発注の状態を表計算で追うのをやめる——一覧が古くなる理由と移し方 | newji
製造業の見積・発注クラウド

その単価は妥当か。
AI が根拠付きで分析。

相見積の比較も発注も進捗管理も、ひとつの画面に。

サービス資料をダウンロードPDF・無料/1分で受け取れます

投稿日:2026年10月2日

発注の状態を表計算で追うのをやめる——一覧が古くなる理由と移し方

この記事のポイント(結論先出し)

エクセルの発注台帳に「状態」の列を足して発注を追う方法は、始めやすい反面、一覧がいつのまにか現実より古くなる。原因は、メールや電話で来た連絡を人が台帳に書き写していること、状態の値が「済」「済み」「○」のように増えていくこと、そして締めの前にまとめて更新する癖である。一覧は記録そのものではなく、毎朝答えたい問いに答えるための見え方として設計するとよい。先に「未送付はどれか」「納期が今日までのものはどれか」といった問いを決め、問いごとに必要な列と抽出の条件を決める。状態の値は少なく、それぞれに「誰が、何が起きたときに動かすか」を 1 つずつ付ける。受領の入力が遅れても支払期日の起点は実際に受け取った日のままなので、受領の状態だけは後回しにしない。

台帳に「状態」の列を足すと、何が起きるか

💡 こうした調達・受発注の属人化、Newji one なら「ひとつの画面」で解決。見積依頼から発注・進捗・承認までAIが下支えします。
サービス資料を見る(無料)→

発注を追う表は、たいてい発注台帳から始まる。発注番号、発注日、取引先、品番、数量、単価、納期の列があり、右端に「状態」や「備考」の列を足して、送ったら「送付済」、相手から返事が来たら「回答済」、届いたら「入荷」と書く。色を塗って見分けることもある。

最初の数か月はこれで回る。困り始めるのは次のような場面である。「送付済」「送付済み」「済」「○」が混ざってフィルタで拾えない。2 人が同じ台帳を開いていて、片方の更新がもう片方の保存で消える。分納の発注が 1 行のままで、半分入ったのか全部入ったのか分からない。月末にまとめて「入荷」に直すので、月の途中の一覧は信用されず、結局みんな取引先に電話で聞いている。

こうなると、台帳は「発注を追う道具」ではなく「月末に整える帳簿」になっている。一覧を作り直すときは、列を増やす前に、その一覧で毎日何に答えたいかから決め直すほうが早い。

📄 実務で使うなら — 納期とトラブル対応(全 5 章・無料サンプルあり)

毎朝、その一覧で答えたい問いを先に決める

購買の担当者が朝に一覧を開いて知りたいことは、だいたい決まっている。問いごとに、要る列と抽出の条件を並べると次のようになる。

毎朝の問い 要る列 抽出の条件(例)
1. 作ったのにまだ送っていない発注は 確定日・送付日 確定日あり かつ 送付日なし
2. 承認を待っている発注は 申請日・承認日・承認者 申請日あり かつ 承認日なし
3. 相手から受注の確認が来ていない発注は 送付日・受注確認日 送付日から 2 営業日以上たって受注確認日なし
4. 納期が今日までで、まだ受け取っていない明細は 納期・発注数量・受領数量 納期 ≦ 今日 かつ 受領数量 < 発注数量
5. 受け取ったのに検査が終わっていない明細は 受領日・検査完了日 受領日あり かつ 検査完了日なし
6. 自分が担当している発注は 担当者 担当者 = 自分

表で気づくのは、条件のほとんどが「状態」の列ではなく日付の列で書けることである。「送付済」と書く代わりに送付日を入れておけば、「確定日はあるのに送付日が無い」で未送付が拾える。状態を文字で持つと、書き忘れや表記の揺れでフィルタが外れるが、日付は入っているか入っていないかなので揺れが少ない。エクセルのままでも、状態の列をやめて日付の列を足すだけで、一覧の信頼度はかなり上がる。

