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投稿日:2026年10月16日

ワイヤロープ JIS G 3525 の種類と指定——構成記号・より方・破断力とクレーン則の安全係数

この記事のポイント(結論先出し)

一般用ワイヤロープの JIS G 3525 は、ロープの呼び方を構成記号・めっきの有無・グリースの種類・より方とより方向・種別(または破断力)・公称径・長さで決めている[1]。「ワイヤロープ 10 mm」では構成も種別も決まらず、同じ径でも、構成と種別の組合せによっては最小破断力が 1.5 倍以上違う(公称径 10 mm で 40.6〜71.1 kN)。破断力の規格値は表の最小値で、試験成績表は注文者が求めたときに提出される[1]。安全率について法令が数値で定めているのは、クレーン等安全規則の玉掛け用ワイヤロープの安全係数 6 以上(切断荷重÷かかる荷重の最大値)と、使ってはならないロープの条件である[2]。巻上げ用ロープの安全率はクレーン構造規格が使い方に応じて定めており、記事では数値を書かない[3]。

「ワイヤロープ 10 mm」で手配すると、何が決まっていないか

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ワイヤーロープ(規格の表記はワイヤロープ)は、径と長さだけで手配されがちな部品である。だが JIS G 3525 は、ロープの呼び方を、ロープの構成記号、めっきの有無、グリースの種類、より方及びより方向、種別又は破断力、公称径及び長さで表すと定め、例として「6×WS(31) O/O B種 16 mm 500 m」を挙げている[1]。この例は、ウォーリントンシール形 31 本線 6 より、裸、赤グリース、普通 Z より、B 種、公称径 16 mm、長さ 500 m のロープを表す[1]。

呼び方の項目が一つ抜けるたびに、同じ「10 mm」でも別のロープが来る。構成が違えば柔らかさと破断力が違い、種別が違えば破断力が違い、めっきの有無で使える環境が違う。発注書は、規格の呼び方の並びで書く。

規格の適用範囲は、機械、エレベータ、建設、船舶、漁業、林業、鉱業、索道などに用いる一般用ワイヤロープで、異形線ワイヤロープ、航空機用、操作用、構造用のワイヤロープには適用しない[1]。JIS G 3525:2013 は ISO 2408:2004 と ISO 4344:2004 を基に技術的内容を変更して作った規格で、対応の程度は MOD である[1]。

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構成記号——ストランドの数と、ストランドの中の素線の並べ方

ワイヤロープは、素線(鋼線)をより合わせたストランドを、さらに心綱のまわりにより合わせて作る。JIS G 3525 の構成は 24 種類で、表 1 に呼びと構成記号と断面図が並ぶ[1]。構成記号の読み方は次のとおりである。

6×19、6×37 のような数字は、ストランドの数×ストランド 1 本あたりの素線の数である。6×7、6×19、6×24、6×37 は、ストランド内の各層の素線が点接触する交差よりで、規格では繊維心と組み合わせる[1]。

S・W・Fi・WS の記号は、ストランド内の各層素線が線接触する平行よりの形式を表す。S はシール形、W はウォーリントン形、Fi はフィラー形、WS はウォーリントンシール形で、たとえば 6×WS(36)はウォーリントンシール形 36 本線 6 よりである[1]。フィラー形のフィラー線は、ストランドの内外層素線の間の空隙を埋める素線である[1]。

IWRC は、ロープの中心に 7×7 のロープを入れたロープ心入りであることを示す[1]。繊維心は良質の合成または天然の繊維で、特に指定がなければ適度にグリース類を含ませる[1]。熱やつぶれに強い心が要るのか、柔らかさが要るのかで、繊維心と IWRC を選び分ける。どちらが要るかは使い方によるので、装置の製造業者やロープの製造業者と決める。

普通よりとラングより

より方は、ロープのより方向とストランドのより方向の組合せである。両者が反対方向なのが普通より、同じ方向なのがラングよりで、それぞれに Z よりと S よりがある[1]。規格は、ロープのより方向を通常 Z よりとし、ロープ心やストランド心のより方向は通常ロープのより方向と同じにするとしている[1]。表 27 の表示記号では、斜線の後ろが O なら普通 Z より、S なら普通 S より、L ならラング Z より、LS ならラング S よりである[1]。既存の装置の交換品を手配するときは、外したロープのより方向を写しておく。

