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投稿日:2026年10月17日

丸鋼の寸法許容差(JIS G 3191)——許容差AとB、SS400とS45Cで違う径・長さ・曲がり

この記事のポイント(結論先出し)

熱間圧延の丸鋼の寸法は JIS G 3191 が決めているが、どの許容差を当てるかは製品規格(SS400 なら JIS G 3101、S45C なら JIS G 4051)が決める[1]。JIS G 3191 には一般構造用の許容差 A と機械構造用の許容差 B があり、製品規格に指定がなければ A を適用する[1]。SS400 は A、S45C は B になる[2][3]。A が B より常に緩いわけではなく、径 50 mm なら A が ±0.9 mm、B が ±1.0 mm、径 100 mm なら A が ±1.8 mm、B が ±1.2 mm である[1]。所定の長さに切断した棒鋼の長さの許容差は、7 m 以下で +40 mm/0 mm[1]。曲がりは JIS G 3191 に規定が無く、S45C は JIS G 4051 が 1 m あたり 3 mm 以下としているが、SS400 の丸鋼には JIS G 3101 にも規定が無い[2][3]。軸の素材など真直さが要る場合は、注文で決める。

JIS G 3191 は「寸法の物差し」で、当て方は製品規格が決める

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JIS G 3191(熱間圧延棒鋼及びバーインコイルの形状、寸法、質量及びその許容差)は、熱間圧延によって製造された棒鋼の外観、形状、寸法、質量とその許容差について規定し、この規格の適用はそれぞれの製品規格に規定するものとする、としている[1]。現行版は 2022 年 3 月 22 日改正で、2026 年 6 月 22 日に確認されている。棒鋼には、断面が円形の丸鋼、正方形の角鋼(角に丸みをつけたものを含む)、六角形の六角鋼があり、長尺のままコイル状に巻いたバーインコイルも含む[1]。

材料の種類(SS400、S45C など)と、寸法の許容差の規格は別々にある、というのがまず押さえたい点である。発注書に「SS400 丸鋼 φ50」と書けば、寸法の許容差は SS400 の規格(JIS G 3101)が引く JIS G 3191 の規定で決まる。S45C の材料指定で JIS が保証することはS45C・SCM435 の材料指定で JIS が保証することで扱った。この記事は、丸鋼の寸法・長さ・曲がり・質量の許容差を、発注と受入でどう使うかに絞る。

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径の表し方と標準径・標準長さ

丸鋼の寸法は径で、角鋼と六角鋼は対辺距離で表し、単位はミリメートルである。所定の長さに切断した棒鋼の長さはメートルで表し、受渡当事者間の協議でミリメートルにしてもよい[1]。

丸鋼の標準径は表 1 に 5.5 mm から 200 mm まで並んでいて、括弧付きの径(14、18、27、33、39、45、52、68 mm)以外の標準径の適用が望ましいとされている[1]。所定の長さに切断した丸鋼の標準径は 9 mm 以上、バーインコイルの標準径は 50 mm 以下である[1]。所定の長さに切断した棒鋼の標準長さは表 2 の 3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0、9.0、10.0 m である[1]。

削り出し部品の素材なら、図面の仕上げ径に削り代を足し、そこから一つ上の標準径を選ぶのが手配しやすい。括弧付きの径は在庫が少ないことが多いので、括弧付きの径を選んだ設計なら、見積の段階で手配できるかを仕入先に確かめる(当方の提案)。なお S45C などの JIS G 4051 の熱間圧延棒鋼は、標準径を自分の規格の表 3 で定めていて(丸鋼に 44 mm はあるが 45 mm は無い)、長さは受渡当事者間の協定によるとしている[3]。定尺の長さからの切り出しと端材の扱いは鋼材の定尺と切断の指定で扱う。

許容差 A と許容差 B:どちらが当たるか

径の許容差と偏径差(同じ断面の最大径と最小径の差)は、表 3 の「一般構造用棒鋼の許容差及び偏径差又は偏差(許容差 A)」か、表 4 の「機械構造用棒鋼の許容差及び偏径差又は偏差(許容差 B)」による。製品規格で指定のない場合は表 3 を適用する[1]。

