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投稿日:2026年10月26日

突合せ溶接式管継手 JIS B 2311・B 2312・B 2313 の指定——エルボのL/S、材料記号、検査文書

この記事のポイント(結論先出し)

鋼製の突合せ溶接式管継手(エルボ・レジューサ・T・キャップ)の JIS は 3 本ある。低圧の一般配管用で SGP と組む JIS B 2311、圧力配管・高温配管・ステンレス配管などに使う継目無の JIS B 2312、長手継目をもつ溶接製の JIS B 2313 である[1][2][3]。どれも 2024 年 1 月に改正されている。発注書には規格番号・形状の記号(90E(L) など)・材料の記号・大きさの呼び(径と厚さ)を書く[1][2]。検査文書は注文者が求めたときだけ出され、B 2311 は注文合格書 2.1、B 2312 と B 2313 は検査証明書 3.1 である[1][2][3]。受渡検査の項目も規格で違い、B 2311 は形状・寸法と外観だけである[1]。

この記事は、工場の設備配管や装置に組み込む配管のうち、管と管を突合せ溶接でつなぐ継手を発注するときの話を扱う。建物の給排水の話や、配管の設計(圧力計算・溶接施工)の手順は扱わない。継手を規格品として買い、受け入れるときに、何を書き何を確かめるかに絞る。

3 つの JIS は「何と組むか」で分かれている

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JIS B 2311 は、使用圧力が比較的低い流体(蒸気、水、油、ガス、空気など)の一般配管に用いる鋼製突合せ溶接式管継手の規格で、配管には JIS G 3452 の配管用炭素鋼鋼管(SGP)と JIS G 3457 の配管用アーク溶接炭素鋼鋼管が使われる[1]。

JIS B 2312 は、主として圧力配管・高圧配管・高温配管・合金鋼配管・ステンレス鋼配管・低温配管・加熱炉用配管に用いる、鋼製とニッケルクロム鉄合金製の継目無の突合せ溶接式管継手の規格である[2]。組む鋼管は、圧力配管用炭素鋼鋼管 JIS G 3454(STPG)、配管用ステンレス鋼鋼管 JIS G 3459 などで、適用範囲の注に管ごとに書かれている[2]。

JIS B 2313 は、主として圧力配管・高温配管・合金鋼配管・ステンレス鋼配管・低温配管に用いる、長手継目をもつ突合せ溶接式管継手の規格である。溶接鋼管から作るものも含まれ、継手の溶接継手効率は使用者が決める設計条件で配慮される、と注記されている[3]。

項目 JIS B 2311 JIS B 2312 JIS B 2313
対象 使用圧力が比較的低い一般配管 圧力・高温・ステンレス・低温などの配管(継目無) 圧力・高温・ステンレス・低温などの配管(長手継目あり)
材料の記号の例 FSGP(白・黒)、PY400(黒) PG370、PT370、SUS304 など PG370W、SUS304W など(末尾に W)
受渡検査の項目 形状・寸法、外観 分析、機械的性質、結晶粒度(一部の鋼種)、形状・寸法、外観 分析、機械的性質、形状・寸法、外観
検査文書(注文者の要求があった場合) 注文合格書 2.1 検査証明書 3.1 検査証明書 3.1
最新改正 2024 年 1 月 22 日 2024 年 1 月 22 日 2024 年 1 月 22 日

出典: JIS B 2311 の箇条 1・4・11・14、JIS B 2312 の箇条 1・4・13・16、JIS B 2313 の箇条 1・4・13・16[1][2][3]。

購買の立場で押さえたいのは、継手の規格は管の規格と組になっていることである。SGP の配管に B 2312 の継手を、STPG の配管に B 2311 の継手を、と取り違えると、材料・肉厚・検査が配管の前提と合わない。管の側の指定はSGP(JIS G 3452)の発注での指定とSTPG370(JIS G 3454)の発注での指定に書いた。