なお 4 の「納期を過ぎた明細」を毎日どう拾い、遅れの原因をどう分けて持つかは納期超過の一覧の作り方で、残っている数量をどう数えるかは発注残の数え方と追い方で扱っている。

状態の値は少なく、動かす人を 1 つずつ決める

それでも、一覧の上では「いまどの段階か」を 1 語で見たい。状態の値を持つなら、数を絞り、それぞれに「何が起きたら」「誰が」動かすかを付ける。値の意味が人によって違うと、同じ「入荷」が、トラックが着いたことを指す人と、検査に通ったことを指す人に分かれる。

取適法(中小受託取引適正化法)の記録の側から見ると、外せない日付がある。取適法第 7 条に基づく記録(7 条記録)には、受領した給付の内容と受領した日、検査をした場合は検査を完了した日・結果・合格しなかった給付の取扱いなどを記録することになっており、記録はそれぞれの事実が生じ、または明らかになったときに速やかに行うこと、取引先別に記録することが求められている[1]。月末にまとめて「入荷」に直す運用は、この「速やかに」と相性が悪い。

どの状態を誰が動かすか(発注側か取引先か)、相手が動かさない状態をどう扱うかは発注ステータスは誰が動かすかで詳しく扱っている。ここでは、一覧に載せる状態を決めるときの目安だけ挙げる。

目安 1:状態は、起きたことの順に並べる

下書き、確定、送付、受注確認、出荷、受領、検査完了のように、時間の順に並ぶ値にする。「保留」「要確認」のような順番の無い値は、状態ではなく別の印(フラグ)として持つ。

目安 2:取消しは消さずに状態として残す

取り消した行を台帳から消すと、なぜ番号が飛んでいるのか説明できなくなる。発注の取消しや納期の延期で、発注時に定めた納期に受け取らないことは原則として受領拒否に含まれる[1]ので、取り消した事実と日付は一覧から消さずに残す。

目安 3:受領は、自社の都合で遅らせない

取適法の解説は、本法上は納品させた時点で受領したことになると明記している[1]。支払期日は受領した日から起算して 60 日以内のできる限り短い期間内で定めるもので、検査をするかどうかは問わない[2]。もっとも、公正取引委員会はこの「60 日以内」を「2 か月以内」として運用しており、毎月末日締め・翌月末日払いで 61 日目や 62 日目の支払になる月があっても、支払遅延として問題にはしていない[1]。台帳への入力が遅れても、支払期日の起点は入力した日ではなく実際に受け取った日のままである。解説には、繁忙期で自社の受領態勢が整わないことを理由に、定めた納期に受け取らなかった受領拒否の事例も載っている[1]。

受領の入力が遅れることの影響は小さくない。公正取引委員会の令和 7 年度の運用状況では、勧告・指導が行われた実体規定(禁止行為)の違反 7,228 件のうち、支払遅延が 3,787 件で 52.4% を占め、最も多かった[3]。分母は実体規定違反の件数で、明示義務などの手続規定違反(6,887 件)は別に数えられている[3]。一覧の上で受領が遅れて見えると、支払の準備もそれに引きずられる。

実体規定違反の類型(令和 7 年度) 件数 実体規定違反 7,228 件に占める比率
支払遅延 3,787 件 52.4%
製造委託等代金の減額 1,323 件 18.3%
買いたたき 1,006 件 13.9%
受領拒否 32 件 0.4%

表は同じ資料の類型別件数から 4 つを抜き出したもので[3]、1 つの事件で複数の類型に措置した場合があるため、類型の件数の合計は措置の件数とは一致しないと注記されている[3]。