種別と破断力——同じ 10 mm でも 40.6〜71.1 kN

種別は、ロープ破断力の算出の基礎になる素線の公称引張強さの区分で、E 種 1 320、G 種 1 470、A 種 1 620、B 種 1 770、T 種 1 910(いずれも N/mm2)の 5 種類がある[1]。G 種はめっきだけ、T 種は裸だけで、E 種は外層ストランドの最外層素線の公称引張強さを内層より低くしたデュアルテンサイルロープである[1]。どの構成とどの種別とめっきの有無を組み合わせられるかは表 3 で決まっていて、全部の組合せが規格にあるわけではない[1]。

ロープの破断力は、表 4〜表 20 の値以上でなければならない[1]。表の値は「破断力(最小値)」で、構成・より方・めっきの有無・種別・公称径ごとに並んでいる。公称径 10 mm で比べると、同じ径でも次のように違う。

構成記号 より方・めっき・種別 公称径 破断力(最小値) 概算単位質量(参考)
6×7 普通より・めっき・G 種 10 mm 52.8 kN 0.371 kg/m
6×19 普通より・めっき・G 種 10 mm 50.2 kN 0.364 kg/m
6×19 普通より・裸・A 種 10 mm 54.0 kN 0.364 kg/m
6×24 普通より・めっき・G 種 10 mm 45.8 kN 0.332 kg/m

JIS G 3525:2013 の表 4・表 5・表 6 から公称径 10 mm の行だけを抜き出したもの[1]。他の構成・径・種別は規格の表を見る。

この 4 行の中でも、45.8 kN と 54.0 kN では 2 割近い差がある。表 4〜表 20 の全体で公称径 10 mm の行を見ると、最も小さいのは表 19 の 8×S(19)など E 種の 40.6 kN、最も大きいのは表 16 の IWRC 6×Fi(29)裸・T 種の 71.1 kN で、約 1.75 倍になる[1]。径だけで手配して、届いたロープの構成が前回と違えば、それだけで安全係数が変わる。逆に、交換品で構成や種別を変えるなら、変えた後の最小破断力で安全係数を計算し直す。

破断力の値は「試験したもの」とは限らない

規格の破断力試験は、ロープの両端をホワイトメタルや亜鉛などで円すい形に固めるなどして引張試験機に取り付け、破断までの最大試験力を測る[1]。一方で規格は、ロープ破断力を附属書 JB によって素線の集合破断力から算出してもよいとしている。この方法を使った場合は、試験結果を記載した成績表に、集合破断力から算出したことを記載する[1]。成績表を受け取ったら、破断力がロープの試験値か計算値かを確かめる。

そして、その成績表は自動では付いてこない。JIS G 3525 の箇条 16 は、注文者から要求があった場合に、製造業者が試験の結果を記載した成績表を提出すると定めている[1]。安全係数の計算や監査で破断力の根拠が要るなら、発注時に成績表の提出を求める。

径の許容差と、受入で確かめること

ロープの実際径の許容差は、公称径 10 mm 未満で 0〜+10 %、10 mm 以上で 0〜+7 % の、プラス側だけの許容差である[1]。実際径は、試験片の中央部付近の 2 か所以上、または同一断面の 2 方向以上で外接円の直径をノギスで測り、その平均とする。最小破断力の 5 % に相当する引張力をかけて測ってもよい[1]。新品のロープは公称径より太いことが多いので、受入のときに実際径を測って記録しておくと、使っているうちの径の減り方を追える。

表示は 1 条ごとに、規格番号(JIS G 3525)、ロープの呼びまたは構成記号、めっきの有無、グリースの種類、より方とより方向、種別または破断力、公称径と長さ、製造業者名、製造年月を、容易に消えない方法で表示する[1]。受入では、この表示が発注書の呼び方と一致しているかを照合する。包装は、注文者の指示がない限り、製造業者の判断でコイル巻きか木枠などのリール巻きで供給し、輸送中の水分やほこりから紙などで保護する[1]。リールの大きさや巻き方向に指定があるなら、発注書に書く。

