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投稿日:2026年10月16日

止めねじ(イモネジ)JIS B 1177 の種類と指定——ねじ先 4 種類、硬さ区分 45H、受入の確かめ方

この記事のポイント(結論先出し)

イモネジと呼ばれる六角穴付き止めねじの JIS B 1177 は、ねじ先の形で平先・とがり先・棒先・くぼみ先の 4 種類を定め、鋼製の機械的性質は「強度区分 45H 又は受渡当事者間の協定」としている[1]。止めねじの強さは、ボルトのような引張強さではなく硬さ区分(14H・22H・33H・45H)で表し、数字はビッカース硬さの最小値の 1/10 を示す[2]。硬さ区分の規格は、止めねじを圧縮力を受ける使い方に限って規定しており、引張強さやせん断強さは決めていない[2]。軸方向力や曲げで引張力がかかる使い方には 33H・45H を使うことを推奨しない、と参考の附属書に書かれている[2]。製品そのものへの表示は規格で決まっていないので[1]、受入は包装の表示と発注書の呼び方を突き合わせて行う。発注書には、ねじ先の形・規格番号・対応 ISO・ねじの呼び×呼び長さ・硬さ区分を、規格の呼び方の並びで書く。

「イモネジ M6×10」で手配すると、何が決まっていないか

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止めねじは、軸に取り付けた歯車やプーリー、つまみなどを、ねじ先で押し付けて動かないようにする小さな部品である。現場では頭のない形から「イモネジ」と呼ばれ、品目マスタにも「イモネジ M6×10」のような名前で登録されていることが多い。だが JIS には、六角穴付きの止めねじ(JIS B 1177)と、すりわり付きの止めねじ(JIS B 1117)があり、どちらもねじ先の形で 4 種類に分かれている[1][3]。呼びと長さだけでは、どのねじ先で、どの材料と硬さのものを買うのかが決まらない。

JIS B 1177:2007 は、ねじの呼びが M1.6〜M24 の部品等級 A の六角穴付き止めねじを規定している[1]。基になったのは 2003 年に第 3 版として出た ISO 4026・ISO 4027・ISO 4028・ISO 4029 の 4 規格で、JIS はこれらを一つにまとめ、ISO に無い表示の規定を足している[1]。すりわり付きの JIS B 1117:2010 は、ねじの呼びが M1.2〜M12 の部品等級 A の止めねじで、1983 年の ISO 4766・ISO 7434・ISO 7435・ISO 7436 を基にしている[3]。

ボルトの形状・寸法の指定は六角ボルト・六角ナット(JIS B 1180・B 1181)の指定で、強度区分の考え方はボルトの強度区分と規格の指定で扱った。止めねじはこの二つと強さの表し方が違うので、この記事で分けて書く。

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ねじ先の形 4 種類と、規格の違い

JIS B 1177 の止めねじの種類は、ねじ先の形状によって平先・とがり先・棒先・くぼみ先の 4 つで、それぞれに対応する ISO の番号が付いている[1]。すりわり付きの JIS B 1117 も同じ 4 つの形を持つが、棒先は ISO 7435(長い棒先)に対応する[3]。下の表は、二つの規格の違いのうち発注に関わるものを並べたものである。

項目 六角穴付き止めねじ(JIS B 1177) すりわり付き止めねじ(JIS B 1117)
ねじの呼びの範囲 M1.6〜M24[1] M1.2〜M12[3]
ねじ先の形と対応 ISO 平先 ISO 4026・とがり先 ISO 4027・棒先 ISO 4028・くぼみ先 ISO 4029[1] 平先 ISO 4766・とがり先 ISO 7434・長い棒先 ISO 7435・くぼみ先 ISO 7436[3]
鋼製の機械的性質 強度区分 45H 又は受渡当事者間の協定[1] 14H・22H[3]
ステンレス鋼製 A1-12H、A2-21H、A3-21H、A4-21H、A5-21H 又は協定[1] A1-12H[3]
ねじの公差域クラス 6g[1] 6g[3]
呼び方の例 六角穴付き止めねじ-平先-JIS B 1177-ISO 4026-M6×12-45H[1] 規格の呼び方は JIS B 1010 による[3]

