支払条件 (Payment Terms)の管理と製造業での実践方法 | newji
製造業の見積・発注クラウド

その単価は妥当か。
AI が根拠付きで分析。

相見積の比較も発注も進捗管理も、ひとつの画面に。

サービス資料をダウンロードPDF・無料/1分で受け取れます

投稿日:2024年8月19日 | 更新日:2026年9月14日

支払条件 (Payment Terms)の管理と製造業での実践方法

この記事のポイント(結論先出し)

支払条件は「何日払いか」という 1 つの数字ではなく、支払期日、締め日と支払日、起算日、支払手段、振込手数料、支払場所、休業日の扱い、前払や分割、通貨、端数の処理といった項目の組み合わせである。どこまで自由に決められるかは、その取引が取適法(中小受託取引適正化法)の対象かどうかで変わる。対象なら、支払期日は受領日から起算して 60 日の期間内で、できる限り短く定めなければならず、手形の交付や、期日までに満額の金銭と引き換えにくい支払手段の使用も支払遅延に含まれる。対象外でも、取引上の地位が相手に優越している発注者が一方的に支払期日を遅く設定したり、一括払いの約束を数年の分割払いに変えたりすれば、独占禁止法上の問題になりやすい。決めた条件は、共通事項として取引先に示し、発注ごとにそれと結び付け、支払ったら額・日・方法を記録する。この 3 つで残す。

支払条件(Payment Terms)とは

💡 こうした調達・受発注の属人化、Newji one なら「ひとつの画面」で解決。見積依頼から発注・進捗・承認までAIが下支えします。
サービス資料を見る(無料)→

支払条件とは、売買契約において取引の双方が合意するお金の支払い条件のことを指します。これには支払期限、支払方法、支払対象となる額や割引条件などが含まれます。製造業においては、部品や原材料の調達、製品の販売など様々な場面で支払条件が設定され、その管理が会社の経営に大きな影響を与えます。

製造業の調達購買で支払条件という言葉を使うときは、自社が仕入先や外注先に代金を払う側の条件を指すことが多い。この記事は、主にその立場で書く。代金を受け取る側が得意先に対して条件を決める場面とは、使える選択肢の幅が違うからである。たとえば上に挙げた「割引条件」も、払う側が代金から差し引く形をとると、取適法の対象取引では減額の問題に直結する。どの項目にどんな線がかかるかは、次の一覧でまとめて見ていく。

📄 実務で使うなら — 取適法 違反しない発注のしかた(全 5 章・無料サンプルあり)

製造業における支払条件の重要性

製造業における支払条件は、サプライチェーン全体の流れやキャッシュフローに直接影響を与えます。適切な支払条件の設定と管理は、企業の健全な財務状況を維持するために不可欠です。例えば、支払期限を適切に設定することでキャッシュフローを安定させることができます。一方で、支払条件が不適切であれば、資金繰りが厳しくなり、生産計画に支障をきたすこともあります。

このキャッシュフローの話は、自社の中だけでは閉じない。経済産業省中小企業庁と公正取引委員会が令和 7 年 10 月 28 日付で関係事業者団体に出した要請は、代金を払う事業者がサイト(支払までの期間)を円滑に短くするには、自らが受け取る代金のサイトが短くなることに加えて、川上の事業者も含めたサプライチェーン全体でサイトが短縮されることが重要だと述べ、取適法の対象とならない取引も含めた取組を求めている[1]。自社が払う側の条件を決めることは、仕入先の資金繰りの条件を決めることでもある。

支払条件を構成する項目の一覧

取引先ごとに支払条件を決めるとき、抜けやすいのは「決めなかった項目」である。契約で決めていない項目には法律の既定が当てはまり、取適法の対象取引では、法律の側が支払期日をみなしてしまうものまである。そこで項目ごとに、決めること、決めなかったときに当てはまる民法・商法の規定、取適法の対象取引でかかる線を 1 枚に並べた。

