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納品書・受領書・検収書の違い|支払期日は受領日から60日以内

この記事のポイント(結論先出し)
納品書・受領書・検収書は、似た書類だが証明していることが違う。納品書は「何を納めたか」、受領書は「受け取ったか」、検収書は「検査に合格したか」を示す。取適法では検査を行う場合に検査を完了する期日を発注時に明示する義務があり、支払期日は給付を受領した日から起算して 60 日以内に定めなければならない。書類の名前より、いつの日付で何が確定したかが実務を左右する。
目次
3 つの書類の違い
| 書類 | 出す人 | 証明していること | 日付の意味 |
|---|---|---|---|
| 納品書 | 納入する側 | 何を・いくつ納めたか | 出荷または納入の日 |
| 受領書 | 受け取る側 | 現物を受け取ったこと | 給付を受領した日(支払期日の起算点) |
| 検収書 | 受け取る側 | 検査に合格したこと | 検査を完了した日 |
混同されやすいのは受領書と検収書である。受け取っただけの状態と、検査して合格した状態は別である。不適合が見つかれば、受領はしたが検収はしていない、という状況になる。
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支払期日は「受領した日」から起算する
実務でいちばん効いてくるのがこの点である。取適法第 3 条は、製造委託等代金の支払期日について「委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日……から起算して、60 日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない」と定めている[1]。
条文に「検査をするかどうかを問わず」と明記されている点が重要である。検査の有無や検収の時期は、支払期日の起算に影響しない。
起算点は「受領した日」であって、検収した日ではない。したがって、検査に時間をかけて検収日を後ろにずらしても、支払期日の起算は動かない。「検収後 60 日」という条件は、受領から検収までの日数だけ支払いが遅れることになり、問題になりうる。
また、支払期日を定めなかった場合は給付を受領した日が、60 日を超えて定めた場合は受領した日から 60 日を経過した日の前日が、それぞれ支払期日とみなされる[1]。
検査をするなら、期日を発注時に明示する
取適法第 4 条の明示事項には、検査をする場合は、その検査を完了する期日が含まれる[1]。発注書に検査完了期日の欄がないテンプレートは多いが、検査を行う取引では明示が必要になる。
この期日を決めるには、社内の検査体制を把握しておく必要がある。「入荷後 1 週間以内」と書いたのに実際は月末にまとめて検査している、という状態では明示が形だけになる。発注書に書く前に、実際の運用と合わせておきたい。明示すべき 12 項目は発注書に明示しなければならない 12 項目で整理している。
納品書に書く項目
| 項目 | 書き方と理由 |
|---|---|
| 発注書番号 | これがないと相手が発注と突き合わせられない |
| 納品書番号 | 分納がある場合、何回目かが分かる形に |
| 納品日 | 出荷日と納入日が違う場合は両方書く |
| 品名・品番・図番 | 改訂記号まで。受入検査で照合される |
| 数量 | 今回納入分と、発注残があればその数量 |
| ロット番号・製造番号 | 不具合時の追跡に使う。成績書と対応させる |
| 同梱書類 | ミルシート・検査成績書の有無 |
| 納入場所 | 指定倉庫や直送先がある場合に必須 |
6 行目のロット番号は、後から効いてくる。不具合が出たとき、どのロットまで影響するかを絞り込めるかどうかで、対応の規模が変わる。
受領書と検収書を分けるべきか
実務では、納品書に受領印を押して返す形(納品書兼受領書)が多い。件数が少なければこれで足りる。分ける必要が出るのは、次の場合である。
受領と検査の間隔が長い
入荷してから検査まで日数がかかる取引では、受領日と検収日が離れる。支払期日の起算は受領日なので[1]、両方の日付を記録しておかないと支払管理ができない。