区分 径の区分 径の許容差 偏径差
許容差 A(一般構造用) 16 mm 未満 ±0.4 mm 全許容差範囲の 70 % 以下
16 mm 以上 28 mm 未満 ±0.5 mm
28 mm 以上 ±1.8 %
許容差 B(機械構造用) 19 mm 未満 ±1.5 %(絶対値が 0.4 mm を下回る場合は ±0.4 mm) 全許容差範囲の 70 % 以下
19 mm 以上 32 mm 未満 ±0.8 mm
32 mm 以上 55 mm 未満 ±1.0 mm
55 mm 以上 ±1.2 mm

表の値は丸鋼の場合で、許容差 B の六角鋼は別の欄(対辺距離の許容差と偏差)になる[1]。製品規格の側を見ると、JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)は、鋼材の形状・寸法・質量とその許容差を JIS G 3191〜G 3194 によるとし、棒鋼の表は指定していない[2]。したがって SS400 の丸鋼には、指定の無い場合の表 3(許容差 A)が当たる。一方、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)は、熱間圧延棒鋼の径の許容差と偏径差を JIS G 3191 の表 4(許容差 B)によると明記している[3]。

径ごとに並べると、A が B より厳しい範囲がある

名前から「機械構造用の B の方が厳しい」と思いがちだが、表の値を径ごとに計算すると、そうとは限らない[1]。

径 許容差 A(SS400 など) 許容差 B(S45C など) 狭い方
12 mm ±0.4 mm ±0.4 mm(1.5 % は 0.18 mm なので下限の 0.4 mm) 同じ
20 mm ±0.5 mm ±0.8 mm A
30 mm ±0.54 mm(1.8 %) ±0.8 mm A
50 mm ±0.9 mm(1.8 %) ±1.0 mm A
80 mm ±1.44 mm(1.8 %) ±1.2 mm B
100 mm ±1.8 mm(1.8 %) ±1.2 mm B

径 55 mm 以上で許容差 B が ±1.2 mm に固定されるのに対し、許容差 A は径に比例して広がるので、およそ 67 mm を境に大小が入れ替わる。素材の径を決める計算では、材料の種類から当たる許容差を確かめ、マイナス側の値で削り代を見る。たとえば径 45 mm に仕上げる軸を S45C の径 50 mm から削る場合、許容差 B の下限で素材は 49.0 mm になりうるので、片側の削り代は最小 2.0 mm になる。偏径差は全許容差範囲の 70 % 以下なので、径 50 mm の許容差 B なら最大径と最小径の差は 1.4 mm まで許される[1]。

許容差 A・B 以外を求める場合は、表の値を書き換えるのではなく、注文で協定した値として明記する。より狭い公差が要るなら、熱間圧延の丸鋼ではなく、冷間引抜き・研削・切削で仕上げたみがき棒鋼(JIS G 3123)を検討する。みがき棒鋼の寸法許容差は、軸 h に対する公差等級(IT6〜IT13)を適用し、たとえば径 3 mm を超え 6 mm 以下の IT9 なら 0/-0.030 mm のように片側の公差になる[4]。みがき棒鋼の指定は磨き棒鋼 SGD の指定で扱う。

長さの許容差:プラス側だけ

所定の長さに切断した棒鋼の長さの許容差は表 5 による。長さ 7 m 以下は +40 mm/0 mm で、7 m を超えるものは、長さ 1 m またはその端数を増すごとにプラス側の許容差に 5 mm を加える。マイナス側は 0 mm で、プラス側の許容差は受渡当事者間の協定によってもよい[1]。たとえば標準長さの 10.0 m なら、7 m を 3 m 超えるので +55 mm/0 mm になる。JIS G 4051 も、熱間圧延棒鋼を指定した長さに切りそろえる場合の長さの許容差を JIS G 3191 の表 5 によるとしている[3]。

この許容差は、製鋼所や圧延の段階で所定の長さに切った棒鋼に対するものである。部品の長さに合わせて切断した素材の長さの公差は、別に図面や注文で決める。「SS400 丸鋼 φ30×200 mm」のように切断品で買う場合に、長さの公差を書かなければ、+40 mm/0 mm の規定がそのまま当てはまるとは限らない。

曲がり:JIS G 3191 には規定が無い

JIS G 3191 は、外観・形状・寸法・質量とその許容差の規格だが、棒鋼の曲がりの許容値は定めていない[1]。曲がりを決めているのは製品規格の側で、JIS G 4051 は熱間圧延棒鋼の形状の許容差として、曲がりを任意の 1 m に対して 3 mm 以下、かつ全長 L(m)に対して(3×L)mm 以下としている[3]。

