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投稿日:2026年10月16日

VCTF・VCT・CVケーブルの違いと選び方——JIS C 3306・C 3605 の適用範囲と仕様書での指定

この記事のポイント(結論先出し)

設備や製品の部材として電線を買うときは、記号(VCTF・VCT・CV など)と、その記号が属する JIS の適用範囲をセットで見る。VCTF(ビニルキャブタイヤ丸形コード)は JIS C 3306 のコードで、主として屋内で交流 300 V 以下の小形電気器具に使うものとして規定されている[1]。VCT は JIS C 3312 で 600 V 以下の移動用電気機器の電源回路などに[2]、CV は JIS C 3605 の 600 V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルで公称電圧 600 V 以下の回路に使う[3]。似た見た目でも、試験の電圧、難燃の基準、耐油の試験の有無が違う。仕様書には記号に加えて線心数・公称断面積・規格番号を書き、電気用品安全法の対象(定格電圧 100〜600 V の電線のうち、断面積・心数で決まる範囲)に入るかを確かめて、表示のある品を受け入れる[4]。

「VCTF 2sq」「CV ケーブル」では決まらないこと

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電線は、購買の現場では「VCTF 2sq」「CV 5.5sq 3C」のように記号と太さだけで手配されることが多い。記号は規格の中で決められた略号で、その記号が付く電線には、使う電圧、構造、試験の条件が決まっている。だが記号だけでは、どの規格のどの版か、心数はいくつか、細い素線を使った柔らかいものか、耐燃性のシースか、といった違いが残る。

この記事は、家庭や建物の配線工事の方法ではなく、設備や製品の部材として電線・ケーブルを選び、仕様書で指定し、受け入れるときの話を扱う。製品の中を通す電線を端子・コネクタと組み合わせたワイヤーハーネスとして発注する場合は、ワイヤーハーネスの発注で指定することで電線の規格・端子の圧着・電気検査を扱ったので、そちらと合わせて読んでほしい。

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電線は「コード」「キャブタイヤケーブル」「ケーブル」「絶縁電線」に分かれる

JIS の電線の規格は、使い方ごとに分かれている。部材として選ぶときに最初に押さえたいのは、次の 4 つの区分である。

コード(JIS C 3306 ビニルコード)
主として屋内で交流 300 V 以下の小形電気器具に使う、塩化ビニルを主体としたコンパウンドで絶縁したビニルコードとビニルキャブタイヤコードを規定している[1]。単心ビニルコード(VSF)、2 個よりビニルコード(VTF)、ビニル平形コード(VFF)、ビニルキャブタイヤ丸形コード(VCTF)、ビニルキャブタイヤ長円形コード(VCTFK)などがあり、絶縁体を二種にしたものは記号の頭に H が付く[1]。

キャブタイヤケーブル(JIS C 3312・JIS C 3327)
JIS C 3312 は、600 V 以下の移動用電気機器の電源回路などに使うビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(記号 VCT)を規定する[2]。ゴム系では JIS C 3327 が、600 V 以下の主として移動用電気機器の電源回路その他、可とう性・耐屈曲性が求められる場合に使うゴムキャブタイヤケーブルを規定し、1 種〜4 種の区分などで記号を分けている[5]。

ケーブル(JIS C 3605・JIS C 3342)
JIS C 3605 は、公称電圧 600 V 以下の回路に使う、ポリエチレンまたは架橋ポリエチレンで絶縁しビニルやポリエチレンでシースを施したケーブルを規定する。記号の C は架橋ポリエチレン、E はポリエチレン、V はビニルを表し、600 V CV は架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルである[3]。単心ケーブルを 2 本・3 本・4 本より合わせた形にはそれぞれ D・T・Q が付き(CVD・CVT・CVQ)、記号末尾の /F は耐燃性(ハロゲン元素を含まず低発煙性)を表すが、これが付くのは耐燃性ポリエチレンでシースを施した品種(EE/F・CE/F・CED/F・CET/F・CEQ/F など、通称 EM-)だけで、ビニルシースの CV に /F の付いた品種は無い[3]。JIS C 3342 は、600 V 以下の回路に使うビニル絶縁ビニルシースケーブルで、丸形が VVR、平形が VVF である[6]。

