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パレットのサイズと規格(JIS Z 0601・11型)——T11 の記号、最大積載質量、仕入先との取り決め

この記事のポイント(結論先出し)
「11 型パレット」は平面 1,100×1,100 mm のパレットを指す呼び方で、JIS Z 0601 そのものではない。JIS Z 0601 は、業種や輸送機関をまたいで共通に使うプールパレットの規格で、大きさを 1,100×1,100×144 mm の両面使用形二方差し(記号 T11W-A・T11W-B・T11P)に限り、最大積載質量を 1 t としている[1]。国の「標準仕様パレット」は、平面 1,100×1,100 mm、高さ 144〜150 mm、最大積載質量 1 t、二方差しまたは四方差しとしており、JIS Z 0601 より範囲が広い[4]。最大積載質量は等分布荷重の場合の値である[3]。仕入先とは、パレットの規格と記号、積む質量と積み付け、そしてパレットの所有・回収・費用の負担を、売買の契約や発注の条件として書いておく[4]。
目次
「パレット積みで納入」だけでは決まらないこと
部品を仕入先から受け取るとき、納入の荷姿を「パレット積み」とだけ書いている発注は多い。だがパレットには大きさ、差し込み口の方向、片面使用か両面使用か、木製かプラスチック製かの違いがあり、何を使うかで自社の倉庫の棚、フォークリフト、トラックへの積み方が変わる。使い終わったパレットを誰が回収し、その費用を誰が持つかも、書いておかなければ揉める。
物流効率化法の判断基準は、第一種荷主(継続して運送事業者と運送契約を結ぶ荷主)の取組として、パレットの導入と標準仕様パレットの使用を挙げている。仕入先が運送を手配する通常の納入では、受け取る側は第二種荷主で、これがそのまま求められるわけではない。ただし自社でトラックを手配して仕入先まで引き取りに行くなら、運送契約を結ぶ自社が第一種荷主になる。その全体と、部品を受け取る側も荷主に入ることは物流効率化法で荷主に課される義務で扱った。この記事は、パレットの規格の読み方と、仕入先との取り決めに絞る。
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パレットの JIS は用途と材質で分かれている
平パレットの JIS には、用途で決めた規格と、材質で決めた規格がある。用語は JIS Z 0106(パレット用語)が定めており、たとえば二方差しパレットは差込口が相対する 2 方向にあるもの、四方差しパレットは前後左右の 4 方向にあるもの、両面使用形パレットはデッキボードが両面にあって積載面が両面にあるものである[3]。
プールパレットは、同じ規格で「広範囲の業種及び各輸送機関で相互に共通して使用する,互換性のあるパレット」と定義され、一貫輸送用パレットは「パレット積みのまま戸口から戸口まで一貫して使用するパレット」とされている[3]。JIS Z 0601(プールパレット-一貫輸送用平パレット)は、この 2 つの性格をもつ木製とプラスチック製のパレットを規定している[1]。
材質で決めた規格としては、JIS Z 0604(木製平パレット)と JIS Z 0606(プラスチック製平パレット)がある。どちらも繰り返し使用するパレットを対象にしており、1,100 mm の系列と 1,200 mm の系列の複数の大きさを定めている[5][6]。つまり 1,100×1,100 mm のパレットにも、JIS Z 0601 のプールパレットと、JIS Z 0604・Z 0606 の 1 つの大きさとしてのものがある。
JIS Z 0601 で決まっていること
大きさ・形式・記号と最大積載質量
JIS Z 0601 は、パレットの大きさを長さ×幅×高さ 1,100×1,100×144 mm、形式を両面使用形二方差しとし、種類と記号を木製 A 形(T11W-A)、木製 B 形(T11W-B)、プラスチック製(T11P)の 3 つとしている。最大積載質量は 1 t である[1]。製品の呼び方の例として「JIS Z 0601 T11W-A」「JIS Z 0601 T11P」を挙げている[1]。発注書でパレットを指定するなら、この呼び方で書けば種類まで決まる。
最大積載質量の意味には注意がいる。JIS Z 0106 は、最大積載質量を「等分布荷重の場合について,パレットに積載する物品の最大質量」と定義している[3]。1 t は、荷がパレットの面に均等に載っているときの値である。重い金型や機械部品を 1 点だけ中央に載せるような使い方は、この前提に当てはまらない。そのような荷は、設計や物流の担当と荷姿を決めてから仕入先に指定する。
差込口と寸法の許容差
差込口の高さは、木製で 100±1 mm、プラスチック製で 74 mm 以上とされている[1]。製作時の寸法許容差は、プラスチック製で長さと幅が ±3 mm、高さが ±2 mm、木製の両対角線の長さの差は長いほうの対角線に対して 8 mm 以下である[1]。プラスチック製のパレットの寸法を検査するときは、温度 23±2 ℃の条件に 48 時間以上置いてから測る[1]。受入で寸法の違いを問題にするときは、この測り方にそろえる。
強度の基準と試験