項目 決めること 決めなかったとき(民法・商法) 取適法の対象取引でかかる線
支払期日(支払サイト) 受け取ってから何日目に払うか 売買で目的物の引渡しに期限があるときは、代金の支払にも同じ期限を付けたものと推定される[5] 受領日から起算して 60 日の期間内で、できる限り短く定める。定めなかったときは受領日が期日とみなされる[2]
締め日と支払日 月に何回締めて、何日に払うか 規定はない 「毎月末日納品締切、翌月○日支払」は具体的な日が特定でき、支払期日の書き方として認められる。月単位の締切制度は 2 か月以内として運用され、大の月をまたいで 61 日目・62 日目になっても支払遅延として問題とされない[1]
起算日 受領日で数えるか、検収日で数えるか 規定はない 検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から数える[2]
支払手段 現金(振込)・一括決済方式・電子記録債権などの別と、その割合 金銭債権は、特定の種類の通貨の給付を目的としていなければ、各種の通貨で弁済できる[5] 手形の交付と、期日までに代金の額に相当する金銭と引き換えることが困難な支払手段の使用は、支払遅延に含まれる[2]。決済に伴う受取手数料等を相手に負担させるのも、合意の有無にかかわらず支払遅延[1]
振込手数料 どちらが負担するか 弁済の費用は、別段の意思表示がなければ債務者の負担とされる[5] 相手に負担させて代金から差し引けば、負担させる合意の有無にかかわらず違反[1]
支払場所・振込先 どこへ、どの口座へ払うか 別段の意思表示がなければ債権者の現在の住所で弁済する[5]。商行為によって生じた債務は債権者の現在の営業所[6]。売買で引渡しと同時に代金を払うときは、引渡しの場所で払う[5] 振込先そのものを定めた規定はない
休業日の扱い 支払日が土日祝に当たったとき、前後どちらに動かすか 規定はない 順延が 2 日以内で、翌営業日に順延することをあらかじめ書面等で合意していれば、結果として受領日から 2 か月を超えても問題とされない[1]
前払・期中払・分割 いつ、何回に分けて払うか 売買には規定はない。請負なら報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に払う[5] 定めた期日より前に払うのは差し支えない[1]。期日を過ぎてなお払っていない分は支払遅延[2]
通貨・為替 円建てか外貨建てか、換算に使う相場と日 外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は履行地の為替相場により日本の通貨で弁済できる[5] 代金は具体的な金額で示すのが原則。具体的な金額を示すことが困難なやむを得ない事情があれば、金額を定めることとなる算定方法の明示で足りる[3]。為替相場に応じて価格を決める算定方法が例に挙がっている[1]
端数の処理 円未満の端数をどう丸めるか 規定はない 円未満は四捨五入でも切捨てでも減額とみなされない。1 円以上の単位で切り捨てれば減額[1]
期日を早めたことの見返り 早く払う代わりに何かを求めるか 規定はない 支払期日を 60 日早めたことを理由に、代金から一定額を減じて払った事例が違反行為事例に挙がっている[1]

表の「規定はない」は、決めなかったときに空白が残るという意味であって、自由に決めてよいという意味ではない。取適法の対象取引では、明示規則が代金の額と支払期日を発注時に示す事項に挙げ、一括決済方式や電子記録債権で払う場合には、金融機関の名称や電子記録債権の支払期日なども示す事項にしている[3]。

項目の骨格としては、公正取引委員会と中小企業庁のテキストに載っている共通事項の書式例「支払方法等について」がそのまま使える。支払制度(締切日と支払日)、支払手段(支払総額に応じた現金・一括決済方式・電子記録債権の割合と、現金化が可能となる日や満期)、検査完了期日、実施期間を並べ、口座振込で払うこと、休業日に当たるときは 2 日以内の順延で翌営業日に払うこと、振込手数料は発注側が負担することを書き込む形になっている[1]。

項目ごとの詳しい扱いは、それぞれ別の記事にまとめている。締め日と支払日の組み合わせを日数に直す方法は締め日と支払期日の関係、支払手段の可否と遅延利息は支払期日は受領日から 60 日、振込手数料・端数・期日の前倒しを理由にした差し引きが減額に当たる理由は代金を後から下げる行為、外貨建ての発注書に何を書くかは英文の見積依頼・発注書の書き方で扱っている。

🛠 見積依頼なら — 取引先はアカウント登録なしで、届いたメールのリンクから回答できる Newji one(製造業の見積・発注クラウド/サービス資料は無料)

調達現場で押さえるポイント

一覧の中で、書き落としたときにいちばん不利に働くのは支払期日である。取適法の対象取引で期日を定めなかった場合、猶予が付くのではなく、給付を受領した日そのものが支払期日とみなされる[2]。翌日に払えば、もう遅れている。