絶縁電線(JIS C 3307)
600 V ビニル絶縁電線(IV)は、600 V 以下の一般電気工作物や電気機器の配線に使う、塩化ビニルで絶縁した単心の電線である[7]。シースが無いので、外から傷や油を受ける場所にそのまま這わせる使い方は想定されていない。

VCTF・VCT・CV は何が違うか

3 つは、外から見るとどれも丸い黒やグレーの多心の電線である。違いは、規格の適用範囲と、規格が求める試験に表れている。主な項目を並べると次のとおりである。

項目 VCTF(JIS C 3306) VCT(JIS C 3312) CV(JIS C 3605)
規格の適用範囲 主として屋内で交流 300 V 以下の小形電気器具 600 V 以下の移動用電気機器の電源回路など 公称電圧 600 V 以下の回路
絶縁体・シース ビニル・ビニル ビニル・ビニル 架橋ポリエチレン・ビニル
耐電圧の試験 水中 1,000 V・空中 2,000 V・スパーク 5,000 V のいずれかの方法 3,000 V に 1 分間 規格の表 8〜16 の試験電圧(サイズで決まる)
難燃 60 秒以内に自然に消える 30 秒以内に自然に消える ビニルシースは 60 秒以内に自然に消える
耐油の試験 試験の項目に無い 絶縁体・シースとも有り ビニルシースに有り

表の値は各規格の特性の表から引いた[1][2][3]。とくに見落としやすいのが耐油である。JIS C 3306 の特性の表と検査の項目には耐油の試験が無く[1]、JIS C 3312 は絶縁体とシースの両方に浸油前後の引張強さと伸びの保持率を求めている[2]。切削油やクーラントがかかる設備の可動部に、試験の前提が違う電線を選んでいないかは、記号の段階で確かめられる。

電圧も同じである。VCTF の規格は交流 300 V 以下の小形電気器具を対象にしていると書いている[1]。200 V の三相の動力機器の電源に使う電線を選ぶときに、規格の適用範囲に入るかを確かめないまま「いつもの VCTF」で手配するのは避けたい。どの電線を使うかは設計の判断だが、購買としては、指定された記号と用途がかみ合っているかを確かめる問いを設計に返せる。

法令の側から見ておくこと

電気用品安全法の対象になる電線

電気用品安全法は、電線を電気用品に含めている。施行令の別表第一(特定電気用品)は、定格電圧が 100 V 以上 600 V 以下の電線のうち、導体の公称断面積が 100 mm2 以下の絶縁電線、導体の公称断面積が 22 mm2 以下で線心が 7 本以下・外装がゴムまたは合成樹脂のケーブル、コード、導体の公称断面積が 100 mm2 以下で線心が 7 本以下のキャブタイヤケーブルを挙げている[4]。別表第二は、定格電圧 100〜600 V で導体の公称断面積が 22 mm2 を超え 100 mm2 以下、線心 7 本以下、外装がゴムまたは合成樹脂のケーブルなどを挙げている[4]。

つまり、同じ CV でも太さによって区分が変わり、太すぎるものは対象から外れる。部材として電線を買うときは、その電線が対象に入るなら表示のある品を受け入れる。部品として買う電源コードやスイッチの扱い、完成品の届出事業者の確認事項は電気用品安全法(PSE)の対象部品を調達するときで扱った。

技術基準は「場所と電圧に応じた強度と絶縁性能」

電気を使う場所の配線について、電気設備に関する技術基準を定める省令の第 57 条は、配線の使用電線(裸電線などを除く)は、感電または火災のおそれがないよう、施設場所の状況と電圧に応じ、使用上十分な強度と絶縁性能を持つものでなければならないとしている[8]。省令は電線の記号を名指ししていない。どの電線がこれを満たすかは技術基準の解釈や設計で決まる部分で、購買が判断することではないが、仕様書に「使う場所の状況」を書いておく理由はここにある。屋外か、油がかかるか、人が踏むか、繰り返し曲げられるかで、選ぶべき電線が変わる。