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めっきロープを使うなら、亜鉛付着量も規格にある。より合わせ後のめっき素線の亜鉛付着量は、素線径と種別ごとに表 22 の値以上である[1]。屋外や湿気の多い場所で使うなら、めっきの有無を呼び方で明示する。

安全係数——法令が数値で定めているのは玉掛け用

ワイヤロープの安全率について、法令が数値で定めているものを確かめておく。クレーン等安全規則の第 213 条は、事業者は、クレーン、移動式クレーンまたはデリックの玉掛用具であるワイヤロープの安全係数が 6 以上でなければ使用してはならないとし、安全係数を、ワイヤロープの切断荷重の値を、そのワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値と定めている[2]。同じ規則は、玉掛用具のフックとシャックルの安全係数を 5 以上としている[2]。

計算の例を示す。条文の切断荷重を JIS の表の最小破断力で置くとすると、6×19 普通より・裸・A 種・公称径 10 mm の最小破断力 54.0 kN を 6 で割った 9.0 kN が、1 本のロープにかけてよい荷重の最大になる[1][2]。ここで言う荷重は、つり荷の質量ではなく、そのロープ 1 本にかかる力である。2 本づりでつり角度が付くと、力のつり合いから 1 本あたりの張力は荷重の半分より大きくなる。どの値を切断荷重として使うか(規格の最小値か、成績表の値か)と、つり方による張力の増え方の扱いは、自社の安全担当と決めておく。

つり方について、厚生労働省の「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」は、玉掛用具の選定にあたっては必要な安全係数を確保するか、定められた使用荷重等の範囲内で使用することとし、つり角度は原則として 90 度以内としている[4]。目通し部を深しぼりする場合は通常の 2 倍から 3 倍、あや掛けつりの交差部には通常の 2 倍程度の張力が作用するものとして玉掛用具を選ぶよう求めている[4]。玉掛け用のワイヤロープを購入するときは、どのつり方で使うかを仕様書に書くと、径と構成を選び直す根拠になる。

巻上げ用ロープの安全率は、クレーン構造規格が使い方で決める

クレーンの巻上げ用ワイヤロープの安全率は、玉掛け用の 6 のような一つの数字ではない。愛媛労働局のリーフレットは、クレーン構造規格がワイヤロープの安全率を、主に「ワイヤロープの種類」「つり上げ装置等の使用時間」「常態として定格荷重の何パーセント程度の荷をつるクレーンか」から定めている(第 54 条及び別表第 3)と説明している[3]。この記事では別表の数値を書かない。巻上げ用ロープの交換品を手配するときは、装置の製造業者が設計で使った安全率と、ロープの構成・種別を、取扱説明書や仕様書で確かめる。

同じリーフレットは、管内で令和 2 年 6 月以降、年に 1 回以上の頻度でクレーンのワイヤロープ等の切断事故が起きており、その多くが金属部分の減肉や心綱部分の錆などによるもので、オーバー荷重で切断した事例はなく、点検・管理が不十分なケースが多いとしている[3]。そのうえで、新しくクレーンを設置するときは、実際の使用状況を反映した安全率に基づいてワイヤロープを選ぶよう求めている[3]。設置したときの想定より使用時間が長い、重い荷をつる頻度が高い、という使い方の変化は、ロープの交換時期と安全率の両方に効く。

使ってはならないロープと、点検の記録

クレーン等安全規則の第 215 条は、玉掛用具として使ってはならないワイヤロープを四つ挙げている[2]。

1. 素線が切れている
ワイヤロープ 1 よりの間で、素線(フィラ線を除く)の数の 10 パーセント以上の素線が切断しているもの。

2. 径が減っている
直径の減少が公称径の 7 パーセントをこえるもの。

3. キンクしている
キンクしたもの。

4. 形が崩れている・腐食している
著しい形くずれまたは腐食があるもの。

エンドレスでないワイヤロープは、両端にフック、シャックル、リングまたはアイを備えていなければ玉掛用具として使えず、アイはアイスプライスか圧縮どめ、またはこれらと同等以上の強さを保つ方法による[2]。玉掛け作業を行うときは、その日の作業を始める前にワイヤロープ等の異常の有無を点検し、異常があれば直ちに補修する[2]。クレーン本体の定期自主検査では、1 月以内ごとに 1 回の検査項目にワイヤロープとつりチェーンの損傷の有無が入り、自主検査と点検(作業開始前の点検を除く)の結果は記録して 3 年間保存する[2]。