支払条件の種類

即時払い(Cash on Delivery, COD)

商品の受け取りと同時に支払いを行う方式です。リスクは少ないですが、キャッシュフローに大きな影響を与えるため、特に中小企業にとっては資金管理が難しくなる場合があります。

払う側から見ると、即時払いや前払いは、定めた支払期日より前に払うことに当たる。取適法の対象取引でも、期日より前に払うことは差し支えないとされている[1]。ただし前払いした分は、相手が納品するまで相手の手元に預けている自社のお金になる。前払いの残高をどこで管理するかは取引先マスタに何を持つかで触れている。

30日払い、60日払いなどの期間指定払い

一般的に多く用いられるのが30日払い、60日払いなどの期間指定払いです。商品やサービスの受領後、一定期間内に支払いを行う方式で、キャッシュフローの管理をしやすくします。

「30 日払い」「60 日払い」は、何から数えるかを書かないと条件として成り立たない。取適法の対象取引では起算点は受領日で、検収が終わった日ではない[2]。書き方にも決まりがある。テキストの想定問答は、「納品後○日以内」という定め方を、期限を示しているにとどまり日付まで特定できないとして認めていない[1]。

その一方で、暦の日数だけで数えると、適法な制度を違反と読み違える。テキストは月単位の締切制度について、60 日の規定を 2 か月以内として運用し、31 日の月も 30 日の月も同じ 1 か月として扱っている。そのため月末締め翌月末払いで月の初日に受け取った品の支払が 61 日目や 62 日目になっても、支払遅延として問題とはしていない[1]。どの締め・支払の組み合わせが収まり、どれが収まらないかは、締め日と支払期日の関係で 8 通りを数えてある。

分割払い

大きな金額を複数の期間に分けて支払う方式です。企業にとって一度に大きな資金を出さなくて済むため、資金繰りが楽になります。

分割払いは、代金を受け取る側が得意先に認める条件として語られることが多い。払う側が仕入先に分割を持ち出す場面では、線がはっきりしている。取適法の対象取引では、支払期日を過ぎてなお払っていない分は、分割の約束があっても支払遅延に当たる[2]。代金の一部を払ったときは、その後の残額を記録しておくことも求められている[4]。

取適法の対象外の取引でも、取引上の地位が相手に優越している場合は注意がいる。優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方は、非常に高額な製品・部品等の納入で、契約では一括払いとしていたのに、支払の段階になって自己の一方的な都合で数年にわたる分割払いにし、一括払いに応じないことを、支払遅延の想定例に挙げている[7]。

分割を相手のために使う場面もある。受託中小企業振興法に基づく振興基準は、建設や大型機器の製造など発注から納品までの期間が長い取引について、委託事業者は前払比率と期中払比率をできる限り高めるよう努めるものとしている[1]。前述の令和 7 年 10 月 28 日付の要請も、取適法の対象外の取引を含めて、長期にわたる取引では前払比率・期中払比率を高めるなど支払条件の改善に努めるよう求めている[1]。専用設備や長納期の品を発注するなら、納品時の一括払いだけでなく、着手時や中間での支払を条件の候補に入れておきたい。

支払い条件の設定方法

支払条件を設定する際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。

取引先の信用状況

取引先の信用度が高い場合、長めの支払条件を設定してもリスクは低くなります。逆に信用度が低い場合は、支払期限を短くすることでリスクを軽減できます。

これは代金を受け取る側が、得意先に対して回収の危険を管理するときの考え方である。払う側が、仕入先の信用度を理由に自社の支払期日を後ろへ動かす使い方にはならない。取適法の対象取引では、期日の上限そのものが法律で決まっている[2]。払う側で金額の枠として管理したほうがよいもの(前払い、有償支給した材料、貸与している型など)の置き場所は、取引先マスタの記事で整理している。

自社のキャッシュフロー

自社のキャッシュフロー状況を十分に考慮した上で、無理のない支払条件を設定することが重要です。必要に応じて金融機関からの借り入れも視野に入れるなど、資金繰りの計画を立てることが求められます。