一方、JIS G 3101 には、熱間押出形鋼や異形平鋼の附属書を除いて、棒鋼の曲がりの規定が無い[2]。つまり SS400 の丸鋼は、JIS の上では真直さが保証されていない。長い軸やピンの素材、旋盤でチャックしてから削る素材のように、曲がりで削り代が足りなくなる部品なら、注文書に曲がりの許容値(たとえば「1 m あたり○ mm 以下」)を書き、仕入先に対応できるかを確かめる。曲がりの値をどう決めるかは設計の判断で、規格の値を使うなら JIS G 4051 の書き方が参考になる。

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熱処理を実施した熱間圧延棒鋼の寸法の許容差や形状の許容差は、JIS G 4051 でも受渡当事者間の協定による[3]。焼入れ焼戻しをした棒鋼を素材で買う場合は、曲がりと径の許容差を協定として書く必要がある。

きず取りの跡:SS400 は表示寸法の 95 % まで、S45C は JIS G 4051 の基準

JIS G 3191 の外観の規定は、棒鋼に使用上有害な欠点があってはならないとしたうえで、表面に有害な欠点がある場合、製造業者はチッピングやグラインダがけなどで欠点を除去してもよいとしている。この場合、手入れ後の寸法(径又は対辺距離)は表示の寸法の 95 % 以上で、手入れ部分はきれいに仕上げ、圧延のままの面との境は滑らかでなければならない(箇条 9 の b))[1]。JIS G 3101 は、鋼材の外観を JIS G 3191 の箇条 9 によるとしているので、SS400 の丸鋼にはこの規定が当たる[2]。

SS400 の径 50 mm の丸鋼なら、手入れした箇所では 47.5 mm まで許されることになり、径の許容差(許容差 A の下限 49.1 mm)より小さくなりうる。黒皮のまま使う部品や、削り代を少なく見ている部品では、この手入れ跡で寸法が足りなくなることがある。受入で表面にグラインダの跡があれば、その位置の径を測って加工に足りるかを確かめる。

S45C などの JIS G 4051 の熱間圧延棒鋼は、外観を JIS G 3191 の箇条 9 の a)(有害な欠点があってはならない)によるとしたうえで、きず取りの基準を用途ごとに自分の規格で定めている[3]。一般鍛造用棒鋼は呼称寸法からのきず取り深さを呼称寸法の 4 % 以下(最大 5 mm)、直接切削用丸鋼はきず取りを通常行わず、きずの深さを径 16 mm 以上 50 mm 未満なら呼称寸法の 3 % 以下(最大 1.0 mm)などとし、冷間引抜用棒鋼は寸法許容差の下限からのきず取り深さを決めている[3]。S45C の丸鋼を注文するときは、一般鍛造用・直接切削用・冷間引抜用のどの用途かを伝えておくと、当たる基準がはっきりする。

バーインコイルは、コイル状で供給されるため全長にわたって欠点を検出して除去するのが一般に困難で、欠点を含む場合がある。コイル内に見つかった有害な欠点の扱いは、必要な場合、受渡当事者間の協定による[1]。

質量:計算質量か実測質量か、許容差は要求時だけ

所定の長さに切断した棒鋼の質量は計算質量か実測質量により、バーインコイルは実測質量による[1]。計算の手順(断面積を有効数字 4 桁、単位質量を 3 桁に丸める)は鋼材の重量計算で扱った。

質量の許容差は、注文者の要求がある場合に表 8 による。計算質量と実測質量の差を計算質量で割った百分率で、径 10 mm 未満が ±7 %、10 mm 以上 16 mm 未満が ±5 %、16 mm 以上 28 mm 未満が ±4 %、28 mm 以上が ±3.5 % で、同一寸法のもの一組(1 000 kg 以上、1 000 kg に相当する本数が 10 本に満たない場合は 10 本以上)に適用する[1]。重量単価で取引する棒鋼で、請求の重さと計算の重さが合わないときは、注文時に質量の許容差を要求していたかどうかで話が変わる。1 本ずつではなく一組に適用する規定である点にも注意する。