仕様書・発注書に書くこと

記号・心数・断面積・規格番号

JIS C 3306 は製品の呼び方を、種類(または記号)、線心数、公称断面積によるとし、例として「二種ビニルキャブタイヤ丸形コード 2 心×1.25 mm2(HVCTF 2×1.25 mm2)」を挙げている。平形コードやキャブタイヤコードを細線化したものは、導体の構成(素線数/素線径)を追記するとしている[1]。発注書には、この呼び方に規格番号を添えて書く。「2sq」とだけ書くと、心数も規格も伝わらない。

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CV では、多心丸形か、単心をより合わせた形(CVD・CVT・CVQ)かを書く[3]。耐燃性(ハロゲンを含まない低発煙性)が要るなら、CV ではなく CE/F(通称 EM-CE)など耐燃性ポリエチレンシースの品種を指定する。耐燃性のケーブルには発煙濃度や燃焼時に発生するガスの酸性度の試験が規格に入っている一方、シースの耐油の試験はビニルシースにしか求められていない[3]。火災のときの煙やガスを問題にする設備で、油もかかる場所なら、どちらを優先するかを設計と決めてから書く。

線心の色と長さ

線心の識別の色は規格にある。VCTF のようにシースのあるコードは、通常、2 心が黒・白、3 心が黒・白・赤または黒・白・緑、4 心が黒・白・赤・緑である[1]。CV の多心丸形も 2 心が黒・白、3 心が黒・白・赤、4 心が黒・白・赤・緑で、ポリエチレン系の白は自然色でもよいとされている[3]。3 心の VCTF には緑を含む組合せがあるので、接地線として緑を前提にした配線図を渡すなら、色の組合せを指定する。

長さは、切り売りか、規格の標準の条長で買うかを決める。JIS C 3306 の付表は、線心数と断面積ごとの標準条長を「参考」の列に載せている[1]。端数の長さで切った電線を何本も買う場合は、長さの許容差を書いておく。

使う場所の条件

先に見た技術基準の考え方に合わせ、使用場所(屋内・屋外)、油・水・薬品がかかるか、可動部で繰り返し曲げるか、使用温度の範囲を書く[8]。電線メーカーや仕入先から代わりの品を提案されたときも、この条件があれば、試験の項目(耐油・難燃・曲げ)がそろっているかで比べられる。代替品を承認する一般的な手順は同等材の指定と承認と同じ考え方でよい。

海外の規格の電線と混ぜない

輸出する設備では、相手国で求められる規格の電線を使うことがある。JIS C 3306 は IEC 60227-5 に対応するが、国内の事情で技術的内容を変えており、対応の程度は「同等でない(NEQ)」と示されている。IEC 60227-5 を翻訳して技術的内容を変えずに作った規格として JIS C 3662-5 が別にあることも、序文に書かれている[1]。定格電圧の範囲も JIS の 300 V 以下と IEC の 450/750 V 以下で異なると解説が説明している[1]。「VCTF 相当」と書いて海外の仕入先に出すと、どの規格の品が来るか分からない。規格番号で指定する。UL の認定品を求める場合の確かめ方はUL 認定部品を仕入先に確かめるで扱った。

受入で確かめること

電線の受入では、表示と包装を最初に見る。JIS C 3306 は、コードの表面に製造業者名または略号、製造年または略号、耐熱性のものはその旨を、容易に消えない方法で連続して表示するとしている。包装には種類または記号、線心数と公称断面積、長さ、質量、製造業者名、製造年月などを表示する[1]。発注書の記号・心数・断面積と、この表示が一致しているかを突き合わせる。CV のうち単心をより合わせた CVD・CVT・CVQ は、ケーブルの表面には「CV」としか表示されない決まりなので、より合わせの形は包装の表示で確かめる[3]。

