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フラットバー(平鋼)JIS G 3194 の寸法許容差——SS400 の熱間平鋼と磨き平鋼(G 3123)の違い

この記事のポイント(結論先出し)
フラットバー(平鋼)の寸法と許容差は JIS G 3194(熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差・2024 年改正)が決めていて、たとえば厚さ 6〜12 mm 未満は ±0.4 mm、幅 50 mm 以上は幅の ±1.6%(最大 ±3.5 mm)である[1]。材料の性質は SS400 なら JIS G 3101 が決め、幅 40 mm 未満の平鋼は機械的性質を附属書 JA で見ることになり、伸びの規定値は厚さ 5 mm を超える区分で本体の表より高い[2]。一方、磨き平鋼は JIS G 3123(みがき棒鋼)の製品で、寸法の許容差は軸の公差(マイナス側)で決まり、使える材料の一覧に SS400 は入っていない[3]。「SS400 の磨き平鋼」と頼むときは、材料の規格を何にするかを先に決める。
目次
フラットバーは、二つの規格の組合せで決まる
フラットバーは、断面が長方形の細長い鋼材で、JIS では「平鋼」と呼ぶ。架台やブラケットなどの部材に使われる。発注で戸惑うのは、平鋼について一つの規格ですべてが決まるわけではないことである。
JIS G 3194 は、熱間圧延によって製造された平鋼の形状、寸法とその許容差、外観と質量を規定し、この規格の適用については、それぞれの製品規格による、としている[1]。材料の種類と性質は製品規格(SS400 なら JIS G 3101)が決め、その製品規格が寸法の規格として G 3194 を引く、という形である。JIS G 3101 は、鋼材の形状、寸法、質量とその許容差は JIS G 3191〜G 3194 によるとし、外観も平鋼は G 3194 の箇条 8 によるとしている[2]。
したがって、発注書に「フラットバー 9×50」とだけ書いても、材料の種類が決まらない。「JIS G 3101 SS400 平鋼 9×50×5,500」のように、製品規格、種類の記号、形状、寸法をそろえて書く。JIS G 3101 は、注文者が注文時に少なくとも示さなければならない事項として、種類の記号と鋼材の形状、鋼材の寸法を挙げている[2]。
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JIS G 3194 の標準寸法と許容差
JIS G 3194 は 2024 年 11 月 20 日に改正され、2020 年版を置き換えた[1]。寸法は、厚さと幅をミリメートル、長さをメートルで表す(協定でミリメートルでもよい)[1]。標準厚さは 4.5 mm から 36 mm まで 11 種、標準幅は 25 mm から 200 mm まで 12 種、標準長さは 5.5 m から 12.0 m までである[1]。ただし標準寸法は代表寸法で、表にない寸法を使ってもよい、とされている[1]。
形状と寸法の許容差は表 4 で決まる。主な項目を、熱間圧延平鋼と磨き平鋼で並べると次のとおりである。
| 項目 | 熱間圧延平鋼(JIS G 3194 表 4) | 磨き平鋼(JIS G 3123) |
|---|---|---|
| 厚さの許容差 | 6 mm 未満 ±0.3、6〜12 mm 未満 ±0.4、25〜40 mm 未満 ±1.0 など(プラス・マイナス両側) | 軸 h の公差等級による(上の許容差 0、下はマイナス側)。等級は形状と加工方法ごとに表 6 |
| 幅の許容差 | 50 mm 未満 ±0.8、50 mm 以上 幅の ±1.6%(最大 ±3.5 mm) | 同上(軸 h) |
| 長さの許容差 | 7 m 以下 +40/0 mm(協定で+100 mm まで) | 規格の表に規定なし |
| かど落ち | 厚さ 9 mm 以上で厚さの 15% 以下(最大 4 mm)。厚さ・幅の許容差はかど落ち部分に適用しない | 外観として「各部の断面形状が正しく」 |
| 横曲がり・平たん度 | 横曲がり 全長の 0.3% 以下(1 m につき 4 mm 以下)、長さ方向の平たん度 全長の 0.3% 以下で最大 10 mm | まっすぐでねじれがないこと |
| 使える材料 | 製品規格による(SS400 なら JIS G 3101) | JIS G 3108(SGD)、G 4051(S45C など)、G 4804、G 4052、G 4053、G 4202 の鋼材 |
熱間圧延平鋼の値は JIS G 3194 の表 4、磨き平鋼は JIS G 3123 の箇条 3・6・7 による[1][3]。
熱間圧延平鋼の許容差はプラスとマイナスの両側にある。厚さ 9 mm の平鋼なら ±0.4 mm で、8.6〜9.4 mm の材料が届いても規格の範囲である。この寸法のまま組み立てる部品や、穴の位置を幅の端から決める部品では、許容差を図面の公差と突き合わせておく。かど落ち(角の丸み)の部分には厚さと幅の許容差が適用されない、という点も、角を基準にする部品では効く[1]。
規格には附属書 JA があり、1998 年版の許容差の等級のうち A・C・D 級の値を、受渡当事者間の協定によって使えるようにしている[1]。たとえば C 級の厚さの許容差は、6〜12 mm 未満で+0.5/-0.3 mm と、マイナス側が小さい[1]。ただし規格は、附属書 JA は次回の改正で廃止される、と注記している[1]。古い図面や社内規格に「A 級」「C 級」と書かれていたら、表 4 で足りるかを確かめ、使い続けるなら協定として書いておく。
