外注加工費と外注工賃はどう使い分けるか——製造原価の中での積み方 | newji

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投稿日:2026年9月1日

外注加工費と外注工賃はどう使い分けるか——製造原価の中での積み方

この記事のポイント(結論先出し)

外注加工費と外注工賃は、指しているものはほぼ同じで、使われる帳票が違う。外注工賃は国税庁が個人事業の決算書で使っている科目名で、外注加工賃は原価計算基準が直接経費の例として挙げている費目名である。原価を積む側にとって本当に効くのは呼び方ではなく、その金額が材料費・労務費・経費のどこに入り、賦課されるのか配賦されるのかという位置である。さらに、材料を誰が持つか(無償支給・有償支給・完成品購入)と、有償支給のときは買戻しをどう処理するかで、外注加工費に載る金額が変わるため、支給形態と処理方法をそろえずに単価を比べると前年比も相見積比較も成立しない。

二つの言葉は、どの帳票で使うかで分かれている

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外注加工費と外注工賃は、実務では同じものを指して使われることが多い。使い分けの根拠を探そうとすると、会計基準にも税法にも「この場合は加工費、この場合は工賃」と書き分けた条文は見つからない。分かれているのは意味ではなく、その言葉が載っている書類である。

外注工賃は、国税庁の様式に置かれた科目名

外注工賃という言葉は、所得税の青色申告決算書で使われる科目名として国税庁が定義している。確定申告書等作成コーナーの説明では、外注工賃は「修理加工などで外部に注文して支払った場合の加工賃など」であり、建設業などを営んでいる人の外注費も含まれるとされている[5]

同じ確定申告書等作成コーナーには、もう一つ別の説明がある。こちらでは「原価計算を行なっている場合で、製品の製造に際して修理加工など外部に注文して支払った場合の加工費など」と書かれている[4]。二つの説明を並べると、同じ外注工賃という科目が、原価計算をしていない事業者では必要経費の一項目として、原価計算をしている事業者では製造原価の一項目として現れることが分かる。科目名は同じでも、置かれる場所が違う。

外注加工賃は、原価計算基準が直接経費として挙げた費目名

一方の外注加工賃は、原価計算基準の側に出てくる。原価計算基準の項目10「費目別計算における原価要素の分類」は、原価要素を形態別分類を基礎として直接費と間接費に大別し、さらに必要に応じ機能別分類を加味して分類するとしたうえで、分類の例を掲げている。その例では、直接費が直接材料費・直接労務費・直接経費に分かれ、直接経費の下に挙げられている費目が外注加工賃である[1]。直接材料費には主要材料費と買入部品費、直接労務費には直接賃金が並ぶなかで、直接経費の欄に置かれているのはこの一語だけである。

つまり、外注加工賃は原価計算の枠組みの言葉、外注工賃は申告書の様式の言葉ということになる。製造業の社内で「外注加工費」と呼ぶ習慣が強いのは、原価計算基準の側の言葉が現場に定着したためと考えるのが自然である。どちらで呼んでも構わないが、社内の原価表と決算書で科目名がずれていると、突き合わせのたびに手が止まる。先に決めるべきは呼び方の統一ではなく、次に述べる「どこに積むか」である。

製造原価は三つの箱でできていて、外注はそのうち経費に入る

製造原価をどう組むかは、税法の側にも書かれている。法人税法施行令第32条第1項第2号は、自己の製造に係る棚卸資産の取得価額を「当該資産の製造等のために要した原材料費、労務費及び経費の額」と、これに加えて「当該資産を消費し、又は販売の用に供するために直接要した費用の額」の合計額と定めている[2]。個人事業の側も同じで、所得税法施行令第103条第1項第2号がまったく同じ三つを挙げている[3]

この三つのうち、外注先に支払う対価が入るのは経費である。材料費でも労務費でもない理由ははっきりしている。材料費は自社が物品を消費したときに生じ、労務費は自社が労働用役を消費したときに生じる。外注は他社が自社の指図に沿って給付を行い、その対価を払う取引であって、自社の従業員に賃金を払っているわけではない。原価計算基準の分類例でも、外注加工賃は直接労務費の枝ではなく直接経費の枝に置かれている[1]

