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*2025年6月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

投稿日:2025年7月5日

流体損失を解析し低減する流体力学基礎と応用テクニック

はじめに:なぜ今、流体損失対策が求められているのか

製造業現場において「流体損失」とは、配管や機器内部での圧力損失やエネルギーロスを指します。

この損失は、設備の効率低下やエネルギーコスト増大、製品品質の安定性にも影響を及ぼすため、近年ますます重要視されてきました。

特に、省エネやカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中、昭和時代から続くアナログ的な設備や思考から脱却し、最新の流体力学と応用技術で「無駄な損失」を見直す動きが活発化しています。

本記事では、現場で役立つ流体力学の基礎から、実践的な損失低減テクニック、さらには生産管理・購買・サプライヤーの立場から理解すべきポイントまでを徹底解説します。

流体損失とは何か?― 現場目線で知っておきたい基礎知識

流体損失を構成する二つの主要要素

流体損失には主に「摩擦損失」と「部分損失(局部損失)」の二つがあります。

摩擦損失は、配管やダクトの長さに比例し、液体や気体が流れる過程で壁面との摩擦によって生じる圧力低下のことを指します。

部分損失は、バルブや継手、ベント、配管の曲がり部など、流路が変形した接続部で急激に発生する圧力損失です。

この両者は設計段階・運用段階どちらでも無視できず、省エネルギーや生産コスト、設備の寿命にも直結します。

なぜ流体損失は問題になるのか

例えば、同じポンプでも配管系統の圧力損失が増せば吐出流量が減少し、ポンプが必要以上に高圧化・大型化されてしまうなど、設備投資や運用コストが雪だるま式に増加します。

エネルギーロスとしても明確で、損失部分は全て電気や燃料代の無駄として跳ね返ります。

環境負荷軽減の時代には、見過ごせない課題です。

流体力学の基礎 『ラテラル思考』で再解釈

現場で押さえておきたい基本の公式とその活かし方

現場でよく用いる公式は「ベルヌーイの定理」「ダルシー・ワイスバッハ式」「部分損失計算式」などです。

例えば、ベルヌーイの定理は、管路内の圧力、速度、位置エネルギーの和が一定(損失がなければ)というものです。

しかし、現代現場では「理論式が現実にどこまで使えるか」をラテラルに掘り下げることが重要です。

多数の流路分岐、予測しづらい乱流、流体の混合による効率低下など、多様な”現場変数”がからみ合って損失を発生させています。

単一公式でなく、現場データ×理論式を組み合わせることでこそ「本当の損失低減策」が見えてきます。

アナログ設計からの脱却:シミュレーション&現場検証の融合

配管設計や設備選定では、「経験則」やカタログスペックだけで最終決定するケースが、実は今も多く残っています。

しかし、最新の流体解析ツール(CFD:数値流体力学解析)やIoTによる流量・圧力データの常時モニタリングを活用すれば、「なぜこの部分で損失が生じるか」を可視化できるのです。

バイヤーやサプライヤーも、この手法を熟知しているかどうかで、採用する機器仕様や交渉力が大きく変わってきます。

現場で使える流体損失低減テクニック

設計段階でのポイント:配管最適化のすすめ

損失低減の最短ルートは「設計段階で無駄な圧力損失を極力排除する」ことです。

全体配管長をできるだけ短く、曲がり(エルボ)や分岐は最小限に抑え、継手の選定も「スムーズな流れ」を最優先にしましょう。

昔ながらの「とりあえず既存経路をなぞる」設計から一歩踏み出し、最新の流体シミュレーションやベンチマーク実測値を基に、ベストなルート・口径を検討してください。

バルブ・継手・機器選定で「現場の本音」を反映

バルブや継手単位の部分損失は見落としがちですが、長期間の運用では莫大な損失を生みます。

例えば、バタフライバルブとボールバルブの選択、流体特性を無視した材質・形状選び、適切でないフランジサイズなどが、帳尻合わせ的に後工程でロスとなって現れます。

購買・生産管理担当者は、メーカーやサプライヤーとの打合せ時に、「損失係数(K値)」など数値根拠を必ず確認しましょう。

設備投資の初期コスト削減だけでなく、運用ライフサイクルを見据えた選定が求められます。

現場改善・現地工事でできること:メンテナンスと清掃の重要性

最良の設計でも、スケールや異物詰まり、経年変化によって損失が増大することがあります。

定期的な配管内のスケール除去や、目詰まり箇所のカメラ点検、バルブ等のクリーニングは絶対に欠かせません。

また、現場で気づいた流量低下や異常音・振動は「いつものこと」で済ませず、必ず記録・分析し根本原因を調査しましょう。

バイヤー・サプライヤー必見:流体損失から見た購買・調達DX戦略

購買担当者が押さえるべき「損失コスト」の可視化

従来の購買活動は「イニシャルコスト至上主義」になりがちですが、流体損失の観点からはいかに「ライフサイクル全体の損失コスト(TCO)」を把握できるかがカギとなります。

例えば、ポンプの初期導入費用だけでなく、数か年分の電気代やメンテナンス費用を計算し、最適解を導き出す姿勢が重要です。

この観点は欧米企業ではスタンダード化しつつあり、日本のものづくり現場も早急なDX化が求められています。

サプライヤー視点:顧客に「選ばれる」提案術とは

サプライヤー側は、単なる価格勝負から脱し、「自社製品による損失低減実績」や「現場型ソリューション提案力」をアピールすることが、今や必須となっています。

現場事例やデータベースを蓄積し、「既存配管からの改善メリット」「他社事例のビフォーアフター」などを分かりやすく示すことが、受注率や信頼獲得の近道です。

また、現場での立会いや改善後フォローも、正面からの価格交渉以上に大きな効果を生みます。

流体損失削減と業務プロセス革新の相乗効果

流体損失の低減は単なるエネルギー削減だけにとどまらず、「設備の安定稼働」「多品種少量生産への柔軟対応」「納期短縮」「定量管理の高精度化」観点でも重要です。

結局のところ、現代の製造業は「高効率な現場+適切な情報共有+最新技術の応用」があってこそサステナブルな成長が実現できます。

DX・スマートファクトリー時代の今こそ、「設備の見える化」「損失データの蓄積と活用」「人材育成の連携」といった業務プロセス全体を進化させることが求められています。

おわりに:ラテラルに思考し、次世代ものづくりに挑戦しよう

流体損失問題の解決は、必ずしも一つの「新技術」だけで叶うものではありません。

現場観察、現物主義、実測データと理論式、現場改善の知恵、それら全てをラテラルに掛け合わせてこそ、従来の常識を超えた大きな成果がうまれます。

購買・生産管理、バイヤー、サプライヤーの全ての立場で「ものづくりDXの主役」となるべく、ぜひ本記事のノウハウと視点を現場・業務に活用してください。

明日の工場がもっとスマートに、エネルギー効率高く、世界に誇れる現場になることを願っています。

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