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STKとSTKMの違い——STKM13Aなど鋼管の記号と、寸法許容差・ミルシートの指定

この記事のポイント(結論先出し)
STK(JIS G 3444 一般構造用炭素鋼鋼管)は鉄塔・足場・支柱などの土木・建築の構造物向け、STKM(JIS G 3445 機械構造用炭素鋼鋼管)は機械器具・自動車・家具などの機械部品向けの丸形の鋼管である。発注で差が出るのは強さよりも寸法の決まり方で、STK には外径と厚さの寸法表があり、特に指定がなければ外径・厚さとも許容差の 1 号が当たる。STKM には寸法表がなく寸法は協定で決め、熱間仕上げ継目無鋼管以外は許容差の区分(1 号・2 号・3 号)を協定で決める。だから STKM13A のような記号だけでは注文が閉じない。どちらの規格も、注文者が示すべき事項として種類の記号と製管方法・仕上げ方法を挙げており、STKM ではさらに寸法許容差まで含む。検査文書は特に指定がなければ検査証明書 3.1 が提出される。
目次
STK と STKM は「何に使う管か」で分かれている
STK と STKM は、どちらも炭素鋼の丸形の鋼管で、記号が似ているので取り違えやすい。区別の軸は用途である。JIS G 3444 は、鉄塔、足場、支柱、基礎ぐい、地滑り抑止ぐいなどの土木及び建築の構造物に使用する炭素鋼鋼管について規定している[1]。JIS G 3445 は、機械器具、自動車、自転車、家具、器具などの機械部品に使用する炭素鋼鋼管について規定している[2]。
両規格とも 2025 年 4 月 21 日に改正され、前の版(2021 年版)からの切り替えのために、令和 8 年 4 月 20 日までは JIS マーク表示認証で旧版を適用してもよいとされていた[1][2]。この期間はすでに過ぎている。年版を書かずに JIS を引用した注文は、注文が成立した時点で有効な最新版が適用される(JIS G 0404 の 4.2)[3]。古い図面に「JIS G 3445」とだけ書いてあれば、今の注文には 2025 年版が当たる。年版を指定する場合は、適用する年版について受渡当事者間で協定する(同じく 4.2)[3]。どちらを選ぶかは取引しだいで、最新版に自動で追従させたいなら年版を書かず、改正で規定が変わると困る取引(承認済みの部品、長く続く継続品など)なら年版まで書いて協定する。
なお、四角い断面の角パイプは別の規格(JIS G 3466 一般構造用角形鋼管・STKR)である[5]。角形鋼管の指定はSTKR(角パイプ)を発注で指定する記事で扱う。水やガスなどを流す配管には SGP(JIS G 3452)など配管用の規格があり、SGP の指定の記事で扱う。STK も STKM も、規格の適用範囲は構造物と機械部品で、流体の輸送ではない[1][2]。
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記号の読み方:STK400 と STKM13A
STK の種類は 5 種類で、STK290・STK400・STK490・STK500・STK540 がある[1]。記号の数字は引張強さの下限(N/mm²)に一致していて、STK400 なら引張強さ 400 N/mm² 以上、降伏点又は耐力 235 N/mm² 以上である[1]。
STKM の種類は 22 種類で、11 種から 20 種までの「種」と、A・B・C の記号の組合せになっている。11 種は A だけ、12 種・13 種・14 種・18 種は A・B・C、15 種・16 種・17 種・19 種は A と C、20 種は A だけである[2]。よく使われる STKM13A は「13 種の A」で、引張強さ 370 N/mm² 以上、降伏点又は耐力 215 N/mm² 以上と定められている[2]。同じ 13 種でも STKM13B は 440 N/mm² 以上・305 N/mm² 以上、STKM13C は 510 N/mm² 以上・380 N/mm² 以上である[2]。
読み違えやすいのは、A・B・C が化学成分の違いではない点である。JIS G 3445 の化学成分の表は、13 種なら A・B・C に同じ規定(C 0.25 % 以下、Mn 0.30〜0.90 % など)を当てている[2]。A・B・C で違うのは機械的性質の規定値で、STKM13A と STKM13C は成分の枠が同じでも、引張強さの下限が 140 N/mm² 違う。図面に「STKM13」とだけ書かれていたら、A・B・C のどれかを設計者に確かめる。どれでもよいとは規格は言っていない。
