- お役立ち記事
- エクセルの品目表をシステムに取り込む前に直すこと——品番の揺れ・単位・重複
エクセルの品目表をシステムに取り込む前に直すこと——品番の揺れ・単位・重複

この記事のポイント(結論先出し)
エクセルの品目表をシステムに取り込むと、たいてい 2 か所で止まる。表の作り(結合セル・空白行・1 セルに 2 つの値)と、値の揺れ(品番・単位・単価の書き方)である。人が目で読むために整えた表は、機械が 1 行ずつ読む形になっていない。総務省が政府統計向けに定めた表記のルールは、1 セル 1 データ、結合セルを使わない、単位は別のセルに書く、機種依存文字を使わない、といった点を挙げており、品目表にもそのまま当てはまる。取り込む前に直すのは、表の形 → 品番の揺れ → 単位 → 重複 → 単価・税区分・日付の列の順にするとやり直しが少ない。もう一つ、取り込みの機能が「新しい品番を足すだけ」なのか「既にある品番も書き換えるのか」を先に確かめる。品目数が少なく担当が 1 人なら、表の形を整えるだけで当面は十分なこともある。
目次
取り込みで止まるのは「表の作り」と「値の揺れ」の二つ
購買の現場で使われてきた品目表は、たいてい人が見やすいように作られている。分類ごとに見出し行を挟み、同じ分類の行は上のセルだけに分類名を書き、単価のセルには「1,200円」「別途」「要見積」が混ざる。品番は人によって全角で打たれたり、ハイフンの種類が違ったりする。担当者が目で読む分には困らないので、何年もこのまま回ってきた。
システムの取り込み機能は、表を 1 行ずつ、決まった列の意味で読んでいく。見出し行は「品番のない品目」として弾かれ、空欄の分類は「分類なし」として入り、「1,200円」は数値として読めずにエラーになるか、0 として入る。表の作りの問題と、値の揺れの問題は、直し方が違う。先に表の形を直し、そのあとで値を揃えるのが手戻りの少ない順番である。
品目マスタにどの項目を持つか、どこまで仕様を入れるかは、この記事の前に決めておくことになる。持つ項目の決め方は品目マスタをエクセルから移すときに揃える項目に、仕様の置き場所は品目仕様をどこまでマスタに持つかに分けて書いた。ここでは、決めた項目に合わせて手元の表を「読める形」にする作業だけを扱う。
先に表の形を直す
総務省は、各府省が政府統計の窓口に載せる統計表について、機械が読める形にするための表記のルールを定めている[1]。統計表のためのルールだが、チェック項目の多くは「エクセルの表を、ソフトがそのまま読める形にする」ための注意で、品目表にもそのまま使える。
1 行 1 品目、1 セル 1 データにする
ルールのうち、データと項目の扱いについての最初のチェック項目は「1 セル 1 データ」である。1 つのセルに複数のデータが入っていると、計算や並べ替え、コピーやグラフ化のたびに手作業が要る、という理由が書かれている[1]。品目表でよくあるのは、品名のセルに材質や寸法をまとめて書く形(「ブラケット SPCC t1.6」)と、備考のセルに最小発注数やリードタイムを書き込む形である。システム側に材質やリードタイムの欄があるなら、取り込む前に列を分けておく。欄が無いなら、品名に残すか備考に残すかを決め、品目ごとに書き方を変えない。
結合セル・空白行・見出しの省略をやめる
同じルールは、セルを結合しないこと、体裁のためのスペースや改行を入れないこと、項目名などを省略しないこと、空白の行や列で表を分断しないこと、1 枚のシートに複数の表を載せないことを求めている[1]。省略の例として、同じ名称を空白で省略した表は「レコードとして成り立っていない」と書いている[1]。品目表で言えば、分類名を先頭の行にだけ書いて下の行を空けた形がこれに当たる。空いたセルには、上と同じ分類名を全部の行に書き入れる。分類ごとに挟んだ見出し行と合計行は消す。
数式は値にしてから書き出す
単価や換算後の数量を数式で出している表は、並べ替えをしたときに参照先がずれて、正しい値が表示されなくなることがある。ルールも、数式を使っている場合はセルの値を数値データに直すよう求めている[1]。取り込み用のファイルは、元の表を残したまま別のシートかファイルに値だけを貼り付けて作る。元の表を直接書き換えると、何を直したかが後から分からなくなる。
品番の揺れを直す
品番は、システムの中で品目を見分ける鍵になる。取り込みの機能が既にある品番との重複を、文字が一致するかどうかで判定する作りであれば、人の目には同じ品番でも、文字が 1 つ違えば別の品目として登録される。揺れが起きやすいのは次のところである。