構内外注でも、労務費には移らない

判断に迷いやすいのが構内外注である。外注先の作業者が自社の工場に入って作業する形態では、見た目が自社の人員と変わらないため、労務費で処理したくなる。しかし支払っている相手は個人ではなく会社であり、雇用契約ではなく請負や委託の契約に基づいて給付の対価を払っている。作業場所が自社であることは、費目の判定を変えない。

ここで注意したいのは、費目の判定と、その取引が法律上どれに当たるかは別の問題だという点である。構内外注は、発注側が作業者に直接指示を出せば労働者派遣と見なされうる領域でもある。取引そのものの性格については外注と委託の違いを請負・委任・派遣の区別から整理した記事で扱う。この記事は、その取引が成立していることを前提に、支払った金額を原価のどこへ積むかだけを扱う。

税務上どの勘定科目にするかとは、別の話である

もう一つ切り分けておきたいのが、勘定科目の選定である。支出を外注費とするか業務委託費とするか、あるいは給与として扱うべきかという判断は、消費税の仕入税額控除と源泉徴収に直結する税務側の論点で、製造原価のどこに積むかとは判断の軸が違う。そちらは外注費という勘定科目の考え方をまとめた記事を参照してほしい。同じ支払いについて、税務側の科目判定と原価側の費目判定を同時にやろうとすると、どちらの結論も曖昧になる。順序としては、税務側で科目が決まったあとに、原価側でどの費目に落とすかを決めるほうが早い。

直接経費だから配賦しなくてよい、というのが最大の違い

外注加工費が原価管理の実務で扱いやすいのは、直接経費だからである。原価計算基準の分類例が外注加工賃を直接費の側に置いていることの意味は、どの製品・どの製造指図書にひもづく費用かが、支払いの時点で分かるということである[1]。加工を依頼した部品が決まっていて、数量が決まっていて、単価が決まっている。だから按分の計算を挟まずに、その指図書へそのまま賦課できる。

間接費であれば、何らかの基準で各製品へ配賦しなければならない。配賦は基準の選び方で答えが変わる計算であり、基準を変えると過去の月の原価まで動く。この扱いの難しさは原価管理の費目と配賦を整理した記事で詳しく扱っているが、外注加工費は、その難しさをそもそも通らずに済む費目だといえる。

外注のすべてが直接経費になるわけではない

ただし、外注という名前が付いていれば全部が直接経費になるわけではない。製品にひもづかない外注は間接費に落ちる。

1. 製品にひもづく外注(直接経費)
部品の切削・熱処理・めっき・組立など、製造指図書の単位で数量が特定できるもの。

2. 工場全体のための外注(間接経費)
設備の保守点検、工場の清掃、廃棄物処理、構内物流の請負など。特定の製品の数量に比例しないので、配賦の対象になる。

3. 製造の外で発生する外注(製造原価に入らない)
営業資料の制作、採用支援、会計の記帳代行など。これらは販売費及び一般管理費の側で処理する。

同じ「外注費」という勘定科目に集めてしまうと、この三つが一つの数字に混ざる。製品別原価が合わない会社を見ていくと、外注費の総額のうちどれだけが直接経費でどれだけが間接経費なのかを誰も分けていない、という状態が珍しくない。原価表を作る前に、外注先の一覧を上の三つに仕分けしておくと、あとの計算がはるかに軽くなる。

材料を誰が持つかと、買戻しをどう処理するかで、外注加工費の中身が変わる

外注加工費という一つの科目に入る金額は、支給形態と、有償支給のときは買戻しの処理方法によって、まったく別の大きさになりうる。ここが原価管理でいちばん事故が起きやすい。

形態は大きく三つある。無償支給は、自社が材料を持ったまま外注先に渡し、加工賃だけを払う形である。有償支給は、材料を外注先にいったん売り、加工後の品物を材料代込みの価格で買い戻す形である。完成品購入は、材料の調達から外注先に任せ、できあがったものを買う形である。

この違いは、税法上どの号で取得価額を組むかにも表れる。無償支給は自社が原材料を持ち続けたまま加工工程だけを外に出す形なので、できあがった品物は自己の製造に係る棚卸資産として原材料費・労務費・経費で積むことになる[2]。一方、完成品を買う形は購入した棚卸資産にあたり、購入の代価に、引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税など購入のために要した費用を加算した金額が取得価額になる[2][3]。有償支給はその中間で、契約の実態によってどちらの組み立てになるかが変わる。迷う形の取引を新しく始めるときは、原価表を作る前に税理士へ確認しておくほうが早い。