検査で不適合が出ることがある
受領はしたが一部が不合格、という状態を記録する必要がある。納品書兼受領書だけでは、合格数量を表せない。
支給材や預り品がある
自社の所有物を相手に預けている場合、受領の記録は所有権の移転と関係する。書類を分けたほうが管理しやすい。
電子でやり取りすると保存対象になる
納品書・受領書・検収書をメールや Web でやり取りする場合、その電子データは電子帳簿保存法の保存対象になる。国税庁は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合に保存が必要だとしており、受け取った場合だけでなく送った場合も対象になる[2]。
一方、紙で同梱されてきた納品書は電子取引データではない。データ化する義務はない[2]。紙と電子が混在する場合、どちらの経路で受け取ったかで扱いが変わる点に注意する。保存の具体的な方法は電子帳簿保存法の対応|システムなしで満たす方法で扱っている。
検収でよく起きる問題
検収が遅れて支払いが遅れる
前述のとおり、支払期日は受領日から起算する[1]。検収が遅れても支払期日は動かないため、社内で検収が滞ると支払遅延につながる。取適法は代金の支払遅延を禁止行為として挙げている[3]。検収のリードタイムは、支払サイトの設計に組み込んでおく。
検収の基準が担当者ごとに違う
外観の判定、寸法の測定箇所、成績書の確認範囲。基準が文書化されていないと、同じ品物でも担当者によって合否が変わる。受注側にとっては予測できない不合格になる。
不合格の連絡が遅い
検査で不適合が見つかったのに連絡が遅れると、相手はすでに次のロットを作っている。同じ不具合が繰り返されるだけでなく、対策の機会も失われる。
やり直しの範囲が曖昧
取適法は、不当な給付内容の変更および不当なやり直しを禁止行為として挙げている[3]。当初の仕様にない作業をやり直しとして求めれば、この論点に触れる。検査基準を発注時に明示しておくことが、双方の防御になる。
分納があるときの扱い
1 件の発注を複数回に分けて納入する場合、日付の管理が複雑になる。
納品書は納入ごとに出す
発注書番号は同じでも、納品書は納入回ごとに分ける。「3 回中 2 回目」「今回 100 個/発注残 200 個」のように、残数量が分かる形にしておくと、双方の管理が揃う。
支払期日は納入ごとに起算する
支払期日は給付を受領した日から起算する[1]。分納なら、各回の受領日がそれぞれの起算点になる。最終納入を待ってまとめて支払う運用は、初回分について 60 日を超える可能性がある。
検収も回ごとに行う
まとめて検収する運用にすると、初回納入分の検収が最終納入まで滞る。不具合が見つかったときの対応も遅れる。
受領書を電子化するときの実務
受領書は紙に押印して返す運用が根強い。電子化する場合、次を決めておく。
誰が受領を確定するか——現場で荷を受けた人か、検品後に担当者が確認してからか。運用によって受領日が変わる。
いつ相手に通知するか——受領の記録を自社内に持つだけでは、相手は届いたか分からない。通知の有無と方法を取り決める。
不足や破損があったとき——数量が足りない、輸送中に破損している場合の扱い。受領しないのか、受領したうえで別途処理するのかで記録が変わる。
紙との併存期間——一部の取引先だけ電子にすると、受領日の記録場所が二つになる。どちらを正とするかを決めておく。
支払サイトの考え方
支払サイトとは、締日から支払日までの期間を指す。「月末締め翌月末払い」であれば、最長で約 60 日になる。
取適法では、給付を受領した日から起算して 60 日以内、かつできる限り短い期間内に支払期日を定めなければならない[1]。月末締め翌月末払いは、月初に受領したものが約 60 日後の支払いになるため、期間の設計としてはぎりぎりである。締日の直後に受領した分が 60 日を超えないか、一度確認しておきたい。
さらに 2026 年 1 月施行の取適法では、手形払いが禁止され、電子記録債権等についても支払期日までに代金相当額満額を得ることが困難なものが禁止された[4]。振込手数料を中小受託事業者に負担させることも禁止されている[5]。支払条件を見直すなら、この 3 点をまとめて確認する。
よくある質問