滋賀労働局のリーフレットは、クレーンの巻上用ワイヤーロープやリンクチェーン(つりチェーン)が破断して荷が落ちる事故が続いたことを受けて、巻過防止装置が働かず過巻による過負荷でロープが破断した事例などを挙げ、点検と部品の交換を適切に行うよう求めている[5]。購買の立場でできるのは、交換用ロープの呼び方と在庫を切らさないこと、そして交換の判断基準(どこまで減ったら替えるか)を、保全の担当と装置の製造業者の資料で決めておくことである。

よくある質問

前回と同じロープを手配したいが、手元には径と長さしか分からない

外したロープ(または在庫の残り)の表示や包装の記載を見る。規格品なら 1 条ごとに構成記号・めっきの有無・グリース・より方・種別・公称径・長さが表示されている[1]。表示が残っていなければ、ストランドの数と素線の数、心が繊維か IWRC か、より方向を現物で確かめ、装置の製造業者の部品表と照合する。

海外製のロープを ISO の規格品として提案された

JIS G 3525 は ISO 2408 と ISO 4344 を基に修正した規格なので、構成記号の考え方は共通する部分が多いが、種別の区分や破断力の表がそのまま一致するとは限らない[1]。提案品の最小破断力で安全係数を計算し直し、成績表を求める。材料の置き換えの進め方は同等材の指定と承認に書いた。

めっきロープと裸ロープ、どちらが強いか

表の値で比べると、6×19 普通より 10 mm では、めっき・G 種が 50.2 kN、裸・A 種が 54.0 kN である[1]。これはめっきの有無そのものより、組み合わせる種別(公称引張強さ)の違いが大きい。めっきロープにも A 種・B 種の組合せがある構成があるので、表 3 で組合せを確かめて選ぶ[1]。

玉掛け用の安全係数 6 は、巻上げ用にも使ってよいか

第 213 条の 6 以上は、クレーン、移動式クレーン、デリックの玉掛用具であるワイヤロープについての規定である[2]。巻上げ用ロープの安全率はクレーン構造規格が別に定めている[3]。どちらのロープかで根拠が違うので、仕様書には用途を書く。

まとめ

ワイヤロープを JIS G 3525 で指定するときは、構成記号・めっきの有無・グリース・より方とより方向・種別(または破断力)・公称径・長さを、規格の呼び方の並びで書く[1]。同じ公称径でも構成と種別の組合せで最小破断力が 1.5 倍以上違うことがある(公称径 10 mm で 40.6〜71.1 kN)ので、径だけでは安全係数が決まらない。破断力の成績表は注文者が求めたときに提出されるもので、集合破断力からの計算値のこともある[1]。法令が数値で定めているのは、玉掛け用ワイヤロープの安全係数 6 以上と、使ってはならないロープの条件である[2]。巻上げ用ロープの安全率はクレーン構造規格が使い方に応じて定めており、装置の設計条件で確かめる[3]。

購買仕様書全体の書き方は購買仕様書の書き方へ。つり荷の側の金具はアイボルト(JIS B 1168)の規格と使い方、伝動用のチェーンはローラチェーン(JIS B 1801)の呼び番号と選び方で扱う。受入の判定の取り決め方はピンゲージと限界ゲージの記事に、計算に使う材料の値の出典のそろえ方はヤング率などの材料定数の記事に書いた。

出典・参考資料

  1. JIS G 3525:2013 ワイヤロープ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2013 年 11 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  2. クレーン等安全規則(昭和四十七年労働省令第三十四号)第 34 条・第 35 条・第 38 条・第 213 条〜第 220 条(e-Gov 法令検索(デジタル庁)/2026 年 4 月 1 日施行の版で確認)
  3. クレーンのワイヤロープ等の切断事故が多発しています!(厚生労働省・愛媛労働局・新居浜労働基準監督署/令和 6 年 7 月 1 日)
  4. 玉掛け作業の安全に係るガイドラインの策定について(基発第 96 号)(労働省労働基準局長/平成 12 年 2 月 24 日)
  5. クレーンの安全管理を見直そう!(滋賀労働局・各労働基準監督署)

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