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投稿日:2026年10月16日

ステンレス鋼管 JIS G 3459・G 3446 の違い——配管用と機械構造用、SUS304TP の指定

この記事のポイント(結論先出し)

ステンレス鋼管の JIS は用途で分かれている。JIS G 3459 は耐食用・低温用・高温用・消火用などの配管に用いる管で、記号は SUS304TP のように「TP」が付く[1]。JIS G 3446 は機械・自動車・家具・器具などの機械部品と構造物に使う管で、記号は SUS304TKA のように「TKA」「TKC」が付く[2]。G 3459 は寸法を呼び径とスケジュール番号の表で決め、水圧試験か非破壊試験を必ず行う[1]。G 3446 は寸法を受渡当事者間で協定し、水圧試験は規格の試験に含まれず、注文者の指定で行う場合がある[2]。どちらの規格も、検査文書は特に指定のない限り提出され、種類は指定がなければ検査証明書 3.1 になる[1][2]。

ステンレスのパイプを買うとき、仕入先から「TP ですか、TKA ですか」と聞かれることがある。同じ SUS304 の管でも、どの規格で注文するかで寸法の決まり方、試験、許容差が変わる。この記事は、JIS G 3459 と JIS G 3446 の違いと、SUS304TP を指定するときに発注書に書く項目をまとめる。給水・給湯用の薄肉の管の規格(JIS G 3448)との違いにも触れる。

JIS G 3459 は配管用、JIS G 3446 は機械構造用

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JIS G 3459「配管用ステンレス鋼鋼管」は、耐食用、低温用、高温用、消火用などの配管に用いるステンレス鋼鋼管について規定する[1]。注記で、通常は外径 10.5 mm(呼び径 6A または 1/8B)から 660.4 mm(呼び径 650A または 26B)の管に適用されているとしている[1]。種類は 34 種類で、オーステナイト系の SUS304TP・SUS304LTP・SUS316LTP など、オーステナイト・フェライト系の SUS329J4LTP など、フェライト系の SUS430TP などがある[1]。

JIS G 3446「機械構造用ステンレス鋼鋼管」は、機械、自動車、自転車、家具、器具、その他の機械部品および構造物に使用するステンレス鋼鋼管について規定する[2]。種類は 32 種類で、SUS304TKA・SUS316TKA のほか、快削の SUS303TKA、マルテンサイト系の SUS410TKA・SUS420J2TKA・SUS440CTKA、析出硬化系の SUS630TKA など、配管用にはない鋼種が入っている[2]。

記号の「TKA」と「TKC」は、製管方法と熱処理で分かれている。JIS G 3446 は、SUS304TKC・SUS316TKC・SUS430TKC などの製管方法を電気抵抗溶接・自動アーク溶接・レーザ溶接に限り、熱処理を製造のままとしている[2]。TKA は継目無管も溶接管もあり、SUS304TKA なら固溶化熱処理(1 010℃ 以上、急冷)を行う[2]。

給水・給湯・排水・冷温水・消火用水などの配管には、もう一つ JIS G 3448「一般配管用ステンレス鋼鋼管」がある[3]。外径 9.52 mm(呼び方 8Su)から 318.5 mm(呼び方 300Su)の管に適用され、記号は SUS304TPD のように「TPD」が付く[3]。建物の給水配管で使う薄肉の管はこちらで、呼び方の体系も JIS G 3459 と違う。

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三つの規格を並べると

項目 JIS G 3459(配管用) JIS G 3446(機械構造用) JIS G 3448(一般配管用)
記号の例 SUS304TP SUS304TKA/SUS304TKC SUS304TPD
種類の数 34 32 4
寸法の決め方 呼び径とスケジュール番号(Sch5S〜Sch160)の表 受渡当事者間の協定 呼び方(8Su〜300Su)の表
漏れ・欠陥の試験 水圧試験か非破壊試験のどちらかを必ず行う。どちらかは注文者の指定、なければ製造業者の選択 規格の試験には含まれない。注文者の指定で押し広げ試験や水圧試験を行う場合がある 水圧 2.5 MPa・空気圧 0.6 MPa・渦電流探傷のいずれか。加えて耐圧性能 3.5 MPa
外径の許容差 冷間仕上げ継目無管・溶接管は 30 mm 未満 ±0.3 mm、30 mm 以上 ±1% 熱間仕上げ継目無管は 1号。それ以外は 1号〜4号の区分から協定で選ぶ 寸法の表に規定
検査文書 特に指定のない限り提出。指定がなければ 3.1 特に指定のない限り提出。指定がなければ 3.1 特に指定のない限り提出。指定がなければ 3.1

表の内容は各規格による[1][2][3]。JIS G 3448 の 4 種類は SUS304TPD、SUS315J1TPD、SUS315J2TPD、SUS316TPD である[3]。JIS G 3448 は耐圧性能の試験について、水道法では給水装置として使用する管に耐圧性能試験を規定している、と注記している[3]。

