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外注費とは——給与・業務委託費との違いと、区分を誤ったときの負担

この記事のポイント(結論先出し)
外注費と給与を分ける基準は、誰に払ったか(個人か法人か)でも、契約書の題名でもなく、その対価が請負契約に基づくものか雇用契約に基づくものかである。区分が明らかでないときに総合勘案する項目を、国税庁は消費税法基本通達 1-1-1 で 4 つ、平成 21 年の法令解釈通達で 5 つ挙げている[2][3]。ここで給与と判定されると、その支払は課税仕入れから除かれて仕入税額控除が取れず[1]、同時に源泉徴収の漏れとして不納付加算税 10%が課される[7]。一方で、外注費と判定される限り、製造加工の委託は所得税法第 204 条の列挙に無いので源泉徴収は不要である[4]。なお「業務委託費」は法令上の科目名ではなく、社内の管理上の呼び分けにすぎない。
目次
外注費とは何か——科目名ではなく「どの契約に基づく対価か」で決まる
外注費とは、自社の業務の一部を社外の相手に任せ、その成果や役務に対して支払う対価をいう。製造業でいえば、切削・板金・熱処理・表面処理・組立といった工程を協力工場に出したときの支払いが典型である。
ここで最初に押さえておきたいのは、税務上「外注費」という名前の勘定科目が法令で定義されているわけではないということである。法令が定義しているのは所得の側で、所得税法第 27 条は事業所得を「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得」と定め、同法第 28 条第 1 項は給与所得を「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得」と定めている[4]。支払う側が帳簿に何と書くかではなく、受け取る側でその金銭がどちらの所得になるかが、税務上の扱いを決める。
この構造を理解しておくと、実務でよくある疑問がほとんど解ける。「請求書が来ているから外注費でよいか」「契約書に業務委託契約と書いてあるから外注費か」——いずれも答えは「それだけでは決まらない」である。
外注費・業務委託費・給与の関係
3 つの言葉は同じ平面にない。外注費と業務委託費はどちらも会計上の費用科目で、税務上はまとめて「事業者から受けた役務の提供の対価」として扱われる。これに対して給与は所得税法上の区分であり、費用科目としては給料手当・賃金・雑給などになる。税務上の境目は外注費と業務委託費の間ではなく、その 2 つと給与の間にある。
| 項目 | 外注費 | 業務委託費 | 給与 |
|---|---|---|---|
| 法令上の定義 | なし(管理上の科目名) | なし(管理上の科目名) | あり(所得税法第 28 条第 1 項) |
| 根拠となる契約 | 請負契約またはこれに準ずる契約 | 同左 | 雇用契約またはこれに準ずる契約 |
| 消費税の課税仕入れ | 該当する | 該当する | 該当しない(消費税法第 2 条第 1 項第 12 号が明文で除外) |
| 源泉徴収 | 第 204 条第 1 項の列挙に当たる場合のみ必要 | 同左 | 常に必要 |
| 社会保険料の会社負担 | 生じない | 生じない | 生じる |
| 実務上の使い分け | モノの加工・製作を伴うもの | 設計・保守・事務など役務中心のもの | — |
外注費と業務委託費のどちらを使うかは、税額に影響しない。社内で費用を分析しやすいように分けているだけなので、一度決めた基準を期をまたいで変えないことのほうが大事である。前期は外注費、今期は業務委託費、という揺れがあると、原価の推移が比較できなくなる。なお、製造原価として外注加工費や外注工賃をどう積むかは会計上の別の論点であり、外注加工費と外注工賃の使い分けで扱っている。
判定を誤ると何が起きるか——消費税と源泉徴収の二重の打撃
外注費として処理していた支払が、税務調査で給与と判定されたとする。このとき二つの方向から追徴が来る。片方だけではないところが、この論点を軽く見てはいけない理由である。
1.消費税——給与は課税仕入れから明文で除かれている
消費税法第 2 条第 1 項第 12 号は課税仕入れを定義するにあたり、役務の提供のうち「所得税法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等を対価とする役務の提供」を括弧書きで明文除外している[1]。つまり給与と判定された瞬間、その支払は課税仕入れではなくなり、同法第 30 条第 1 項による仕入税額控除の対象から外れる。
金額の感覚をつかんでおきたい。年間 3,000 万円を外注費として処理し、そのうち控除していた消費税額を 10%相当とすると、否認額はおよそ 300 万円である。これが調査対象期間ぶん重なる。