記号の数字の意味も STK と違う。STK400 の 400 は引張強さだが、STKM13A の 13 は種類の番号である。「STKM13A は STK400 より上位の材料」と思い込むと逆になる。引張強さの下限は STK400 が 400 N/mm²、STKM13A が 370 N/mm² で、STKM13A のほうが低い[1][2]。強さで選ぶなら、記号の見た目ではなく規格の表の値で比べる。
製管方法と仕上げ方法は、記号の後ろに付く
両規格とも、管は製管方法と仕上げ方法の組合せで作られ、その組合せを表す記号を管に表示する[1][2]。製管方法は継目無し(S)、電気抵抗溶接(E)、鍛接(B)で、STK にはこれに自動アーク溶接(A)が加わる。仕上げ方法は熱間仕上げ(H)、冷間仕上げ(C)、電気抵抗溶接まま(G)である[1][2]。表示は「-E-G」(電気抵抗溶接まま鋼管)、「-S-C」(冷間仕上げ継目無鋼管)のように種類の記号の後ろに続く[1][2]。
STKM では、種類によって選べる製管方法が違う。JIS G 3445 の表 1 では、11 種〜13 種は継目無し・電気抵抗溶接・鍛接が並ぶが、14 種以降は継目無しと電気抵抗溶接だけである[2]。強度の高い種類を鍛接の管で頼むことはできない。
製管方法と仕上げ方法は、JIS が「注文者が注文時に少なくとも提示しなければならない事項」に入れている[1][2]。「STKM13A φ34×3.2」と書いただけの注文書は、規格の側から見ると情報が足りない。継目無しか電気抵抗溶接か、溶接ままか冷間仕上げかで、寸法の出方も内面の状態も変わる。設計上どちらでもよいなら「製管方法は問わない」と書いておけば、仕入先が勝手に決めたことにならない。
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寸法:STK には表があり、STKM には表がない
発注でいちばん差が出るのがここである。JIS G 3444 は、管の外径と厚さを表 6 で定めている。表は外径 21.7 mm から 1 016.0 mm までで、受渡当事者間の協定によって表にない寸法としてもよい[1]。注記には、この規格は主として外径 21.7〜1 016.0 mm の管に適用されていると書かれている[1]。STK を頼むときは、まず表 6 にある外径と厚さの組合せから選ぶのが基本になる。
JIS G 3445 には寸法の表がない。箇条 8.1 は「寸法は,受渡当事者間の協定による」の一文だけである[2]。STKM は機械部品向けなので、外径も厚さも部品に合わせて決めることを前提にしている。STKM を頼むときは、外径(または内径)と厚さを数字で示し、それが仕入先の作れる範囲かを見積の段階で確かめる。
単位質量は、STK では 1 cm³ の鋼を 7.85 g として W = 0.024 66 t(D - t)で計算し、有効数字 3 桁に丸めると定めている(W は kg/m、t は厚さ、D は外径、いずれも mm)[1]。重量で見積・運賃を組むときに使う式で、計算の手順は鋼材の重量の計算の記事で扱う。
寸法許容差:区分を書かないと STKM は決まらない
外径と厚さの許容差は、両規格とも区分(1 号・2 号…)で定めている。違いは、何も書かなかったときにどの区分が当たるかである。
STK は、外径も厚さも、特に指定がない場合と熱間仕上げ継目無鋼管には 1 号を適用し、特に指定がある場合に 2 号を適用する(熱間仕上げ継目無鋼管には 2 号を適用しない)[1]。外径の許容差には例外があり、外径 350 mm を超える電気抵抗溶接鋼管と自動アーク溶接鋼管には 1 号を適用し、その管端部の外径の許容差は ±0.5 % とする[1]。大径の溶接管で 2 号を指定しても、外径には 2 号は当たらない。外径 50 mm 以上の管の外径の許容差は、1 号が ±1 %、2 号が ±0.5 % である[1]。書かなければ 1 号の管が来る、と考えてよい。
STKM は 1 号・2 号・3 号の 3 区分で、熱間仕上げ継目無鋼管には 1 号を適用し、その他の管にどの区分を適用するかは受渡当事者間の協定による[2]。既定の区分がないので、注文で書かないと決まらない。JIS G 3445 が注文者の提示事項に「寸法及び寸法許容差」を挙げているのはこのためである[2]。3 号は最も狭い区分で、例えば外径 25 mm 未満の外径の許容差は ±0.12 mm、厚さ 2 mm 以上の厚さの許容差は ±8 % である[2]。そのほかの外径の範囲の値は規格の表 5・表 6 で確かめる。