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形状の記号:エルボのロングとショート

形状の種類と記号は、3 つの規格でおおむね共通している。45°・90°・180°エルボにはそれぞれロング(L)とショート(S)があり、90°エルボのロングは 90E(L)、ショートは 90E(S) と書く。レジューサには同心(C)と偏心(E)、T には同径(S)と径違い(R)、そしてキャップ(C)がある[1][2]。ただし B 2313 の表 1 にはキャップが無い[3]。記号の丸括弧は省略してよく、90E(L) を 90EL と書いてもよい[1]。B 2311 と B 2313 のレジューサには、さらに 1 形と 2 形の区別がある[1][3]。

ロングとショートは、エルボの中心から端面までの距離が違う。B 2311 の表 A.3 の値を、いくつかの径で並べる。

径の呼び 外径(mm) 90°エルボ ロングの中心から端面まで(mm) 90°エルボ ショートの中心から端面まで(mm)
15A 21.7 38.1 規定なし
25A 34.0 38.1 25.4
50A 60.5 76.2 50.8
100A 114.3 152.4 101.6

出典: JIS B 2311 の表 A.3[1]。15A・20A の 90°ショートエルボは表に値が無い。

ロングとショートを取り違えると、配管の寸法が合わない。図面や部品表に「エルボ 50A」とだけ書いてあれば、仕入先はどちらかを選ぶことになる。ロングかショートかを必ず書く。小さい径ではショートの寸法が規格に無いことも、表を見て確かめておく。

材料の記号と大きさの呼び

JIS B 2311:FSGP と PY400、白と黒

B 2311 の材料は FSGP と PY400 の 2 つで、FSGP は亜鉛めっきを施した白管継手と施さない黒管継手に分かれ、PY400 は黒管継手だけである。FSGP は SGP と、PY400 は STPY400 と組む[1]。白管継手のめっきは溶融亜鉛めっきで、膜厚で確かめる場合は JIS H 8641 の HDZT 42(膜厚 42 μm 以上)以上とされている[1]。溶融亜鉛めっきの種類の記号は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定で扱った。

製造方法にも違いがある。FSGP の継手は塑性加工か切削加工で作り、溶接組立で製造してはならず、キャップは継目なく作る。PY400 は鋼管から塑性加工で作るか、鋼板・鋼帯から長手継目をアーク溶接して作ってよく、PY400 の継手にはキャップは含まれない[1]。

大きさの呼びは、径の呼び(A または B)と厚さで表すが、FSGP の厚さは省略する[1]。厚さを書かなくてよいのは、FSGP の継手の外径と厚さが、組む SGP の管と同じ値で一つに決まっているからである。15A なら外径 21.7 mm・厚さ 2.8 mm、50A なら 60.5 mm・3.8 mm で、2026 年 5 月に改正された JIS G 3452 の表の値とそろっている[1][5]。規格の呼び方の例は「JIS B 2311 90E(L) FSGP 150A」の並びになる。継手に表示される材料の記号は、FSGP の F を省いて「SGP」と表示される[1]。受入で継手を見て「SGP」と刻まれていても、それは管ではなく継手の材料の記号の表示である。

JIS B 2312:材料の記号は「組む管」の記号と対になっている

B 2312 の材料の記号は、対応する鋼管と表で結び付けられている。たとえば PG370 は JIS G 3454 の STPG370 と、PT370 は JIS G 3456 の STPT370 と、SUS304 は JIS G 3459 の SUS304TP と組む[2]。継手の材料は、その鋼管の規格の化学成分などに適合する継目無鋼管のほか、表に挙げた鋼板・鍛鋼品・棒鋼(PG370 なら SM400B・SFVC2A・S25C など)も使える[2]。

大きさの呼びは「100A×Sch40」のように径の呼びと厚さ(スケジュール番号または mm)で表し、Sch は S と書いてもよい[2]。炭素鋼・合金鋼の 100A は外径 114.3 mm で、スケジュール 40 の厚さは 6.0 mm、スケジュール 80 は 8.6 mm である[2]。スケジュール番号を書かずに発注すると、厚さが決まらない。管のスケジュール番号と継手のスケジュール番号は必ずそろえる。

