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*2025年5月31日現在のGoogle Analyticsのデータより

品質管理手法の活用による品質問題解決の効果的な進め方とそのポイント

目次
はじめに:品質問題は現場の成長のチャンス
製造業に従事していると、「品質問題」とは切っても切れない関係にあることを痛感します。
不良品の発生や顧客からのクレームは一見ネガティブな事象に捉えられがちですが、実は現場の体質強化や企業競争力を高める絶好の機会でもあります。
昭和的な「現場のカン・コツ」だけに頼ってしまいがちなアナログ文化が根強い今こそ、体系的な品質管理手法を活用することが、問題解決を効果的に進めるカギとなります。
本記事では、現場経験者の視点ならではの実践的なノウハウとともに、品質問題の解決に本当に効果的な手法とそのポイントを詳しく解説していきます。
品質問題とは何か?現場目線で改めて整理する
品質問題とは、顧客が要求する品質仕様や、安全性・信頼性などに対して製品やサービスが基準を満たさない状態を指します。
現場では、不良発生や異常検出、クレーム発生が表面化した時点で初めて「問題」の存在に気づくケースがほとんどです。
しかし真の問題は、その背後に潜む真因(潜在的なリスクやプロセスの抜け・甘さ)にあります。
これを放置すると、再発や重大事故に繋がり、サプライチェーン全体に深刻な損失をもたらします。
現場でよく見られる品質問題の具体例
– 製造ラインでの寸法不良や部品欠損
– 塗装・表面処理のムラ
– 梱包・出荷時の部品混入
– 不適合材料(誤納)の使用
– 外観検査の見落とし、ヒューマンエラー
業種や規模の違いがあっても、「人」「モノ」「方法」「設備」「測定」それぞれに起因する問題が多発する点は共通しています。
品質管理手法の全体像を理解する
品質問題の再発防止や未然防止を本気で実現したいなら、以下のような体系化された品質管理手法が大きく役立ちます。
QCストーリー(問題解決型QC手法)
品質問題を7つのステップで体系的に解決する手法です。
(1)テーマ選定、(2)現状把握、(3)目標設定、(4)要因解析、(5)対策立案・実施、(6)効果確認、(7)標準化・管理の順で進めます。
個人の経験や思い込みによる属人的な対応を防ぎ、論理的・客観的なアプローチを実現します。
QC七つ道具(グラフ・パレート図など)
データに基づく分析のための基本ツール群です。
パレート図、特性要因図、ヒストグラム、散布図、管理図、チェックシート、グラフの7つが有名ですが、アナログ管理が色濃く残る現場でも導入しやすく、「現物」「現場」「現実」に根ざした改善に活用できます。
なぜなぜ分析(5Why)
真の原因追究のための反復的な問いかけ技法です。
単なる「再発防止策」の名ばかり活動ではなく、納得感ある真因特定に不可欠なアプローチです。
FMEA、FTAなどリスク管理手法
FMEA(故障モード影響解析)やFTA(フォールトツリー分析)は、自動車や電機業界で重視されているリスク分析・抽出演練法です。
製品設計段階や新規工程立ち上げ時などに「未然防止」を目的として取り入れられています。
昭和的アナログ文化からの脱却—現場に根付く“温故知新”の活用法
製造業は昔ながらのアナログ文化が定着しているため、「エクセル台帳」「手書きチェックシート」「日報持ち回り」のような管理が今も一般的です。
それ自体は現場の体温や経験値を活かすメリットもありますが、QC手法のような体系的な“考える道具”と併用することで、より根拠のある改善を実現できます。
例えば、手書きチェックシートの集計データもパレート図や管理図に落とし込むことで、問題のボトルネックや異常傾向の可視化に直結します。
また、「なぜなぜ分析会」に多くの現場作業者を巻き込むことで、現場でしか見えない“真実”が浮き彫りになりやすくなります。
品質管理手法を効果的に活用する進め方
最新ツールやAIによる自動分析が注目されがちですが、問題解決の本質は「現場の実態を正確に捉え、どう解釈し、どんな対策につなげるか」に集約されます。
そのためには、以下のステップを丁寧に進めることが有効です。
1.関係者を巻き込む「チーム組成」が最優先
一人の担当や特定部署だけで解決しようとすると、思い込みや情報不足、現場軽視になりやすいです。