同じ「M6 の止めねじ」でも、六角穴付きなら鋼製の標準は 45H、すりわり付きなら 14H か 22H であり、硬さの水準がまったく違う。設計図面が六角穴付きを前提にしているのに、すりわり付きの在庫品で代用されると、硬さの低い品物が入ることになる。棒先は、六角穴付きでは呼び長さによって短い棒先と長い棒先の寸法が分かれていて、表の網かけで示された短い呼び長さに短い棒先の寸法が当たる[1]。棒先は先端の円筒部を相手の穴や溝に入れて使う形なので、先端の長さが変わると噛み合いが変わる。呼び長さを変えるときは、棒先の長さがどちらの欄になるかを寸法表で確かめる。

呼び長さが短いと、六角穴も浅くなる

JIS B 1177 の寸法表では、六角穴の深さ t の最小値が、呼び長さが網かけの短いものとそれ以外とで別の値になっている。平先の M6 なら、短い呼び長さの t の最小が 2 mm、それ以外が 3.5 mm である[1]。二面幅 s の呼びは M6 で 3 mm、M8 で 4 mm で[1]、六角棒レンチの呼びと一致する。短い止めねじはレンチの掛かりが浅く、強く締めると六角穴を傷めやすい。寸法の都合で短いものを選ぶときは、設計部門に締付けの条件まで確かめてもらう。止めねじは引張力を受けない部品で、ねじの締付けの通則(JIS B 1083)の対象外なので、締付けトルクは設計で決める(通則の考え方はボルトの締付けトルクの決め方で扱う)。

硬さ区分(14H・22H・33H・45H)で何が決まるか

止めねじの機械的性質は、ボルトの JIS B 1051 ではなく、JIS B 1053「炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-硬さ区分を規定した止めねじ及び類似のおねじ部品」で決まる[2]。JIS B 1053:2014 は 2012 年の ISO 898-5(第 3 版)を、技術的内容と構成を変えずに作った規格である[2]。なお JIS B 1177:2007 は、引用規格の欄で JIS B 1053 を改正前の名称(「第5部:引張力を受けない止めねじ及び類似のねじ部品」)で挙げている[1]。図面や仕様書に JIS B 1053 の名称を書き写すときは、現行版の名称に合わせる。

硬さ区分の記号は、数字がビッカース硬さの最小値の 1/10 を、H が硬さを意味する[2]。規格の表から、発注と受入に関わる値を抜き出すと次のとおりである。

硬さ区分 ビッカース硬さ HV10(最小〜最大) ロックウェル硬さ 鋼材の熱処理
14H 140〜290[2] HRB 75〜105[2] 指定なし(快削鋼も可)[2]
22H 220〜300[2] 最小 HRB 95・最大 HRC 30[2] 焼入焼戻し[2]
33H 330〜440[2] HRC 33〜44[2] 焼入焼戻し[2]
45H 450〜560[2] HRC 45〜53[2] 焼入焼戻し。炭素鋼で作れるのは M16 以下[2]

表の硬さは、ねじ先端の軸心にできるだけ近い表面で求める「製品の硬さ」である[2]。規格は、ビッカース・ブリネル・ロックウェルのどれで求めてもよいとしたうえで、疑義が生じた場合はビッカース硬さ試験を受入検査の判定の試験とすると定めている[2]。受入で硬さを見るなら、どの試験で判定するかを発注時に書いておくと、仕入先の成績書と自社の測定がずれたときに揉めない。硬さの試験方法の書き方は硬さの指定と試験方法で扱った。

材料の表の注には、熱処理によって表面が硬化してはならない、と書かれている[2]。止めねじは表面だけを硬くした部品ではなく、焼入焼戻しで中まで硬さを出す部品だということである。規格は浸炭と脱炭の試験も定めており、45H には完全脱炭部があってはならない[2]。

45H には保証トルクの試験がある

JIS B 1053 は、硬さ区分 45H の六角穴付き止めねじに保証トルク試験を定めている[2]。試験ブロックにねじ込んで先端を当てた状態で、六角穴に規定のトルクを加え、破損や割れを起こさずに耐えることを求めるもので、保証トルクの試験で六角穴に生じたきずは不適合の理由にしてはならないとされている[2]。試験する止めねじの最小長さはねじ先の形ごとに決まっており、たとえば M6 では平先・とがり先・くぼみ先が 8 mm、棒先が 10 mm で、保証トルクは 8.5 N・m である[2]。

