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設計スキル・プロセスの見える化手法と設計手戻り防止への活用法

目次
はじめに
製造業の現場では、設計段階での「手戻り」はコスト増大や納期遅延の大きな要因となっています。
設計ミスや認識違いによる修正依頼は、現場を預かる工場長や設計担当者にとって永遠の課題です。
こうした課題解決のカギとなるのが「設計スキル・プロセスの見える化」です。
今回は、現場で20年以上培った知見から、実践的な見える化手法や設計手戻り防止への活用法を、時代遅れと思われがちなアナログ手法も踏まえつつご紹介します。
設計スキル・プロセスの見える化とは何か
製造業現場での「見える化」の意義とは
「見える化」とは、これまで“暗黙知”となっていたノウハウや手順を、誰もが理解・活用できる形で可視化する取り組みです。
設計分野での見える化は、単なる図面管理だけではありません。
設計担当者のスキル差、作業フローのバラつき、意思決定プロセスの“属人化”を解消するため、目に見えるカタチで情報や進捗を共有することにあります。
設計業務でなぜ手戻りが発生するのか
設計の手戻り(リワーク)が発生する最大の要因は「認識のズレ」です。
例えば、
・顧客の要望と設計内容の食い違い
・社内外での設計変更履歴の伝達ミス
・工程ごとのレビュー不足
・参照元の設計基準が不明確
こうした課題が、現場での混乱や工数増加に繋がっています。
昭和的アナログ文化と“非効率”への挑戦
未だにFAX依頼や紙ベース図面が残る昭和的アナログ現場も多いのが日本の製造業の現実です。
私自身、工程表を壁一面に貼る、手書きの赤入れでやりとりを行う現場を30代まで体験しました。
一見非効率に思えるこの文化にも、実は“現場での伝承力” “気づきを促すフィードバック”などの良さもあります。
その良さを活かしつつ、デジタル技術で見える化を拡張することが、真の「手戻り削減」につながります。
実践的な設計スキル・プロセス見える化の手法
1. プロセスマッピングによる業務フローの整理
まず着手したいのは、設計業務の一連の流れをフローチャートやプロセスマップで「可視化」することです。
ポイントは「どの段階で誰が、何を、どのように」関与しているかを具体的に落とし込むこと。
特に、営業・調達・生産・品質など、他部署のインプットやアウトプットも洗い出すとよいでしょう。
このフローの見える化により、「どこで認識齟齬が起きやすいか」「属人化している作業はどこか」が明確になります。
2. 設計標準・ルールの文書化とナレッジデータベース化
設計工程には多くの「職人技」や「不文律」が存在します。
例えば、○○部品はこの形状がベスト、△△の顧客はこのチェックが必須、などです。
これを個人の経験だけに頼るのではなく、
・チェックリスト化
・設計標準書の作成
・“失敗事例”“成功事例”のデータベース化
などで“ナレッジ資産”として残しましょう。
AccessやExcelといった身近なツールでスタートし、慣れたら社内wikiやSaaSへ移行するのもおすすめです。
3. デジタルとアナログのハイブリッド管理
現場ではIT環境が整っていない場合も多く、全てをデジタル移行することが逆に混乱を招くケースもあります。
まずは、「紙×デジタル」のハイブリッドで小さく始めることが重要です。
例えば、物理的なホワイトボードに進捗を貼りだし、同時にスマホ撮影して進捗共有を始める、といった工夫です。
ポイントは、誰もがその日の情報に遡れる“現場の安心感”を失わずに進めること。
デジタル移行へは段階的に進めていきましょう。
4. レビュー・モニタリングサイクルの活用
「設計見える化」の要ともいえるのが、定期的なレビュー(設計審査)や、現場での“モニタリング”です。
代表的な手法にはDR(デザインレビュー)やFMEA(故障モード影響分析)などがあります。
これらを個人作業のあとに実施するのではなく、業務フロー内の早い段階で“習慣化”すること。
設計ミスや認識違いは、発見が一歩遅れるごとに数十倍のコストや手間になるため、細かく進捗を「共通認識化」することが肝要です。
5. 失敗の“見える化”とオープンな共有
製造業現場では「失敗が出世への大きなハードル」と捉えられがちです。
しかし本質は、失敗を隠すことで似たミスが連鎖し、「手戻り地獄」に陥ることです。
現場での失敗や手戻りの事例を「見える化」し、横展開する文化を根付かせることが大切です。
定例会や朝礼などで“ヒヤリハット”や“改善報告”を声に出し、誰もが「同じ轍を踏まない」土壌を作りましょう。
設計手戻り防止に効く!現場で実践した改善事例
1. “あいまい指示”撲滅プロジェクトで手戻り半減
ある工場では、営業→設計への「口頭指示」や「仕様書の書き方のばらつき」で度々手戻りが発生していました。
そこで、仕様書の書式標準化と「不明点チェック欄」を設け、「疑問点は必ず明文化する」ルール徹底を実施。
結果、些細な認識ズレに早期気付き、リワークが半減しました。
2. 異動者向け現場ガイダンス&マニュアルの動画化
新しく異動してきた設計担当者が業務の進め方を自己流で行い、取り違いや工程ミスが頻発した事例もありました。
これを受けて、現場一周ツアー+実例解説動画を制作。
加えて社内のサーバーに「見える化事例集」を格納、初日からいつでも閲覧可能な仕組みを作りました。
これにより、新人でも最低限の知識ギャップを埋めた上で設計に臨めるようになり、設計の手戻りが明らかに減少しました。
3. 設計変更の影響分析シートの導入
現場で設計変更指示が出る度に、どこまで連動してチェックを広げるべきか判断が曖昧だったため、
・変更点を一覧化し
・影響がある部門や工程を洗い出す
「影響分析シート」を作成。
このシートを各現場で確認する習慣を作ったことで、隠れたリスクや二次的な手戻りの予防につながりました。
昭和的現場でもできる!見える化&手戻り防止の普遍的ポイント
現場で「すぐに」始められること
・ホワイトボードや付箋を活用した、課題・進捗の“貼り出し”
・朝の5分間で「やったこと」「困ったこと」「これからやること」を小集団で共有
・すぐデジタル移行できなくても、まずは「書き出して貼る」から始める
・失敗やヒヤリ事例も“善意”でみんなに見せる
こうした小さな積み重ねこそが、現場の意識とプロセス変革を支えます。
若手やバイヤー志望者、サプライヤーに向けてのメッセージ
設計の見える化や手戻り防止は、単なる“効率化”のためではなく、「より良い製品・サービスを最速で世に届ける」ための基本です。
若手の方は「なんでこんなアナログなの?」という疑問を持つことも多いでしょう。
しかし、その疑問こそ現場改善の出発点です。
バイヤーやサプライヤーの方々も“相手のプロセス”“手戻りの痛み”を理解すれば、より良いパートナーシップが築けます。
まとめ:見える化は“現場を変える第一歩”
設計スキル・プロセスの見える化は、昭和から変わらぬ現場文化をただ否定するものではなく、良さを活かしつつ未来に進むための“知恵の継承”です。
設計手戻りは完全ゼロにはできませんが、現場に根ざした地道な見える化と継続的な改善によって、必ず減らすことができます。
今日からできる小さな「見える化」から、ぜひチャレンジしてみてください。
製造業全体の発展と、皆さん一人ひとりの課題解決のヒントとなることを願っています。
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