強度は JIS Z 0602(平パレット試験方法)で試験し、たとえば曲げ強度のたわみ率は木製で 1.25 % 以下、プラスチック製で 1.5 % 以下とされている[1]。JIS Z 0602 の曲げ試験は、最大積載質量に相当する荷重のおおむね 0.1 倍をかけた状態から 1.25 倍まで負荷したときのたわみ量を測る。脚部の圧縮試験は 1.1 倍、下面デッキボードの試験は 1.15 倍まで負荷し、落下試験は 500 mm の高さから同一の角を 3 回落とす[2]。強度の値は、最大積載質量を基準にした荷重で測っていることになる。
| 項目 | JIS Z 0601(T11 プールパレット) | 標準仕様パレット(国の取りまとめ) | JIS Z 0604/Z 0606(材質別) |
|---|---|---|---|
| 平面の大きさ | 1,100×1,100 mm | 1,100×1,100 mm | 1,100 系列・1,200 系列の複数 |
| 高さ | 144 mm | 144〜150 mm | (大きさの表には無い) |
| 差込口の方向 | 二方差し(両面使用形) | 二方差しまたは四方差し | 形式の記号で選ぶ |
| 最大積載質量 | 1 t | 1 t | 木製 0.5〜2 t・プラスチック製 0.25〜1.5 t の段階 |
表は JIS Z 0601[1]、国土交通省の資料[4]、JIS Z 0604[5]、JIS Z 0606[6] から作った。同じ「11 型」でも、どの基準のものかで高さや差し方、積める質量が変わる。
国が進める「標準仕様パレット」
国土交通省の官民物流標準化懇談会のパレット標準化推進分科会は、2024 年 6 月に最終とりまとめを示し、標準的な規格を平面サイズ 1,100×1,100 mm、高さ 144〜150 mm、最大積載質量 1 t、タグ・バーコードの装着が可能な設計、二方差しまたは四方差しとした[4]。運用はレンタル方式を推進するとしている[4]。
同じ資料は現状の課題として、パレット化が可能なのにバラ積み・バラ卸しが行われていること(輸送の際のパレット化率は、パレット化可能な荷物のうち約 8 割)、規格や運用が統一されておらず物流拠点で積み替えが発生していること(例として貨物の出荷時に約 5 割)を挙げている[4]。2030 年度の目標(KPI)として、パレット生産数量に占める 11 型パレットの割合を現状 26 % から 50 % 以上に、レンタルパレット保有数量に占める割合を現状 76 % から 85 % 以上にすることを掲げている[4]。
製品の特性上、標準仕様パレットを活用できない場合などは、当分の間の採用が難しいときに、設備改修のタイミングも勘案しつつ将来の採用を期待するという書き方である[4]。すべての荷を今すぐ 11 型に載せ替えよという内容ではない。仕入先から納入される部品の荷姿を見直すときに、新しく決めるなら 11 型を候補にする、という使い方が現実的である。
仕入先と取り決めること
所有・回収・費用の負担
標準仕様パレットの最終とりまとめは、運用の項目として、売主と買主の間の売買契約や、レンタルパレット事業者とのレンタル契約の中で、パレットの仕分け・回収作業の主体や費用負担を明記するとしている[4]。ロードマップにも、パレットの仕分け・回収作業の主体の明確化を 2025 年度の項目として挙げている[4]。
購買の立場で書くことに置き換えると、次の項目になる。
1. パレットの種類
規格と記号(JIS Z 0601 T11P など)、またはレンタルパレットの事業者と品種[1]。
2. 所有
仕入先の持ち物か、自社の持ち物か、レンタルか。片道で使い捨てにするか。
3. 回収と仕分け
誰がいつ回収し、他社のパレットが混ざったときに誰が仕分けるか[4]。
4. 費用
パレットの代金・レンタル料・回収の運賃を単価に含めるか、別に払うか[4]。
5. 紛失と破損
回収できなかったパレットや壊れたパレットの扱い。
費用を単価に含めるか別にするかは、価格の申し入れのときにも効く。運送や荷役の費用を値決めにどう反映するかの考え方は、包装資材の記事段ボール・包装資材の値動きと購買単価でも触れている。
積む質量と積み付け
パレットの上の荷は、最大積載質量の範囲に収め、等分布で載るように積む[3]。荷の高さ、1 パレットあたりの入り数、段ボール箱の積み付けのパターン、荷崩れ防止の固定の方法(ストレッチフィルムや結束など)も、納入の条件として書いておく。段ボール箱の強さは積み付け方で変わり、同じ箱でも積み付けのパターンによって保管できる日数が大きく違ったという研究がある[7]。箱の強さの指定は段ボール箱の規格(JIS Z 1516)と強度の指定で扱う。
輸出入の木製パレット
海外の仕入先から木製パレットに載せて輸入する場合や、自社から輸出する場合は、木材こん包材の植物検疫の基準がかかる。消毒と表示の指定は輸出梱包の木材(ISPM No.15)の指定で扱った。JIS Z 0601 は木製プールパレットの樹種として、あかまつ・くろまつ・ダグラスファー・からまつ・つが・ぶななどを挙げている[1]が、樹種の規定と植物検疫の処理は別の話なので、両方を条件に書く。
受入で確かめること
