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投稿日:2026年10月16日

Uボルトの発注——管の外径で決める寸法、振れ止めの役割、屋外と異種金属の防食

この記事のポイント(結論先出し)

配管の支持に使う U ボルトは、国土交通省の標準仕様書・標準図にも寸法の表がなく、管の外径・ねじの呼び・脚の長さ・材料・表面処理を発注側が決めて指定する部品として扱うのが確実である[1][2]。国土交通省の公共建築設備工事標準図では、U ボルト(又は U バンド)は管を形鋼に留める形鋼振れ止め支持の金物として描かれ、管の重さを受ける吊りは吊りバンドと吊り用ボルトで行う形になっている[2]。同じ「呼び径 50」でも、配管用炭素鋼鋼管(SGP)の外径は 60.5 mm、一般配管用ステンレス鋼鋼管の 50Su は 48.6 mm で、呼び径だけで U ボルトを頼むと内幅が合わない[3][4]。標準仕様書は、ステンレス鋼管や銅管を鋼製の金物で支持するときは樹脂被覆の金具か絶縁材を介し、樹脂が破損しないように締め付けるとしている[1]。

「U ボルト 50A」で手配すると、何が決まっていないか

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U ボルトは、丸棒を U 字に曲げて両端にねじを切った金物で、管を形鋼(アングルやチャンネル)などの支持材に抱きかかえるように留めるために使う。設備や工場の配管、装置の架台の上の配管でよく使われ、品目マスタには「U ボルト 50A」「U ボルト 2B」のように、管の呼び径で登録されていることが多い。

ところが、配管を吊ったり支えたりする金物は、六角ボルトや六角ナットのように形状・寸法・強度を一つの JIS で決めた締結部品とは扱いが違う。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)は、吊り金物・支持金物・固定金物を「内部の流体を含む管の荷重等に対して十分な吊り又は支持強度を有する構造のもの」とし、吊り用ボルトや支持金物の寸法を標準図の選定表で決める形にしている[1]。U ボルトという語が標準図に出てくるのは、支持要領の図に「U ボルト又は U バンド」として描かれた箇所で、U ボルトの寸法を決めた表は見当たらない[2]。

このため「U ボルト 50A」とだけ頼むと、次のことが決まらない。

1. 管の外径(=U の内幅)
呼び径が同じでも、管の種類で外径が違う。

2. ねじの呼びと、脚の長さ・ねじ部の長さ
支持材の厚さと、ナット・座金の数で必要な長さが変わる。

3. 材料と表面処理
鋼か、ステンレスか。鋼ならどの防せい処理か。屋内か屋外か。

4. 管との間に入れるもの
樹脂被覆の有無、絶縁材やゴムシートを挟むか。

仕入先は、手持ちのカタログ品の寸法で納めるしかない。合わないと、管を締め付けられない、あるいは締め付けると管を傷めるといったことが現場で起きる。

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U ボルトの役割——振れ止めであって、吊りではない

公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)の「配管の吊り金物・形鋼振れ止め支持要領」では、横走り管の吊り金物は吊りバンドと吊り用ボルトの組合せで描かれ、U ボルト(又は U バンド)は形鋼振れ止め支持の図に、管を形鋼に留める金物として描かれている[2]。立て管の形鋼振れ止め支持でも、壁や床に取り付けた形鋼に U ボルト又は U バンドで管を留める図になっている[2]。標準仕様書の配管用雑材料の表でも、吊り金物は「鋼板を円形に加工した吊りバンドと棒鋼に転造ねじ加工を施した吊り用ボルトを組合せたもの」とされている[1]。

標準仕様書は、横走り管の吊りと形鋼振れ止め支持の間隔を表で決めている[1]。下の表は、その一部と、標準図の配管質量表を並べたものである[1][2]。

項目 鋼管・ステンレス鋼管 塩ビ管・ポリエチレン管など
吊り金物による吊りの間隔 呼び径に応じて 2.0 m 以下又は 3.0 m 以下 呼び径に応じて 1.0 m 以下又は 2.0 m 以下
形鋼振れ止め支持の間隔 呼び径に応じて 8.0 m 以下又は 12 m 以下(呼び径 40 以下は不要) 呼び径に応じて 6.0〜12 m 以下(呼び径 20 以下は不要)
配管質量(満水・保温付きの鋼管 1 m あたり) 呼び径 40 で 10 kg/m、50 で 15 kg/m、100 で 40 kg/m (表なし)