ミルシートと注文書

検査文書の出方は製品規格で違う。JIS G 3101 は、製造業者は特に指定がない場合、検査文書を注文者に提出しなければならず、種類は指定がなければ検査証明書 3.1 とする[2]。JIS G 4051 は、注文者から要求された場合に検査文書を提出するとしている(種類は指定がなければ検査証明書 3.1)[3]。S45C のミルシートが要るなら、注文時に求める。商社や切断業者を通す場合の写しの扱いはフラットバー(平鋼)JIS G 3194 の寸法許容差で扱った。

発注書に書く項目は次のとおりである。

1. 材料の規格と種類
「JIS G 3101 SS400」「JIS G 4051 S45C」など。これで当たる許容差(A か B か)が決まる。

2. 形状と寸法
丸鋼・角鋼・六角鋼の別と径。熱間圧延のままか、みがき棒鋼か。

3. 長さ
標準長さで買うか、切りそろえ・切断品で買うか。切断品なら長さの公差と端面の状態。

4. 曲がり
SS400 の丸鋼で真直さが要るなら、許容値を注文で決める。

5. 質量の扱い
計算質量か実測質量か。質量の許容差を要求するか。

6. 検査文書
S45C など要求時だけの規格なら、注文時に求める。

例:「材質:JIS G 4051 S45C、熱間圧延丸鋼、径 50 mm(JIS G 3191 表 4 の許容差 B による)。長さ 4 000 mm 切りそろえ。検査文書(検査証明書 3.1)を添付すること。」SS400 で真直さが要る場合は、「曲がりは任意の 1 m について 3 mm 以下とする」のように協定の値を書き加える。

よくある質問

SS400 の丸鋼とS45C の丸鋼で、径の公差は違いますか

違う。SS400(JIS G 3101)は JIS G 3191 の表 3(許容差 A)、S45C(JIS G 4051)は表 4(許容差 B)が当たる[1][2][3]。径 50 mm なら A が ±0.9 mm、B が ±1.0 mm、径 100 mm なら A が ±1.8 mm、B が ±1.2 mm で、どちらが狭いかは径で変わる。

丸鋼の曲がりは JIS で何 mm までと決まっていますか

JIS G 3191 には曲がりの規定が無い[1]。S45C などの JIS G 4051 の熱間圧延棒鋼は 1 m あたり 3 mm 以下かつ全長 L に対して 3×L mm 以下[3]、SS400 の丸鋼は JIS G 3101 にも規定が無い[2]。要るなら注文で決める。

径 45 mm の丸鋼を注文してもよいですか

45 mm は JIS G 3191 の表 1 では括弧付きの径で、括弧以外の標準径の適用が望ましいとされている[1]。S45C の場合は JIS G 4051 の表 3 の標準径に 45 mm が無い[3]。注文はできるが、手配のしやすさを仕入先に確かめるか、近い標準径(42 mm や 46 mm)で設計できないかを検討する。

まとめ

熱間圧延の丸鋼の寸法は JIS G 3191 が決め、どの許容差を当てるかは製品規格が決める。指定が無ければ許容差 A で、SS400 は A、S45C は B になる。A と B は径によって大小が入れ替わるので、名前で判断せず表の値で削り代を見る。長さの許容差はプラス側だけで、切断品の長さの公差は別に決める。曲がりは JIS G 3191 に無く、SS400 の丸鋼には JIS G 3101 にも無いので、真直さが要るなら注文で決める。きず取りの跡は SS400 なら表示寸法の 95 % まで許され(S45C は JIS G 4051 の用途ごとの基準)、質量の許容差は要求したときに一組に適用される。検査文書は SS400 なら指定がなくても出るが、S45C は求めたときに出る。

同じ束では、鋼材の定尺と切断、圧力配管用炭素鋼鋼管 STPG370、ボイラ・熱交換器用鋼管 STB、銅管 JIS H 3300の発注も扱う。平鋼の寸法許容差はフラットバー(平鋼)JIS G 3194 の寸法許容差にまとめた。

出典・参考資料

  1. JIS G 3191:2022 熱間圧延棒鋼及びバーインコイルの形状,寸法,質量及びその許容差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 3 月 22 日改正・2026 年 6 月 22 日確認)
  2. JIS G 3101:2024 一般構造用圧延鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
  3. JIS G 4051:2026 機械構造用炭素鋼鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2026 年 5 月 20 日改正)
  4. JIS G 3123:2004 みがき棒鋼(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2004 年 9 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)

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