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投稿日:2026年10月26日

グレーチング(工場・設備用)の発注——JISの無い荷重区分の確かめ方、目の細かさ・固定・溶融亜鉛めっき

この記事のポイント(結論先出し)

この記事は、工場の通路・点検歩廊・ピットのふた・設備の架台の床などに使う鋼製グレーチングを発注する側向けに書いている。鋼製グレーチングそのものの JIS の製品規格は無いので、T-14・T-25 のような荷重区分は製造業者の区分で、その定義(想定する荷重・支え方・たわみの許容)を製造業者の資料で確かめる必要がある。道路の橋などの設計に使う自動車荷重は、道路構造令が 245 kN と定めている[2]。床として使うなら、労働安全衛生規則が求める「つまずき・すべり・踏抜等の危険のない」通路面になるかを、目の細かさと固定の方法で確かめる[1]。防食を溶融亜鉛めっきにするなら、種類の記号(HDZT 77 など)を書き、外観の規定は美観を満足させるものではないことを前提にする[3]。

この記事の範囲

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グレーチングは、平らな帯状の棒(支え棒、ベアリングバーと呼ばれることが多い)を一定の間隔で並べ、それと直交する棒でつないだ格子状の床材である。住宅の外構の側溝のふたとして売られている製品も多いが、この記事が扱うのは、工場の歩廊・階段の踏板・排水溝や機械ピットのふた・設備の作業床として部品のように発注する場面である。

同じく床に使う鋼材として、縞鋼板(チェッカープレート)の発注と エキスパンドメタル(JIS G 3351)の発注で書いた。縞鋼板は穴のない床、エキスパンドメタルは板を切れ目を入れて引き伸ばした網で、グレーチングとは作りも決めることも違う。ここでは、グレーチングに固有の、荷重・目の細かさ・固定・端部・防食の指定に絞る。

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JIS が無いので、何を基準にするかから決める

日本産業標準調査会の JIS 検索で規格名を調べても、鋼製グレーチングを製品として定めた規格は見当たらない(2026 年 10 月確認)。ねじや鋼材のように「JIS ○○ の△△」と書けば寸法と性能が決まる、という指定ができない部材である。

そのため、発注書では次の三つを分けて考える。

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  • 製品として何を買うか:製造業者の型式(支え棒の高さ・厚さ、目のピッチ、荷重区分)
  • 素材に何を求めるか:支え棒などの鋼材の規格(SS400 なら JIS G 3101)と寸法の規格
  • 仕上げに何を求めるか:溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)、塗装、ステンレスの材質

素材の鋼材には規格がある。SS400 の熱間圧延鋼材は JIS G 3101 で、この規格は製造業者に、特に指定がない場合も検査文書を注文者へ提出することを求めている[4]。ただし、グレーチングの製造業者が受け取るミルシートが、完成品を買う側に自動で回ってくるわけではない。材料の証明が要るなら、完成品の注文書に「支え棒の材料の検査証明書(写し)を添付」と書く。

支え棒の素材が熱間圧延の平鋼なら、厚さ・幅の許容差は JIS G 3194 による。たとえば厚さ 6 mm 未満は ±0.3 mm、幅 50 mm 未満は ±0.8 mm で、幅 50 mm 以上 500 mm 以下は幅の ±1.6%(最大 ±3.5 mm)である[5]。鋼帯を切った材など、平鋼以外の素材を使う製品もあるので、どの規格の許容差が当たるかは仕入先に確かめる。平鋼の指定の詳細は フラットバー(平鋼)JIS G 3194 の寸法許容差で扱った。

荷重区分は製造業者の定義を読む

グレーチングのカタログには、歩行用、T-2、T-6、T-14、T-20、T-25 のような荷重区分が並んでいることが多い。これは JIS の区分ではなく、製造業者がそれぞれの資料で定義しているものである。比べるときは、区分の名前ではなく、定義の中身を並べる。

確かめる項目 なぜ要るか 発注側の書き方の例
想定する荷重の大きさ(kN)と形(等分布か、輪荷重か) 人が歩くだけか、台車・フォークリフト・トラックが乗るかで桁が変わる 「フォークリフト(最大積載時の前輪荷重 ○ kN)が通過」
荷重が当たる面積 同じ荷重でも小さいキャスターでは局部に集中する 「キャスター径 ○ mm・幅 ○ mm」
支え方(支点の間隔=スパン、支え棒の向き) 支え棒の向きが支点と合わないと、想定した耐力にならない 「受け枠の内のり ○ mm、支え棒は溝の幅方向」
たわみの許容 壊れなくても、たわんで歩きにくい・がたつく 「スパン ○ mm で、たわみ ○ mm 以下」
衝撃・繰返し 段差を越える車輪や頻繁な通過は、静かに載せる荷重より厳しい 「1 日 ○ 回通過、段差 ○ mm」