1. 全角と半角
「AB-12」と「AB-12」。英数字は半角に揃えると決め、置換で直す。
2. ハイフンに見える別の文字
ハイフン、全角のマイナス、長音記号、ダッシュは見た目が似ているが別の文字である。品番に使ってよい記号を 1 つに決め、ほかは置き換える。
3. 先頭の 0
「00123」の品番は、表計算ソフトで数値として扱われると「123」になる。品番の列は文字列として扱う設定にしてから入力・書き出しを行い、書き出したファイルを開き直して先頭の 0 が残っているかを確かめる。
4. 前後の空白と大文字・小文字
末尾に空白が入った品番は、画面では区別がつかない。空白を除く関数をかけてから貼り付ける。英字の大文字と小文字をどちらに揃えるかも決めておく。
5. 機種依存文字
丸数字(①)、単位を 1 文字にした記号(㎜)、株式会社を 1 文字にした記号は、いわゆる機種依存文字として扱われてきた文字で、取り込む側の文字コードによっては化けたり別の文字になったりする。ルールも、機種依存文字は利用者の環境によって正しく表示されない可能性があるとして、使わないよう求めている[1]。品名や仕様の欄にも残っていないか検索しておく。
品番を書き換える場合は、元の品番を別の列に残してから直す。過去の注文書や見積書は元の品番で書かれているので、対応が分からなくなると過去の取引を引けなくなる。自社品番と取引先の品番の関係をどう持つかは自社品番と相手品番をどう紐づけるかで扱っている。
単位を揃える
単位は、数量と同じセルに書かない。総務省のルールは、単位が含まれる項目は別のセルにその項目の単位を入れるよう求めている[1]。数量の列に「100個」と書かれていると、数値として読めずに取り込みで弾かれるか、単位が落ちて数字だけが入る。
単位の列を作ったら、表記を揃える。「個」「ヶ」「コ」「pcs」が混ざっていると、システムによってはそれぞれが別の単位として登録される。購買でよく混ざるのは、買う単位と使う単位が違う品目である。ねじを 1 箱 100 本で買い、在庫は本で数えるなら、品目の単位をどちらにするかを決め、換算の数を別の列に持つ。
単位の揺れは、注文書の中身にも響く。取適法(中小受託取引適正化法)の対象になる製造委託では、委託した給付の内容として、品目・品種・数量・規格・仕様などを、相手がその内容を見て理解でき、指示どおりに作れる程度に明示する必要がある[2]。マスタの単位が揺れていると、システムから出した注文書の数量の意味も揺れる。注文書に何を書くかと品目マスタの関係は、マスタに入っているから注文書で省略できる、とはならない理由とあわせて確かめておきたい。
重複を見つけて、取り込む前に一つにする
品番と単位を揃えると、隠れていた重複が見えてくる。重複には 2 つの型がある。
1 つは、同じ品番の行が 2 つ以上ある型である。担当者が別々に行を足した、単価を改定したときに古い行を消さずに新しい行を足した、といった理由で生まれる。取り込みの前に、品番で並べ替えて同じ値が続く行を拾い、どちらを残すかを決める。単価だけが違う行は、どちらがいま有効な単価かを確かめてから残す。古い単価を捨てる前に、その経緯をどこに残すかは取引先ごとの単価を一か所で持つで扱う。
もう 1 つは、同じ物に別の品番が振られている型である。部署ごとに品番を振った、図面の版が変わったときに新しい品番を振った、といった理由で生まれる。こちらは文字の比較では見つからないので、図面番号や取引先の品番で突き合わせる。見つけた重複をどう寄せるか、過去の伝票をどう扱うかはマスタの棚卸しの記事に手順をまとめてある。取り込みの前に全部を片付けなくてもよいが、少なくとも同じ品番が 2 行ある状態は解消しておく。取り込みの段階で、どちらが入るかを機能任せにしないためである。
単価・税区分・日付の列
数値の列には、数値以外の文字を入れない。総務省のルールは、円や重さの単位、マイナスを表す「▲」、桁区切りのカンマを文字として入れると、関数で計算できず並べ替えも正確にできないと書いている[1]。品目表の単価の列にある「別途」「要見積」「時価」は、単価の列から外し、単価は空欄にしたうえで、理由を別の列に書く。ルールは、秘匿などを示す特殊記号を数値の列に置くことは例外として認めつつ、同じセルの中で数値と文字を混在させないよう求めている[1]。
品目ごとに消費税の税率区分を持つなら、その列も揃える。消費税の仕入税額控除を受けるには、取引を税率ごとに区分して記帳する区分経理が必要で、帳簿には軽減税率の対象であればその旨を書くことになっている[3]。品目マスタの税区分は、発注や仕入の記録に引き継がれる値なので、「8」「8%」「軽減」が混ざった状態で取り込まない。
