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投稿日:2026年10月1日

めっきの発注で指定すること——種類・膜厚・有効面・後処理

この記事のポイント(結論先出し)

めっきの発注は「亜鉛めっき」「ニッケルめっき」と書くだけでは足りない。電気亜鉛めっきの JIS は、発注者が発注書または加工仕様書に書くべき事項を、基本事項 7 つと付記事項 4 つとして並べている[1]。その中心は、めっきの記号(種類と等級)、有効面(どの面の膜厚を保証させるか)、外観と許容できる欠陥、クロメートなどの後処理、密着性などの検査方法である。膜厚は「何μm」だけでなく、測る場所と測り方まで決めておかないと、受入で測った値と仕入先の成績書の値がそろわない[2]。高強度の鋼にめっきするなら、水素ぜい性を除く熱処理を求めるかどうかも発注時に決める[1][6]。

「亜鉛めっき」と書いただけでは、何も決まっていない

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図面の注記欄に「電気亜鉛めっき」とだけ書かれた部品は珍しくない。仕入先はその一行から、膜厚をどのくらいにするか、どの面で膜厚を保証するか、クロメート処理をするか、どの色の皮膜にするか、ねじ部や穴の内側をどう扱うかを、自社の慣行で決めることになる。発注側の頭にあった仕様と仕入先の慣行が一致していれば問題は起きないが、仕入先を替えたとき、あるいは同じ仕入先でもめっき工程だけ外注先が替わったときに、前と違うものが届く。

JIS H 8610(電気亜鉛めっき)は、この点をはっきり書いている。箇条 13 は「発注書又は加工仕様書への記載事項」として、発注者は次の事項を記載しなければならないと定め、基本事項として、素地材料の性質・状態及び仕上がり、めっきの記号、めっきの有効面、めっきの外観、許容できるめっき表面の欠陥の種類・大きさ・範囲及び場所、クロメート皮膜の種類又は他の化成皮膜の適用、検査方法(用いられる密着性試験方法など)の 7 つを挙げている。付記事項は、必要な熱処理、必要とするめっき品質とその試験方法、めっきされた部品に対する特別な包装の必要条件、その他の特別な前後処理及び制限の 4 つで、こちらは受渡当事者間の協定によって省略してもよいとされている[1]。

つまり規格の側は、めっきの品質を決める情報の多くを発注者が出すものとして扱っている。素地の材料についても「素地材料が発注者から供給される場合は,発注者は,加工仕様書などに,素地材料に関する情報を示さなくてはならない」とある[1]。めっきの不具合の原因が素地側にあることは多いが、素地の情報を渡していなければ、後から仕入先だけに責任を問うのは難しい。

無電解ニッケル-りんめっきの JIS H 8645 にも、同じ構成の「発注書又は加工仕様書への記載事項」がある。基本事項は素地材料の性質・状態、めっきの記号、有効面、外観、検査方法で、付記事項には必要な熱処理(めっき前の応力除去やめっき後の水素ぜい性除去)、圧縮応力を誘導する処理(例えばめっき前のピーニング)、めっき前処理の要求や制約などが並ぶ[4]。めっきの種類が変わっても、発注者が書くべきことの骨格は共通している。

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種類と等級は「記号」で書き、使う環境を添える

めっきの種類と等級は、JIS H 0404(電気めっきの記号による表示方法)による記号で示すことになっている[1]。電気亜鉛めっきでは、等級をめっきの最小厚さによって 6 等級に分けており、あわせて使用環境を、通常の屋内、湿度の高い屋内、通常の屋外、腐食性の強い屋外の 4 つに区分して記号で示す考え方を参考として載せている[1]。

発注側の実務としては、記号で等級を書くか、最小厚さを数値で書くかのどちらかにそろえ、同じ図面の中で両方を書かないほうがよい。両方を書いて食い違っていると、仕入先はどちらに合わせればよいか判断できない。また、使う環境(屋内か屋外か、塩分や結露があるか)を仕様書に一行添えておくと、仕入先が等級の不足に気づいて指摘できる。環境を伝えずに等級だけ指定すると、指定が環境に足りていなくても、仕入先は指定どおりに作れば済んでしまう。