道路を通る車両の重さについては法令に目安がある。道路構造令は、橋・高架の道路などの普通道路の設計に用いる設計自動車荷重を 245 kN と定めている[2]。質量に直すとおよそ 25 t の重さに当たる。構内道路にトラックが入る場所のふたなら、この程度の車両が乗る前提で考えることになる。ただし、カタログの「T-25」の定義が、この 245 kN をどう扱っているか(輪 1 個あたりの荷重か、車両全体か、衝撃を見込んでいるか)は製造業者の資料を読まないと分からない。区分の数字だけを見比べて選ばない。

気を付けたいのは、歩行用の区分のグレーチングの上を、後からハンドリフトや台車が通るようになる場合である。歩行用の製品は、人が歩く前提で目や支え棒の高さを決めているので、車輪が乗ると支え棒が曲がったり、受け枠から外れたりすることがある。用途が変わったら、荷重の前提を見直す。

目の細かさと「踏抜」の危険

労働安全衛生規則は、作業場に通ずる場所と作業場内に安全な通路を設けて常時有効に保持すること(第 540 条)、屋内に設ける通路の通路面を「つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態」に保持すること(第 542 条)、作業場の床面をつまずき・すべり等の危険のないものとすること(第 544 条)を事業者に求めている[1]。機械と機械の間などに設ける通路は幅 80 cm 以上とも決まっている(第 543 条)[1]。条文はグレーチングの目の寸法を決めていないが、床に使う側が「踏抜」「つまずき」の危険がないかを確かめる前提になる。

目のピッチ(支え棒の間隔と、つなぎの棒の間隔)で決まることは多い。

  • 靴のかかとや杖・台車の小さな車輪が落ち込まないか
  • 工具・ボルト・部品が目を通って下に落ちないか
  • 水や粉じんを下に流したいのか、流したくないのか
  • 下を通る人や設備に、落下物が当たらないか

最後の点について、労働安全衛生規則は、作業のため物体が落下して労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等の措置を講じなければならないとしている(第 537 条)[1]。上の階の歩廊で作業があり、下に人が通るなら、目の細かい製品にするか、落下防止の板や網を併用するかを決める。

高さ 2 m 以上の作業床の端や開口部で墜落の危険がある箇所には、囲い・手すり・覆い等を設けなければならない(第 519 条)[1]。グレーチングを外して点検口として使うピットや歩廊では、外したときに開口部が残る。外す運用があるなら、外している間の囲いをどうするかまで決めておく。

なお、足場の作業床については床材間の隙間を 3 cm 以下とする規定があるが(第 563 条)[1]、これは足場の作業床の規定で、工場に固定して使うグレーチングの目の寸法をこれで決めるものではない。混同しないようにする。

固定と端部の処理

壊れることのほかに、ずれる・はね上がる・がたつくことも危険になる。受け枠に載せただけの状態だと、車輪が端を踏んだときに反対側が浮く、振動で少しずつずれて受け枠から落ちる、といったことが起こりうる。発注で決めることは次のとおり(当方の提案)。

  • 固定の方法(固定金具、ボルト止め、溶接、ちょうつがいで片側を留める、など)と、外す頻度
  • 受け枠の寸法と、グレーチングとの隙間(がたつきの許容)
  • 端部の処理(支え棒の端をつなぐ縁の棒の有無)
  • 配管やケーブルを通す切り欠きの位置と、切り欠いた部分の補強
  • 段差の許容(隣り合うグレーチング同士、床との間)

切り欠きは注意がいる。支え棒を切ると、その部分は荷重を受けられなくなる。標準品を現場で切って使うと、切った支え棒の端が支えを失う。切り欠きの位置が決まっているなら、製造業者に図面で出して、補強を含めて作ってもらう。

防食は溶融亜鉛めっきか、ステンレスか、塗装か

屋外やぬれる場所の鋼製グレーチングは、溶融亜鉛めっきで仕上げることが多い。溶融亜鉛めっきは JIS H 8641 で、2021 年の改正で膜厚の区分になり、種類の記号は HDZT 35〜HDZT 77 の 7 種類である[3]。表 1 の適用例(参考)では、HDZT 77 は厚さ 6 mm 以上、HDZT 70 は 5 mm 以上、HDZT 63 は 3 mm 以上の素材と示されている[3]。支え棒の厚さと合わせて、どの種類を指定するかを決める。