資金繰りは、支払条件を決める前に織り込む要素であって、いったん決めた条件から外れる理由にはならない。優越的地位の濫用に関する考え方は、社内の支払手続の遅延などを理由に、自己の一方的な都合で契約で定めた支払期日に対価を払わないことを想定例に挙げ、期日より遅れて払う場合だけでなく、一方的に支払期日を遅く設定する場合も問題となりやすいとしている[7]。借入れを含む資金繰りの計画は、支払期日を動かさずに済ませるために立てるものと考えたい。

市場の状況

市場の景気や競争状況も支払条件に影響を与えます。景気が良い場合や競争が激しい場合、柔軟な支払条件を提供することで競争優位性を確保することができます。

ここでいう柔軟な条件の提供も、売る側が得意先に示す条件として読むとわかりやすい。払う側が仕入先に対して動かせるのは、主に前倒しの方向である。期日より前に払うことは差し支えない[1]。ただし、期日を早めた見返りとして代金から差し引けば、前掲の一覧のとおり減額の違反行為事例と同じ形になる[1]。早く払うことと単価をどう扱うかを分けて考える必要がある。

法律と規制

国や自治体によっては支払条件に関する法律や規制が設けられていることがあります。これを遵守することが法的リスクの回避につながります。

製造業の調達で支払条件にかかる規制は、大きく分けて 3 つある。取引の内容と当事者の規模で適用が決まる取適法、取適法の対象外でも働く独占禁止法の優越的地位の濫用、そして行政が物差しにする振興基準と要請である。前の 2 つを、支払条件の観点で並べると次のようになる。

観点 取適法の対象取引 対象外で、取引上の地位が相手に優越している場合
支払期日の決め方 受領日から起算して 60 日の期間内で、できる限り短く[2] 契約で定める。一方的に支払期日を遅く設定したり、期日の到来を恣意的に遅らせたりすると問題となりやすい[7]
期日に払わなかったとき 支払遅延。受領日から 60 日を経過した日から、年率 14.6 パーセントの遅延利息がかかる[1][2] 正当な理由なく期日に払わず、相手が今後の取引への影響を懸念して受け入れざるを得ない場合は問題となる[7]
支払手段 手形の交付、期日までに満額の金銭と引き換えにくい手段の使用は支払遅延に含まれる[2] サイトが著しく長いなど、期日までに一般の金融機関で割引を受けにくい電子記録債権で払い、割高な割引料を負担させることが想定例に挙がる[7]
相手の同意があるとき 振込手数料の差し引きは、負担させる合意の有無を問わず違反[1] あらかじめ同意を得て、かつ支払の遅延で相手に通常生ずべき損失を自己が負担する場合は、問題とならない[7]

2 列目の線が効くのは、取引上の地位が相手に優越している場合である。どの取引が取適法の対象に入るかは、自社の取引は取適法の対象かの手順で判定する。

3 つ目の層にも、支払条件の具体的な水準が書かれている。振興基準は、代金を受領後できる限り速やかに払い、受領日から起算して 60 日以内に定める支払期日までに払うことを徹底するとしたうえで、手形による支払が禁止されていることに鑑みて支払はできる限り現金によるものとし、少なくとも賃金に相当する金額は全額を現金で払うとしている[1]。前述の要請は、取適法の対象外の取引についても、サイトを受領日から起算して 60 日以内に短縮すること、代金の支払をできる限り現金によるものとすることに努めるよう求めている[1]。対象外の取引の条件を決めるときも、この水準を目安に置いておくと、後で見直しを求められたときに説明の足場になる。

支払条件の管理方法

支払条件を適切に管理するためには、いくつかの実践的な方法があります。

ERPシステムの活用

ERP(Enterprise Resource Planning)システムは、企業の財務、在庫、購買、製造などの情報を一元管理するシステムです。これを活用することで、支払条件の管理が一層効率化されます。具体的には、支払期限のリマインダー機能や、自動支払処理機能を活用することで、ミスや遅延を防ぎます。

リマインダーや自動支払を載せる前に、システムが支払期日を何から計算しているかを確かめたい。検収の完了で締切の対象月を決める設定のままだと、期日の管理を自動にしても、検査が翌月にずれた分だけ支払が後ろへ動く。テキストは、検収締切制度を採る場合には、検査に要する期間を見込んだ支払制度とする必要があるとしている[1]。発注・入庫・請求を突き合わせる処理の組み立ては発注・入庫・請求の 3 点照合で扱っている。

