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軸受を型番で買うとき確かめること——精度等級・内部すきま・グリース・同等品

この記事のポイント(結論先出し)
転がり軸受の呼び番号は、JIS では基本番号(形式・寸法系列・内径)と補助記号でできている[1]。基本番号が同じならメーカーが違っても主要寸法はそろうが[5]、保持器・封入グリース・材料・熱処理を示す補助記号は受渡当事者間の協定によると規格が定めているので[1]、「同等品」はここで食い違う。精度等級(0 級・6 級・5 級など)と内部すきま(C2・CN・C3 など)は、書かなければ既定のものが届く[1][2][3]。すきまは取付けたときのはめあいで変わるので、軸と穴の公差を決めた荷重条件と合わせて伝える[4]。
目次
型番は「基本番号」と「補助記号」に分けて読む
JIS B 1513 は、一般に用いる転がり軸受の呼び番号を、基本番号と補助記号で構成するとしている。基本番号は、軸受系列記号(形式記号と寸法系列記号)、内径番号、接触角記号からなる。補助記号は、受渡当事者間の協定によって基本番号の前後に付けることができるとしている[1]。
たとえば深溝玉軸受の「6204」は、形式記号 6(深溝玉軸受)と寸法系列記号 02(幅系列 0 は慣習的に省略され「62」となる)、内径番号 04(呼び軸受内径 20 mm)を並べたものである[1]。内径番号 04 以上は、おおむね内径を 5 で割った数になっているが、22・28・32 mm のように「/22」と書く内径もあるので、読み替えは規格の表で確かめる[1]。
主要寸法(内径・外径・幅・面取り)は JIS B 1512-1 がラジアル軸受について定めている(円すいころ軸受や一部の針状ころ軸受などは除く)[5]。基本番号がそろっていれば、外形は互換になるというのが、軸受を型番で買える理由である。
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補助記号——「同等品」が食い違う場所
JIS B 1513 の付表は、補助記号として次のような区分と記号を挙げている[1]。
- シール・シールド: 両シール付き UU、片シール付き U、両シールド付き ZZ、片シールド付き Z
- 軌道輪の形状: フランジ付き F、テーパ穴 K・K30、輪溝付き N、止め輪付き NR
- 軸受の組合せ: 背面組合せ DB、正面組合せ DF、並列組合せ DT
- ラジアル内部すきま: C2・CN・C3・C4・C5
- 精度等級: 0 級は記号なし、6X 級 P6X、6 級 P6、5 級 P5、4 級 P4、2 級 P2
ただし、シール・シールドなど一部の記号には「他の記号を用いることができる」という注が付いている。さらに、保持器、封入グリース、材料、熱処理などの仕様を示す補助記号は、受渡当事者間の協定によると規格は定めている[1]。つまり、規格がそろえているのは基本番号と一部の補助記号までで、それ以外はメーカーごとの記号である。
発注側にとっての意味ははっきりしている。「6204 の同等品」と書いて発注すると、外形と基本の形式はそろうが、シールの形式、保持器の材質、封入グリースの種類と量、材料、熱処理は、そろう保証がない。使用温度が高い、食品機械に使う、低トルクが要る、といった条件がある軸受では、この違いが効く。同等品で受けるときは、少なくとも次を一覧にして仕入先から回答をもらう。
- 基本番号と、シール・シールドの形式
- 精度等級と内部すきま
- 保持器の材質(鋼板・樹脂など)
- 封入グリースの種類(あるいは要求する性能)と封入量
- 軌道輪と転動体の材料、特別な熱処理の有無
グリースを銘柄で決めるか性能で決めるかは、潤滑油・グリースを指定するときで扱う。材料の同等を誰がどう判断するかの考え方は同等材の指定と承認が参考になる。
精度等級——書かなければ 0 級
ラジアル軸受の寸法と回転の精度は JIS B 1514-1 が定めている(ISO 492:2014 に一致)。等級は 0 級、6X 級(円すいころ軸受)、6 級、5 級、4 級、2 級で、規格はそれぞれについて内径・外径の許容差、内輪・外輪のラジアル振れ、幅の許容差などの値を表にしている[2]。呼び番号では 0 級は記号なしなので[1]、等級を書かずに発注すれば 0 級が届くと考えるのが自然である。
内径 18 mm を超え 30 mm 以下(たとえば 6204 の内径 20 mm)の内輪について、規格の表から主な値を抜き出すと次のとおりである[2]。
| 等級(内径 18 mm を超え 30 mm 以下) | 平面内平均内径の許容差(μm) | 内輪のラジアル振れ(μm 以下) |
|---|---|---|
| 0 級 | 0/−10 | 13 |
| 6 級 | 0/−8 | 8 |
| 5 級 | 0/−6 | 4 |
内径の許容差は、どの等級でも上の許容差が 0 で、小さい側に許容区間がある。軸のはめあいを考えるとき、軸受の内径は「穴」なのに H7 のような穴の公差とは向きが逆になっている点に注意する。等級を上げると振れが小さくなる一方、価格や納期にも効く。必要な等級は設計が決めることで、発注側は図面と発注書の等級が一致しているかを確かめる。