めっきの外観については、規格の注記がはっきり書いている。めっきの目的は耐食性の付与にあり、装飾の目的ではないため、外観の規定は美観的要求事項を満足させるものではなく、めっきは素材表面を滑らかにするものでもない[3]。やけ・変色・白さび・ざらつきなどは防食の性能に悪影響を及ぼさないとされている[3]。見た目をそろえたい場所に使うなら、受入の外観の基準を規格と別に決める必要がある。

不めっきは、幅 5 mm 以下ならあってもよく、それを超える場合は総面積と 1 か所の面積の条件で補修か再めっきになる[3]。また、めっき後の切削・溶接などでめっき皮膜が除去される部分は、品質を適用する有効面に含まれない[3]。めっき後に現場で切ったり溶接したりした部分は、めっきの規格の外になるので、補修の方法(高濃度亜鉛末塗料など)を決めておく。めっきの指定の全体は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定で扱った。

薬液や食品の工程など、亜鉛めっきが合わない場所では、ステンレス製を選ぶことがある。ステンレスの鋼種の選び方は鋼材の一般論になるので、ここでは扱わない。塗装仕上げにするなら、格子の内側まで塗れているかの確かめ方を決めておく。

受入で確かめること

  • 型式・寸法:支え棒の高さ・厚さ、目のピッチ、外形寸法が注文どおりか
  • 荷重区分:製造業者の区分の名前だけでなく、定義の資料が添付されているか
  • めっき:種類の記号、膜厚の測定結果、不めっきと補修の箇所
  • はめ合い:受け枠に載せてがたつかないか、段差が許容内か
  • 固定金具:数と取付位置、外す運用に合っているか
  • 材料:要求した場合、支え棒の材料の検査証明書の写し

発注書の書き方の例

様式は決まっていない。書いておきたい内容を一つの例にまとめる。

「品名:鋼製グレーチング(製造業者 型式 ○○)/用途:工場内の排水溝のふた、ハンドリフト(最大 ○ kN)が溝を横断して通過/受け枠の内のり:幅 ○ mm・長さ ○ mm、支え棒は溝の幅方向/たわみ:○ mm 以下/目のピッチ:かかとが落ち込まない細目/仕上げ:溶融亜鉛めっき JIS H 8641 HDZT 63、膜厚の測定結果を添付/固定:固定金具 2 か所/添付:荷重区分の定義資料、支え棒の材料の検査証明書の写し」

例の「たわみ」や「目のピッチ」の値は、使う場所の条件から決める。規格が無い部材なので、値を書かない限り、仕入先は自社の標準で作る。

よくある質問

Q. T-25 なら大型トラックが乗っても大丈夫ですか。
区分の名前だけでは判断できない。製造業者の定義が想定する荷重・支え方・スパンと、実際の受け枠の寸法・支え棒の向きが合っていることが前提になる。道路構造令の 245 kN[2]は、橋などの設計に使う値であって、グレーチングの区分を決める値ではない。

Q. 階段の踏板にグレーチングを使うときの注意は。
踏板の前の縁が滑りにくいか、つま先が引っかからないかを確かめる。通路面のつまずき・すべりの危険をなくす義務(第 542 条・第 544 条)[1]は踏板にも関係するので、ぬれる場所なら滑り止めの加工を指定する。

Q. 既設のグレーチングと同じものを追加で買いたいです。
型式が分からないときは、支え棒の高さ・厚さ・ピッチ、外形寸法、端部の処理、受け枠の内のりを現物で測って伝える。同じ外形でも支え棒の高さが違えば荷重区分が変わる。

まとめ

鋼製グレーチングには JIS の製品規格が無いので、製造業者の型式と荷重区分の定義を読み、使う場所の荷重・支え方・たわみを自分で書く。床として使うなら、労働安全衛生規則の「つまずき・すべり・踏抜」の考え方で目の細かさと固定を決め、下に人が通るなら落下物の対策も併せて決める。溶融亜鉛めっきは HDZT の記号で指定し、外観の規定は美観を保証しないこと、めっき後に切った部分は規格の外になることを前提にする。同じ束では、軽量形鋼 SSC400 の発注、耐候性鋼 SMA の発注、耐摩耗鋼板の発注も扱っている。

出典・参考資料

  1. 労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  2. 道路構造令(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  3. JIS H 8641:2021 溶融亜鉛めっき(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2021 年 12 月 20 日改正)
  4. JIS G 3101:2024 一般構造用圧延鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
  5. JIS G 3194:2024 熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 11 月 20 日改正)

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