この構造は目新しいものではなく、消費税法基本通達 11-2-3 も、外交員・集金人・電力量計等の検針人その他これらに類する者への報酬または料金のうち給与所得に該当する部分については課税仕入れに該当しないと念を押している[6]。同じ相手への一本の支払でも、給与に当たる部分とそれ以外の部分に分かれることがある、という前提で書かれている点に注意したい。
2.源泉徴収——徴収していなくても、まず会社から取られる
給与と判定されれば、支払時に源泉徴収しておくべきだったことになる。ここで効いてくるのが所得税法第 221 条第 1 項で、源泉徴収して納付すべき者がその所得税を納付しなかったときは、税務署長はその所得税をその者から徴収すると定める[4]。相手から預かっていなくても、まず会社が納める。
もっとも、払いっぱなしになるわけではない。同法第 222 条は、徴収していなかった所得税相当額を、その後に支払うべき金額から控除するか、相手に支払を請求できると定めている[4]。ただしこれは法律上の権利があるという話であって、取引が既に終わっている相手から実際に回収できるかは別問題である。
加えて、法定納期限までに納付されなかったことに対して不納付加算税がかかる。国税通則法第 67 条第 1 項の割合は10%、税務調査があったことにより告知があるべきことを予知してされたものでない自主的な納付であれば5%に軽減される(同条第 2 項)[7]。さらに、期限までに納付する意思があったと認められる一定の場合で、法定納期限から 1 月を経過する日までに納付されたときは、不納付加算税は課されない(同条第 3 項)[7]。
消費税の側では、期限内申告をしていた事業者が修正申告をすると過少申告加算税がかかる。国税通則法第 65 条第 1 項の割合は10%、調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない修正申告なら5%である[7]。しかも同条第 2 項により、納付すべき税額が期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い金額を超える部分には、さらに 5%が加算される[7]。
ただし、自主的に直せば必ず 5%というわけではない。同条第 6 項は、更正があるべきことを予知してされたものでない修正申告が、調査通知(調査の対象となる税目・課税期間などの事前の通知)がある前に行われたときは第 1 項を適用しないと定めている[7]。調査通知の前に出せば過少申告加算税は課されず、通知を受けた後・更正を予知する前なら 5%、予知した後は 10%という三段構えである。気づいた時点で早く出すほど負担が軽くなる作りになっている。
| 追徴の内容 | 根拠 | 調査で指摘された場合 | 自主的に是正した場合 |
|---|---|---|---|
| 仕入税額控除の否認 | 消費税法第 2 条第 1 項第 12 号 | 控除していた消費税額の全額 | 同額(軽減なし) |
| 過少申告加算税 | 国税通則法第 65 条 | 10%(一定額を超える部分は+5%) | 調査通知前は課されない(0%)/調査通知後・更正予知前は 5% |
| 源泉所得税の本税 | 所得税法第 221 条第 1 項 | 会社が納付(第 222 条により相手へ請求可) | 同左 |
| 不納付加算税 | 国税通則法第 67 条 | 10% | 5%(1 月以内の納付など一定の場合は不適用) |
| 社会保険料 | 税務ではなく年金事務所の所管 | 遡って会社負担分が発生しうる | 同左 |
国税庁が示す判定要素——4 つの通達と 5 つの通達
では、どこで線を引くのか。国税庁は「区分が明らかでないとき」に総合勘案する事項を二つの通達で示している。内容は重なるが、項目の数と書きぶりが違う。両方を並べて見ておく価値がある。
消費税法基本通達 1-1-1(4 項目)
この通達はまず、事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約またはこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつその他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は事業に該当しない、と述べる。そのうえで、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するとし、区分が明らかでないときの総合勘案事項として次の 4 つを挙げる[2]。
1. 代替性
その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