製造は塑性加工による継目無が原則で、径の呼び 100A 以下は切削加工でもよい[2]。熱処理も材料ごとに表で決まっており、たとえば SUS304・SUS316 などは 1 010 ℃以上からの急冷による固溶化熱処理である[2]。ステンレス配管の管の側の選び方はステンレス鋼管 JIS G 3459・G 3446 の違いにまとめた。

JIS B 2313:溶接で作る継手

B 2313 の継手は、鋼管から塑性加工で作るか、鋼板・鋼帯から長手継目をアーク溶接で作る。手溶接と半自動溶接を行う溶接士は、JIS Z 3801・Z 3821・Z 3841 の技術検定またはそれと同等以上の技術検定に合格し、格付けされた資格のある者とされている[3]。溶接部の放射線透過検査・浸透探傷検査・磁粉探傷検査は、受渡当事者間の協定で適用する特別品質規定の中にあり、検査範囲や判定基準も協定による[3]。溶接部の検査を求めるなら、どの方法で、どこを、どの基準で見るかを発注時に書く。非破壊検査の指定の仕方は非破壊検査を発注で指定するときで扱った。

検査文書は、求めないと出てこない

3 つの規格は、どれも「あらかじめ注文者の要求があった場合には」製造業者が検査文書を提出する、という書き方をしている[1][2][3]。発注書に書かなければ、文書は来なくても規格には反しない。

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文書の種類も違う。B 2311 は JIS G 0415 の表 1 の記号 2.1(注文合格書)、B 2312 と B 2313 は記号 3.1(検査証明書 3.1)である[1][2][3]。JIS G 0415 によれば、注文合格書 2.1 は試験結果を記載せずに注文書の要求事項に適合していることを製造業者が宣言する文書で、検査証明書 3.1 は受渡検査による試験結果を記載し、製造業者の製造部門から独立し権限を与えられた検査代表者が妥当性を確認する文書である[4]。B 2311 の継手で化学成分や機械的性質の数字が欲しくても、規格どおりの文書にはその数字は載らない。必要なら、協定で別の文書を求める。検査文書の区分の考え方はEN 10204 のミルシート区分でも扱っている。

耐圧試験は「1 個ごと」ではない

耐圧性能の試験は、B 2311 でも B 2312 でも、継手に鋼管を溶接して水圧をかける方法で、形式検査の項目になっている。B 2312 では水圧試験特性の圧力で 5 秒以上保持したあと、さらに破裂圧力以上で 3 分間保持しても破裂しないことを調べる[2]。そしてこの検査は、あらかじめ製造業者が製造方法ごとにいくつかの寸法・鋼種の代表的なものについて実施し、性能に影響する製造条件の変更があった場合などに行う、とされている[1][2]。

つまり、納品された継手 1 個 1 個が水圧試験を受けているわけではない。配管として組み上げたあとの耐圧試験は、配管の施工側で別に計画する。継手に追加の試験を求めるなら、B 2312 の附属書 JA(特別品質規定)に、硬さ試験・材料の超音波探傷検査・浸透探傷検査・製品分析・継手から採った試験片での引張試験やシャルピー衝撃試験などが並んでおり、注文者が指定する項目について行う[2]。

海外製の継手と取り替えるとき

B 2312 の対比表は、ISO の継手規格(ISO 3419・ISO 5251)と外径が整合するのは 114.3・355.6・406.4・508.0 mm の 4 サイズだけで、101.6・558.8・660.4 mm の 3 サイズは ISO に無い、と書いている。小径のエルボや 45°エルボでは寸法も異なる[2]。海外の規格で作られた継手を国内の JIS 配管に入れる提案が来たら、外径と厚さが JIS の管と合っているかを確かめる。合わないまま突合せ溶接すると、段差や肉厚の差が残る。