実務では、部品のはめあいや後加工の取り代から逆算して区分を選ぶ。素材の外径を削らずにそのまま使う部品なら狭い区分が要り、全面を旋削する部品なら 1 号で足りることもある。狭い区分ほど作り方が限られ、価格や納期に効くので、必要な箇所の精度を図面の公差と突き合わせてから区分を決める。図面側の公差の決め方は普通公差の記事を参照してほしい。
長さの許容差も違う。STK はマイナス側を 0 とし、プラス側は規定しない(協定で規定してもよい)[1]。STKM は規格で長さの許容差を数値で定め、それ以外が必要なら協定による[2]。切断長さをそろえて納めてほしい場合は、どちらの規格でも長さと許容差を発注書に書く。
溶接ビードと溶接部の厚さ:STKM の内面に注意する
電気抵抗溶接の STKM は、外面と内面の溶接ビードを管の形状に滑らかに沿うように除去する。ただし内面のビードは、除去が困難な場合や協定によって、溶接のままとしてもよい[2]。内面のビードを除去しない場合、溶接部の厚さの上限は表 7 で決まり、母材の厚さが 2.38 mm 以下なら母材の厚さの 2 倍、2.38 mm を超えるなら母材の厚さ+2.38 mm である[2]。
管の内側に軸やブッシュを差し込む部品、内面を流体や粉体が通る部品では、このビードが問題になる。内面ビードを残してよいかを規格は協定に任せているので、要るなら発注書に「内面ビード除去」と書く。逆に、内面に何も当たらない部品なら、ビードありで構わないと書けば仕入先の選択肢が広がる。
溶接部の厚さの許容差は、母材部と同じ許容差を適用するのが基本で、協定によって母材部と異なる区分にしてもよい。その場合は管に記号 W を表示する[2]。受入で「-W」の表示を見つけたら、溶接部に別の許容差を当てた管である。
機械的性質の確かめ方:伸びが「規定されない」場合がある
ミルシートで引張強さと降伏点を見るのは STK も STKM も同じだが、伸びには例外がある。両規格とも外径 40 mm 以下の管には伸びの表を適用しない(試験の結果は記録し、協定で伸びを規定してもよい)[1][2]。STKM ではさらに、冷間仕上げ後に熱処理をしない管は伸びを規定しない(結果は記録し、協定で規定してもよい)[2]。細い管や冷間仕上げのままの管で伸びが小さく出ても、それだけで規格外とはいえない。部品の曲げ加工やかしめで伸びが要るなら、協定で値を決めておく。
へん平性も種類で違う。STKM の C 記号(STKM12C・13C など)は、表 3 のへん平性と曲げ性の欄が「-」になっている[2]。外径 50 mm 以下の管では、注文者がへん平性の代わりに曲げ性を指定できる[1][2]。曲げて使う管なら、曲げ性で確かめるほうが使い方に近い。
また、継目無鋼管のへん平試験は、注文者の指定がない限り省略してもよいが、省略してもへん平性の規定は満たさなければならない、と両規格に書かれている[1][2]。ミルシートにへん平試験の結果がないことは、それだけで不備ではない。
STK と STKM の違い(発注で効く項目)
ここまでの違いを、発注書に書く項目の順に並べる[1][2]。
| 項目 | STK(JIS G 3444) | STKM(JIS G 3445) |
|---|---|---|
| 用途(適用範囲) | 土木・建築の構造物 | 機械部品 |
| 種類の数 | 5 | 22 |
| 代表的な種類の引張強さ(下限) | STK400:400 N/mm² | STKM13A:370 N/mm² |
| 寸法 | 表 6(外径 21.7〜1 016.0 mm)。協定で表外も可 | 表なし。協定による |
| 外径・厚さの許容差の区分 | 1 号・2 号。指定がなければ 1 号(外径 350 mm 超の電気抵抗溶接・自動アーク溶接の管の外径は 1 号のみ) | 1 号・2 号・3 号。熱間仕上げ継目無以外は協定 |
| 外径 50 mm 以上の外径許容差の例 | 1 号 ±1 %/2 号 ±0.5 % | 1 号 ±1.0 %/2 号 ±0.50 %(3 号は外径の範囲ごとに mm で規定) |
| 製管方法 | S・E・B・A | S・E・B(14 種以降は S・E) |
| 注文時の提示事項 | 種類の記号、製管方法及び仕上げ方法、寸法 | 種類の記号、製管方法及び仕上げ方法、寸法及び寸法許容差 |
| 検査文書 | 指定がない限り提出。種類の既定は 3.1 | 指定がない限り提出。種類の既定は 3.1。意図的に添加した Ni・Cr・Mo・V・Cu・B は分析値を付記 |
どちらを選ぶか:迷ったときの考え方
