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部品表(BOM)とは——調達が使える形の作り方と、発注への効かせ方

この記事のポイント(結論先出し)
部品表(BOM)は「製品が何の部品でできているか」を書いた一覧ですが、実体は品目マスターと製品構成マスターという二つの台帳です。構造で見ると、合計数量だけを並べるサマリー表、親子関係を段で持つストラクチャ表、共通部品がどの製品に何個つくかをまとめるマトリクス表の三つに分かれます。用途で見ると、設計部門がつくる設計用部品表(E-BOM)と、組立順序や制約を織り込んだ製造用部品表(M-BOM)に分かれます。調達にとって使える部品表かどうかは、部品の名前と数量ではなく、品目マスターに発注リードタイム・発注ロット・取引先・調達区分が入っているかで決まります。そして改訂のときがいちばん危ない箇所です。設計変更を理由に、すでに完成している品の受領を断ることは取適法の違反行為事例として挙げられています。
目次
部品表(BOM)とは何か
部品表は、ひとつの製品をつくるのに何の部品が何個要るかを示した表です。英語の bill of materials から BOM とも書き、古い文献では部品構成表と呼ばれることもあります。
定義としてよく引かれるのが、部品表の設計を論じた研究論文が紹介している旧規格の記述です。同論文は、1986 年当時の日本工業規格の生産管理用語(Z 8142)で部品表が「材料表」とも呼ばれ、「組立製品1単位を構成している部品を、部品ごとに材料、素形材製品1単位当たり数量のほか、必要に応じて外形主要寸法、処理技術、部品単体質量、概略スケッチなどを記した明細表」と定義されていた、と紹介しています[1]。なお現在、生産管理の用語を定めた日本産業規格は JIS Z 8141:2022(生産管理用語)で、令和 4 年 3 月 22 日の改正によって JIS Z 8141:2001 を置き換えたものです。適用範囲は「鉱工業における生産管理において用いる主な用語について規定する」と書かれており、用語の分類には「生産システム」の下に「MRP システム」という区分が置かれています[2]。
調達にとっての部品表は「一覧表」ではなく「二つの台帳」
実務でつまずきやすいのはここです。部品表は紙の一覧表として出てきますが、それは出力結果にすぎません。同論文は、部品表が品目マスターと製品構成マスターという二つのマスターで実現され、出力した一覧表のほうをパーツリストと呼ぶことがある、と整理しています。そして、部品表を作成するプロセスそのものを部品展開と呼びます[1]。
この区別を押さえると、調達で起きるトラブルの多くが説明できます。「部品表をください」と頼んで出てくるのは出力結果です。出力結果には、そのとき出力した人が必要とした欄しか載っていません。発注リードタイムや発注ロットが載っていないのは、その人が発注をしていないからです。欲しいのは出力結果ではなく、品目マスターにどの欄があるかのほうです。
図面との関係
部品表と図面は別のものです。機械製図の規格である JIS B 0001:2019 には、箇条 13 に「照合番号」、箇条 14 に「図面の訂正・変更」という箇条が置かれています[3]。図面の側にも、部品を照合するための番号と、訂正・変更をどう扱うかという決まりごとが用意されているということです。図面が「その部品はどんな形か」を持ち、部品表が「その部品がどこに何個つくか」を持ちます。調達が仕入先に渡すべきものは両方であって、どちらか片方では見積もれません。それぞれに何が書かれるかの対比は部品表と図面の違いで扱っています。
サマリー表・ストラクチャ表・マトリクス表——「合計で何個」「どこに何個」「どの製品に何個」
構造の面から見ると、部品表は次の三つに分けられます[1]。
サマリー表は、製品 1 単位の製造に必要な部品名と数量を、構成関係を表すレベルを考慮することなく表示したものです。パーツリスト、サマリー型部品表とも呼ばれます。
ストラクチャ表は、数量情報だけでなくレベルという概念を取り入れ、親部品と子部品のツリー構造を表したものです。直接の親子関係だけを表示する一段階部品表と、すべての親子関係を階段状に表示するインデンティッド部品表に分けられます。
マトリクス表は、共通部品をもつ製品の場合に、共通部品の数量をまとめて表示することで、その数量を容易に集計できるようにしたものです。
| 型 | 持っている情報 | 調達での使いどころ | これでは足りない場面 |
|---|---|---|---|