標準仕様書は、鋼管とステンレス鋼管の呼び径 40 以下、塩ビ管・銅管などの呼び径 20 以下の配管については形鋼振れ止め支持を不要とし、必要な場合の間隔は特記によるとしている[1]。振れ止めの U ボルトと、重さを受ける吊りの金物を同じものと考えず、図面で「どの金物が何を受けるか」が決まっていることを確かめる。管の重さを U ボルトで受ける設計になっているなら、その強さの裏付け(計算や試験)を設計者に確かめる。

なお、ここで引いた数値は官庁施設の営繕工事の標準で、工場の装置配管にそのまま当てはまるとは限らない。社内の設計基準や、装置メーカーの指示があればそちらが優先する。

寸法の決め方——管の種類で外径が違う

U ボルトの内幅は、管の外径に合わせる。ところが、同じ呼び径でも管の種類によって外径が違う。下の表は、配管用炭素鋼鋼管 SGP(JIS G 3452)と一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)の外径と厚さを並べたものである[3][4]。

管 呼び 外径 厚さ
SGP(JIS G 3452) 40A(1 1/2B) 48.6 mm 3.5 mm
SGP(JIS G 3452) 50A(2B) 60.5 mm 3.8 mm
一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448) 50Su 48.6 mm 1.2 mm
一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448) 60Su 60.5 mm 1.5 mm

「50」という呼びでも、SGP の 50A は外径 60.5 mm、ステンレスの 50Su は外径 48.6 mm で、12 mm 近く違う[3][4]。逆に、SGP の 40A とステンレスの 50Su は外径が同じ 48.6 mm である。品目マスタに「U ボルト 50A」とあっても、それが SGP 用なのかステンレス鋼管用なのかが書かれていなければ、違う内幅のものが届く。発注書には、呼び径ではなく管の外径(mm)と、どの規格の管に使うかを書くのが確実である。SGP の指定はSGP(配管用炭素鋼鋼管)の指定で扱った。

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厚さの違いも見ておきたい。SGP の 50A は厚さ 3.8 mm だが、ステンレスの 50Su は 1.2 mm しかない[3][4]。薄い管を U ボルトで強く締め付けると、管が変形するおそれがある。どこまで締めるか、管との間に何を挟むかは、管の厚さと材質を見て設計者に決めてもらう。

ねじの呼び・脚の長さ・ねじ部の長さ

U ボルトのねじの呼び(M8・M10 など)、脚の長さ、ねじを切る長さは、支持材の厚さ、座金・ナットの数(ダブルナットにするか)、締め代で決まる。図面の部品図があれば、その寸法をそのまま写す。部品図がなく品目マスタの名前だけで買っているなら、現物の寸法を測って次の項目を登録し直す。

1. 内幅(管の外径に合わせる)
管の外径と、曲げの内側の寸法。

2. ねじの呼びとピッチ
並目か細目か。

3. 脚の長さとねじ部の長さ
曲げの内側から脚の先端まで、ねじを切る範囲。

4. 材料と表面処理
次の節で扱う。

付属のナットは、六角ナットの規格(JIS B 1181)で指定できる。JIS B 1181 は鋼製・ステンレス製・非鉄金属製の六角ナットを規定し、ISO によらない附属書の製品も同じ番号に含んでいる[5]。どちらの製品を付けるかまで書いておくと、二面幅が揃う。六角ナットの指定は六角ボルト・六角ナットの規格で扱った。

材料と防食——屋外、異種金属、締付け

標準仕様書は、吊り金物・支持金物・固定金物に所定の塗装を施すとし、ただし屋外露出部分は溶融亜鉛めっきの HDZT49 を施したもの又はステンレス鋼製とする、としている[1]。HDZT49 は JIS H 8641(溶融亜鉛めっき)の種類の記号で、膜厚 49 μm 以上を求めるもので、適用例(参考)として厚さ 1 mm 以上の素材や、直径 12 mm 以上のボルト・ナットなどが挙げられている[6]。

U ボルトに溶融亜鉛めっきを施す場合、ねじ部の扱いを決めておく必要がある。JIS H 8641 は、めっき用素材についての規定の中で、ナット及びめねじ付き部品を含む場合はナット及びめねじを大きめにタップを立てておくか、めっき後にねじ部をさらう(ボルトのおねじ類を別にめっきしてはめ合わせる場合)、としている[6]。めっき後のねじにナットが入るかは、受入で確かめる項目になる。溶融亜鉛めっきの指定は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定で扱った。

ステンレス鋼管・銅管を鋼の U ボルトで留めるとき

標準仕様書は、ステンレス鋼管及び銅管の支持及び固定に鋼製又は鋳鉄製の金物を使用する場合は、合成樹脂を被覆した支持及び固定金具を用いるか、ゴムシート又は合成樹脂の絶縁テープ等を介して取り付けるとし、合成樹脂が破損しないように締め付けるとしている[1]。JIS H 8641 も、溶融亜鉛めっきをする素材について、異種金属の組合せをできるだけ避けるとしている[6]。