質量の計算と、外観の手入れ
平鋼の質量は、計算質量または実測質量で、キログラムで表す[1]。計算では、基本質量 7.85×10⁻³ kg/(mm²・m) に、幅×厚さで求めた断面積(有効数字 4 桁に丸める)を掛けて単位質量(kg/m・有効数字 3 桁)を出し、それに長さを掛ける[1]。丸め方は JIS Z 8401 の規則 A による[1]。たとえば 9×50 の単位質量は 3.53 kg/m で、規格の表 6 にも同じ値が示されている[1]。見積と納品の質量が合わないときは、丸めの手順まで同じかを確かめる。重量計算の手順と、計算値と実際がずれる理由は鋼材の重量計算で扱った。
外観は、使用上有害な欠点があってはならないとしたうえで、製造業者は表面の欠点をグラインダ手入れまたは溶接補修で除去・補修してもよい、としている[1]。溶接補修には条件があり、欠点を除去した部分の深さは呼称厚さの 20% 以下、各面の溶接補修の合計面積は補修した面の 2% 以下、補修後は未補修面と同じ高さに滑らかに仕上げる[1]。熱処理を行った平鋼は、溶接補修後に補修部を含む本体を改めて熱処理しなければならない[1]。見える面にそのまま使う部品で補修跡を認めたくないなら、そのことを注文時に書く。
SS400 の平鋼で決まること
JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)は 2024 年 2 月 20 日に改正された[2]。SS400 の平鋼は、厚さ 100 mm 以下に適用される[2]。化学成分の規定はりんと硫黄(各 0.050% 以下)だけで、炭素とマンガンは規定していない[2]。機械的性質は、引張強さ 400〜510 N/mm²、降伏点は厚さ 16 mm 以下で 245 N/mm² 以上、16 mm を超え 40 mm 以下で 235 N/mm² 以上などである[2]。
平鋼ならではの注意が、幅の狭いものの扱いである。規格は、幅が 40 mm 未満の平鋼の機械的性質は附属書 JA によるとし、幅 40 mm 以上 50 mm 未満の平鋼も附属書 JA によってもよい、としている[2]。附属書 JA の値は、引張強さと降伏点は本体と同じだが、伸びは試験片の種類が違い、規定値は厚さ 5 mm を超える区分で本体の表より高い(5 mm 以下は同じ)。SS400 で厚さ 5 mm を超え 16 mm 以下なら、本体の表 3 は 1A 号試験片で 17% 以上、附属書 JA は 5 号試験片で 27% 以上、14B 号試験片で 24% 以上である[2]。幅 25 mm や 32 mm のフラットバーのミルシートは、本体の表ではなく附属書 JA の値と比べる。本体の表 3 で合格に見えても、附属書 JA では足りないことがある。
SS400 の検査文書は、JIS G 3101 の報告の箇条により、何も指定しなくても製造業者から提出され、その種類は指定がなければ JIS G 0415 の検査証明書 3.1 となる[2]。フラットバーを商社や加工業者から切断品で買う場合もある。JIS G 0415 は、中間業者や加工業者は、注文者の要求があるとき、製造業者の検査文書の原本か複製を修正・追加なしに提出しなければならず、寸法や数量に変更を加えた場合は、新しい条件に適合する旨の追加文書を提出しなければならない、としている[5]。中間業者による種類の記号の変更は、新しく試験をしても行ってはならない[5]。切断品でミルシートが要るなら、発注時に「製造業者の検査文書の写しと、切断品との対応を示す文書」を求めておく。SS400 と SM 材の違いはSM490(JIS G 3106)の発注での指定で扱った。
磨き平鋼は別の規格の製品
寸法の精度が欲しい、表面をきれいにしたい、という理由で「磨きのフラットバー」を頼むことがある。磨き平鋼は JIS G 3123(みがき棒鋼)の製品である。この規格は、機械構造と各種部品に用いる、断面形状が丸・六角・角・平の炭素鋼と合金鋼のみがき棒鋼について規定し、材料を冷間引抜き、研削、切削またはこれらの組合せで製造する、としている[3]。
材料に使える鋼材は、炭素鋼みがき棒鋼では JIS G 3108(みがき棒鋼用一般鋼材)、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)、JIS G 4804(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)、合金鋼みがき棒鋼では JIS G 4052、G 4053、G 4202 の鋼材である[3]。この一覧に JIS G 3101 の SS400 は入っていない。図面が SS400 なのに磨き平鋼で手配すると、届く材料の規格が図面と違うことになる。
JIS G 3108 は、みがき棒鋼用として熱間圧延で作る一般鋼材で、形状は棒鋼と平鋼である[4]。種類は 6 つで、SGDA と SGDB は機械的性質を保証し、SGD1〜SGD4 は化学成分を保証する[4]。SGDB の引張強さは 400〜510 N/mm²(径・対辺距離・厚さ 30 mm を超える場合は協定で 370〜510 N/mm² としてもよい)で、降伏点は 16 mm 以下で 245 N/mm² 以上など、SS400 に近い値が並ぶ[4]。平鋼の寸法と許容差は JIS G 3194 により、標準幅は 125 mm 以下とされる[4]。