| サマリー表 | 部品名と合計数量のみ。レベルなし | 見積の材料費を積む/まとめ発注の数量を出す | 中間組立品を外注するとき。どの段で切って出すか判断できない |
| ストラクチャ表(一段階) | 直接の親子関係と構成数量 | ユニット単位で外注に出す/支給品の範囲を決める | 末端の材料まで数量を積むとき。段をたどる手間がかかる |
| ストラクチャ表(インデンティッド) | すべての親子関係を階段状に表示 | 影響範囲の確認/内外作の切り分け | 共通部品の合計を出すとき。同じ品目が何行にも散る |
| マトリクス表 | 共通部品がどの親に何個使われるか | 共通部品の合計数量の集計/値上げ・廃番の影響範囲 | 組立順序を知りたいとき。工程の情報は入っていない |
調達の立場で意味があるのは、この三つを「どれが正しいか」で選ばないことです。同論文は、これらを構造面の分類として並べたうえで、多段階展開で得られる品目ごとの所要量をいったん集合展開し、そこからサマリー表を作成する手順が、共通部品の多い製品ではきわめて便利であるとしています[1]。つまりストラクチャ表を正本として持ち、必要なときにサマリー表を出力するのが実務の形です。逆に、サマリー表しか持っていない会社は、中間品を外注に出す判断ができません。
なお呼び方は文献やシステムによって違います。本記事は上記論文の用語に合わせていますが、一段階部品表は単一レベル BOM、インデンティッド部品表は多階層 BOM と呼ばれることが多く、指しているものは同じです。市販の生産管理システムの画面では後者の言い方で出てくると考えておいてください。
逆にたどれるか——調達がいちばん使う機能
同論文は、製品構成マスターにおける子・親の索引キーを使用して集合逆部品表を作成する手順も挙げています[1]。部品から親をたどる向き、いわゆる逆展開です。
調達がこれを必要とする場面ははっきりしています。仕入先から廃番の連絡が来たとき、材料が値上がりしたとき、あるいは受入検査で不適合が出たときに、真っ先に知りたいのは「この部品はどの製品に入っているか」です。正展開しかできない部品表は、設計には足りても調達には足りません。部品表を新しくつくるときは、逆に引けるかを仕様として最初に入れてください。
設計用部品表(E-BOM)と製造用部品表(M-BOM)
用途の面から見ると、部品表は設計部門でつくる設計用部品表(E-BOM)と、製造部門で用いる製造用部品表(M-BOM)に大別されます。同論文は、設計用部品表と製造用部品表に載せる情報は必ずしも同じとは限らず、通常は製品が設計された後に設計用部品表がつくられ、これに組立順序や制約を考慮して製造用部品表がつくられる、と説明しています[1]。さらに MRP の文脈では、モジュラー部品表、仮想部品表、スーパー部品表、ファントム部品表などが使われるとしています。この二つは運用しているうちに食い違っていくもので、どこでずれるかはE-BOM と M-BOM の乖離で整理しています。
調達が E-BOM だけを渡されて発注に使うと、次のものが抜けます。いずれも金額としては小さいのに、欠品すると生産が止まる種類のものです。
| E-BOM に載りにくいもの | なぜ載らないか | 調達側の手当て |
|---|---|---|
| 接着剤・グリース・はんだなどの副資材 | 図面に品番が振られず、使用量も設計値では決まらない | 製造側の実績使用量で品目登録し、発注点方式に回す |
| 梱包材・緩衝材・ラベル | 製品の構成部品ではなく出荷仕様で決まる | 出荷単位を親品目として別の段に持たせる |
| 歩留・不良見込みの上乗せ | 設計上は 1 個で足りるため | 製品構成情報の良品率として持たせ、発注数に反映する |
| 支給品と購入品の区別 | 設計は誰が調達するかを決めない | 品目マスターの調達区分・内外作区分で持たせる |
支給品の扱いは、金額の大小にかかわらず契約と法令の話になります。有償で材料を支給する場合の代金決済の時期には制限があるため、有償支給材と金型代の扱いを先に確認したうえで、部品表の区分を設計してください。
階層をどう持つか
「何段にすべきか」という問いに一般解はありません。同論文は、部品表を設計する際の評価尺度としてデータ容量・データ構造の柔軟性・データ精度・アクセスと展開計算の時間・保全性の五つを挙げ、それぞれの部品表に特徴があるため、ある形式の部品表が最もよいといった評価を下すことはできないと結論しています[1]。使用目的を明確にし、生産形態に合った形を選ぶか設計するしかない、というのが同論文の立場です。