数字で並べると、比較の落とし穴が見える

同じ部品を月1,000個つくる場合で、材料費が1個500円、外注先が受け取る加工の対価が1個300円、往復の運賃が月20,000円だとして、三つの形態を並べてみる。金額は説明のための設例である。

項目 無償支給(加工だけ委託) 有償支給(材料を売って買い戻す) 完成品購入(材料も相手が調達)
材料の所有者 自社のまま いったん外注先へ移る 外注先
材料費に計上する額 500,000円 0円
(総額処理の場合。買戻価格に含まれる。純額処理なら500,000円
0円
外注加工費に計上する額 300,000円 800,000円
(買戻しの総額を計上する総額処理の場合。材料を自社の資産のまま扱う純額処理なら加工賃相当額の300,000円
—(買入部品費などで処理)
買入部品費に計上する額 0円 0円 800,000円
運賃の扱い 往復20,000円を経費に 往復20,000円を経費に 引取運賃として取得価額に加算[2]
1個あたりの製造原価 820円 820円 820円
外注加工費の単価に見える数字 300円 800円
(総額処理の場合。純額処理なら300円
計上なし
在庫として持つもの 支給中の材料も自社在庫 契約の実態による 入庫した完成品のみ
法令上の追加論点 対価の早期決済の禁止[6] 材料相場の変動を代金にどう織り込むか[6]

1個あたりの製造原価はどの形でも820円で同じである。それでも有償支給を買戻総額で処理していれば、外注加工費の単価として画面に出てくる数字は300円と800円で、約2.7倍の開きがある。この数字だけを見て「あの外注先は高い」と判断すると、支給形態が違うだけの話を単価差だと読み違えることになる。

なお、有償支給の買戻しをどう処理するかは一通りではない。材料の支給を売上に立て、加工後の品物を仕入として買い戻す運用では、外注加工費に載るのは材料代を含んだ買戻価格になる。一方、加工賃相当額だけを外注加工費とし、支給した材料は自社の資産のまま持ち続けたものとして扱う運用では、載るのは加工賃だけである(税務側の言い方では前者が総額処理、後者が純額処理)。後者なら外注加工費の単価は無償支給と同じ300円のまま動かず、代わりに材料費の側に500,000円が残る。同じ取引でも、処理の仕方によって科目に出てくる金額が変わる。どちらになるかは税務側の科目の立て方と一体で決まるので、そちらは外注費という勘定科目の考え方をまとめた記事を参照してほしい。上の表は総額処理を本体に置き、純額処理の場合の金額を該当するセルに併記してある。どちらの読み方でも1個あたりの製造原価は820円で変わらない。

有償支給には、原価とは別の縛りがある

有償支給を選ぶ場合、原価の組み立てとは別に取引上の制約が付いてくる。取適法の第5条第2項第1号は、自己に対する給付に必要な原材料等を自己から購入させた場合に、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、その原材料等を用いる給付に対する代金の支払期日より早い時期に、代金から対価を控除したり支払わせたりすることを禁じている[6]。公正取引委員会のテキストは、早期決済にならないようにするには、支払制度・検査期間・中小受託事業者の加工期間を考慮して、代金の支払と有償支給原材料等の対価の決済が見合い相殺になる仕組みにしておくことが大切だと述べている[6]。詳しい線引きは有償支給材と金型代のルールを整理した記事で扱っている。

材料を外注先に調達させる形でも、相場の変動という別の論点が出る。取適法テキストが挙げる4条明示の違反行為事例には、原材料の加工を委託し、代金を「中小受託事業者が原材料を購入した日の市場の終値に使用数量を乗じた金額に加工賃を加えて定める」こととしていたのに、委託時点では終値が分からないことを理由として、算定方法を明示することが可能であるにもかかわらず、具体的金額も算定方法も明示しなかったという例が載っている[6]。材料込みの発注は、原価の面では扱いが楽になるが、発注書の書き方の面では手間が増える。

単価を比べるときは、支給形態をそろえる

上の表が示しているのは、外注加工費という科目がそのままでは比較に使えないということである。原価管理の現場で単価を比べる場面は主に三つあり、どれも支給形態がそろっていないと成立しない。