機械的性質は同じでも、試験と寸法が違う

同じ SUS304 なら、規格値の強度はどちらの規格でも同じである。JIS G 3459 の SUS304TP も、JIS G 3446 の SUS304TKA も、引張強さ 520 N/mm² 以上、耐力 205 N/mm² 以上と規定されている[1][2]。低炭素の SUS304LTP・SUS304LTKA はどちらも引張強さ 480 N/mm² 以上、耐力 175 N/mm² 以上である[1][2]。

違いが出るのは試験と寸法である。

JIS G 3459 は水圧試験か非破壊試験を必ず行う

JIS G 3459 は、管は水圧試験か非破壊試験を行い、いずれの特性によるかは注文者の指定により、指定がない場合は製造業者の選択とするとしている[1]。注文者が試験圧力を指定しない場合の水圧試験下限圧力は、スケジュール番号ごとに Sch5S が 1.5 MPa、Sch10S が 2.0 MPa、Sch20S が 3.5 MPa、Sch40 が 6.0 MPa と決められている[1]。非破壊試験は、超音波探傷試験・渦電流探傷試験・放射線透過試験のいずれかで、それぞれ判定の基準が規定されている[1]。

この水圧試験の圧力は製造時の試験の値で、使ってよい圧力ではない。JIS G 3459 の本文には、使用圧力を定める規定はない[1]。どの圧力・温度まで使えるかは、その設備に適用される法令や基準と設計で決まる。炭素鋼の配管用鋼管 SGP の場合も同じで、SGP の発注での指定で扱っている。

非破壊試験で受けるか水圧試験で受けるかを決めていないと、製造業者が選ぶ。社内の品質の取り決めや顧客の要求で「水圧試験済み」が必要なら、発注書に書く。

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JIS G 3446 は寸法と許容差の区分を注文者が示す

JIS G 3446 は、寸法は受渡当事者間の協定によるとしている[2]。そのうえで、注文者は注文時に少なくとも、種類の記号、製管方法および仕上げ方法、寸法、熱間仕上げ継目無鋼管以外の場合は寸法許容差の適用区分を、製造業者、加工業者または中間業者に提示しなければならないとしている[2]。

外径の許容差は 1号から 4号まであり、たとえば 3号は外径 25 mm 以上 40 mm 未満で ±0.15 mm、1号は 50 mm 未満で ±0.5 mm である[2]。注で、冷間仕上げ以外の溶接鋼管には通常 1号を、固溶化熱処理を行った管には通常 4号を適用するとしている[2]。厚さの許容差も 1号から 3号に分かれている[2]。どの号で受けるかを書かないと、許容差が決まらないまま発注することになる。

JIS G 3446 は、規格で規定する試験以外に、注文者の指定によって押し広げ試験や水圧試験が行われる場合があり、その場合は試験項目・試料の採り方・試験方法・合否判定基準などを事前に受渡当事者間で協定する、と注記している[2]。機械構造用の管を流体の通る部品に使うなら、この協定がないかぎり漏れの試験は行われない。

SUS304TP を指定するときに書くこと

呼び径・スケジュール番号と外径

JIS G 3459 の寸法表では、たとえば呼び径 25A(1B)の外径は 34.0 mm で、厚さは Sch5S が 1.65 mm、Sch10S が 2.8 mm、Sch20S が 3.0 mm、Sch40 が 3.4 mm である[1]。「25A」は外径 25 mm ではない。図面に外径と厚さで書かれた管を JIS G 3459 で受けるなら、呼び径とスケジュール番号に読み替えられるかを確かめる。表にない寸法は受渡当事者間の協定によってもよいとされている[1]。

製管方法の記号

JIS G 3459 は、製管方法を継目無し(S)・自動アーク溶接(A)・レーザ溶接(L)・電気抵抗溶接(E)、仕上方法を熱間仕上げ(H)・冷間仕上げ(C)・溶接部加工仕上げ(B)・電気抵抗溶接まま(G)の記号で表している[1]。継目無管と溶接管では価格が大きく違うので、どちらでもよいのか、継目無しに限るのかを発注書で決める。

溶接管の厚さの許容差には、溶接ビードの扱いの決まりがある。JIS G 3459 は、レーザ溶接や電気抵抗溶接で溶接ビードを切削しない場合には厚さの許容差の下限値だけを適用し、自動アーク溶接の場合は溶接ビードに許容差の上限値を適用しないとしている[1]。自動アーク溶接の溶接ビード高さは、外面・内面とも 3.0 mm 以下とされている[1]。内面の滑らかさが要る用途では、ビードの処理を別に指定する。

管端と長さ

JIS G 3459 は、管端形状は特に指定のない場合はプレンエンドとし、注文者がベベルエンドを指定する場合の形状は受渡当事者間の協定によるとしている[1]。長さに指定がある場合、長さの許容差はマイナス側 0 mm で、プラス側は規定していない[1]。

鋼種:溶接するなら L 材を検討する

ステンレス協会の解説は、溶接の熱影響部などおよそ 550〜900℃ に加熱された部分でクロムと炭素が結合して粒界腐食が起こること、対策として固溶化熱処理のほか、炭素量を減らした低炭素鋼(SUS304L など)の採用が有効であることを示している[4]。現場で溶接して腐食環境で使う配管なら、SUS304TP ではなく SUS304LTP を指定する理由がある。鋼種全体の選び方はステンレスの発注で指定することで、塩化物の環境で二相ステンレスに替える判断は二相ステンレス SUS329J4L の選び方で扱う。

