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電気用品安全法(PSE)の対象品を調達するとき確かめること

この記事のポイント(結論先出し)
電気用品安全法(PSE)の対象品を調達するとき、最初に決めるのは誰が「届出事業者」になるかである。届出・技術基準への適合・検査と記録・(特定電気用品なら)登録検査機関の適合性検査・表示の義務を負うのは、その電気用品を製造または輸入する事業者で[1]、海外から自社名で輸入すれば、それは自社になる[5]。PSE マークは機関から「取得」するものではなく、義務を果たした事業者が自ら付ける表示である[6]。国内で仕入れるだけの場合でも、表示の無い電気用品は販売も販売目的の陳列もできない[1]。仕入先には、マークだけでなく、表示の近くの事業者名、試験の報告書、重要部品の一覧、検査の記録を出してもらい、部品を変えるときの連絡を取り決めておく[3][5]。
目次
PSE で最初に決めるのは「誰が届出事業者か」
電気製品やその部品を調達する場面で、「PSE は取れていますか」と仕入先に聞くことがある。この聞き方は、PSE が第三者の機関から受け取る認証であるかのような前提に立っている。NITE(製品評価技術基盤機構)は、ネット通販の注意喚起の中で、「PSE マーク取得」といった記載にも注意が必要であり、PS マークは取得するものではなく、技術基準適合等の義務を果たした証として事業者が自ら表示するものだ、と説明している[6]。
法律の作りもそうなっている。電気用品安全法は、電気用品の製造または輸入の事業を行う者に、事業開始の日から 30 日以内に、名称・住所、電気用品の型式の区分、製造する工場(輸入する者は製造事業者の名称・住所)を届け出ることを求めている(第 3 条)[1]。届け出た者を「届出事業者」と呼び、技術基準への適合(第 8 条第 1 項)、検査と検査記録の作成・保存(第 8 条第 2 項)、特定電気用品の適合性検査(第 9 条)を課し、これらの義務を履行したときに表示を付することができる(第 10 条第 1 項)、という順に並んでいる[1]。
つまり、PSE の義務は「その製品を作った事業者」か「その製品を日本に持ち込んだ事業者」に付いている。調達の担当者が最初に確かめるべきなのは、マークの有無よりも先に、この取引で届出事業者になるのは誰か、である。
なお、本文で引く条文は、法務省の日本法令外国語訳データベースに載っている日英対訳(法は平成 23 年改正時点、施行令は平成 24 年改正時点、施行規則は平成 28 年改正時点のもの)である[1][2][3]。後で触れる 2025 年 12 月施行の改正のように、その後の改正がある。契約や社内規程に条文を書くときは、最新の条文で確かめてほしい。登録検査機関の電気安全環境研究所(JET)が現在示している手続の流れも、届出(第 3 条)、技術基準適合(第 8 条第 1 項)、適合性検査(第 9 条)、検査等の義務(第 8 条第 2 項)、販売の制限(第 27 条)と、同じ条番号で説明している[4]。
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調達の形ごとに、自社の立場は変わる
| 調達の形 | 届出事業者になるのは | 自社が確かめること |
|---|---|---|
| 国内で、表示の付いた電気用品を仕入れて使う・売る | 国内の製造事業者か輸入事業者 | 表示(記号と事業者名)が正しく付いているか[5]。表示が無いものは販売・陳列できない[1] |
| 海外の工場に作らせて、自社が輸入する | 自社(輸入事業者) | 届出、技術基準への適合の確認(試験の報告書の入手)、特定電気用品なら適合性検査、全数検査の記録の入手と保管、表示[5] |
| 国内の商社・代理店が輸入したものを買う | 輸入した商社・代理店 | 表示の近くの事業者名が、その商社・代理店か[6] |
| 電気用品を自社の機械の部品として組み込む | その部品を製造・輸入した事業者(組み込んだ製品が電気用品に当たるかは別に判断) | 組み込む製品が電気用品に当たるかどうか。当たるなら、重要部品の一覧に部品の PSE 表示の有無を書く[5] |
| 専ら輸出するために製造・輸入する | (技術基準適合と適合性検査の規定は適用しない) | 国内に流れない運用になっているか[2] |
表の最後の行は施行令の特例で、届出事業者が専ら輸出するために行う製造・輸入には第 8 条(特定電気用品なら第 9 条第 1 項も)を適用せず、輸出するための販売・陳列には第 27 条第 1 項を適用しない、とされている[2]。輸出向けと国内向けで同じ型式を流す場合は、この特例に頼れない。