1. 前年同期との比較
去年は無償支給、今年は有償支給に切り替えた、という変更があると、買戻しの総額を外注加工費に計上している場合は跳ね上がる。値上げが起きたわけではない。加工賃相当額だけを計上している場合は金額が動かないので、切り替えの有無だけでなく、どちらの処理を採っているかも合わせて確認する。

2. 仕入先どうしの比較
A社には材料を支給し、B社には材料込みで見積もらせている状態で加工単価だけを横に並べても、意味のある差にはならない。見積比較表を作るときに条件をそろえる話と同じ構図が、原価の側でも起きる。

3. 内製と外注の比較
内製した場合は労務費と製造間接費に分かれて出てくるのに対し、外注した場合は外注加工費の一行にまとまる。労務費だけを外注単価の横に置くと間接費の分が抜けるため外注が高く見えるが、かといって配賦されている固定費まで足すと、今度は外注が実際より有利に見える。工場の建物や設備の減価償却費のように、その工程を外に出しても消えない費用が内製側に乗っているためである。並べる前に、その工程をやめたときに実際に減る費用はいくらかというところまで戻して計算する。

対策は単純で、外注加工費の下に支給形態の区分を持たせることである。品目マスタか外注先マスタに「無償支給・有償支給・完成品購入」の区分を1列足し、集計のときに区分ごとに分ける。科目を分けるほどのことではないが、区分を持たないまま総額だけを追いかけると、増減の理由が最後まで分からない。

外注に付いてくる費用を、どこまで原価に入れるか

外注加工費として払う対価のほかにも、外注に伴って発生する費用がある。どこまでを製品の原価に入れるかは、判断が必要になる。

手がかりの一つは、購入した棚卸資産についての規定である。法人税法施行令第32条第1項第1号イは、購入の代価に加算するものとして引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税を列挙し、そのほか購入のために要した費用も加算するとしている[2]。所得税法施行令第103条第1項第1号イも同じ列挙である[3]。完成品を買う形の外注では、この考え方がそのまま当てはまる。

加工だけを委託する形では、次のような費用が発生する。

1. 支給材を送る運賃と、加工品を引き取る運賃
製品ごとに数量が特定できるなら直接経費として賦課できる。複数品目をまとめて積んでいるなら、間接経費として配賦するか、便に対する重量や個数で按分する。

2. 支給材の歩留まりロス
加工の過程で目減りする分は、外注加工費ではなく材料費の側で吸収される。歩留まりの取り決めがない状態で支給を始めると、材料費の増加として現れて原因が追えなくなる。

3. 受入検査の工数
自社の検査員が行うなら自社の労務費または製造間接費であり、検査を外部に出すなら外注の対価になる。同じ検査でも、誰がやるかで費目が変わる。

4. 不良品の作り直しに要した費用
どちらの負担かは契約と原因によって決まる。負担を外注先に求める場合でも、自社側で発生した手直しの工数は自社の原価に残る。

5. 立会検査や工程監査の旅費
特定の製造指図書のために出向いたのでなければ、製品の原価ではなく間接費として扱うほうが説明しやすい。

税法の側には、もう一つ知っておくとよい規定がある。法人税法施行令第32条第2項は、内国法人が算定した製造等の原価の額が同条第1項第2号のイとロの合計額と異なる場合であっても、その原価の額が適正な原価計算に基づいて算定されているときは、その原価の額に相当する金額を取得価額とみなすと定めている[2]。社内で組み立てた原価計算の結果が、そのまま棚卸資産の評価額として通用しうるということである。外注加工費をどう積むかは社内の管理の話に見えて、決算に載る在庫の金額に直結している。

実務で起きやすい不備

原価表と外注の突き合わせで見つかりやすいものを挙げる。

1. 外注先マスタと品目マスタで、支給形態の記録が食い違っている
取引を始めた当初は無償支給で登録し、途中で有償支給に切り替えたのに、マスタを直していない。原価の増減が説明できなくなる典型である。

2. 発注単位と原価の単位がずれている
ロット単位で発注しているのに原価は1個単位で持っている場合、端数の処理を決めておかないと、指図書ごとの積み上げと月次の総額が合わない。

3. 支給中の在庫が帳簿から消えている
無償支給では材料の所有権は自社にあるので、外注先の手元にあっても自社の在庫である。実地棚卸の対象から外していると、決算で不足が出る。実地棚卸の進め方で、預け在庫の数え方を扱っている。