一覧が古くなる 3 つの原因と、エクセルのままでできる手当て

原因 1:連絡を人が書き写している

取引先からの「受けました」「明日出荷します」はメールや電話で来て、担当者が台帳に書き写す。書き写しは、忘れる・後回しにする・別の行に書く、のどれかで必ず漏れる。手当ては、書き写す項目を日付 1 つに絞ること(出荷予定日、出荷日など)と、書き写す人を連絡を受けた人に決めておくことである。

原因 2:同じファイルを複数人で開いている

共有フォルダのブックを 2 人が開くと、後から保存した側の内容で上書きされる。クラウドの共同編集にすれば同時に書けるが、誰がいつどの値を変えたかの履歴の見え方は、使う道具によって違う。手当ては、行ごとに担当者を決めて、自分の行以外を触らない運用にすることである。

原因 3:見る人と見る時刻が決まっていない

一覧は、見られなければ更新されない。上場会社向けの内部統制の実施基準は、IT を使えば、必要な承認や作業完了が一定期間に実施されないとその旨が担当者の上司に伝達される機能を業務の流れに組み込める、と例を挙げている[4]。エクセルにはその仕組みが無いので、代わりに「毎朝 9 時に担当者が問い 1〜6 の抽出を見て、該当が 0 件でもそれを確認する」という手順で補う。0 件の日に見ないと、抽出の条件が壊れて 0 件になっていることに気づけない。

一覧と記録は、別のものとして持つ

一覧は、いま動いている発注を見るための画面である。一方で、受領日や検査の結果は 7 条記録として 2 年間保存する必要があり[1]、メールで送った注文書や受け取った見積書などの電子データは電子帳簿保存法の対象になる。どちらも、一覧の状態の列を上書きしていく運用では残らない。

電子帳簿保存法の一問一答は、データの保存場所が取引先や書類の種類によって複数のシステムに分かれること自体は差し支えないが、どの取引先のデータがどこにあるかが分かるようにし、整然とした形式で速やかに出力できるように管理しておく必要がある、としている[5]。専用のシステムがない場合は、エクセルで日付・金額・取引先を入れた一覧表を作り、ファイルの通し番号と対応させる方法でも検索の要件を満たせる[5]。発注台帳を、この索引簿を兼ねる形で作っておくと、一覧と記録の橋渡しになる。記録の持ち方そのものは発注の記録を 2 年どう残すかにまとめてある。

エクセルのままでよい場合

月の発注が数十件までで、分納がほとんど無く、担当が 1 人か 2 人なら、日付の列で作った台帳と毎朝の抽出で十分に追える。内部統制の実施基準も、手作業で運用されていること自体が直ちに不備になるわけではない、としている[4]。

移すことを考える目安は、分納で 1 つの発注が何行にも分かれるようになったとき、同時に台帳を触る人が 3 人を超えたとき、そして「いまどうなっているか」を取引先に電話で聞く回数が減らないときである。発注残の多い時期に一覧を信用できないなら、それは道具の限界に来ているサインになる。

システムに移すときに先に決めること

1. いまの状態の値を棚卸しする

台帳の状態の列に実際に入っている値を全部書き出し、新しい仕組みの状態のどれに当たるかの対応表を作る。「済」が何を指していたかを担当者に聞かないと分からない値は、移す前に意味を決める。

2. 移す発注を決める

完了した発注まで状態つきで移すのか、未完了の発注だけを移して過去分は元の台帳を残すのか。購買データの移し方全体は購買のシステムへのデータ移行で扱っている。

3. 誰が、どの操作で状態を進めるか

送付・受領・検査完了を、誰がどの画面で入れるかを決める。システムを入れても、入れる人が決まっていなければ一覧は古くなる。

4. 毎朝見る絞り込みを決める

問い 1〜6 に当たる絞り込みを、毎朝開く画面としてあらかじめ用意しておく。新しい画面で毎回条件を組み立てる運用にすると、エクセルのときより見なくなる。担当者が 1 人に偏る問題は発注の状況を担当者しか知らない状態をどう無くすかで扱う。