OEM のように、他社に製造を委託して自社のブランドで売る場合は、誰が届出事業者になり、表示に誰の名前が入るかを契約の前に決めておく。表示に書く届出事業者の名称は、経済産業大臣の承認を受けた略称か、届け出た登録商標でなければ置き換えられない(施行規則第 17 条第 2 項)[3]。自社ブランドの名前を表示に入れたいと考えても、届出事業者でなければ、その名前は表示の事業者名にはならない。判断がつかないときは、管轄の経済産業局に問い合わせる、と JET は案内している[5]。委託の形の整理はOEM・ODM・受託製造の違いで扱っている。
その品物は「電気用品」に当たるか
法律は電気用品を、一般用電気工作物の部分となり、またはこれに接続して用いられる機械・器具・材料、携帯発電機、蓄電池のうち、それぞれ政令で定めるもの、としている(第 2 条第 1 項)[1]。JET は、施行令で定める 457 品目がポジティブリスト方式で指定されていると説明している[4]。リストに載っていない品物は電気用品ではなく、PSE の表示を付けることもできない[5]。
JET のよくある質問は、対象になるものを、一般家庭や店舗、事務所などで使われる AC 100 V・200 V の商用電源(コンセントなど)に接続される電気製品、リチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリーを含む)、携帯発電機と説明している[5]。調達の実務で間違えやすい例も挙がっている。
1. AC アダプターで動く機器
取り外しができる AC アダプターと一緒に使う電気製品では、AC アダプターが対象で、電気製品の本体は対象外になる[5]。本体の仕入先に PSE を求めても意味がなく、確かめるべきなのはアダプターの表示と、そのアダプターの届出事業者である。
2. リチウムイオン蓄電池
単電池 1 個あたりの体積エネルギー密度が 400 Wh/L 以上のものが対象で、自動車用、原動機付自転車用、医療用機械器具用、産業用機械器具用のものは対象外とされている[5]。また、リチウムイオン蓄電池が電気製品に装着された状態で輸入・販売される場合は、その電気製品の輸入・販売として扱われ、蓄電池そのものは対象外になる[5]。同じ電池でも、単体で輸入するか、製品に組み込んで輸入するかで扱いが変わる。
3. 特定電気用品かどうか
電気用品のうち、構造や使用方法などから見て特に危険または障害の発生するおそれが多いものとして政令で定めるものが「特定電気用品」である(第 2 条第 2 項)[1]。施行令は、特定電気用品を別表第一に、それ以外の電気用品を別表第二に掲げている[2]。どちらに当たるかで、登録検査機関の適合性検査が要るかどうかが変わる。
対象かどうかの判断に迷うときは、管轄の経済産業局に問い合わせるよう JET は案内している[5]。仕入先の「対象外です」という回答だけで済ませず、どの品目に当たらないと判断したのかを聞いておくとよい。
特定電気用品と、それ以外の電気用品の違い
| 項目 | 特定電気用品 | 特定電気用品以外の電気用品 |
|---|---|---|
| 事業の届出 | 事業開始の日から 30 日以内(第 3 条)[1] | |
| 技術基準への適合 | 届出事業者の義務(第 8 条第 1 項)[1] | |
| 検査と検査記録 | 記録に書く事項は 6 つ。保存は検査の日から 3 年(施行規則第 11 条)[3] | |
| 登録検査機関の適合性検査 | 販売する時までに受け、証明書の交付を受けて保存(第 9 条)[1] | 不要 |
| 表示する事項 | 記号(菱形の PSE)、届出事業者の名称、証明書を交付した検査機関の名称[3][5] | 記号(円形の PSE)、届出事業者の名称[3][5] |
| 表示の無いものの販売・陳列 | 製造・輸入・販売の事業者は、してはならない(第 27 条第 1 項)[1] | |
検査記録に書く事項は、施行規則第 11 条第 2 項が、品名と型式の区分および構造・材質・性能の概要、検査を行った年月日と場所、検査を実施した者の氏名、検査を行った数量、検査の方法、検査の結果、の 6 つを挙げている[3]。記録は電磁的な方法で作成・保存してもよい(施行規則第 12 条)[3]。
適合性検査は、JET の説明では、技術基準への適合性の確認(タイプテスト)と、製造工場などの検査設備の確認の 2 つで構成される[4]。法律の上でも、試験用の特定電気用品と、届出事業者の工場の検査設備などが検査の対象に挙がっている(第 9 条第 1 項第 2 号)[1]。製品を 1 台試験すれば済むわけではなく、作る工場まで見られる。
自社が輸入するなら、仕入先から何を出してもらうか