2. 指揮監督
役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
3. 危険負担
まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
4. 材料・用具の供与
役務の提供に係る材料または用具等を供与されているかどうか。
ここで見落としやすいのが、「出来高払の給与」という言葉が通達本文に出てくることである。仕事の量に応じて払っていることは、それだけでは外注費の根拠にならない。出来高払でも雇用契約に基づくなら給与である、と通達は明言している。
法令解釈通達 課個 5-5(5 項目)
平成 21 年 12 月 17 日付の「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて」は、それまで昭和 28 年から昭和 31 年にかけて出されていた 4 本の通達を廃止して整備されたものである[3]。名称から建設業だけの話に見えるが、この通達がいう「大工、左官、とび職等」には、日本標準職業分類の「窯業・土石製品製造従事者」「板金従事者」「屋根ふき従事者」「生産関連作業従事者」「植木職、造園師」「畳職」に分類する者その他これらに類する者が含まれる[3]。生産関連作業従事者や板金従事者が入っている以上、製造業の現場の外注も射程に入る。
総合勘案する事項は 5 つで、消費税法基本通達の 4 項目に時間的な拘束が加わり、指揮監督の中身がより具体的に書かれているのが特徴である[3]。
| 判定要素 | 消費税法基本通達 1-1-1(4 項目) | 法令解釈通達 課個 5-5(5 項目) | 外注費に傾く事実 |
|---|---|---|---|
| 代替性 | 他人の代替を容れるかどうか | 他人が代替して業務を遂行し、または役務を提供することが認められるかどうか | 誰が作業しても構わない。相手が自社の従業員や再委託先を使える |
| 時間的拘束 | 項目なし | 作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束を受けるかどうか(業務の性質上当然に存在する拘束を除く) | 出退勤の指定がない。報酬が個数・工程・一式で決まる |
| 指揮監督 | 事業者の指揮監督を受けるかどうか | 作業の具体的な内容や方法について指揮監督を受けるかどうか(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く) | 仕様と納期は示すが、やり方は相手が決める |
| 危険負担 | 未引渡しの完成品が不可抗力で滅失した場合等に、既に提供した役務の報酬を請求できるかどうか | 同趣旨(滅失するなどした場合において、自らの権利として報酬の支払を請求できるかどうか) | 滅失したら請求できない。つまり相手が損失を負う |
| 材料・用具 | 材料または用具等を供与されているかどうか | 材料または用具等を供与されているかどうか(くぎ材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く) | 相手が自分の設備・工具で作業する |
二つの通達の差のうち、実務で効くのは次の二点である。
ひとつは時間的拘束が明示的な判定項目になっていること。報酬を時間単位で計算していること自体が、給与側に傾く事実として名指しされている。
もうひとつは材料・用具の括弧書きである。課個 5-5 は「くぎ材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く」と明記しており、ちょっとした消耗品や手持ち工具を渡した程度で給与に傾くわけではないことがわかる[3]。逆にいえば、主要な材料や、据付けが必要な設備をこちらが用意している場合は重く見られるということでもある。
どちらの通達も「次の事項を総合勘案して判定する」と書いている点は共通である。5 つのうち 3 つ当てはまれば外注費、といった点数式の基準ではない。ひとつずつの事実を、実態としてどうなっているかで押さえていく必要がある。
製造業の現場で実際に迷う四つの場面
構内外注——自社の工場に常駐してもらっている
もっとも判定が難しいのがこの形である。場所が自社の工場で、設備も自社のもので、材料も自社支給となると、5 つの要素のうち材料・用具は給与側に傾く。ここで決め手になるのが指揮命令の系統で、作業の具体的な内容や方法を自社の社員が直接指示しているなら、通達の項目にそのまま当たる。