ニッケルめっきやニッケル-クロムめっきの JIS H 8617 も、鉄鋼、銅合金、亜鉛合金、アルミニウム合金の素地に「防食並びに装飾の目的で行った有効面」のめっきを対象にしている。種類と等級は、素地金属、下地めっき、最上層めっき、めっきの最小厚さによって区分し、記号で示す[8]。記号を省略して「ニッケルクロム」とだけ書くと、下地や最上層の構成が仕入先任せになる。

膜厚は「何μm」より先に「どこを測るか」を決める

有効面を指定しないと、保証される面が決まらない

めっきの JIS では、膜厚の保証は有効面について行う。有効面は「被覆されているか又は被覆されるべきで,その被覆が主要な性能及び外観にかかわる部品の表面」と定義されている[1]。電気めっきは形状によって付き方が大きく変わり、凸部や角は厚く、穴の奥やくぼみは薄くなる。どの面を有効面とするかで、同じ部品でも合否が変わる。

JIS H 8610 は参考として、有効面について規定がない場合は直径 20 mm の球が接触しない面積は有効面とみなさないとしている[1]。穴の内面や狭い溝の底は、指定しなければ膜厚の保証から外れる、ということである。ねじ穴の内側やパイプの内面の防せいが必要な部品では、ここを指定しないまま「防せい性が足りない」と言っても、規格上は通りにくい。箇条 13 の参考には「図面に指示するか,又は印を付けた実物見本を提出するとよい」とある[1]。

最小厚さは「局部厚さの最低値」で判定する

JIS H 8501(めっきの厚さ試験方法)は、膜厚に関する用語を細かく分けている。指定された回数の測定を行うのに必要な面積を指定面積、指定面積内での指定回数の測定の平均値を局部厚さ、有効面上で確認された局部厚さの最低値を最小局部厚さとする[2]。有効面が 100 mm2 以上の製品では、有効面の中の約 100 mm2(望ましくは一辺 1 cm の正方形)を指定面積とする[2]。

電気亜鉛めっきの規格は、有効面が 100 mm2 未満の製品では最小厚さを平均厚さの最小値、100 mm2 以上の製品では局部厚さの最小値とする、と参考に書いている[1]。発注側の言う「8 μm 以上」が、どこか 1 点で 8 μm あればよいのか、有効面のどこを測っても 8 μm を下回らないことなのかは、この定義を共有しているかで決まる。仕入先の成績書の値が 1 点の測定なのか、指定面積内の平均なのかも、成績書を受け取ったら確かめておきたい。

測り方を 1 つ決め、食い違ったときに使う方法も決める

JIS H 8501 には、顕微鏡断面、電解式、渦電流式、磁力式、蛍光 X 線式、β線式、多重干渉式、走査電子顕微鏡、測微器、質量計測によるめっき付着量の10 種類の試験方法が並んでいる[2]。電気亜鉛めっきの厚さ試験は、このうち顕微鏡断面試験方法、磁力式、電解式、蛍光 X 線式、β線式、測微計による触針走査法、めっき破壊質量法のいずれかによるとされている[1]。

方法によって、製品を壊すかどうか、測れる素地とめっきの組み合わせ、測定値のばらつきが違う。仕入先は日常の検査を非破壊の方法(蛍光 X 線式や磁力式)で行うことが多く、発注側が受入で別の方法を使うと、同じ部品でも値が合わないことがある。規格は試料の状態調節を原則として温度 23±2 ℃、相対湿度 65 % 以下で行うとし、受渡当事者間の協定によって省略してもよいとしている[2]。発注側としては、日常の検査に使う方法と、値が食い違ったときに最終判断に使う方法(多くは断面を顕微鏡で見る破壊試験)を、仕様書の段階で分けて書いておくと、揉めたときの手順が決まる。

密着性は、試験方法を名指しする

めっきがはがれないことは、どの規格も品質として求めているが、確かめ方は 1 つではない。JIS H 8504(めっきの密着性試験方法)には、やすりや砥石による研削、へらしごき、押出し、エリクセン、ショットピーニング、バレル研磨、テープなどによる引きはがし、たがね打込、けい線、曲げ、巻付け、引張、加熱・熱衝撃、陰極電解の 14 種類が並んでいる[3]。規格自身が参考として「定量的試験法もあるが,そのほとんどが定性的なもの」であり、製品に適する方法を選定すれば密着性の限界を知ることはできる、と書いている[3]。