海外の工場に作らせて自社が輸入する場合、技術基準への適合を確かめる責任は自社にあるが、試験の材料や記録の多くは製造する工場の側にある。JET のよくある質問は、海外から輸入する場合の流れを、電気用品名と型式の区分の確認、輸入事業の届出、技術基準への適合の確認(テストレポート等の入手)、特定電気用品なら適合性検査の受検(適合同等証明書の副本の入手)、全数検査の実施(全数検査データの入手と保管)、PSE マークの表示と並べている[5]。
この流れを、仕入先に出してもらう書類の形に直すと、次のようになる。どれも規格や法令が仕入先に提出を義務づけているものではなく、輸入する側が義務を果たすために発注の条件として求めるもの、という位置づけである。
1. 試験の報告書(テストレポート)
技術基準への適合を確かめた試験の結果。海外の工場から受け取った報告書が日本の技術基準のどの項目を満たしているかは、そのままでは分からないことがある。JET は、輸入事業者向けに海外メーカーから取得したテストレポートの内容を確認し、不足項目を試験するサービスを案内している[5]。
2. 重要部品の一覧
JET は、検査や試験を申し込むときに、本体写真、構成部品一覧表(重要部品リスト)、回路図などが必要だとし、重要部品として、1 次側(AC 入力側)に使う電源プラグ、電源コード、インレット、ヒューズ、コンデンサ、トランスやコイル、モーターなどの巻物部品を挙げている[5]。一覧には、これらのメーカー名、型番、PSE マークの有無、巻物部品については巻線とボビン材の種類を記載する、としている[5]。
3. 特定電気用品なら、適合性検査の証明書(または同等のもの)
施行規則は、届出事業者が輸入する特定電気用品について、外国の製造事業者が検査機関から交付を受けた書面の写しで、検査機関がその製造事業者の求めに応じて発行するものを、証明書と同等なものとしている(第 13 条第 1 号)[3]。期間の定めもあるので、写しを受け取るときは交付の日と対象の型式を確かめる[3]。
4. 検査の記録
検査記録を作成・保存する義務は届出事業者にある(第 8 条第 2 項)[1]。輸入品では、出荷前の検査を工場で行うことが多いので、施行規則が挙げる 6 つの事項を満たす形で記録を出してもらい、3 年保存できるように受け取る[3]。
5. 部品や工場を変えるときの事前連絡
重要部品のメーカーや型番が変われば、適合の確認をやり直す必要が出ることがある。届出の事項(型式の区分、製造事業者の名称・住所など)に変更があれば、届出事業者は遅滞なく届け出なければならない(第 5 条)[1]。部品・材料・工場の変更を事前に知らせる条項を契約に入れておく。変更の届け出をどう運用するかの考え方は量産承認で仕入先に何を出させるかでも扱っている。
適合性検査を受けるのは届出事業者だが、検査設備の確認は製造する工場で行われる[4]。工場の協力が要るので、発注の前に「適合性検査の受検に協力すること」を条件として合意しておく。
国内で仕入れるときは、表示の「中身」を見る
国内の仕入先から電気用品を買う場合、自社は届出事業者ではないが、表示の付いていない電気用品を販売したり販売のために陳列したりすることはできない(第 27 条第 1 項)[1]。仕入れた電気用品を自社製品と一緒に販売するなら、この制限がそのままかかる。JET は、国内市場から仕入れて販売する場合にすることとして、PSE マークが正しく表示されているかの確認を挙げている[5]。
NITE は、PS マークの近くに製造輸入事業者名(略称や登録商標の場合もある)が必要だとし、事業者名の表記があるかを確かめるよう呼びかけている[6]。海外から直接個人輸入された製品には、必要な検査をせずに PS マークを付けている例もある、とも述べている[6]。受入では、記号だけでなく、記号の近くにある事業者名が、仕入先が名乗っている届出事業者と一致するかを見る。特定電気用品なら、検査機関の名称も表示に入る[3]。
法律は、何人も経済産業大臣に対し、届出の事項のうち名称・住所と型式の区分に関する情報の提供を請求できる、としている(第 7 条)[1]。仕入先が本当に届け出ているのかに疑問があるときに使える手段である。
2025 年 12 月の改正と、立入検査
NITE の 2025 年 1 月の資料は、2025 年 12 月 25 日施行の消費生活用製品安全法等の改正の概要として、海外事業者がインターネットモールなどを使って PS マーク対象製品を国内の輸入事業者を介さずに国内の消費者へ直接販売する場合に、その海外事業者を届出を行える対象として明確化し、国内における責任者(国内管理人)の選任・届出を求めることを紹介している[6]。あわせて、届出事業者の氏名や型式の区分、国内管理人の氏名などを公表する制度の新設も挙げている[6]。この改正の中心は消費者への直接販売で、企業間の調達そのものを対象にした説明ではない。ただ、通販サイトで部材を買うと、売り手が海外の事業者であることがある。その場合は、表示の近くの事業者名と、国内の連絡先を確かめる。