必ず、設計・製造・生産技術・調達・品質保証と多職種を巻き込んだチームづくりを最初に行いましょう。
ここで大切なのは「参加者全員が当事者意識を持つ」こと。
現場作業者や協力工場の担当者も積極的に招き入れてください。
2.徹底した現状把握と、「現地現物」の原則
パソコン上のデータや報告書だけの分析では本質が見えません。
現場へ足を運び、「どこで・誰が・何を・どんな状態で不良が出ているのか」、作業手順や使用設備に異常がないかを五感を働かせて確認します。
必要に応じて、現場作業者へのヒアリング、ラインの動画撮影、不良品の現物確認などを行い、可能な限り“生の情報”を集めましょう。
3.要因解析・「なぜなぜ分析」の徹底
問題対策で最もやりがちなのが“表面的な原因”でストップしてしまうことです。
「作業者のミス」「不注意だった」などで片づけず、「なぜそのミスが起きたか?」「根本的な仕組みは?」と反復して掘り下げます。
QC七つ道具の特性要因図やなぜなぜ分析を活用し、直接原因→なぜ?→真因へと複数人でディスカッションしましょう。
4.対策立案・実行は“二重・三重の工夫”で漏れなく
再発防止策というと、注意喚起や作業者教育になりがちです。
しかし、それだけでは人間のミスは必ず再発します。
必ず「仕組みに落とし込む」設計(防止策+検出策)を検討してください。
例えば
– ミスを防ぐ治具、センサーやカメラの設置
– 誤投入防止のポカヨケ
– 自動検査装置、自動記録
– 工場内カイゼン会議での継続的なPDCA
など、ヒューマンエラーを機械的に防ぐ“二重、三重”の取り組みが不可欠です。
5.効果検証と“標準化・共有”が真のゴール
対策を打ったら、必ず不良ゼロまたは減少という「数値データ」で効果確認します。
定期的なパトロール、再発率チェック、工程監査などで実効性を評価します。
さらに、その知見をマニュアル化・標準書化して全社・全工程へ展開することで、属人的な品質対策から抜け出し、「仕組みの強さ」が生まれます。
品質問題解決の現場・バイヤー・サプライヤー目線でのポイント
現場作業者に納得感と主体性を持たせる
現場の声ほど、問題解決の“リアル解”はありません。
「またか」「面倒だ」と思われないよう、問題が現場作業者にも関係があること、そして彼ら自身が根本原因の探索や対策検討に深く関わることがポイントです。
バイヤー(購買担当者)の視点
部品・材料のサプライチェーンが複雑化、多国籍化するなかで、バイヤーには「第三者視点」で工程や仕組みを監査できるスキルが求められます。
取引先の“表面的な”説明に流されず、現地監査やFMEAによる潜在リスクチェック、「品質システム構築力」まで目利きできることが差別化要素です。
サプライヤーこそ“品質問題への真剣な対応力”が武器
バイヤーから信頼を獲得し、競合との差別化を図る最大のポイントは「品質問題発生時の迅速かつ論理的な原因特定力」「明確な是正策提示」「再発防止策の標準化」です。
派手な設備や生産能力以上に、“品質問題への真摯な対応力”が安定した取引関係の基礎になります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)による新たな地平線
近年はIoTセンサーによるリアルタイムデータ取得、AIによる異常検知・要因抽出、クラウドでの工程標準化など、DXが急速に推進されています。
昭和的なマンパワー、紙文化もまだ根強いですが、「データをどれだけ現場改善に活かすか?」の視点で、QC手法×DXの融合を進めていくことが、今後の製造業の新たな競争力につながります。
まとめ:品質管理手法を最大限活用し、“再発ゼロ体質”へ
品質問題の解決力は、製造業企業の生命線です。
昭和型のアナログ文化と最新の管理手法・デジタル化を、うまくバランスよく融合させることで、現場力を底上げしましょう。
今回ご紹介したQCストーリーやなぜなぜ分析、QC七つ道具などのベーシックな手法に、現場目線・バイヤー/サプライヤー目線を取り入れて、チーム全員で「根本原因追及」と「仕組みとしての再発防止策」を徹底すること。
これこそが、今の製造業現場に求められる本当の品質強化であり、ひいてはサプライチェーン全体の信頼性向上、企業成長への第一歩になるのです。
現場で明日から実践できる“小さな一歩”を積み重ね、業界全体の品質レベル向上へと一緒に歩んでいきましょう。
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