注意したいのは、この場面が税務だけの問題ではないことである。発注側が相手方の作業者へ直接指示を出す状態は、労働者派遣に当たると評価される余地がある。取引が法律上どの類型に当たるかという整理は、外注と委託の違いと請負・委任の区別で別に扱っている。税務の外注費判定と、労働法上の請負性の判定は別の枠組みだが、見ている事実の多くは共通している。片方が危ないときはもう片方も危ない、と考えておくのが安全である。
時間単価で払っている
「1 時間あたり 4,000 円、月末締めで実働時間ぶん」という払い方は、課個 5-5 の第 2 項目に正面から当たる[3]。ただし時間単価だから直ちに給与になるわけではなく、総合勘案の一要素である。実務上は、時間単価を残すなら他の要素をはっきりさせるのが現実的な対処になる。具体的には、成果物と完了基準を注文書に書き、検収してから支払う形にする、作業者の指定をしない、といったことである。
逆に、単価の建て方そのものを見直せる場面も多い。工程あたり・個数あたりで単価を組めるなら、そちらに寄せるほうが判定は安定する。単価をどう建てて依頼するかは購買仕様書の書き方と地続きの話である。
材料や治工具をこちらが出している
有償支給・無償支給ともに製造業では日常的だが、通達の第 5 項目は供与されているかどうかを見る。ここは括弧書きの読み方が効く場面で、軽微な材料や手持ち工具の貸与は除外されている[3]。主要材料を無償で渡し、専用の治工具もこちらが用意し、設備も貸しているとなると、相手が自己の計算で事業を行っているという前提が崩れていく。
なお、材料を有償支給にしている場合、外注費として計上される金額はどちらの処理を採るかで変わる。支給を売上として立て、加工後の品物を買い戻す形で仕入を立てる総額処理では、仕入側に載るのは加工賃ではなく材料代を含んだ買戻価格である。一方、支給材を自社の資産として持ち続けたものとして扱う純額処理では、費用に立つのは加工賃相当額だけになる。どちらか一方だけが正しいのではなく、契約の実態と適用する会計基準によって決まるので、社内で処理を決め、同じ形態の取引が期をまたいで別扱いにならないようにしておきたい。数字を並べた比較は外注加工費と外注工賃の使い分けで扱っている。
相手が個人事業主の一人親方
法人への支払いであれば、後述のとおり源泉徴収の論点はまず生じない。難しいのは相手が個人のときで、しかも取引先がその個人にとって自社 1 社だけ、という状態は判定を給与側へ押す事実になりうる。専属性そのものは通達の 5 項目に列挙されていないが、代替性・時間的拘束・指揮監督のいずれもが専属状態では給与側に振れやすい。
相手の立場を整理して呼び分けておくことも実務では効く。取引先を協力会社と呼ぶか下請けと呼ぶかは協力会社と下請けの違いで扱っている。
外注費なら源泉徴収はどうなるか——列挙されていなければ不要
ここは誤解が多いところなので、条文の作りから確認する。所得税法第 204 条第 1 項は「居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者」に源泉徴収義務を課し、対象を第 1 号から第 8 号までに限定列挙している[4]。国税庁のタックスアンサー No.2792 も同じ 8 つの区分で整理している[5]。
この列挙は、第 1 号が原稿・さし絵・作曲・レコード吹込み・デザインの報酬、放送謝金、著作権や工業所有権の使用料、講演料など、第 2 号が弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・測量士・建築士・不動産鑑定士・技術士その他これらに類する者の業務に関する報酬、第 3 号が診療報酬、第 4 号が職業野球の選手・モデル・外交員・集金人・電力量計の検針人など、第 5 号が映画・演劇・放送出演の報酬、第 6 号がホステス等の報酬、第 7 号が契約金、第 8 号が広告宣伝のための賞金・競馬の賞金となっている[4]。
切削加工、板金、熱処理、めっき、組立といった製造加工の委託は、この 8 つのどこにも入っていない。したがって外注費として正しく処理できている限り、源泉徴収は不要である。
もっとも、製造業の外注でも列挙に当たる場面はある。個人の設計者に図面の作成を依頼したときの対価は、内容によっては第 1 号のデザインの報酬に当たりうる。個人の技術士や建築士に依頼した場合は第 2 号に当たる。この場合の税率は所得税法第 205 条第 1 号により 10%、同一人に対し 1 回に支払われる金額が 100 万円を超える場合はその超える部分について 20%である[4]。