よくある質問

状態を色で塗り分けるのはやめたほうがよいですか

見やすさのために使うのはよいが、色だけで状態を表すとフィルタや集計で拾いにくい。色は日付の列から条件付き書式で自動に塗る形にし、人が手で塗らないようにすると揺れが出ない。

問い 3 の「送付日から 2 営業日」は、どう決めればよいですか

表の値は例で、法律で決まった日数ではない。取引先と「注文書を受け取ったら何日以内に受注の確認を返す」と取り決めているならその日数を、取り決めが無いなら、過去に確認が返ってくるまでにかかった日数を取引先ごとに見て決める。日数を決めたら、それを過ぎても返ってこない発注をどう扱うかは発注ステータスは誰が動かすかで扱っている。

一覧は 1 行 1 発注と、1 行 1 明細のどちらがよいですか

受領と検査は明細ごとに起きるので、追う単位は 1 行 1 明細のほうが崩れにくい。1 行 1 発注にすると、明細の一部だけ受け取ったときに状態を 1 つに決められなくなる。発注単位で見たいときは、明細から集計して表示する。

まとめ

エクセルの台帳で発注を追うと、書き写し・同時編集・まとめての更新によって、一覧が現実より古くなる。直し方は、状態の列を増やすことではなく、毎朝答えたい問いを先に決め、問いごとに日付の列と抽出の条件を決めることである。状態の値を持つなら少なく、それぞれに動かす人を決め、受領だけは自社の都合で遅らせない。システムに移すときは、いまの状態の値を棚卸しし、毎朝見る絞り込みを最初から用意しておく。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. 2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!(取適法リーフレット)(公正取引委員会)
  3. 令和 7 年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組(公正取引委員会/令和 8 年 6 月 10 日)
  4. 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(金融庁 企業会計審議会/令和 5 年 4 月 7 日改訂)
  5. 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(国税庁/令和 7 年 6 月)

発注の状態を、毎朝ひらく一覧で追う

Newji one は、製造業の見積依頼から発注までを扱う見積・発注クラウドです。この記事で扱った項目のうち、Newji one では、発注を下書き・確定・受注確認・手配中・出荷済み・納品済み・検収完了の状態で追い、発注の一覧で「納期が今日まで」「未送付」「仮発注」「承認待ち」「自分の担当」をすぐに絞り込めます。なお、状態が変わったことはメールでは知らせず、画面の上で確かめる形です。

サービス資料を見る(無料)

WHITE PAPER

この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント

製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。

FREE DOCUMENT — サービス資料(PDF・無料)

見積依頼から比較まで、
ひとつの画面にまとめる方法

Newji one は、製造業の調達・受発注に特化したクラウド/AIエージェント。見積依頼・発注書作成・進捗管理・承認をひとつの画面に集約し、AIが比較と異常検知を担当。最後の「GO」だけ人が押す仕組みです。

  • 見積〜発注〜納期を一元管理。催促・転記のムダをゼロに
  • AIが相見積もり比較と異常検知。あなたは判断だけに集中
  • 取引先は「招待」で完全無料。自社コストだけで取引先ごとデジタル化

※ 取引先から招待された企業様は完全無料でご利用いただけます

NEWJI総研

購買・調達や設計・品質の実務を、
研修テキストと実務書式にまとめています。
無料サンプルで中身を確かめられます。

NEWJI総研の資料を見る

OEM/ODM 生産委託

アイデアはある。作れる工場が見つからない。
試作1個から量産まで、加工条件に合わせて最適提案します。
短納期・高精度案件もご相談ください。

加工可否を相談する

AI/DX支援

見積・発注、紙・FAX、品質記録など、
人に頼って回っている業務を、AIと仕組みで回る形に。
まずは無料でご相談ください。

AI/DX支援を見る

見積・発注クラウド Newji one

受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。

機能を確認する

You cannot copy content of this page