ミルシートは指定がなくても出る。見る値を決めておく

鋼管の三つの規格(JIS G 3448 を含む)は、報告をどれも同じ形で決めている。注文者が何も書かなくても製造業者は検査文書を出すことになっていて、種類を書かなければ JIS G 0415 の検査証明書 3.1 が出てくる[1][2][3]。材料の規格の中には「注文者から要求がある場合」に提出するとしているものもあるが、この 3 規格はそうではない。

JIS G 0415 は、中間業者は注文者の要求があるとき、製造業者の検査文書の原本か複製を修正や追加をせずに提出しなければならず、製品の識別・寸法・数量に変更を加えた場合は新しい条件に適合する旨の追加文書を提出しなければならないとしている[5]。管を切断して小分けで買う場合は、切断後の管と元の検査文書の対応がたどれるかを見る。

受入で見る値をまとめる(当方の提案)。

  1. 規格番号と種類の記号(TP か TKA か、L 材か)
  2. 製管方法の記号(継目無しか溶接か)
  3. 寸法(呼び径・スケジュール番号、または外径・厚さと許容差の号)
  4. 水圧試験か非破壊試験の実施と結果(JIS G 3459 の場合)
  5. 化学成分(L 材なら炭素の値)と機械的性質

検査文書の区分の違いはEN 10204 のミルシート区分で扱っている。管の質量の見積もり方は鋼材の重量の計算が参考になる。JIS G 3446 は単位質量の算出式に、SUS304TKA などで基本質量 7.93、SUS316TKA などで 7.98 を使っている[2]。

どちらの規格で注文するかの決め方

判断の目安をまとめる(当方の提案)。

  1. 流体を通す配管で、設備の法令・基準や顧客の仕様が JIS G 3459 を求めている → JIS G 3459(TP)
  2. 建物の給水・給湯の配管 → JIS G 3448(TPD)。呼び方の体系が違うので継手と合わせて選ぶ
  3. 機械部品・構造物で、外径の精度や鋼種(SUS303・SUS440C など)が必要 → JIS G 3446(TKA・TKC)
  4. 機械構造用の管に流体を通す → JIS G 3446 で受けるなら、水圧試験などを協定で追加する

図面に「SUS304 パイプ φ34×2.8」としか書いていない場合、仕入先は手持ちの在庫で判断する。用途と必要な試験を伝えて、規格番号を決めてから発注する。継手やフランジとの組み合わせはJIS フランジの指定とねじ込み式管継手の指定で扱っている。

高温で使う部品の材料(棒・板)としてのインコネル(NCF600・NCF718)の発注も同じ束で書いた。

よくある質問

Q. SUS304TP と SUS304TKA は混ぜて使ってよいか。
A. 規格値の強度は同じだが、JIS G 3459 は水圧試験か非破壊試験を必ず行い、JIS G 3446 は行わない。寸法の決め方と許容差も違う。配管として使う部分を TKA で受けるなら、漏れの試験を協定で追加するか、設計者に確かめる。

Q. 水圧試験の圧力まで使ってよいか。
A. 水圧試験の下限圧力は製造時の試験の値で、使用圧力ではない。JIS G 3459 に使用圧力を定める規定はない。使える圧力は設備の法令・基準と設計で決まる。

Q. ミルシートを頼み忘れた。
A. JIS G 3459・G 3446・G 3448 は、特に指定のない限り検査文書を提出するとしている。届いていなければ仕入先に求める。商社経由なら、製造業者の検査文書の原本か複製を求める。

Q. 外径の許容差が図面より緩い管が届いた。
A. JIS G 3446 の管なら、発注時にどの号の許容差を指定したかを確かめる。熱間仕上げ継目無管なら 1 号が適用される。それ以外の管で号を書いていなければ、規格上は協定のない状態である。次の注文から号を発注書に書く。

まとめ

JIS G 3459 は配管用で記号に TP が付き、寸法は呼び径とスケジュール番号の表で決まり、水圧試験か非破壊試験を必ず行う。JIS G 3446 は機械構造用で記号に TKA・TKC が付き、寸法と許容差の区分を注文者が示し、水圧試験は協定で行う場合がある。給水・給湯の配管には JIS G 3448(TPD)がある。SUS304TP を指定するときは、呼び径・スケジュール番号、製管方法、試験の種類、管端、長さを書き、溶接して腐食環境で使うなら L 材を検討する。検査文書は三つの規格とも特に指定のない限り提出され、指定がなければ検査証明書 3.1 になる。

出典・参考資料

  1. JIS G 3459:2021 配管用ステンレス鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2021 年 4 月 20 日改正)
  2. JIS G 3446:2022 機械構造用ステンレス鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 5 月 20 日改正)
  3. JIS G 3448:2022 一般配管用ステンレス鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 5 月 20 日改正)
  4. ステンレスの耐食性と腐食現象について(Q&A)(一般社団法人ステンレス協会)
  5. JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品-検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)

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