日付の列(単価の改定日、登録日など)は西暦に揃える。総務省のルールは、和暦だけの表記だと元号が変わるときに手作業で変換が要るとして、西暦表記か和暦に西暦を併記するよう求めている[1]。国税庁も、電子取引のデータを表計算ソフトの一覧表で検索できるようにする方法を説明するなかで、日付は和暦でも西暦でもよいが、混在は抽出の妨げになるのでどちらかに統一する必要があると書いている[4]。同じ考え方は品目表の日付にも当てはまる。
直す項目の一覧
| 直す項目 | よくある形 | 直し方 | 放っておくと |
|---|---|---|---|
| 表の形 | 結合セル、分類の見出し行、合計行、1 シートに複数の表 | 結合を解き、全行に分類名を入れ、見出し行と合計行を消す | 見出し行が品目として入る、分類が空で入る |
| 1 セル 2 データ | 品名に材質・寸法、備考に最小発注数 | システムの欄に合わせて列を分ける | 検索・並べ替えで拾えない |
| 品番 | 全角と半角、ハイフンの種類、先頭の 0、末尾の空白 | 規則を決めて置換し、元の品番を別の列に残す | 同じ物が 2 品目として登録される |
| 単位 | 数量のセルに「100個」、「個」「ヶ」「pcs」の混在 | 単位の列を分け、表記を 1 つに決める。換算は別の列 | 単位が別々に登録され、数量の意味が揺れる |
| 重複 | 同じ品番の行が 2 つ、同じ物に別の品番 | 品番で並べて残す行を決める。別品番は図面番号で突き合わせる | どちらの単価が入ったか分からない |
| 単価 | 「1,200円」「別途」「要見積」 | 数値だけにし、文字は別の列へ | エラーで弾かれるか 0 として入る |
| 税区分・日付 | 「8」「8%」「軽減」、和暦と西暦の混在 | 値の一覧を決めて揃える。日付は西暦 | 発注や記帳に揺れた値が引き継がれる |
取り込みは「足すだけ」か「書き換えもするか」を先に確かめる
取り込みの機能には、新しい品番を足すだけのものと、既にある品番の内容も書き換えるものがある。足すだけの機能に、既存の品番の単価を直したファイルを流しても、その行は飛ばされて何も変わらない。逆に、書き換える機能に古いファイルを流すと、画面から直した最新の値が古い値で上書きされる。どちらの動きかは、本番の前に数行だけの試しのファイルで確かめておく。
金融庁の内部統制の実施基準(企業会計審議会)が、IT を使った業務処理の統制として例示する項目には、入力した情報が漏れなく正しく正当であることを確保すること、エラーになった処理を直して処理し直すこと、マスタ・データを維持管理することが含まれている[5]。上場会社の財務報告のための基準だが、取り込みの段取りにそのまま置き換えられる。取り込んだ件数と元の件数を照らす、弾かれた行の一覧と理由を残して 1 行ずつ処理を決める、取り込んだあとの修正は画面から行い、同じファイルを流し直さない、という 3 点である。件数と合計で突き合わせる手順そのものは受発注・購買のシステムへ移るときの記事で書いたので、ここでは繰り返さない。
残しておくファイルは 3 つある。手を入れる前の元の表、取り込みに使った値だけのファイル、弾かれた行の一覧である。元の表は読み取り専用にして、以後は誰も直さない。システムに移したあとも元の表を直し続ける人がいると、正しい値が 2 か所にできる。その状態を作らない方法は「どれが最新のファイルか分からない」を無くすで扱う。
エクセルのままでよい場合
品目が数百程度で、品目表を触るのが購買担当 1 人だけ、発注も月に数十件という会社なら、システムに移さなくても、ここまでの「表の形を直す」だけで困りごとの多くは減る。1 行 1 品目、結合セル無し、単位と単価は別の列、品番は文字列、という形になっていれば、並べ替えも検索も表計算ソフトの機能で足りる。
移すことを考えたほうがよいのは、品目表を複数の人が直している、同じ品目表から発注書・見積依頼・在庫表を別々に作っている、品番の揺れで発注の取り違えが起きたことがある、といった場合である。どの業務から順に移すかはエクセルの購買業務をシステムに移す順番にまとめる。
よくある質問
品番の規則を変えたいのですが、取り込みのときに一緒に変えてよいですか
変えてよいが、元の品番を必ず残す。過去の注文書、見積書、取引先の請求書は元の品番で書かれている。新しい品番だけを持つと、過去の取引から今の品目へたどれなくなる。品番の規則の変更と取り込みを同じ日に重ねると、問題が起きたときにどちらが原因か分けにくいので、できれば規則の変更を先に済ませておく。