ただし、実際に差し引く額はこの率では出ない。復興財源確保法(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)第 28 条第 1 項は、所得税を徴収して納付すべき者は、平成 25 年 1 月 1 日から令和 19 年(2037 年)12 月 31 日までの間に行うべき徴収の際、復興特別所得税を併せて徴収して所得税の法定納期限までに併せて納付しなければならないと定めており、その額は同条第 2 項により所得税額の 2.1%である[8]。したがって実務で使う率は 10.21%、100 万円を超える部分は 20.42%になる。国税庁も、支払金額を A として「A×10.21%」、100 万円を超える場合は「(A-100 万円)×20.42%+102,100 円」という計算式で示している[9]。
ここを 10%で計算すると、1 件ごとに 0.21%ぶんの徴収不足が残る。少額でも積み上がれば、この記事の前半で見た第 221 条(会社から徴収される)と不納付加算税の経路にそのまま乗るので、報酬の源泉徴収は「10%」ではなく「10.21%」で覚えておきたい。
| 支払の相手と内容 | 源泉徴収 | 税率 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 法人(協力工場・商社など)への支払 | 不要 | — | 第 204 条第 1 項は居住者への支払を対象とする |
| 個人への製造加工の委託 | 不要 | — | 第 204 条第 1 項の列挙に当たらない |
| 個人へのデザイン・図面作成の報酬 | 必要 | 10.21%(100 万円超の部分は 20.42%) ※所得税 10%+復興特別所得税 2.1% |
第 204 条第 1 項第 1 号・第 205 条第 1 号/復興財源確保法第 28 条[8] |
| 個人の技術士・建築士への報酬 | 必要 | 10.21%(100 万円超の部分は 20.42%) ※所得税 10%+復興特別所得税 2.1% |
第 204 条第 1 項第 2 号・第 205 条第 1 号/復興財源確保法第 28 条[8][9] |
| 給与と判定された支払 | 必要 | 給与所得の源泉徴収税額表による | 第 204 条第 2 項第 1 号により同条の適用から外れる |
表の最後の行は条文の作りとして分かりにくいので補っておく。所得税法第 204 条第 2 項第 1 号は、第 1 項に掲げる報酬・料金等のうち給与等に該当するものには第 1 項を適用しないと定めている[4]。報酬としての源泉徴収から外れるだけで、給与としての源泉徴収に移るという意味である。「204 条に当たらないから源泉徴収は不要」という結論は、その支払が給与ではないことが前提になっている。この記事の前半で判定要素を先に確認したのはそのためである。
外注費として通すために揃えておく書類
判定は実態で行われるが、実態を主張するには記録が要る。調査の場で口頭の説明だけを頼りにしないために、次を揃えておきたい。
1. 基本契約書または個別の契約書
請負であることが読み取れる作りにする。どの条項を置くかは外注契約書に入れる条項で扱う。
2. 注文書と注文請書
1 件ごとに仕様・数量・単価・納期・検収条件が残る形にする。時間単価ではなく成果に対する対価であることが、ここに現れる。
3. 検収の記録
成果物を受け取って検査し、合格したから支払う、という順序が残っていること。これは危険負担の要素を裏づける事実にもなる。
4. 相手からの請求書
相手が自ら金額を計算して請求している形が望ましい。こちらが作った勤務表をもとに支払額を決めているなら、給与に近い運用をしていることになる。
5. 適格請求書
消費税法第 30 条第 1 項は、控除する課税仕入れに係る消費税額を適格請求書または適格簡易請求書の記載事項を基礎として計算した金額と定めている[1]。外注費と判定されても、書類が要件を満たしていなければ控除は取れない。相手が免税事業者の場合の扱いはインボイス経過措置を参照してほしい。
なお、相手から請求書が出てこない取引では、こちら側で作成した仕入明細書等を相手の確認を受けて用いる方法がある。実務での作り方は支払通知書と仕入明細書にまとめてある。ただし外注費の判定という文脈では、支払額をこちらが一方的に決めている形は不利に働きうるので、相手の確認をきちんと取る運用にしておきたい。
よくある質問
契約書の題名を「業務委託契約書」にすれば外注費で通りますか
通りません。二つの通達はいずれも「雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうか」で区分するとしたうえで、それが明らかでないときに実態の総合勘案に進む構造になっています[2][3]。題名は判定要素として列挙されていません。
相手が青色申告をしていて、確定申告もしています。それでも給与と判定されますか
されることがあります。判定は支払う側と受け取る側の取引実態について行われるもので、相手がどう申告しているかで自動的に決まるわけではありません。相手が事業所得として申告していても、支払側で給与と認定されれば源泉徴収義務の問題は残ります。