規格の選び方を規格自身は決めていない。以下は規格の適用範囲と規定の違いから組み立てた、発注側の考え方である。
構造物の部材(架台・手すり・支柱・足場など)で、寸法表にある外径と厚さで足りるなら STK が素直である。寸法が表から選べ、許容差の既定もあるので、種類の記号・製管方法と仕上げ方法・寸法を書けば注文がほぼ閉じる。建築物の構造部材として使う場合は、設計者が建築の法令と構造設計の前提で材料を指定しているので、その指定どおりに買う。
機械部品で、外径や厚さを部品に合わせて決めたい、内面の状態や寸法の精度を詰めたい、という場合は STKM のほうが合う。そのかわり、寸法・許容差の区分・製管方法・仕上げ方法・内面ビードの扱いを自分で決めて書く必要がある。STKM13A を頼むなら、その 13A でよいのか(B・C ではないのか)も合わせて確かめる。
STK と STKM を置き換えたいときは、強さ(表の値)、寸法の決まり方、許容差の区分、製管方法がそろうかを一つずつ見る。記号が似ているからといって同等とはみなせない。別規格の材料を同等とみなす判断の手順は同等材の指定と承認の記事で扱っている。
ミルシート(検査文書)で確かめること
STK も STKM も、製造業者は特に指定のない限り検査文書を注文者に提出し、注文時に特に指定がない場合の検査文書の種類は JIS G 0415 の 5.1(検査証明書 3.1)とする、と定めている[1][2]。検査証明書 3.1 は、製造業者が受渡検査による試験結果を記載し、製造部門から独立し権限を与えられた検査代表者が妥当性を確認する文書である[4]。注文者の代表者や第三者の検査員の確認まで要るなら 3.2 を、注文時に指定する。検査証明書の種類の違いはEN 10204 のミルシート区分の記事で詳しく扱っている。
受入で見る項目は、次の 6 点である。
1. 種類の記号と製造方法の記号
STKM13A なのか 13C なのか、-E-G なのか -S-C なのか。発注書・図面と一致しているか。
2. 規格の年版
JIS G 3444:2025 / JIS G 3445:2025 になっているか。年版を指定した注文ならその版か。
3. 化学成分
溶鋼分析値が表 2 に入っているか。STKM で Ni・Cr・Mo・V・Cu・B を意図的に添加した場合は、その分析値が付記されているか[2]。
4. 引張試験の結果
引張強さ・降伏点又は耐力。伸びは、外径 40 mm 以下や冷間仕上げのままの STKM では規定がない場合があるので、規定の有無と協定値を確かめてから判断する。
5. 寸法
外径・厚さが、指定した許容差の区分に入っているか。STKM で区分を協定したなら、その区分で見る。
6. 発行者と現品のつながり
製造業者の検査文書か、商社・問屋が出した書類か。現品の表示と照合できるか。
6 番目は、商社や問屋を通して買うときに大事になる。JIS G 0415 では、問屋やコイルセンタのような中間業者は、注文者の要求があれば製造業者の検査文書の原本又は複製を提出しなければならず、検査文書の修正・追加を一切行ってはならないとしている[4]。切断や機械加工などの加工を加える加工業者は、加工で変化する特性を自ら検査し、追加文書に加工の種類と検査結果を書く[4]。製造業者の検査文書が要るなら、注文書に「製造業者の検査証明書 3.1(原本又は複製)を添付」と書いておく。
注文書に書く項目
JIS G 0404 は、鋼材の注文書が示す詳細として、数量・製品形状・表示寸法・許容差・鋼の種類の記号・注文者が指定する製造方法・表面品質の特別要求・検査文書の種類・表示や包装などを挙げている[3]。これを鋼管に当てはめると、最低限次のようになる。
1. 規格と種類の記号
例:JIS G 3445 STKM13A。年版を固定したいなら年版も。
2. 製管方法と仕上げ方法
例:電気抵抗溶接・冷間仕上げ(-E-C)。問わないなら「問わない」と書く。
3. 寸法
外径(または内径)×厚さ×長さ。STK なら表 6 の寸法か、表外寸法の協定か。
4. 許容差
外径・厚さの区分(STKM は熱間仕上げ継目無鋼管を除いて必ず)。長さの許容差が要るなら数値で。
5. 内面ビードの扱い
電気抵抗溶接の STKM で、除去が要るか、溶接のままでよいか。
6. 試験の追加
曲げ性への切替え(外径 50 mm 以下)、伸びの協定値、非破壊試験など規格外の試験。
7. 検査文書
種類(3.1/3.2)と、製造業者の文書の添付。
8. 表面とめっき
めっき鋼板・鋼帯を使った管が要るか。表面仕上げの特別な要求があるか。