樹脂被覆の U ボルトを指定するときは、被覆の材質と厚さ、被覆する範囲(管に当たる曲げの部分だけか、脚まで含むか)を決めておく。被覆が締付けで破れると絶縁の役目を果たさないので、締付けの程度を施工の手順書に書いてもらう。

電気めっきの U ボルト

屋内の U ボルトには、電気亜鉛めっきを施したものもよく使われる。ねじ部品の電気めっきは JIS B 1044(締結用部品-電気めっき皮膜システム)が規定しており、2024 年の改正で、六価クロムを含まない皮膜システムを、皮膜の種類・厚さ・後処理などで表示する形になっている[7]。「ユニクロ」「クロメート」といった通称では、皮膜の厚さも六価クロムを含むかどうかも決まらないので、顧客から六価クロムを含まないことを求められているなら、それを発注書に書く。

施工後と受入で確かめること

標準仕様書の医療ガス設備工事の配管外観検査では、判定基準の一つに「U ボルトのナットの緩みがなく、吊り用ボルトが上下よりナットで固定されていること」が挙げられている[1]。医療ガス配管に限った基準だが、U ボルトで何を確かめるかの目安になる。

購買の側で U ボルトを受け入れるときは、次の項目を発注書の内容と突き合わせる。ここから先は実務の提案である。

1. 内幅が管の外径に合っているか
実際の管に当てて確かめるのが早い。

2. ねじの呼びとねじ部の長さ
ナットが最後まで入るか、ねじ部が短すぎないか。

3. 材料と表面処理
ステンレスなら材質の表示や証明、めっきなら膜厚と外観。溶融めっきならねじにナットが入るか。

4. 樹脂被覆の有無と状態
指定したのに被覆がない、被覆に傷がある、といった点。

U ボルトは図面のない「買い物」として扱われやすい部品だが、上の 4 つが決まっていないと、現場で使えない品物が届く。過去に使っていた品物があるなら、その寸法を測って部品図として残しておくと、次の発注から食い違いが減る。

よくある質問

U ボルトと U バンドはどう違うか

標準図では、形鋼振れ止め支持に「U ボルト又は U バンド」と並べて描かれていて、どちらを使ってもよい形になっている[2]。どちらにするかは、管の材質・厚さと、支持材への取付け方で設計者が決める。

U ボルトを強く締めれば、管が動かなくなるか

U ボルトは管の振れを止める金物として使われていて、管の伸び縮みまで止めるものとは限らない。温度で伸び縮みする配管では、固定する場所と、動いてよい場所(ガイド)を設計で分けている。標準仕様書も、蒸気管の伸縮管継手について、固定とガイドの施工要領を標準図によるとしている[1]。強く締めて管を固定すると、伸び縮みの逃げ場がなくなることもある。締め方は施工の手順書に従う。

ほかのねじ部品の指定も知りたい

同じシリーズで、植込みボルト JIS B 1173、袋ナット JIS B 1183、蝶ボルト・蝶ナット、皿ボルト・皿ねじの指定を扱っている。

まとめ

配管支持の U ボルトは、形状・寸法を一つの JIS で決めた規格品ではなく、管の外径・ねじの呼び・脚とねじ部の長さ・材料・表面処理を発注側が決めて指定する部品である。国土交通省の標準図では U ボルトは形鋼振れ止め支持の金物で、管の重さを受ける吊りは吊りバンドと吊り用ボルトで行う。同じ呼び径でも SGP とステンレス鋼管では外径が違うので、発注書には外径を mm で書く。屋外は HDZT49 かステンレス、ステンレス鋼管や銅管を鋼の金物で留めるなら樹脂被覆か絶縁材を介し、樹脂を破らないように締める。受入では内幅・ねじ・材料と表面処理・被覆を確かめる。

出典・参考資料

  1. 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)令和 7 年版(修補版)(国土交通省大臣官房官庁営繕部/令和 7 年 11 月 5 日)
  2. 公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和 7 年版(国土交通省大臣官房官庁営繕部/令和 7 年 3 月 21 日制定・5 月 12 日最終改定)
  3. JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2026 年 5 月 20 日改正)
  4. JIS G 3448 一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2022 年 5 月 20 日改正)
  5. JIS B 1181:2014 六角ナット(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2014 年 4 月 21 日改正・2019 年 10 月 21 日確認)
  6. JIS H 8641:2021 溶融亜鉛めっき(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2021 年 12 月 20 日改正)
  7. JIS B 1044:2024 締結用部品-電気めっき皮膜システム(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2024 年 2 月 20 日改正)

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