だから仕様書には「密着性良好のこと」ではなく、「JIS H 8504 の熱衝撃試験方法による」のように方法を名指しする。電気亜鉛めっきの箇条 13 が、基本事項の最後を「検査方法(用いられる密着性試験方法など)」としているのはこのためである[1]。どの方法が部品に向くかは形状と素地で変わるので、仕入先に候補を聞いたうえで決めるのが現実的である。

後処理:化成皮膜と水素ぜい性除去

クロメートなどの化成皮膜は、種類まで書く

電気亜鉛めっきでは、化成皮膜の適用は受渡当事者間の協定による、とされている。規格の備考は、クロメート皮膜が亜鉛めっきの耐食性を向上させること、亜鉛めっき上のクロメート皮膜の等級と種類は JIS H 8625 によること、発注者の指定によってクロメート処理を省略したり他の皮膜に代えたりできることを書いている[1]。皮膜の種類によって色と耐食性が変わるうえ、六価クロムを含むかどうかは顧客の化学物質の要求に直結する。化学物質の調査の進め方は、RoHS への適合を仕入先から確かめる手順で扱う。

高強度の鋼では、ベーキングの要否と条件を発注時に書く

めっきの前処理(酸洗)やめっきの最中に発生する水素が鋼に吸い込まれると、後から割れが起きることがある(水素ぜい性、遅れ破壊)。電気亜鉛めっきの JIS は、めっき後の水素ぜい性除去が指定されている場合には、めっき後少なくとも 4 時間以内に熱処理によって除去を行い、熱処理条件は受渡当事者間の協定による、としている[1]。逆にいえば、指定しなければ規格上はこの処理が前提にならない。めっき前の応力除去も「指定されている場合」の扱いである[1]。

表面技術協会の論文誌に載った解説は、鉄鋼材料の水素ぜい性の感受性は強度の上昇とともに高まり、1.5 GPa を超える高強度鋼ではごくわずかな水素で割れが生じて重大な事故につながると述べている[6]。同じ解説の実験では、亜鉛めっき材は 200 ℃ のベーキングを 24 時間行っても水素ぜい化度が 46 % 残り、抑制効果はわずかだった一方、Zn-Ni 合金めっきはベーキングの併用で水素ぜい性を抑えられたと報告している[6]。これはベーキングを省いてよいという意味ではない。処置をしても、それだけでは足りない場合があるという意味である。

締結用部品については、JIS B 1044 が、規定する硬さが 390 HV を超えるまで焼入焼戻しした部品にはベーキングが必要だと、要求事項として定めている。引張応力を受けるように規定されていない止めねじなどは例外とされている[5]。また、ニッケルを 12〜16% 含むアルカリ性の亜鉛ニッケルめっきは、規格の試験に基づいて受渡当事者間で合意すれば、ベーキングを省ける扱いになっている[5]。素地の硬さによっては、要否を発注側が自由に選べるわけではない。

発注側が決めておくことは 3 つある。素地の強度(引張強さや硬さ)を仕入先に伝えること、ベーキングの要否とその条件を、素地の強度と該当する規格に照らして仕様書に書くこと、そして高強度の部品では処理後の確認方法を合意しておくことである。熱処理で硬くした部品にめっきする場合は、熱処理を図面でどう指定するかとあわせて、硬さの情報を一続きで渡す。

ねじ・ボルトなど締結用部品は、JIS B 1044(締結用部品-電気めっき皮膜システム)が別にある。2024 年の改正版は ISO 4042:2022 に対応し、箇条 10「電気めっき注文時の要求事項」として、規格の引用、皮膜の表示、素地金属・表面状態・硬さ・引張強さや強度区分などの部品の特性、めっき前の応力除去の条件、めっき前のねじの公差、水素ぜい化のリスクに対する予防措置(ベーキングなど)、トルク-締付け力関係、その他の要求、追加の試験と抜取方式、試験報告書の要求の 10 項目を提供するとしている[5]。強度区分との組み合わせはボルトの強度区分と規格の指定で扱う。