8 番目について、両規格とも注文者の要求があればめっき鋼板・鋼帯で管を作ってもよく、その場合のめっきの種類と付着量は附属書 A によることが望ましいとしている[1][2]。めっき鋼帯の管は、外径と厚さの許容差のプラス側をめっき層を含めた寸法に、マイナス側をめっき厚さを減じた寸法に当てる[1][2]。めっきの有無で寸法の測り方が変わるので、受入の担当にも伝えておく。管を加工したあとの塗装は塗装の指定の記事、溶接して使う場合の指定は溶接の指定の記事で扱う。棒材から削る部品との比較なら機械構造用鋼の棒鋼の記事も参考になる。
よくある質問
STKM13A と STKM13C はどちらを選べばよいですか
規格上の違いは機械的性質の規定値で、13C のほうが引張強さ・降伏点の下限が高く、伸びの下限は低い。13C はへん平性・曲げ性の規定がない[2]。曲げ・拡管・かしめなど管を変形させる加工をするなら、伸びとへん平性の規定がある A から検討するのが素直である。強さが要る理由がはっきりしている場合に B や C を選ぶ。どちらにするかは部品の設計で決めることなので、図面に書いてもらう。
STKM の寸法表はどこにありますか
JIS G 3445 には寸法表がない。寸法は受渡当事者間の協定による[2]。仕入先や製造業者が作っているサイズの一覧はあるが、それは規格ではなく、会社ごとに違う。見積の段階で、欲しい外径と厚さが作れるかを確かめる。
STK400 の管の外径が表示寸法より大きく測れました。不良ですか
指定がなければ 1 号が当たり、外径 50 mm 以上なら ±1 % まで許される[1]。外径 114.3 mm の管なら、およそ ±1.1 mm である。2 号を指定していないなら、1 号で判断する。局所的な手入れ部には外径の許容差を適用しないことにも注意する[1]。
ミルシートに伸びの値が書いてあるのに、規格値を下回っています
外径 40 mm 以下の管、冷間仕上げ後に熱処理をしない STKM では、伸びの規定が適用されない場合がある[1][2]。試験の結果は記録されるので値は載る。規定がないのに不合格と判断しないよう、まず管の外径と仕上げ方法を見る。伸びが必要な用途なら、次の注文から協定値を決める。
STK の管を機械部品に使ってもよいですか
規格が使用を禁じているわけではないが、JIS G 3444 の適用範囲は土木・建築の構造物である[1]。機械部品で寸法精度や内面の状態を詰めたいなら、許容差の区分や内面ビードの扱いを規格で協定できる STKM のほうが条件を書きやすい。どちらにするかは設計者が決め、図面の材料欄に書く。
まとめ
STK は土木・建築の構造物向け、STKM は機械部品向けの丸形の炭素鋼鋼管である。STK は寸法表と既定の許容差(1 号)があるので、種類の記号・製管方法と仕上げ方法・寸法を書けば注文がほぼ閉じるが、STKM は寸法を協定で決め、許容差の区分も熱間仕上げ継目無鋼管を除いて協定で決めるので、記号だけでは注文にならない。STKM の A・B・C は成分ではなく機械的性質の違いで、記号の数字は STK と意味が違う。発注書には規格・種類の記号・製管方法と仕上げ方法・寸法・許容差・内面ビードの扱い・検査文書を書き、受入ではミルシートの記号・年版・成分・引張試験・寸法と、文書の発行者を確かめる。伸びやへん平試験の結果がないことは、規格の例外に当たる場合がある。
出典・参考資料
- JIS G 3444:2025 一般構造用炭素鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2025 年 4 月 21 日改正)
- JIS G 3445:2025 機械構造用炭素鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2025 年 4 月 21 日改正)
- JIS G 0404:2023 鋼材の一般受渡し条件(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2023 年 12 月 20 日改正)
- JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品-検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)
- JIS G 3466:2025 一般構造用角形鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2025 年 4 月 21 日改正)
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