この値は「止めねじが壊れずに耐えなければならないトルク」であって、組立で締め付けるトルクの推奨値ではない。設計で締付けトルクを決めるときに、この表の値をそのまま使わないよう、組立の作業標準を作る部署とも共有しておく。

規格が想定している使い方と、想定していない使い方

JIS B 1053 の適用範囲は、止めねじを硬さ区分で分類し、圧縮力を受ける場合に限定すると書いている[2]。そして、引張強さ、せん断強さ、溶接性、耐食性、150 ℃以上の耐熱性と −50 ℃以下の耐寒性への要求は規定しない[2]。規格に適合した止めねじは −50 ℃〜+150 ℃で使うものとされ、それを外れる温度では材料の専門家の助言を受けることが推奨されている[2]。

参考の附属書 A には、軸方向力または曲げ力による引張力が作用する使われ方に、硬さ区分 33H と 45H の止めねじを使うことは推奨しない、と書かれている[2]。止めねじを短いボルトの代わりに使い、相手を引き寄せる形で締結している設計では、この前提から外れる。そうした部位を見つけたら、設計部門に部品の種類から見直してもらう。

規格が決めていないことは、発注側が別に書くしかない。たとえば、止めねじがどれだけの力で軸を保持するか(固定力)は、硬さ区分では決まらない。相手の軸にねじ先が当たる平らな面(D カット)や、棒先を入れる穴を設けるのかどうかは、止めねじの規格ではなく軸の図面の側で指定する。止めねじにねじ緩み止め用の接着剤を塗布した品物を買うなら、剤の種類と塗布範囲を発注書に書く。

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めっきと水素ぜい化——止めねじは扱いが違う

JIS B 1177 の製品仕様は、鋼製の仕上げを「製造された状態」とし、電気めっきの要求がある場合は JIS B 1044、非電解処理による亜鉛フレーク皮膜の要求がある場合は JIS B 1046 によるとしている[1]。

締結用部品の電気めっきの規格 JIS B 1044:2024 は、規定する硬さが 390 HV を超えて焼入焼戻しした締結用部品にはベーキング(水素を追い出すための加熱)が必要だとする一方で、設計または規格によって引張応力を受けるように規定されていない締結用部品、たとえば JIS B 1053 に適合する止めねじの場合はベーキングは不要だと例外を置いている[4]。JIS B 1053 の附属書 A も、圧縮力下で使用する止めねじでは、JIS B 1044 に基づく電気めっき後の水素ぜい化に対する処置は必要としない、と書いている[2]。

45H は硬さで見れば 390 HV を大きく超えるが、圧縮力を受ける使い方である限り、めっき後のベーキングは規格上の要件にならない。逆に言えば、この例外は「圧縮力で使う」という前提があってこそ成り立つ。前の節の附属書の注意と合わせて読み、引張力がかかる部位の止めねじにめっきを指定している図面があれば、使い方そのものを設計部門に確かめてもらう。ボルトなど引張力を受ける部品のめっきの考え方はめっきの発注で指定することを参照してほしい。

寸法の公差は、締結用部品の公差の規格 JIS B 1021 によって、ほかに規定がなければめっき前の締結用部品に適用される[5]。めっきした止めねじのねじ部をゲージで見るときは、めっき後に何で判定するかを決めておく。ねじの公差域クラスの決め方はねじの公差域クラス(6H/6g)の指定で扱った。

発注書の書き方と受入

JIS B 1177 は、製品の呼び方を JIS B 1010 によるとし、ねじ先の形ごとに例を示している。M6、呼び長さ 12 mm、45H の六角穴付き鋼止めねじなら、平先は「六角穴付き止めねじ-平先-JIS B 1177-ISO 4026-M6×12-45H」、くぼみ先は「六角穴付き止めねじ-くぼみ先-JIS B 1177-ISO 4029-M6×12-45H」である[1]。発注書と品目マスタには、この並びで書くのがいちばん取り違えが少ない。

1. ねじ先の形と ISO 番号を必ず入れる
ISO 番号がねじ先の形と一対一に対応しているので、文字の上で形を確かめられる。「イモネジ」「セットスクリュー」のような通称だけの品目名は、品目マスタから外す。

2. 硬さ区分(ステンレス鋼なら鋼種区分・強度区分)を書く
鋼製の標準は 45H だが、規格は受渡当事者間の協定で別の区分を選べるようにしている[1]。書かなければ仕入先の手持ちで決まる。