そのうえで、調達の側から段の数を決める基準はひとつだけあります。その段で発注するかどうかです。中間組立品を外注に一括で出すなら、その中間品は段として立てて品目番号を振る必要があります。逆に、自社で組むだけで在庫もしない中間品に段を立てると、発注にも在庫にも使われない品目が増えます。同論文は品目情報について、利用されないものをデータベースに載せると入力の手間と記憶容量を無駄に消費するだけでなく、有効利用されないことから情報自体が陳腐化する、と警告しています[1]。段についても同じことが言えます。
品目番号の桁数
品目番号のつけ方も、部品表の使い勝手を左右します。同論文は、コード付けの規約を過度に細分化すると品目番号の桁数が長くなり、同時にコード付けの手間もかかるため適度の長さに設定するのが得策で、実際には 10 桁程度が使用されるとしています。あわせて、親企業からの受注品であっても、親企業と自社とで二つの品目番号が独立して付与されることも多いと述べています[1]。
この「二つの番号」が、調達で最も事故を起こす箇所です。客先品番と自社品番の対応表を部品表の外に置くと、必ず食い違います。品目マスターの欄として持たせてください。仕入先側の品番も同じで、注文書に自社品番だけを書いて出すと、仕入先の中で読み替えが起き、そこが間違いの発生源になります。取引先とのやりとりをどう設計するかは、OEM の委託先と何をどうやりとりするかでまとめています。
調達が使うなら、品目マスターに何を持たせるか
ここが、設計者向けの部品表の記事とはっきり分かれる部分です。同論文は品目情報を五つに分けており、そのうち購買関連情報として、取引先業者番号、取引先業者名、発注単価、発注リードタイム、発注ロットサイズ、発注方式(MRP 方式、発注点方式、個別発注方式など)、調達区分を挙げています。在庫関連情報としては、在庫の有無、主要な在庫保管場所、手持在庫数量、発注残数量、引当済数量、消費量累計、安全在庫数量、ABC 分析区分を挙げています[1]。
| 欄 | 誰が決めるか | この欄が無いと何が起きるか |
|---|---|---|
| 発注リードタイム | 調達(仕入先との合意) | いつ発注すべきかが計算できず、督促と特急便で埋めることになる |
| 発注ロットサイズ・最小発注数 | 調達(仕入先との合意) | 所要量どおりに出した注文が仕入先で切り上げられ、数量と金額が合わなくなる |
| 取引先番号・調達区分 | 調達 | 仕入先ごとに束ねられず、1 品目 1 注文書になる |
| 内外作区分 | 生産技術と調達 | 自社でつくるものまで発注対象に出てくる |
| 手持在庫・発注残・引当済 | 在庫管理 | 総所要量がそのまま発注数になり、二重発注が出る |
| 安全在庫・発注方式 | 調達 | 全品目を同じ扱いにするため、安い部品の欠品で高い製品が止まる |
この表の下三行は、部品表というより在庫の話に見えるかもしれません。しかし部品展開の結果を発注数量に変えるには、総所要量から手持在庫と発注残を差し引く計算が要ります。その差し引きに使う数字が品目マスターに無ければ、部品表は「何個必要か」までしか答えられません。品目ごとの発注方式の決め方は発注点と安全在庫の決め方で扱っています。
共通部品をまとめて発注する
部品表がいちばんはっきり効くのが、共通部品のまとめ発注です。同論文は、品目マスターを分類キーで分類した後に部品表を作成すると、材質別、品目別、調達先別などの部品表ができるとしています[1]。
調達先別に束ねられると、複数の製品にまたがって同じ仕入先の品目を 1 通の注文書にまとめられます。1 品目ごとに注文書を出していた状態から見ると、事務量がそのまま減ります。ただし、まとめた数量には裏返しがあります。まとめれば単価は下げやすくなりますが、そのぶん在庫が増え、設計変更が入ったときに使えなくなる量も増えます。まとめ発注の期間は、その部品の設計が動く見込みと合わせて決めてください。安いから多めに、で決める話ではありません。
なお、共通部品の集計にはマトリクス表が向いています。共通部品をもつ製品で共通部品の数量をまとめて表示し、その数量を容易に集計できるようにしたものだからです[1]。
改訂したとき、発注済みのものをどうするか
ここが調達にとっての本題です。部品表は改訂されます。改訂そのものは避けられませんが、改訂したことを理由に、すでに出した注文の結果を引き取らないのは別の問題になります。
