、日本接着学会誌の技術論文(2006 年)は、ステンレス・フェノール樹脂など 4 種類の被着体の表面を研磨して粗くし、2 種類のテープのはく離粘着力を比べ、一方のテープは被着体の表面の性質と粗さの影響をほとんど受けなかったが、もう一方は影響を受けた、と報告している[5]。同じ論文は、はく離粘着力が引きはがす速度とともに上昇し、低速では凝集破壊、速度が上がると界面破壊に変わったこと、湿度ははく離の試験のときだけでなく保管中のテープにも大きく影響することも述べている[5]。両面テープを調べたものではないが、粘着テープの値が相手の面で変わり、変わり方がテープによって違うことを示している。カタログの値が大きい両面テープでも、塗装面・樹脂の成形品・凹凸のある面に貼れば値が変わりうる。

試作で確かめること

規格の種類で候補を絞ったら、実際に貼る相手の材料と表面(塗装・めっき・樹脂の銘柄と表面の状態)で試験片を作り、使う温度で、引きはがしと保持の両方を確かめる。荷重をかけ続ける用途なら、短時間の引きはがしの値より、使う温度での保持(ずれ、落下までの時間)の確認を重く見る。貼り付けの条件(貼る前の脱脂、圧着の力と時間、貼ってから荷重をかけるまでの時間)も、試作で決めた条件を作業標準に書いてもらう。両面テープで固定した部品を箱に詰めて運ぶなら、輸送の試験で外れないかも見る。

注文書と図面に書くこと

以下は規格の要求ではなく、発注側の実務としての提案である。

  1. 規格番号と種類「両面粘着テープ D3-2(JIS Z 1528)」や「超強力両面粘着テープ S2(JIS Z 1541)」のように記号まで。
  2. 寸法厚さ(はく離ライナーを除く)・幅・長さ。打ち抜き品なら形状の図面と公差。
  3. 貼る相手と使う条件相手の材料と表面、使用温度の範囲、荷重の向きと大きさ、屋外か室内か。
  4. 確認の方法試作で確かめる項目(実際の相手材での引きはがし・保持)と合格の基準。
  5. 貼付けの作業条件脱脂の方法、圧着の条件、荷重をかけるまでの時間。
  6. 保管直射日光・高温高湿を避け、横積みしないこと。使用期限。
  7. 変更の連絡テープの銘柄・粘着剤・基材・製造元を変える前に知らせること。

保管について JIS Z 1528 は、テープは温度・湿度・圧力で品質が影響を受けやすいので、直射日光と高温・高湿の場所を避け、変形防止のため横積みを避けることが望ましい、としている[1]。組立先の倉庫での保管も条件に入れる。

よくある質問

Q. カタログの粘着力が大きいテープを選べば、外れにくいですか。
A. 粘着力は引きはがしの強さで、重さを掛け続けたときのずれにくさ(保持力)とは別の特性である[4]。値の測り方もステンレス板で標準の温度である[3]。外れにくさが要るなら、保持力と、実際の相手材・温度での確認で選ぶ。

Q. 超強力両面テープなら、ねじの代わりになりますか。
A. JIS Z 1541 は、荷重の一部を負担することができるテープと規定している[2]。外れると危険な部品は、機械的な保持と組み合わせる。

Q. 発泡体の両面テープは何を見て選べばよいですか。
A. JIS Z 1528 の 4 種は 90° 引きはがしの粘着力と 40 ℃ の保持力が決められている[1]。厚さの許容差が大きい(1 mm 以上 3 mm 以下で ±0.5 mm)ので、すき間や段差の寸法に効く。クッション材として使う発泡体そのものの選び方はスポンジゴムの発注で指定することも参考になる。

Q. テープを貼った部品を袋に入れて出荷してもらいたい。
A. 袋の指定はポリ袋(PE 袋)JIS Z 1711 の発注で、湿気から守る袋は防湿包装・アルミバリア袋の指定で扱っている。

まとめ

工業用途の両面テープは、JIS Z 1528 の種類(D1-1〜D5)で基材と保持力の有無まで指定し、荷重の一部を負担させるなら JIS Z 1541 の種類(S1-1〜S3)で指定する。規格の粘着力・保持力はステンレスの試験板と決まった温度での値なので、試験成績はどの方法で測ったかを確かめ、実際に貼る相手材と使う温度で試作の確認をしてから量産の条件にする。外れると危険な部品はテープだけに頼らず機械的な保持と組み合わせ、保管と貼付けの条件も作業標準に入れる。

出典・参考資料

  1. JIS Z 1528:2009 両面粘着テープ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2009 年 12 月 21 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
  2. JIS Z 1541:2009 超強力両面粘着テープ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2009 年 12 月 21 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
  3. JIS Z 0237:2022 粘着テープ・粘着シート試験方法(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2022 年 1 月 20 日改正)
  4. JIS Z 0109:2015 粘着テープ・粘着シート用語(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2015 年 10 月 20 日改正・2020 年 10 月 20 日確認)
  5. 中村吉伸ほか「碁盤目テープはく離試験の粘着テープに関する因子の再検討」日本接着学会誌 42 巻 4 号(日本接着学会/2006 年)

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