同じ相手に、加工の外注と、常駐での作業補助の両方を頼んでいます
分けて考えるのが原則です。ここで参考になるのが消費税法基本通達 11-2-3 ですが、この通達が名指ししているのは外交員・集金人・電力量計等の検針人その他これらに類する者で、これらの者に支払う報酬または料金のうち給与所得に該当する部分は課税仕入れに該当しない、と定めたものです[6]。製造現場の常駐作業者にそのまま適用される規定ではありません。ただし、一人の相手への一本の支払でも給与に当たる部分とそれ以外に分かれうる、という考え方自体は、この場面の整理に使えます。契約と注文書を分け、請求も分けてもらうのが実務的な対処になります。
途中まで作ったところで材料が使えなくなりました。その分を払うと外注費でなくなりますか
個別の合意で払うこと自体が直ちに判定を変えるわけではありません。通達が見ているのは、相手が「自らの権利として」報酬の請求をなすことができるかどうかです[3]。契約上は請求できない建て付けにしたうえで、個別事情で支払うのであれば、その旨を記録に残しておくとよいでしょう。逆に、契約書に「作業した時間分は理由を問わず支払う」と書いてあると、危険負担の要素が給与側に傾きます。
外注費が急に増えると税務調査で目を付けられますか
金額の増減そのものより、従業員が減って外注費が増えているという動きのほうが着目されやすいと言われます。実際に雇用から請負へ切り替えた場合は、切り替えに伴って働き方の実態がどう変わったかを説明できるようにしておく必要があります。実態が変わっていないのに契約形式だけを変えた、という形がもっとも危うい組み合わせです。
まとめ
外注費か給与かは、支払う側の科目名でも契約書の題名でもなく、その対価が請負契約に基づくものか雇用契約に基づくものかで決まる。区分が明らかでないときは、代替性・時間的拘束・指揮監督・危険負担・材料や用具の供与を総合勘案する[2][3]。
誤って給与と判定されたときの影響は二重で、消費税は課税仕入れの定義から明文で除かれるため仕入税額控除が取れず[1]、源泉所得税は徴収していなくても会社から徴収される[4]。加算税の割合はいずれも 10%、調査による更正・告知を予知しない自主的な是正なら 5%で、過少申告加算税は調査通知の前に修正申告すれば課されない[7]。
逆に、外注費として正しく処理できていれば、製造加工の委託は所得税法第 204 条第 1 項の列挙に当たらないので源泉徴収は不要である[4][5]。ただし個人へのデザインや技術士への報酬は列挙に当たるので、支払の内容ごとに確認する。その際に差し引く率は、復興特別所得税を含めて 10.21%(100 万円を超える部分は 20.42%)である[8][9]。
実務としてやることは多くない。注文書と検収の記録を 1 件ごとに残し、報酬を時間ではなく成果で建て、相手が自分で計算した請求書を受け取る。この三つが揃っていれば、実態を説明する材料はおおむね揃う。逆にこれらが揃わない取引は、税務上の危うさだけでなく、価格の根拠も納期の責任も曖昧なまま進んでいることが多い。
出典・参考資料
- 消費税法(第 2 条第 1 項第 12 号・第 30 条第 1 項)(e-Gov 法令検索/昭和 63 年法律第 108 号)
- 消費税法基本通達 第 1 章第 1 節 個人事業者の納税義務(1-1-1 個人事業者と給与所得者の区分)(国税庁)
- 大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)(国税庁/課個 5-5・平成 21 年 12 月 17 日)
- 所得税法(第 27 条・第 28 条・第 204 条・第 205 条・第 221 条・第 222 条)(e-Gov 法令検索/昭和 40 年法律第 33 号)
- タックスアンサー No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは(国税庁)
- 消費税法基本通達 第 11 章第 2 節 課税仕入れの範囲(11-2-3 外交員等の報酬)(国税庁)
- 国税通則法(第 65 条 過少申告加算税・第 67 条 不納付加算税)(e-Gov 法令検索/昭和 37 年法律第 66 号)
- 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(第 28 条 源泉徴収義務等)(e-Gov 法令検索/平成 23 年法律第 117 号)
- タックスアンサー No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金(国税庁)
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