中小受託取引適正化法(取適法)のテキストには、受領拒否の違反行為事例として次の例が挙げられています。委託事業者が機械部品の製造を委託し、中小受託事業者が生産を開始したところ、その後設計変更したとして当初委託した規格とは異なる規格のものを納付するよう指示し、すでに完成させた旨を伝えられると、当初委託した部品は不要であるとしてその受領を拒否した、という事例です[4]。
さらに同テキストは、生産の打切り等の場合について、中小受託事業者がすでに完成している製品を全て受領しなければ受領拒否として問題となり、仕掛品の作成費用や部品代を含む中小受託事業者に発生した費用を全額負担しなければ不当な給付内容の変更として問題となると書いています[4]。改訂の連絡と同時に「前の版はもう要らない」と伝えるだけでは足りません。完成分は受け取り、仕掛りは費用を持つ、という二つをセットで決める必要があります。
数量を増やすのは「変更」ではなく「新しい発注」
所要量の計算をやり直した結果、数量が増えることがあります。同テキストの質疑応答は、発注後に当初の発注数量を増加させることは給付内容の変更ではなく増量分についての新たな発注をしたと認められるため、改めて 4 条明示することが必要になるとしています[4]。また、当初委託した内容と異なる作業を要請することが新たな製造委託等をしたと認められる場合にも、改めて 4 条明示する必要があるとしています。
実務に落とすと、部品表の改訂で数量や仕様が動いたときは、注文書を出し直すのが原則だということです。明示すべき事項は発注書に必要な 12 項目にまとめています。改訂を電話とメールだけで済ませて注文書を出し直さない運用は、記録の面でも法令の面でも持ちません。
代替品に切り替えるとき
製品構成マスターの 1 レコードは、ある親とある子の組み合わせ 1 本です。同じ子部品が複数の親に付くことはありますし、それを集計するのがマトリクス表ですが、同論文が示す製品構成マスターの形では、ひとつの構成レコードに「この部品またはあの部品」と代替品を並べて持たせることはできません。代替品を認めるかどうかは、部品表の構造ではなく、品目の管理区分と契約の側で決めます。同論文は品目情報の設計技術情報として、部品の管理区分(専用部品、共通部品、標準部品)を挙げています[1]。
調達の判断としては、代替品への切り替えは給付の内容が変わることに当たりうる、と考えて動くのが安全です。仕入先に「同等品でよい」と口頭で伝えて、後から受入検査で弾くのは危ない運用です。同テキストは、委託事業者が費用の全額を負担することなく変更またはやり直しを要請することが認められない場合のひとつとして、検査基準を恣意的に厳しくして委託内容と異なること等があるとする場合を挙げています[4]。切り替えの可否は部品表と注文書の両方に書き、検査基準も同時に更新してください。受領拒否と返品の線引きは受領拒否・返品・やり直しのルールで整理しています。
部品表がないと出せない書類がある
部品表を「生産の道具」とだけ見ていると見落とすのが、対外的な書類です。代表例が原産地証明です。
財務省関税局・税関の資料によると、経済連携協定(EPA)の原産地基準では、第三国の材料(非原産材料)を使って生産した場合でも、最終産品が元の材料から大きく変化していれば原産品と認められます。この判断基準を実質的変更基準と呼び、日本の多くの EPA では品目ごとに「関税分類変更基準」「付加価値基準」「加工工程基準」のいずれか、あるいはその組み合わせを採用しています[5]。
同資料は、付加価値基準の計算例として、産品の価額 10,000 米ドルから非原産材料価額 2,000 米ドルを引いて産品の価額で割り、付加価値 80 パーセントとする例を挙げています。日豪 EPA の乗用自動車(87.03 項)の品目別規則では、この原産資格割合が 40 パーセント以上であることが条件のひとつとされています[5]。関税分類変更基準のほうは、非原産材料の関税分類番号と産品の関税分類番号が一定以上異なるかで判断します。
どちらの基準でも、部品ごとにどこの国のものかといくらか、あるいは関税分類番号は何番かが要ります。これを集めるのは調達の仕事です。証明のたびに仕入先へ問い合わせて回るのか、品目マスターの欄として持っておくのかで、かかる工数は桁で変わります。輸出のある製品を扱うなら、部品表を設計する段階で原産国・関税分類番号・取得価額の欄を入れておくべきです。
部品表をつくる順番
ゼロからつくるときの順番は、同論文が挙げている手順がそのまま使えます[1]。
1. 品目を洗い出す
製品・中間組立品・部品・原材料を、どこまでを 1 品目とするか決めながら並べます。ここで副資材と梱包材を落とさないことが、後の欠品を防ぎます。