値が近いからといって同じ材料ではない。SS400 の代わりに SGDB や S45C の磨き平鋼を使ってよいかは、設計が判断して図面か承認の記録に残す。代替材の承認の考え方は同等材の指定と承認で整理した。
磨き平鋼の寸法の許容差は、JIS B 0401-2 の表に基づく軸 h の公差等級で決まる(上の許容差が 0 で、マイナス側に許容差がある)[3]。適用する公差等級は形状と加工方法ごとに表 6 で決められ、協定によって別の等級を使ってもよく、注文者の指定によって軸 h 以外の許容差を採用してもよい[3]。標準寸法の表 4 は、厚さ 3 mm から 25 mm、幅 9 mm から 150 mm の組合せを示している[3]。
機械的性質の扱いにも注意がいる。JIS G 3123 は、炭素鋼みがき棒鋼の機械的性質は受渡当事者間の協定によるとし、機械的性質を保証する SGD290-D と SGD400-D の表は「丸・六角」について示している[3]。冷間引抜きや熱処理をせずに作ったみがき棒鋼の機械的性質は、加工前の材料規格による[3]。磨き平鋼で強さを求めるなら、何で保証するかを協定する。
発注書に書くこと
1. 製品規格と種類の記号
熱間圧延なら「JIS G 3101 SS400 平鋼」、磨きなら「JIS G 3123」と材料の記号(SGD・S-C など)。図面の材料と食い違わないか確かめる[2][3]。
2. 寸法
厚さ×幅×長さ。熱間圧延は G 3194 の表 4、磨きは公差等級を確かめる。附属書 JA の等級を使うなら協定として書く[1][3]。
3. 切断と端面
定尺か切断品か。切断品の長さの許容差は規格の表とは別に決める。
4. 外観
見える面に使うなら、溶接補修やグラインダ手入れの跡をどこまで許すか[1]。
5. 検査文書
SS400 は指定がなければ 3.1 で出る[2]。商社・加工業者から買うなら、写しと切断品の対応を示す追加文書を求める[5]。
よくある質問
9×50 のフラットバーの厚さを測ったら 8.7 mm でした。不良ですか
JIS G 3194 の厚さの許容差は 6 mm 以上 12 mm 未満で ±0.4 mm なので、8.7 mm は範囲内である[1]。図面がそれより厳しい公差を求めているなら、磨き平鋼にするか、削る前提で厚い材料を手配する。
幅 32 mm の SS400 平鋼のミルシートの伸びは、どの表と比べればよいですか
幅 40 mm 未満の平鋼の機械的性質は JIS G 3101 の附属書 JA による[2]。附属書 JA の伸びの規定値は試験片の種類が違い、本体の表 3 より高い(厚さ 5 mm を超え 16 mm 以下で 5 号 27% 以上・14B 号 24% 以上)[2]。成績書の試験片の種類を確かめ、附属書 JA の値と比べる。
「SS400 の磨き平鋼」で見積を取りたいのですが
JIS G 3123 のみがき棒鋼に使える材料の一覧に SS400 は入っていない[3]。仕入先がどの規格の材料で作るのか(SGD か S-C か)を見積の段階で書いてもらい、図面の材料との違いを設計に確かめる。
まとめ
フラットバーの寸法と許容差は JIS G 3194、材料は製品規格(SS400 なら JIS G 3101)が決める。熱間圧延平鋼の許容差は両側で、かど落ちの部分には適用されず、附属書 JA の旧等級は次回の改正で廃止される。SS400 の平鋼は厚さ 100 mm 以下が対象で、幅 40 mm 未満は附属書 JA の値(厚さ 5 mm を超えると伸びの規定値が本体より高い)で見ることになり、検査文書は指定がなければ 3.1 で出る。磨き平鋼は JIS G 3123 の製品で、許容差は軸 h の公差等級、材料は SGD や S-C などで、SS400 は一覧にない。材料の規格をどれにするかを、発注の前に決めておく。
同じ束では、鋼材をSUJ2(JIS G 4805)の発注で、鋳物をFC250 の発注で扱う。鋼板の材料記号と板厚の許容差はSPCC・SPHC など鋼板の指定で扱った。
出典・参考資料
- JIS G 3194:2024 熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 11 月 20 日改正)
- JIS G 3101:2024 一般構造用圧延鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
- JIS G 3123:2004 みがき棒鋼(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2004 年 9 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS G 3108:2021 みがき棒鋼用一般鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2021 年 2 月 22 日改正・2025 年 6 月 20 日確認)
- JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品―検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)
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