JIS Z 0601 のパレットには、見やすい箇所に容易に消えない方法で、大きさと種類(または記号)、製造業者名、製造年月を表示することになっている[1]。指定したパレットで納入されたかは、まずこの表示で確かめる。構造・品質の規定には、繰り返し使用に耐え、凹凸・反り・きず・割れなど使用上有害な欠点がないこと、積載面は積荷が容易に滑らないことなどが並んでいる[1]。割れや釘の浮いたパレットが混ざっていれば、回収・交換の取り決めに従って戻す。
寸法を測るなら、プラスチック製は 23±2 ℃で 48 時間以上置いてから測るという規格の条件にそろえる[1]。強度の試験をするなら JIS Z 0602 の方法で、供試品の数は各試験 3 個以上、木製は含水率 18 % 以上の状態で試験するとされている[2]。強度の証明を仕入先に求めるなら、試験の報告に、パレットの種類・最大積載質量・大きさ・材料・含水率(木製)・質量・試験時の温度と湿度・試験の方法と結果を書くことになっている[2]。
よくある質問
Q. 「11 型パレット」と書けば JIS Z 0601 品が来ますか。
来るとは限らない。11 型は平面 1,100×1,100 mm の呼び方で、JIS Z 0601 は高さ 144 mm・両面使用形二方差しの T11W-A・T11W-B・T11P に限った規格である[1]。JIS 品が要るなら記号で書く。
Q. 最大積載質量 1 t のパレットに 900 kg の機械を 1 台載せてもよいですか。
最大積載質量は等分布荷重の場合の値と定義されている[3]。荷が一部に集中するなら、その前提から外れる。荷姿を設計・物流の担当と決めてから指定する。
Q. 標準仕様パレットへの切り替えは義務ですか。
国の取りまとめは、製品の特性上活用できない場合など、標準仕様パレットの採用が当分の間困難な場合は、設備改修のタイミングも勘案しつつ将来的な採用を期待する、という書き方である[4]。物流効率化法の判断基準も、第一種荷主(継続して運送契約を結ぶ荷主)の取組としてパレットの導入と標準仕様パレットの使用を挙げている。仕入先が運送を手配する通常の納入では受け取る側は第二種荷主で、そのまま求められるわけではないが、自社でトラックを手配して引き取るなら自社が第一種荷主になる。詳しくは物流効率化法の記事で確かめてほしい。
まとめ
「11 型パレット」は平面の大きさの呼び方で、JIS Z 0601 は 1,100×1,100×144 mm の両面使用形二方差しに限ったプールパレットの規格であり、最大積載質量は 1 t である[1]。国の標準仕様パレットは高さ 144〜150 mm、二方差しまたは四方差しまで含む[4]。最大積載質量は等分布荷重の値なので[3]、重い荷の載せ方は別に決める。仕入先とは、パレットの規格と記号、積む質量と積み付けに加えて、所有・回収・仕分け・費用の負担を契約や発注の条件として書く[4]。受入では表示と構造・品質を確かめ、寸法や強度を問題にするときは JIS Z 0601・Z 0602 の測り方にそろえる[1][2]。
同じ束では、ポリカーボネート部品の発注と電線・ケーブルの種類と仕様書での指定も扱っている。
出典・参考資料
- JIS Z 0601:2001 プールパレット-一貫輸送用平パレット(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2001 年 8 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0602:1988 平パレット試験方法(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1988 年 12 月 1 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0106:1997 パレット用語(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1997 年 12 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- パレット標準化の取組状況について(パレット標準化推進分科会 最終とりまとめ【概要】を含む)(国土交通省 物流・自動車局 物流政策課/令和 6 年 11 月 5 日)
- JIS Z 0604:1989 木製平パレット(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1989 年 4 月 1 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0606:2008 プラスチック製平パレット(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2008 年 3 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
- 田村祥・斎藤勝彦・山原栄司「パレット積みされた段ボール箱の限界保管時間について」日本包装学会誌 Vol.18, No.3(日本包装学会/2009 年・神戸大学学術成果リポジトリ)
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