2. 品目番号のつけ方を決める
桁数と意味の持たせ方を決めます。細分化しすぎない、というのが同論文の指摘です。客先品番・仕入先品番との対応をどこに持つかも、ここで決めます。
3. 品目情報を決める
設計技術情報・在庫関連情報・製造関連情報・購買関連情報・製造原価情報のうち、どの欄を実際に持つかを決めます。同論文は、品目情報を設定するには各ユーザから必要情報とともにそれらの利用法もあげてもらうようにするとよいとしています。使い道を言えない欄は入れない、ということです。
4. 製品構成情報を決める
組立順序のレベルに従って取付部品が記載されている工程表を基に構成関係を決め、構成数量比や良品率などの親子間の情報を決めます。
5. データベースに格納する
同論文は、部品表が多くの部門で使用されるため精度とデータの整合性が重要であり、入力ミスや重複がないように、また勝手なデータ改変を防ぐセキュリティに留意してシステムを設計する必要がある、としています。誰でも直せる部品表は、いずれ誰も信用しなくなります。
よくある質問
表計算ソフトの部品表ではいけませんか
品目数と改訂の頻度によります。単層で数十品目、改訂が年に数回であれば表計算ソフトでも回ります。回らなくなるのは、段が深くなって逆展開が必要になったときと、複数の製品にまたがって共通部品を集計する必要が出たときです。どちらも「表を目で追う」作業になり、品目数に比例して間違いが増えます。
部門ごとに違う部品表を持つのは間違いですか
間違いとは言い切れません。同論文は、部品表がさまざまな部門で使用されるものの、すべての部門が同じ形式のものを使用しているわけではなく、部門ごとの使用目的に適した部品表を再構成する処理手順が求められるとしています[1]。問題は複数の形で出力することではなく、元になるマスターが複数あることです。品目マスターと製品構成マスターを一組にして、出力の形だけを部門ごとに変えるのが本来の姿です。
導入したのに使われないのはなぜですか
組織の側に理由があることが多い、という調査があります。生産管理パッケージを導入済みの中小製造業を対象にした調査(京都地区を中心とした関西の 100 社に配布、回答 35 件)では、13 の設問のうち飛び抜けて低い評価だったのは「システム導入にあたって部門を越えて参加したか」で、次に低かったのが「部門間コミュニケーションはスムーズか」でした。この報告は、大手企業で DX が進捗しない原因のひとつとして挙げられる部門間の情報断絶が、中小製造業においても健在であると述べています[6]。
部品表は、設計・製造・調達・原価がひとつの台帳を共有する仕組みです。設計だけでつくった部品表に調達の欄が無いのは、能力の問題ではなく参加の問題だ、ということです。
まとめ
部品表は、品目マスターと製品構成マスターの二つで成り立ちます。構造ではサマリー表・ストラクチャ表・マトリクス表、用途では設計用(E-BOM)と製造用(M-BOM)に分かれ、どれかひとつが正解ということはありません。
調達として押さえるべき点は三つです。第一に、品目マスターに発注リードタイム・発注ロット・取引先・調達区分・在庫の欄があるかを確認すること。第二に、部品から親をたどる逆展開ができる形にしておくこと。第三に、改訂したときは注文書を出し直し、完成分の受領と仕掛りの費用負担を先に決めておくことです。三つ目を怠ると、部品表の整備が取引先とのトラブルに直結します。発注した後の進捗をどう追うかについては、発注管理システムに必要な機能を、部品表から積む原価の考え方については製造業の原価管理とはをあわせてご覧ください。
出典・参考資料
- 部品表 (BOM) の設計に関する一考察(毛利直博・田村隆善/生産管理 6 巻 2 号 25-30 ページ/1999 年)
- JIS Z 8141:2022 生産管理用語(無料プレビュー)(日本規格協会/令和 4 年 3 月 22 日改正)
- JIS B 0001:2019 機械製図(無料プレビュー)(日本規格協会/令和元年 5 月 20 日改正)
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
- 原産地規則の概要(財務省関税局・税関/2024 年 7 月)
- 中小製造業おける生産管理パッケージ(藤川裕晃・前田真輝/横幹連合コンファレンス予稿集 2023 巻/2023 年)
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