使っていない品目も全部取り込むべきですか
全部入れる必要はない。直近の一定期間に発注が無い品目は取り込みから外し、元の表に残しておく方法がある。外した品目は、必要になったときに 1 件ずつ登録すればよい。ただし、発注残がある品目や、取引先と単価の取り決めが生きている品目は外さない。
取り込んだあとで間違いに気づいたら、ファイルを直して流し直せばよいですか
取り込みの機能が既存の品番を書き換えない作りなら、流し直しても直らない。書き換える作りなら、画面から直した別の値まで上書きしてしまうおそれがある。どちらであっても、取り込んだあとの修正は画面から 1 件ずつ行い、変更の履歴が残る形にするほうが安全である。
エクセルではなく CSV で渡すように言われました。何に気をつければよいですか
文字コードと、品番の先頭の 0 である。取り込む側が受け付ける文字コード(Shift_JIS か UTF-8 か)を確かめ、書き出したあとにファイルをもう一度表計算ソフトで開いて保存し直さない。開き直して保存すると、品番の先頭の 0 や長い数字の形が変わることがある。
まとめ
エクセルの品目表を取り込む前に直すのは、表の作りと値の揺れの二つである。先に表の形を、1 行 1 品目・1 セル 1 データ・結合セル無し・見出しの省略無し・数式は値に、という形に直す。次に品番の全角半角、ハイフンの種類、先頭の 0、空白、機種依存文字を揃え、元の品番は別の列に残す。単位は数量と別の列にして表記を 1 つに決め、同じ品番の重複行は取り込む前に解消する。単価の列には数値だけを入れ、税区分と日付も値の一覧を決めて揃える。取り込みの機能が足すだけか書き換えもするかを試しのファイルで確かめ、取り込んだ件数と弾かれた行を記録し、以後の修正は画面から行う。
出典・参考資料
- 統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法(総務省 統計局・政策統括官(統計基準担当)/令和 2 年 12 月 18 日)
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
- No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項(国税庁)
- 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(国税庁/令和 7 年 6 月)
- 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(金融庁 企業会計審議会/令和 5 年 4 月 7 日改訂)
整えた品目表を、CSV で取り込む
この記事で扱った項目のうち、Newji one(製造業の見積・発注クラウド)では、品目表を CSV で取り込めます。品番と品名を必須とし、カテゴリ・単位・仕入単価・発注ロット・リードタイム・最小発注数などの列を読み込みます。列の名前が違うファイルでも、AI が列の対応づけを提案します。取り込みは新しい品番を登録するもので、既に登録されている品番の行は書き換えずに飛ばします。単位の列はそのままの表記で単位として登録されるので、表記を揃えてから取り込むことが前提です。取り込んだあとは品目ごとに変更の履歴が残ります。
この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント
製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。
FREE DOCUMENT — サービス資料(PDF・無料)
見積依頼から比較まで、
ひとつの画面にまとめる方法
Newji one は、製造業の調達・受発注に特化したクラウド/AIエージェント。見積依頼・発注書作成・進捗管理・承認をひとつの画面に集約し、AIが比較と異常検知を担当。最後の「GO」だけ人が押す仕組みです。
▶ 見積依頼から比較までをひとつの画面にまとめる方法を、資料で見る(PDF・無料)
- 見積〜発注〜納期を一元管理。催促・転記のムダをゼロに
- AIが相見積もり比較と異常検知。あなたは判断だけに集中
- 取引先は「招待」で完全無料。自社コストだけで取引先ごとデジタル化
※ 取引先から招待された企業様は完全無料でご利用いただけます
見積・発注クラウド Newji one
受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。