定期的な見直しと更新

市場の状況や自社の経営状況は常に変動します。そのため、支払条件も定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。これにより、常に最適な条件を維持することができ、リスクを最小限に抑えられます。

見直しには向きがある。取引先にとって不利になる方向への変更は、取適法の対象取引なら 60 日の上限を超えられず[2]、対象外でも取引上の地位が優越していれば、一方的に支払期日を遅く設定することが問題となりやすい[7]。支払手段を一括決済方式へ切り替える場合について、振興基準は、加入した取引先の支払条件を従来と比べ実質的に不利となるよう変更しないこと、切り替えによって生じる費用を負担させないことを留意事項に挙げている[1]。条件を改めたら、共通事項として示していた文書は、変更した部分だけでなく全体を通知し直す[1]。

従業員教育の強化

支払条件の管理は、各部署、特に財務部門や購買部門の従業員に依存しています。従業員が支払条件の重要性を理解し、適切に管理するための教育を行うことでミスやトラブルを防ぎます。

振興基準も、委託事業者に対し、調達に係る責任者から担当者に至るまで、独占禁止法、取適法、振興基準などの関係法令等への理解を深めるよう、社内における研修・啓発・教育等を十分に実施する体制を整備することを求めている[1]。支払条件で言えば、購買部門が決めた条件を経理部門が支払データに落とすところで食い違いが起きうるので、両部門を同じ教材で揃えておくと効く。

パートナーとのコミュニケーション

取引先との良好な関係を築くことは、支払条件の管理においても有益です。定期的なコミュニケーションを通じて、お互いの立場や状況を理解し合い、柔軟な対応が可能になります。

取引先ごとに支払条件を決めて記録する手順

ここまでの一覧を、取引先ごとに埋めて残すまでの順序を 6 つに分ける。どの段にも詳しく扱った記事があるので、ここでは何を決めて何を残すかに絞る。

1. 取引が取適法の対象かを、発注の時点で判定する

支払期日に上限がかかるか、手形や長いサイトの電子記録債権を使えるかは、この判定で先に決まる。資本金で当たらなかったときに見る従業員基準は、個々の製造委託等をした時点の常時使用する従業員の数で判断される[1]。判定した日付と、そのとき使った数字を一緒に残しておく。

2. 一覧の項目を、空欄を残さずに埋める

決めなかった項目には、民法・商法の既定か、取適法による期日のみなしが当てはまる[2][5]。外注が請負として扱われるか売買として扱われるかで既定が変わる項目もあるので、契約で決めなかったときに何が当てはまるかは外注契約書に入れる条項で確かめておく。

3. いちばん長く待たせる 1 件で、日数を数える

締めと支払の組み合わせは、制度の名前ではなく、前回の締切日の翌日に受け取った品が支払日まで何日待つかで確かめる。この 1 件が上限(受領後 2 か月以内)に入れば、その締切期間の残りの品も入る。組み合わせごとの計算は前掲の締め日の記事に表がある。

4. 共通事項として示し、発注ごとに結び付ける

取適法の対象取引では、一定期間の発注に共通する事項をあらかじめ書面の交付または電磁的方法による提供で示しておけば、その期間の個々の発注では、あらかじめ示したところによる旨を示せば足りる[3]。支払条件は、この共通事項にいちばん向いた項目である。基本契約でどこまで決めておくかは基本取引契約書とはで扱っている。

5. 取引先マスタに、締め日・支払日・支払手段をひと組で登録する

3 つは組み合わせて初めて日数が決まるので、ばらばらに登録しない。登録した値はあくまで既定値で、個々の発注で何を示したかは発注側の記録で追う。

6. 支払ったら、額・日・方法を記録する

記録規則は、代金の支払に金銭を使った場合の支払額・支払日・支払方法(第 1 条第 1 項第 6 号)、金銭以外の支払手段を使った場合の事項(第 7 号)、一括決済方式や電子記録債権を使った場合の事項(第 8 号・第 9 号)、代金の一部を支払ったときのその後の残額(第 11 号)、遅延利息を払った場合の額と日(第 12 号)を記録する事項に挙げている[4]。書類等は、記録すべき事項の全部を記録した日から 2 年間保存する[4]。分割や前払いを条件に入れた取引先では、第 11 号の残額まで追える形にしておきたい。記録全体の組み立ては取適法が求める記録で扱っている。