規格の検査は、外観・構造・導体抵抗・耐電圧・絶縁抵抗・引張・加熱・巻付加熱・低温巻付け・加熱変形・難燃などを挙げているが、受渡当事者間の協定によって一部または全部を省略できるとしている[1]。試験の記録が必要なら、項目を指定して求める。電気用品安全法の対象になる電線は、表示の有無も見る[4]。

価格の面では、電線は銅の相場で動く部材である。見積の内訳や改定の申し入れを読むときの見方は銅価格の動きと購買単価にまとめてある。

よくある質問

Q. VCTF と VCT は太さが同じなら置き換えられますか。
規格の適用範囲と試験が違う。VCTF は交流 300 V 以下の小形電気器具向けのコードで耐油の試験が無く、VCT は 600 V 以下の移動用電気機器の電源回路向けで耐油・曲げの試験がある[1][2]。置き換えは設計に確かめてから行う。

Q. CV ケーブルなら太さに関係なく PSE の表示が必要ですか。
電気用品安全法施行令は、ケーブルを定格電圧 100〜600 V、線心 7 本以下、外装がゴムまたは合成樹脂のものに限り、断面積 22 mm2 以下を特定電気用品、22 mm2 を超え 100 mm2 以下を別表第二に挙げている[4]。範囲の外にある太さ・心数のものは、この区分には当たらない。

Q. 「CV/F」を指定すればよいですか。
JIS C 3605 に CV/F という品種は無い。/F が付くのは耐燃性ポリエチレンシースの CE/F(EM-CE)などである[3]。耐燃性は必須ではなく、火災のときの煙や腐食性のガスを問題にする設備・建物で候補になる。顧客の仕様書や設備の基準で求められているかを確かめ、求められていれば CE/F などの記号で書く。

まとめ

電線は記号で買えるが、記号の意味は規格の中にある。VCTF は交流 300 V 以下の小形電気器具向けのコード[1]、VCT は 600 V 以下の移動用電気機器の電源回路向けのキャブタイヤケーブル[2]、CV は 600 V 以下の回路に使う架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル[3]で、耐電圧・難燃・耐油の試験が違う。仕様書には記号・心数・公称断面積・規格番号と、使う場所の条件を書き、耐燃性が要るなら CV ではなく CE/F などの耐燃性ポリエチレンシースの品種で指定する[3]。電気用品安全法の対象になる範囲(定格電圧 100〜600 V の電線のうち、種類ごとに断面積・心数で決まる範囲)かを確かめ[4]、受入では表示と包装を発注の内容と突き合わせる。

同じ束では、樹脂部品の指定をポリカーボネート部品の発注で、梱包と荷姿の指定を段ボール箱の規格と強度の指定とパレットのサイズと規格で扱う。

出典・参考資料

  1. JIS C 3306:2000 ビニルコード(JIS 検索の閲覧資料・解説を含む)(日本産業標準調査会/2000 年 12 月 20 日改正)
  2. JIS C 3312:2000 600 V ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2000 年 12 月 20 日改正)
  3. JIS C 3605:2022 600 V ポリエチレンケーブル(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2022 年 5 月 20 日改正)
  4. 電気用品安全法施行令(昭和三十七年政令第三百二十四号)別表第一・別表第二(e-Gov 法令検索(デジタル庁)/令和 7 年 12 月 25 日施行の版)
  5. JIS C 3327:2000 600 V ゴムキャブタイヤケーブル(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2000 年 12 月 20 日改正)
  6. JIS C 3342:2012 600 V ビニル絶縁ビニルシースケーブル(VV)(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2012 年 2 月 20 日改正)
  7. JIS C 3307:2000 600 V ビニル絶縁電線(IV)(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2000 年 12 月 20 日改正)
  8. 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十二号)第 57 条(e-Gov 法令検索(デジタル庁)/令和 5 年 3 月 20 日施行の版)

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