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投稿日:2025年6月10日

配管・管継手・バルブのトラブル対策とコストダウンおよび品質向上

はじめに

配管・管継手・バルブは、製造業の設備やインフラを支える不可欠なコンポーネントです。
生産ラインに不可欠な流体制御システムや、冷却・加熱・薬液供給など、さまざまな現場で活躍しています。
しかし、その重要度が高いにもかかわらず、トラブルや想定外のコスト増、品質不良がたびたび発生しています。
本記事では、現場目線の実践的なトラブル対策と、コストダウンや品質向上につなげるヒントを解説いたします。
バイヤー視点とサプライヤー視点の両面に立ちつつ、昭和型アナログ思考が根強い業界ならではの背景も紐解きます。

配管・管継手・バルブの代表的なトラブル

経年劣化とメンテナンス不足

配管、管継手、バルブの最も多いトラブル原因は、経年劣化による腐食や摩耗、パッキン・シール材の硬化です。
昭和型の「モノをとことん使う」文化が残る現場では、ギリギリまで交換やメンテナンスを先送りしがちです。
その結果、突発的な漏洩や破損、ライン停止といった事態に直結してしまいます。

選定ミスと設計の見落とし

バイヤーや設計者がコストだけで選定をしたり、仕様書が形式的で現場の実状と合致していないケースも問題です。
例えば、流体の性質(酸・アルカリ・高温・高圧など)や耐食性の必要性が正しく伝わっておらず、標準品を安く導入したものの短期間でトラブルが起きる、といったパターンです。

施工・組付け不良

現場作業者の技術レベルや当日の人的リソース不足により、トルク管理やシール材の塗布不良などが起きやすくなります。
また、複雑な配管の取り回しで無理な力がかかったまま配管されたり、ストレート長不足でバルブが正しく機能しない例も散見されます。

サプライチェーンの旧態依然

商社やメーカー、現場設備管理担当者の間に立つ伝統的な人間関係が根強く残っている現場も多く、設計内容や仕様確認、改善提案が通しにくい「前例踏襲」主義もトラブルの温床となっています。

コストダウンを実現するための実践的アプローチ

仕様適合性の徹底検証

配管・管継手・バルブのコストダウンには、部材代を単純に下げる「値下げ交渉頼み」から一歩進めた仕様適合性の見直しが重要です。
ポイントは、ただ安価なものを探すのではなく「必要十分な性能・品質」を備えたものを選び抜くことです。

たとえば、すべてSUS(ステンレス)仕様で統一していた箇所を、用途によって樹脂化、ねじ込み配管からソケットレス化、またはフランジレス仕様へと置き換えていくことで、大幅なコストダウンが実現できます。

加えて、流体特性に応じてバルブの種類(ボールバルブ、グローブバルブ等)や接続方法(溶接・ねじ込み・フランジ)を最適化することで、トラブル減はもちろん材料費・工数削減にもつながります。

標準化とモジュール化の推進

昭和的な「一品対応」「個別調整」に頼りがちな構造を、できるだけ標準化・モジュール化することで、現場工数や交換・保守コストが減ります。
たとえば、一部のラインで汎用規格サイズ・部品を共通化する、ユニット交換式モジュールを採用する、などです。

さらに、サプライヤーと協業して「推奨一品番リスト」を用意することで、部材管理の一元化や価格交渉力強化にも結びつきます。

分散購買から一元購買への転換

設備ごと・部署ごとにバラバラに調達している現場が多く、同じ部材でも価格や納期、品質がばらつきます。
これを全社・工場単位で一元管理する(いわゆるカタログ購買やバーコード発注など)ことで、ロット購入による価格引き下げや、在庫最適化、トラブル発生時の迅速な部品供給が実現可能です。

品質向上のために現場ができること

「潜在不良」の見える化と未然防止

これまでの現場では、漏れ・破損=明らかなトラブルしか問題として扱わない傾向が強くありました。
しかし、高品質志向の近年は、「ヒヤリ・ハット」レベルの未然防止や、表面化していない潜在不良の見える化が求められています。

定期的な点検(日常/週次/月次)のルーチン強化と、兆候管理(バルブ開度変化検知・発熱・振動など)によって、計画的な交換やメンテナンスに移行でき、突発故障の削減・ライン品質向上が期待できます。

サプライヤーとの技術情報の共有・協働

「サプライヤーからの提案など、メーカー任せにはできない」と考えがちな現場ですが、実は現場情報・トラブル事例を積極的にシェアすることで、最新技術や改善事例のフィードバックが受けられます。
バイヤー部門(購買・調達)は、サプライヤーと一緒に現場GEMBAを巡回したり、構内で試験・実証(PoC)を行うなど、コストダウン・品質向上のイノベーションパートナーシップを意図的に築くべきです。

3D化・デジタル化による標準ワークフロー整備

今なお紙図面・手作業の現場が多いですが、配管設計・メンテナンスを3D CADやデジタル台帳で一元管理することで、部品互換情報の即時検索、施工時のヒューマンエラー防止、部品寿命管理など、品質リスクが圧倒的に減ります。

さらにIoT化されたバルブやフローセンサー等を利用することで、異常値を自動検知し、早期のトラブル対応につなげる実績も増えています。

昭和型アナログ現場からの脱却―これからのバイヤー像とサプライヤー像

前例踏襲から“価値提案型”へ

バイヤー(購買担当)は、ただの「値切り屋」だけでは戦えません。
日進月歩する新素材や樹脂成形技術、小型化バルブ、省施工配管など、サプライヤーが持つ最先端の情報・トレンドをいかに導入するかが真の競争力につながります。

一方で、サプライヤーは、単なる御用聞きで終わるのではなく、顧客の現場を徹底的に知り、自社製品の“強み”がどこで活きるか、コストと品質、双方にインパクトある提案を行うことが求められます。

GEMBA(現場)力を高める双方向コミュニケーション

現場担当-購買-サプライヤーが三位一体となり、実際にラインを歩き、現物・現場・現実に即した課題発見・改善提案を行うことが、これからの時代の主流となります。
情報の非対称性や「社内エゴ」から脱却し、課題と改善をオープンに議論しあう場を意識的に設けることで、共に品質・コスト競争力を高める土壌が生まれます。

まとめ:新たな価値創出のために

配管・管継手・バルブという、いわゆる「地味」な部品こそが、製造業の根幹品質・コストに深く関わっています。
昭和から受け継がれてきた良さ(現場の知恵・粘り)を活かしつつ、新しい技術・ワークフロー・パートナーシップを柔軟に取り入れていくことが必要不可欠です。
トラブル削減・コストダウン・品質向上の鍵は、目の前の一件一件の課題解決プロセスから、将来の自動化・デジタル化基盤の構築、その双方にまたがります。

本記事をお読みの方が、ご自身の業務改善・キャリアアップや、現場改革の一助となれば幸いです。
配管・管継手・バルブの「今」と「これから」を、共に切り拓いていきましょう。

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