NITE は、電気用品安全法を含む製品安全 4 法の規制対象製品を輸入・製造している事業者に対し、技術基準への適合などの法令遵守を確認するための立入検査を行っている[7]。輸入した側が届出事業者である以上、検査の記録や試験の報告書をすぐ出せる状態にしておくことが、立入検査への備えにもなる。
よくある質問
Q. 部品として買う電源コードやスイッチにも PSE は要りますか。
その部品自体が電気用品の品目に当たれば、製造・輸入した事業者に表示の義務があり、表示の無いものは販売できない[1]。組み込んだ完成品の届出事業者は、重要部品の一覧に部品の PSE 表示の有無を書くことになる[5]。品目に当たるかは、施行令の別表で確かめる[2]。
Q. 仕入先から「CE マークがあるので大丈夫」と言われました。
CE マークは欧州の制度で、日本の技術基準への適合や届出の代わりにはならない。技術基準への適合を確かめる材料として海外の試験の報告書を使う場合も、日本の基準のどの項目を満たしているかを確かめる必要がある[5]。
Q. 試作品を少数だけ輸入するときも届出が要りますか。
法律には、試験的に製造・輸入するときは技術基準への適合の義務を適用しない、というただし書きがある(第 8 条第 1 項第 2 号)。このただし書きで製造・輸入したものは、検査と記録の義務(同条第 2 項)からも外れる[1]。ただし、外れるのは技術基準への適合と検査・記録の義務で、第 3 条の事業の届出(製造・輸入の事業を始めた日から 30 日以内)を外す規定ではない[1]。また、表示を付けられるのは第 8 条第 2 項などの義務を果たした届出事業者に限られるので(第 10 条)、ただし書きに頼って輸入した品には PSE の表示を付けられない。表示の無い電気用品は、販売することも販売のために陳列することもできない(第 27 条)[1]。顧客に販売する予定のある品は、この例外では扱えない。無償で渡す場合も含め、扱いは慎重に確かめる。届出はただし書きで外れる義務ではなく、条文だけで決まらないのは、少数の試験的な輸入が第 3 条の「事業」に当たるかどうかである。どこまでが「試験的」に当たるかとあわせて、管轄の経済産業局に確かめる[5]。
電子部品の流通経路の確かめ方は電子部品の模倣品・偽造品を避ける調達で、電線や端子を含む組立品の指定はワイヤーハーネスの発注で指定することで扱っている。含有化学物質の確認は、RoHS 適合を仕入先からどう確かめるかを参照してほしい。新しい仕入先を審査するときの全体の手順は新規仕入先の審査にまとめている。
まとめ
電気用品安全法の義務は、電気用品を製造または輸入する「届出事業者」に付く[1]。海外の工場に作らせて自社が輸入すれば、届出、技術基準への適合、検査と記録、(特定電気用品なら)適合性検査、表示の義務は自社が負う[1][5]。PSE マークは取得するものではなく、義務を果たした事業者が自ら付ける表示である[6]。対象になるかは施行令の品目で決まり、AC アダプターや組み込みの蓄電池のように扱いが分かれるものがある[2][5]。仕入先には、試験の報告書、重要部品の一覧、(特定電気用品なら)証明書の写し、検査の記録を出してもらい、部品や工場の変更は事前に知らせる取り決めにしておく[3][5]。国内で仕入れる場合も、表示の近くの事業者名まで確かめる[6]。
出典・参考資料
- 電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号)日英対訳(法務省 日本法令外国語訳データベースシステム/平成 23 年法律第 122 号による改正時点)
- 電気用品安全法施行令 日英対訳(法務省 日本法令外国語訳データベースシステム/平成 24 年政令第 96 号による改正時点)
- 電気用品安全法施行規則 日英対訳(法務省 日本法令外国語訳データベースシステム/平成 28 年経済産業省令第 43 号による改正時点)
- 電気用品安全法(PSE)|法律に基づく検査・認証(一般財団法人電気安全環境研究所/2026 年 10 月 1 日閲覧)
- よくあるご質問(電気用品安全法(PSE)について)(一般財団法人電気安全環境研究所/2026 年 10 月 1 日閲覧)
- ネット通販の落とし穴「ポチる」前に確認すべき 4 つのポイント(独立行政法人製品評価技術基盤機構/2025 年 1 月 30 日)
- 立入検査等(独立行政法人製品評価技術基盤機構/2026 年 10 月 1 日閲覧)
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