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製造業におけるハンダ付けの基本と安全対策

ハンダ付けとは、融点の低い合金(ハンダ)を溶かして金属部品・電子部品を電気的・機械的に接合する技術です。製造業では手ハンダ・フローハンダ・リフローハンダの3方式が主流であり、基板種類・量産規模・品質要件に応じて使い分けます。近年はRoHS規制対応で鉛フリーハンダへの移行が進んでいます。
目次
製造業におけるハンダ付けの基本と安全対策
製造業においてハンダ付けは、電子部品の接続や修理に欠かせない重要な技術です。
この記事では、ハンダ付けの基本技術から、実際の作業で直面する問題点、そして安全対策について解説します。
ハンダ付けの基本技術
ハンダ付けは、電子部品同士を接続するために金属を溶かして接合する技術です。
以下はハンダ付け作業の基本手順です。
1. 準備作業:ハンダ付けを行う前に必要な道具と材料を準備します。
典型的には、ハンダゴテ、ハンダ(鉛フリーが望ましい)、フラックス、ピンセット、ワイヤーストリッパーなどです。
また、作業台を清潔に保ち、換気を確保します。
2. 部品の配置:ハンダ付けする部品を正確に配置します。
回路基板上に部品を固定し、簡単に動かないようにします。
温度に脆弱な部品は、短時間で作業を終えることが重要です。
3. ハンダゴテの加熱:ハンダゴテを適切な温度に加熱します。
温度は350℃前後が一般的ですが、使用するハンダの種類によって異なります。
4. フラックスの使用:ハンダ付け部位にフラックスを塗布します。
これにより、酸化膜の除去や、ハンダの流れを良くする役割を果たします。
5. ハンダの盛り付け:部品と接点にハンダゴテを当て、適量のハンダを溶かしながらハンダ付けを行います。
初めての場合は少量ずつ進め、焦らずに行うことがポイントです。
6. 冷却:ハンダが溶けきったら、ハンダゴテを離し、自然に冷却します。
冷却を強制すると接合部に欠陥が生じる恐れがあります。
現場での問題点と対策
ハンダ付け中には様々な問題が発生することがあります。
以下に、よくある問題点とその対策を紹介します。
1. ハンダブリッジ:隣接する接点間にハンダが渡ってしまう現象です。
これを防ぐためには、適正なハンダ量を心がけ、必要に応じてフラックスを追加します。
また、ハンダブリッジが発生した場合は、ハンダ吸収ワイヤーを使用して除去します。
2. コールドジョイント:ハンダが部分的に冷却して接合が不完全になる現象です。
適正な温度管理と、部品が動かないようしっかりと固定して作業を行うことで防ぐことができます。
3. 酸化問題:ハンダゴテや部品が酸化して接合がうまくいかないことがあります。
フラックスの使用と、定期的なハンダゴテの清掃が有効です。
4. 未経験者のミス:新しい作業者が作業を行う際、適切なトレーニングを受けていない場合にミスが起こりやすいです。
シミュレーションや講習を通じて、十分な技術を身につけることが大切です。
安全対策
ハンダ付け作業は高温を扱うため、適切な安全対策が必要です。以下に、主な安全対策を紹介します。
1. 防護具の使用:安全メガネ、耐熱手袋、作業着など、適切な防護具を着用します。
また、長袖の服を着て肌の露出を避けることも重要です。
2. 換気の確保:ハンダ付け時に発生する有害ガスや煙を吸い込まないように、充分な換気を行います。
換気扇や局所排気装置を使用するのが良いでしょう。
3. 火災防止:火災のリスクがあるため、作業場所に適切な消火器具を用意します。
また、可燃物を作業場から遠ざけます。
4. 電気安全:電気を使う道具を使用するため、定期的な点検と絶縁保護を行います。
感電防止のため、濡れた手で機材を扱わないよう注意します。
5. 教育とトレーニング:安全なハンダ付け作業のために、定期的に教育とトレーニングを実施します。
特に新しい作業者には入念な指導が求められます。
まとめ
ハンダ付けは製造業において不可欠な技術です。
基本的な技術を習得し、日常的な問題点を克服するための対策を講じることが重要です。
また、高温や有害物質を扱うため、適切な安全対策を徹底することが求められます。
これらの点を押さえ、安全で効率的な作業を心掛けることで、高品質な製品を製造することが可能となります。
ハンダ付け方式の比較
| 観点 | 手ハンダ | フローハンダ | リフローハンダ |
|---|---|---|---|
| 精度 | △ 作業者依存 | ○ 安定 | ◎ 高精度 |
| 量産性 | △ 低い | ◎ 高い | ◎ 高い |
| 設備コスト | ◎ 安い | △ 高い | △ 高い |
| 適用基板 | 挿入部品・修正・試作 | 挿入部品(DIP)量産 | 表面実装(SMD)量産 |
| 技術難易度 | ○ 習得に時間要 | △ 設備調整が複雑 | △ プロファイル設計が必要 |
調達バイヤーが押さえるポイント
ハンダ付け基板の調達ではIPC-A-610(電子部品の受け入れ基準)のクラス指定が品質要件の核心です。クラス1(民生用)〜クラス3(医療・航空宇宙)でサプライヤーへの要求水準が大きく変わります。また鉛フリーハンダ対応の有無とRoHS適合証明の取得状況を必ず確認しましょう。試作と量産で異なる方式を使うサプライヤーは品質差が生じやすく注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 鉛フリーハンダと有鉛ハンダの性能差はどのくらいありますか?
A. 鉛フリーハンダ(Sn-Ag-Cu系)は融点が約217℃と有鉛(183℃)より高く、濡れ性がやや劣るため作業条件の調整が必要です。熱ストレスによる基板へのダメージリスクが増す一方、機械的強度は同等以上です。RoHS規制対象製品では鉛フリー対応が必須です。
Q. ハンダ付け不良の主な原因と対策を教えてください
A. 主な不良はブリッジ(短絡)・未ハンダ(未接続)・ボイド(気泡)・イモハンダ(不完全接合)です。原因は温度プロファイル不適切・フラックス不足・部品位置ずれが大半を占めます。AOI・X線検査の工程組み込みと、リフロープロファイルの定期検証が最も効果的な予防策です。
Q. 手ハンダ作業者の安全対策で最低限必要なものは何ですか?
A. 局所排気装置(ハンダフューム吸引機)の設置が最優先です。ハンダフュームにはフラックス由来の有害物質が含まれます。また保護メガネ・耐熱グローブの着用、作業台の整理整頓(こて台の安定設置)、定期的な健康診断(呼吸器・眼)の実施が労働安全衛生上の基本要件です。
Q. SMD(表面実装)とDIP(挿入実装)が混在する基板はどの方式でハンダ付けしますか?
A. SMD→リフロー→DIP→フローという2段階プロセスが一般的です。SMDを先にリフローで実装した後、挿入部品をフローハンダで接合します。ただしリフロー済み部品がフロー工程の熱で再溶融しないよう、部品配置と基板設計の段階で工程を考慮することが重要です。
サプライヤーの技術差別化ポイント
ハンダ付け品質の差別化は工程管理データの可視化にあります。リフロー炉の温度プロファイルログ・フロー装置のコンベア速度・フラックス量の記録を保存・提出できる体制は顧客の信頼獲得に直結します。またX線検査・AOI(自動光学検査)の導入による内部欠陥・ブリッジ検出の対応力を訴求することで、高信頼性基板案件の受注競争力が高まります。
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