発注書に書くことと、受入で確かめること

1. 規格番号
B 2311・B 2312・B 2313 のどれか。管の規格と対になっているか。

2. 形状の記号
90E(L)・90E(S)・R(C)・T(R) など。エルボはロングかショートか。

3. 材料の記号
B 2311 なら FSGP(白か黒か)か PY400。B 2312・B 2313 なら PG370・SUS304 などの記号。

4. 大きさの呼び
径の呼びと厚さ(スケジュール番号または mm)。レジューサと径違い T は、大きい径から順に書く[1][2]。

5. 検査文書
要るなら発注書に書く。種類(2.1 か 3.1 か、協定による別の文書か)。

6. 特別品質
B 2312・B 2313 で追加の試験・検査を求めるなら、附属書の項目名と判定基準。

受入では、継手の表示(材料の記号・大きさの呼び・ロングかショート・製造業者名)を発注書と照らす。小さい継手では表示の一部が省略されてよく、省略する順番も規格で決まっている(B 2311 ではロングかショートの別、径の呼び、材料の記号の順)[1]。表示が省かれた小径の継手は、包装の表示か検査文書でロット・材料を確かめる。

注文書の書き方の例を示す。「JIS B 2312 90E(L) PG370 100A×Sch40、20 個。検査証明書 3.1(JIS G 0415)を添付のこと。附属書 JA の浸透探傷検査を全数。割れは不可。線状・円形状・連続・分散の浸透指示模様の許容と探傷範囲は別紙で協定。」

よくある質問

白管の継手は、SGP の白管にそのまま溶接してよいですか

B 2311 の白管継手は溶融亜鉛めっきを施した継手である[1]。溶接するとめっきが焼けるので、溶接部の防食をどうするかは施工の側で決める。継手を買う立場では、白か黒かを配管の設計どおりに指定する。

B 2311 の継手でも検査証明書 3.1 をもらえますか

規格どおりなら、要求があった場合の文書は注文合格書 2.1 である[1]。3.1 が必要なら、それを出せるかを見積の段階で仕入先に確かめ、協定として発注書に書く。そもそも圧力のかかる配管なら、B 2312 か B 2313 の継手を使うべきかを設計部門に確かめる。

ねじ込み式の継手と、どちらを使えばよいですか

径・圧力・保守のしやすさで設計が決める。ねじ込み式の継手の指定はねじ込み式管継手(JIS B 2301・B 2302)の指定、フランジでつなぐ場合はJIS フランジ(JIS B 2220)の指定を参照してほしい。

まとめ

突合せ溶接式管継手は、低圧の一般配管用 JIS B 2311、継目無の B 2312、長手継目の B 2313 に分かれ、それぞれ組む鋼管の規格と対になっている[1][2][3]。発注書には規格番号・形状の記号(ロングかショートか)・材料の記号・径の呼びと厚さを書く。検査文書は求めないと来ず、B 2311 は注文合格書 2.1、B 2312・B 2313 は検査証明書 3.1 である[1][2][3][4]。耐圧の試験は代表品で行う形式検査なので、追加の検査は特別品質規定から指定する[2]。継手を溶接する作業の指定は溶接を含む部品の発注で指定することで扱っている。

同じ束では、O リング JIS B 2401 の呼び番号と溝の指定、ホースバンド・ホースクランプの指定、ゴムシート・ゴム板の発注も書いた。

出典・参考資料

  1. JIS B 2311:2024 一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 1 月 22 日改正)
  2. JIS B 2312:2024 配管用鋼製突合せ溶接式管継手(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 1 月 22 日改正)
  3. JIS B 2313:2024 配管用鋼板製突合せ溶接式管継手(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 1 月 22 日改正)
  4. JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品-検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)
  5. JIS G 3452:2026 配管用炭素鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2026 年 5 月 20 日改正)

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