3. 推奨長さの枠を外れる長さは、特注になると考える
寸法表は推奨する呼び長さを太線枠内のものとしている[1]。枠の外の長さを指定するときは、在庫品ではなく特注として見積を取る。

受入では「製品の表示が無い」ことを前提にする

JIS B 1177 は、製品の表示については特に規定しないとしている[1]。JIS B 1053 も、硬さ区分の記号を製品に表示することは一般に施さなくてもよく、必要な場合は受渡当事者間の協定によるとしている[2]。ボルトのように頭部の刻印で強度を確かめることはできない。

代わりに包装の表示が決まっている。JIS B 1177 は包装の外面に、規格番号または規格名称、種類、部品等級、ねじの呼び×呼び長さ、強度区分(ステンレス鋼なら鋼種区分・強度区分)、材料、数量、製造業者名またはその略号を表示するとしている。ただし材料の表示は、JIS B 1053 や JIS B 1054-3 を適用した場合は省略してもよいとされている[1]。JIS B 1053 は、包装に製造ロット番号と硬さ区分の記号に加えて、製造業者および/または販売業者の識別を含めるよう求めている[2]。両方の識別が載るとは限らない。受入では包装の表示と発注書を突き合わせ、袋から出した後に別の品物と混ざらないよう、ロット番号を部品の置き場まで引き継ぐ。

購入者は、規格の試験方法を用いて供給された止めねじを検査してよいとされている[2]。重要な部位に使う止めねじなら、受入の抜取りで先端の硬さを測る手順を作っておくと、包装の表示だけに頼らずに済む。六角穴付きボルトとの違いは、同じシリーズの六角穴付きボルト(JIS B 1176)の指定で扱う。寸切りボルトや緩み止めナットの指定は、同じシリーズの寸切りボルトの規格と発注とフランジナットとロックナットの選び方で扱う。

よくある質問

図面に「イモネジ M5×8」とだけある

六角穴付きかすりわり付きか、ねじ先の形、硬さ区分が決まっていない。設計部門に、ねじ先の形と硬さ区分を補ってもらう。既存の機種の部品なら、これまで納入されていた品物の包装の表示を確かめ、その内容を品目マスタに書き写す。

45H の止めねじをステンレス鋼に替えたい

ステンレス鋼の止めねじは、硬さ区分ではなく、鋼種区分と強度区分(A2-21H など)で指定する[1]。21H は 45H とは硬さの水準が違うので、固定に必要な性能が保てるかを設計部門に確かめてもらってから切り替える。

止めねじが緩むので、硬さ区分を上げればよいか

硬さ区分は止めねじ自体の硬さの区分で、規格に保持力や緩みにくさの要求は書かれていない[2]。ねじ先の形、相手面の加工(平らな面や穴の有無)、締付けトルク、接着剤の併用などを含めて、設計部門に原因から見てもらう。

まとめ

六角穴付き止めねじ(JIS B 1177)は、ねじ先の形で平先・とがり先・棒先・くぼみ先の 4 種類に分かれ、鋼製の標準は硬さ区分 45H である。止めねじの機械的性質は硬さ区分の規格(JIS B 1053)で決まり、その規格は圧縮力を受ける使い方に限っている。引張力がかかる使い方に 33H・45H は推奨されず、電気めっき後のベーキングが不要とされるのも圧縮力で使う止めねじだからである。製品への表示は規格で決まっていないので、発注書には規格の呼び方の並びでねじ先の形・ISO 番号・硬さ区分を書き、受入では包装の表示とロット番号で確かめる。

出典・参考資料

  1. JIS B 1177:2007 六角穴付き止めねじ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2007 年 4 月 20 日改正・2026 年 6 月 22 日確認)
  2. JIS B 1053:2014 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-硬さ区分を規定した止めねじ及び類似のおねじ部品-並目ねじ及び細目ねじ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2014 年 9 月 22 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
  3. JIS B 1117:2010 すりわり付き止めねじ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2010 年 9 月 21 日改正・2025 年 6 月 20 日確認)
  4. JIS B 1044:2024 締結用部品-電気めっき皮膜システム(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2024 年 2 月 20 日改正)
  5. JIS B 1021:2003 締結用部品の公差-第1部:ボルト,ねじ,植込みボルト及びナット-部品等級A,B及びC(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2003 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)

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