4. 追加工程が発注書に出てこない
当初の加工に後から表面処理を足したのに、単価だけを口頭で調整して発注書を出し直していない。原価の面では単価が合わなくなり、取引の面では明示義務の問題になる。

5. 型や治具の費用が外注加工費に紛れている
初回だけ発生する型費を加工賃に上乗せして払っていると、2回目以降の単価と比べられなくなる。金額が大きいものは分けて把握する。

よくある質問

外注加工費と外注工賃、どちらの名前で科目を作るべきか

社内の原価計算に合わせて選べばよい。原価計算基準の言葉づかいに寄せるなら外注加工費、個人事業で青色申告決算書の様式に合わせるなら外注工賃になる[1][4]。決めたあとで大事なのは、原価表・会計帳簿・発注システムの三つで同じ名前を使うことである。名前が三通りあると、突き合わせのたびに対応表を引くことになる。

製造にかかわらない業務の委託費も、外注加工費に入れてよいか

入れないほうがよい。製造原価に入るのは、その製品の製造等のために要した費用である[2][3]。営業や管理のための委託費を同じ科目に集めると、製造原価が実態より大きくなり、製品別の原価も在庫の評価額もずれる。勘定科目としてまとめたい事情があるなら、補助科目か部門で分けて集計できるようにしておく。

外注に出すと原価は下がるのか

外注加工費だけを見れば、内製していたときの労務費と製造間接費の一部が消えて、外注加工費に置き換わる。だが自社の設備の減価償却費や工場の固定費は、外注に出しても消えない。比べるべきは外注単価と内製の材料費・労務費ではなく、その工程をやめたときに実際に減る費用である。この種の判断は毎月の帳簿とつながる制度としての原価計算ではなく、一回限りの試算として扱うほうが混乱が少ない。

外注先の見積内訳を開示させて、原価を積み直すべきか

内訳を求めること自体は取引として成立するが、開示された内訳をもとに一方的に単価を決めると、協議に応じない一方的な代金決定として問題になりうる[6]。原価の妥当性を検討する材料として使い、単価は協議で決める。

部品表の単位と外注の単位が合わないときはどうするか

製品1個に必要な数量を部品表で持ち、外注の発注単位はロットで持つ、という二層にしておくのが扱いやすい。部品表の作り方は部品表の作り方をまとめた記事で扱っている。外注の対価を製品原価まで落とすには、この対応づけが前提になる。

外注の条件を契約書に書いておくべきことはあるか

支給形態、支給材の歩留まり、不良の負担、型の所有と保管、運賃の負担区分は、原価の金額を直接動かすので取り決めておく価値がある。条項の立て方は外注契約書に入れる条項をまとめた記事で扱う。

まとめ

外注加工費と外注工賃の使い分けは、意味の違いではなく帳票の違いである。外注工賃は国税庁が青色申告決算書の科目名として使い、原価計算をしている事業者では製造原価の側に現れる[4][5]。外注加工賃は原価計算基準が直接経費の例として挙げた費目名である[1]

原価を積む側にとって効くのは、次の三つである。第一に、外注の対価は材料費でも労務費でもなく経費に入り、製品にひもづくものだけが直接経費として賦課できる[1][2]。第二に、材料を誰が持つかと、有償支給のときは買戻しをどう処理するかによって外注加工費に載る金額が変わるので、支給形態と処理方法をそろえずに単価を比べても意味がない。第三に、社内で組んだ原価計算が適正であれば、その原価の額が棚卸資産の取得価額として扱われる[2]外注加工費の積み方は、社内の管理表の話であると同時に、決算に載る在庫の金額の話でもある。

出典・参考資料

  1. 「原価計算基準」制定 50 年(諸井勝之助/LEC 会計大学院紀要 第 10 号)
  2. 法人税法施行令(昭和 40 年政令第 97 号)(e-Gov 法令検索・デジタル庁)
  3. 所得税法施行令(昭和 40 年政令第 96 号)(e-Gov 法令検索・デジタル庁)
  4. 確定申告書等作成コーナー「外注工賃とは」(国税庁/令和 7 年分)
  5. 確定申告書等作成コーナー よくある質問「外注工賃」(国税庁/令和 6 年分)
  6. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)

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