無電解ニッケルは「硬さ」を求めるかどうかで仕様が変わる

無電解ニッケル-りんめっきは、防食だけでなく耐摩耗の目的でも使われる。JIS H 8645 は適用範囲を、鉄、銅、アルミニウムとそれらの合金の素地に防食性、耐摩耗性などの目的で施した有効面のめっきとし、等級は最小厚さによって分けている[4]。めっきの硬さについては、規定の試験を行いビッカース硬さ 500 以上、ヌープ硬さ 450 以上とし、この硬さの試験に使う試料のめっき厚さは 50 μm 以上とする備考がある。硬さを向上させるための熱処理条件は附属書(参考)に載っている[4]。

硬さを上げる熱処理は、素地やほかの部分の性質にも影響する。耐摩耗を期待しているなら「熱処理して硬さ○○以上」と書き、防食だけが目的なら熱処理を求めない、と目的から書き分けるのが発注側の役目である。めっき皮膜の硬さをどの試験方法・どの試験力で測るかは、硬さの試験方法と測定条件の指定で詳しく扱う。

受入で確かめること

電気亜鉛めっきの JIS は、送り状または納品書に、めっきの記号、加工年月日、加工業者名、発注書や加工仕様書に記載されためっき品質の試験結果の 4 つを表示するとしている[1]。めっきを二次外注している仕入先から部品を受け取る場合、実際にめっきをした加工業者名と加工年月日が分かれば、後でロットをさかのぼれる。受入の段階でこの表示があるかを確かめ、無ければ仕入先に求める。

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検査については、規格は「検査項目及び試験方法の選択に関しては,受渡当事者間の協定による」とし、試験片の数、検査順序、検査対象箇所、試験片の代替使用も協定によるとしている。試験片は同一部品のロットから JIS Z 9031 によって抜き取る[1]。つまり、受入で何をどれだけ見るかは、発注側と仕入先が決めていない限り決まらない。受入検査と工程検査の役割分担は受入検査と工程検査の違いで、成績書の中身の確かめ方は試験成績書の作り方と管理で扱っている。

外観については、規格が有効面に、ざらつき、焦げ、割れ、ピット、素地の露出などの欠陥、膨れやはく離などの密着不良の徴候、汚れやきずがあってはならないとし、外観の程度を指定する場合は受渡当事者間の協定によるとしている[1]。箇条 13 の参考は「限度見本を提出するとよい」と書いている[1]。めっき面は鏡面に近いことが多く、表面色を視感で比べる方法の規格(JIS Z 8723)は、滑らかな金属表面やめっき面のように像が鮮明に映る、完全鏡面に近い面の色の比較を適用から除いている[9]。色調を問題にするなら、見本を使った見比べの条件を個別に決める必要がある。塗装の色の合わせ方は塗装の仕様の決め方で扱う。

基準は発注のときに出す

めっきの受入で揉めるのは、多くの場合「前は問題にしなかった」ことを後から問題にしたときである。公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、取適法の対象となる取引で発注側が受け取りを拒めない場合として、そもそも発注時に委託内容や検査基準がはっきりしておらず違いを示せないときと、発注した後で基準を恣意的に引き上げ、それまで合格としていたものを落とすときを挙げている[7]。引き取らせる返品や、費用を負担しないやり直しについても、同じ趣旨の制限が並んでいる[7]。

有効面、膜厚の測り方、密着性の試験方法、外観の限度見本は、どれも「検査基準」そのものである。これらを発注の時点で仕様書に書いておくことは、品質のためだけでなく、不良を見つけたときに返品やりなおしを求める根拠を残すことにもなる。めっきの密着不良や水素ぜい性のように後から表れる不具合も、いつまでも返品できるわけではない。テキストは、すぐには見つけられない不適合について受領後 6 か月以内の返品を認め、自社の製品で一般消費者に 6 か月を超える保証をしている場合に限って最長 1 年までとしている[7]。取適法上の扱いの全体は受領拒否・返品・やり直しはどこまで許されるか、仕様書全体の組み立ては購買仕様書の書き方を参照してほしい。

指定項目の一覧

電気亜鉛めっきを例に、規格がどう扱っているかと、発注側が仕様書に書く内容を並べる。規格の欄は JIS H 8610 などの記述[1][2][3]、右端の欄は発注側の実務としての提案である。