納品書は必ず出さなければならないか
納品書の発行を義務づける法律はない。取引の慣行と、相手の受入手続に合わせて決める。ただし出さない場合、相手は何が届いたかを現物から判断することになり、数量違いや品違いの発見が遅れる。実務上は出したほうがよい。
納品書と請求書を兼ねてよいか
兼ねる運用(納品書兼請求書)は広く行われている。ただし分納がある取引では、納入ごとに請求が立つ形になる。締め請求にしている場合は分けたほうが管理しやすい。
検収書の代わりにメールで済ませてよいか
書式に決まりはないので、検収が完了したことと対象・数量・日付が分かればメールでも足りる。ただしその記録は電子取引データとして保存の対象になる。あとから「いつ検収したか」を示せる状態にしておく。
受領した日から支払期日を数える以上、いつ受け取り、いつ検査を終えたかを両方残すのが実務上は安全である。片方しか無いと、遅延の原因が納入側にあるのか検査側にあるのか分からなくなる。
受領印は誰が押すのか
社内で決めておく。荷受けの担当者が押す運用が多いが、その人が数量を確認していなければ、受領書の意味が薄れる。押印者と確認者を一致させるか、確認の手順を決める。
検収書を出さない取引先がいる
検収書の発行義務はないため、出さない取引先もある。その場合、自社の記録として検収日を残しておく。支払期日の起算は受領日なので[1]、検収書がなくても支払管理はできる。
納品書の日付と検収の日付がずれる
実務ではよくある。納品書は出荷または納入の日、検収書は検査が終わった日で、両者は一致しない。支払期日の起算に使うのは受領した日なので、検収に時間がかかっても支払期日が後ろにずれるわけではない。
ずれが大きい場合は、検査に何日かかっているかを測る。検査待ちの滞留は、相手にとっては入金までの待ち時間になる。工程として時間を見込んでおくか、検査の体制を見直すかの判断材料になる。
数量が違って届いたときの書類
納品書の数量を現物に合わせて訂正するのではなく、受領した数量を記録し、差分を別に処理する。不足なら追加納入か減額、過剰なら返品か追加発注になる。いずれも書類を分けておくと、後から経緯を追える。
訂正印で数字を書き換える運用は、電子でやり取りしている場合に再現できない。紙と電子で扱いが変わらない方法——受領数量を別に記録する——に揃えておくと、混在していても回る。
電子と紙が混ざっていて管理しづらい
電子でやり取りしたものだけが電子帳簿保存法の保存対象になる[2]。紙は紙で保管し、電子は要件を満たして保存する。無理に一方へ寄せるより、経路ごとに保存先を決めるほうが確実である。
まとめ
納品書・受領書・検収書は、証明している事実がそれぞれ違う。実務で重要なのは書類の名前ではなく日付である。支払期日は受領した日から起算し、60 日以内かつできる限り短い期間で定める[1]。検査をするなら、その完了期日を発注時に明示する[1]。
電子でやり取りすればいずれも保存対象になる[2]。書類を減らすより、どの日付がどこに記録されるかを整理するほうが、結果的に事務は軽くなる。
分納がある取引では、この整理がとくに効いてくる。納入ごとに受領日が立ち、それぞれが支払期日の起算点になる[1]。最終納入までまとめて処理する運用になっていないか、一度確認しておきたい。
取適法では 2026 年 1 月から手形払いが禁止され、振込手数料の中小受託事業者負担も禁止された[4][5]。支払条件を見直すなら、支払期日の起算・支払手段・手数料の負担を同時に点検するのが効率的である。
出典・参考資料
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
- 電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください【令和 6 年 1 月以降用】(国税庁/令和 5 年 7 月)
- 取適法・振興法(公正取引委員会)
- 2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!(取適法リーフレット)(公正取引委員会)
- 中小受託取引適正化法(取適法)関係(公正取引委員会)
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