最新の技術動向と支払い条件管理

最新の技術を活用することで、支払い条件の管理がさらに効率化されています。

AIと機械学習

AI(人工知能)や機械学習を活用することで、支払い条件の最適化が自動化されています。例えば、過去の取引データを分析して、最適な支払条件を予測するシステムを導入することで、キャッシュフローの改善が期待できます。

ただし、予測で導かれる条件は、法律の上限の内側でしか採れない。取適法の対象取引で、受領日から 60 日の期間を超える支払期日が「最適」と出てきても、選べる選択肢にはならない[2]。

ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術は、取引の透明性を高め、信頼性を向上させます。これにより、取引先との間でのトラブルを減少させ、スムーズな支払条件管理を実現します。

クラウドベースの財務管理システム

クラウドベースの財務管理システムを導入することで、どこからでもリアルタイムに支払条件を確認・管理することができます。これにより、管理業務の効率性が飛躍的に向上します。

まとめ

支払い条件(Payment Terms)の管理は、製造業において極めて重要な要素です。適切な支払条件の設定と管理は、企業のキャッシュフローの安定化、リスク回避、競争優位性の確保に繋がります。ERPシステムの活用、定期的な見直し、従業員教育の強化、取引先とのコミュニケーションなどの方法を実践することで、支払条件の管理を最適化できます。また、最新の技術動向を取り入れることで、さらなる効率化が期待されます。製造業の発展に貢献するためにも、支払条件の適切な管理は不可欠であり、常に最適化を目指して取り組むことが求められます。

管理の出発点は、支払条件を項目の組み合わせとして扱い、取引先ごとに空欄を残さないことにある。決めなかった項目には民法・商法の既定が当てはまり[5][6]、取適法の対象取引では支払期日を定めなければ受領日が期日とみなされる[2]。期日を後ろへ動かす方向には取適法と優越的地位の濫用の考え方が線を引き[2][7]、前倒しと現金払いの方向は振興基準と行政の要請が後押ししている[1]。決めた条件は共通事項として示し、発注ごとに結び付け、支払ったら額・日・方法を記録して残す[3][4]。

出典・参考資料

  1. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  2. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  3. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  4. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  5. 民法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  6. 商法(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
  7. 優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(公正取引委員会/平成 22 年 11 月 30 日・令和 8 年 6 月 17 日改正)

支払条件のうち、法律で決まっている部分を研修テキストで押さえる

この記事で扱った支払期日と起算日、手形・電子記録債権などの支払手段、振込手数料、休業日の扱いは、研修テキスト「取適法 違反しない発注のしかた」で章ごとに確かめられます。取引が対象かの判定、委託事業者の 4 つの義務と 11 の禁止事項、2026 年 1 月の改正で変わったこと、記録の残し方、支払期日と遅延利息の 5 章構成で、取適法の対象判定シート・発注書面の記載項目チェックリスト・記録の保存台帳の 3 つのテンプレートが付いています。

目次と無料サンプルを見る

WHITE PAPER

この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント

製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。

FREE DOCUMENT — サービス資料(PDF・無料)

見積依頼から比較まで、
ひとつの画面にまとめる方法

Newji one は、製造業の調達・受発注に特化したクラウド/AIエージェント。見積依頼・発注書作成・進捗管理・承認をひとつの画面に集約し、AIが比較と異常検知を担当。最後の「GO」だけ人が押す仕組みです。

  • 見積〜発注〜納期を一元管理。催促・転記のムダをゼロに
  • AIが相見積もり比較と異常検知。あなたは判断だけに集中
  • 取引先は「招待」で完全無料。自社コストだけで取引先ごとデジタル化

※ 取引先から招待された企業様は完全無料でご利用いただけます

NEWJI総研

購買・調達や設計・品質の実務を、
研修テキストと実務書式にまとめています。
無料サンプルで中身を確かめられます。

NEWJI総研の資料を見る

OEM/ODM 生産委託

アイデアはある。作れる工場が見つからない。
試作1個から量産まで、加工条件に合わせて最適提案します。
短納期・高精度案件もご相談ください。

加工可否を相談する

AI/DX支援

見積・発注、紙・FAX、品質記録など、
人に頼って回っている業務を、AIと仕組みで回る形に。
まずは無料でご相談ください。

AI/DX支援を見る

見積・発注クラウド Newji one

受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。

機能を確認する

You cannot copy content of this page