項目 規格の扱い 仕様書に書く内容(提案)
種類・等級 記号で示す。最小厚さで 6 等級 記号か最小厚さのどちらか 1 つ。使用環境を 1 行添える
有効面 規定がなければ直径 20 mm の球が触れない面は対象外(参考) 図面に範囲を図示するか、印を付けた見本を渡す。穴・ねじ部の扱いを明記
膜厚の判定 100 mm2 以上は局部厚さの最小値(参考)。指定面積は約 100 mm2 測定点の数と位置、成績書に載せる値(最小・平均)
膜厚の試験方法 10 種類のうち規格ごとに使える方法を列挙 日常の方法と、食い違ったときの判定方法を分けて書く
密着性 14 種類。ほとんどが定性的 試験方法を名指しし、頻度を決める
化成皮膜 受渡当事者間の協定。種類は JIS H 8625 皮膜の種類と色、六価クロムの可否
水素ぜい性除去 指定時はめっき後 4 時間以内に熱処理。条件は協定 素地の強度を伝え、要否と条件を書く
納品書の表示 記号・加工年月日・加工業者名・試験結果の 4 つ 二次外注先の名前とロットの対応も求める

よくある質問

図面の「めっき後寸法」と「めっき前寸法」はどちらで指示すべきですか

めっきの規格は膜厚と品質を定めるもので、どちらの寸法で図示するかは決めていない。ねじやはめあい部では、膜厚の分だけ寸法が変わるので、どちらの寸法で検査するかを図面に書く。締結用部品については、JIS B 1044 の注文時の要求事項に、めっき前の特定のねじの公差を示す項目がある[5]。

仕入先が「標準品と同じめっき」と言うとき、何を確認すればよいですか

記号(種類と等級)、有効面の考え方、膜厚の測定方法と測定点、化成皮膜の種類を書面で出してもらう。「標準」の中身は仕入先ごとに違い、規格が受渡当事者間の協定に委ねている項目ほど、仕入先の慣行で決まっている[1]。

めっきだけを別の加工業者に直接発注すべきですか

部品メーカーにめっきまで含めて発注するか、めっきを分けて発注するかは、責任の線をどこに引くかの判断である。分けて発注する場合、めっき前の部品の受け渡し、素地の情報の伝達、めっき後の寸法の検査をどちらがするかを決めておかないと、不具合の原因を切り分けられない。素地の情報は発注者が示すことになっている[1]。

膜厚が足りなかったロットは、追加めっきで直してもらえばよいですか

直し方は、めっきの種類、後処理、寸法への影響で変わる。追加めっきや再めっきで直すか、廃棄するかは、不適合品の処置として判断する。処置の決め方は不適合品の処置の決め方で扱っている。

まとめ

めっきの発注で発注側が書くことは、規格がすでに並べている。電気亜鉛めっきの JIS は基本事項 7 つと付記事項 4 つを発注者の記載事項とし、その中で、めっきの記号、有効面、外観と欠陥の許容範囲、化成皮膜、密着性などの検査方法を挙げている[1]。膜厚は有効面と測り方を決めて初めて判定でき[2]、密着性は試験方法を名指しして初めて検査になる[3]。高強度の鋼では水素ぜい性の除去を求めるかを発注時に決め[1][6]、無電解ニッケルでは硬さを求めるかで仕様が変わる[4]。これらを発注時の仕様書に書いておくことが、受入で合否を判断するための前提になる[7]。

出典・参考資料

  1. JIS H 8610:1999 電気亜鉛めっき(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 8 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  2. JIS H 8501:1999 めっきの厚さ試験方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 8 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  3. JIS H 8504:1999 めっきの密着性試験方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 8 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  4. JIS H 8645:1999 無電解ニッケル-りんめっき(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 8 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  5. JIS B 1044:2024 締結用部品-電気めっき皮膜システム(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
  6. 日野実・平松実・堀川敬太郎「Zn 系めっきによる高強度鋼の水素脆性」表面技術 71 巻 5 号(表面技術協会/2020 年 5 月)
  7. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  8. JIS H 8617:1999 ニッケルめっき及びニッケル-クロムめっき(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 8 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  9. JIS Z 8723:2000 表面色の視感比較方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2000 年 5 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)

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