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内部すきま——記号が無ければ CN と読む
ラジアル内部すきまは JIS B 1520-1 が定めている。外力を加えない状態で、一方の軌道輪を他方に対して直径方向の一方の極限から反対側の極限まで動かしたときの距離(平均値)で定義される[3]。区分は C2・CN・C3・C4・C5 で、C2 が小さく C5 が大きい。呼び番号の補助記号の表では、CN の記号は省略できるとされている[1]。すきまの記号が付いていない軸受は CN と読むのが規格の書き方である。深溝玉軸受(円筒穴)で内径 18 mm を超え 24 mm 以下の値は次のとおりである[3]。
| 深溝玉軸受・内径 18 mm を超え 24 mm 以下 | 最小(μm) | 最大(μm) |
|---|---|---|
| C2 | 0 | 10 |
| CN | 5 | 20 |
| C3 | 13 | 28 |
| C4 | 20 | 36 |
| C5 | 28 | 48 |
隣り合う区分の範囲は重なっている。たとえば 13〜20 μm は CN にも C3 にも入る。「すきまの大きいものを」とだけ伝えても区分は決まらないので、記号で指定する。また、この値は取付ける前の、外力を加えない状態の値である[3]。しまりばめで軸に圧入すれば内輪が膨らみ、すきまは小さくなる方向に動く。どの区分を選ぶかは、はめあいと運転温度を前提に設計が決める。
軸と穴の公差は荷重の掛かり方で変わる
軸受の取付け側(軸の軸受座とハウジングの軸受座)のはめあいの一般的基準は JIS B 1566 が定めている。規格は、内輪に対して荷重の作用線が相対的に回転する「内輪回転荷重」、回転しない「内輪静止荷重」などの荷重の区分を定義し、区分ごとに軸と穴の公差クラスを示している[4]。内輪回転荷重または方向不定荷重ではしまりばめや中間ばめの側の公差クラスを、内輪静止荷重ではすきまばめまたは中間ばめの側の公差クラスを挙げている[4]。
規格は、ここに規定していない軸受の取付関係寸法とはめあいについては製造業者に問い合わせることが望ましく、取付部の真円度などの幾何公差は使用条件を考慮して決めることが望ましいとしている[4]。軸受を買う部門と、軸やハウジングを外注する部門が別だと、ここがつながらない。軸とハウジングの図面を外に出すときは、どの荷重条件で公差を選んだかを仕様書に添え、軸受の型番を替えるときは軸と穴の公差も見直す必要がないかを設計に確かめる。はめあいの公差の測り方ははめあいの指定と測り方で扱う。
規格の表が当てはまらない軸受もある
ここまでの表は、どの軸受にも当てはまるわけではない。JIS B 1514-1 は、針状ころ軸受、(航空機)機体用軸受、計器用精密軸受には適用しないとしている[2]。主要寸法の JIS B 1512-1 も、円すいころ軸受、インサート軸受、一部の針状ころ軸受、計器用精密軸受をラジアル軸受の範囲から除いている[5]。内部すきまの JIS B 1520-1 の値も、深溝玉軸受、複列自動調心玉軸受、円筒ころ軸受、ソリッド形針状ころ軸受、複列自動調心ころ軸受などに限られ、インサート軸受は別の規格による[3]。
こうした軸受を指定するときは、「JIS の等級で」と書いても仕入先は当てる表を持たない。メーカーのカタログ番号で指定するか、要求する寸法・精度・すきまを数値で仕様書に書く。円すいころ軸受の 6X 級のように、形式によってだけ用意されている等級もある[2]。
発注書に書くこと
軸受を型番で買うときも、図面に軸受を指定するときも、次の項目を一行ずつ書くと食い違いが減る。
| 項目 | 書かなかったときに起きること |
|---|---|
| 基本番号 | (必須) |
| シール・シールドの形式 | 開放形が届く、またはメーカーの記号の読み違い |
| 精度等級 | 0 級として扱われる |
| ラジアル内部すきま | CN として扱われる |
| 保持器・グリース・材料・熱処理 | メーカーごとの標準になり、同等品でそろわない |
| 指定メーカーか同等品可か | 仕入先が手配しやすいものを選ぶ |
同等品を認める場合は、誰がどの資料で同等と判断し、その記録をどこに残すかも決めておく。中小受託取引適正化法(取適法)がかかる製造委託で、組立品の部品として軸受を仕入先に手配させる場合は、仕様を発注の時点で明示しておくことが受入での食い違いを防ぐ。公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、検査基準が明確でない、あるいは発注後に基準を恣意的に厳しくした、といった場合には、それを理由にした受領拒否は認められないとしている[6]。図面だけでは伝わらない項目の整理は購買仕様書の書き方で扱っている。
受入で確かめること
軸受の内径や振れを受入で測り直すには、規格の等級に見合う測定環境が要る。多くの場合、受入で実際にできるのは次の照合である。
- 現品と箱の表示が、発注した基本番号・補助記号と一致しているか
- 同等品で受けた場合、回答書の内容(シール、保持器、グリース、すきま、等級)と現品の表示が一致しているか
- 指定メーカー品の場合、正規の流通経路から来たものか(流通経路を確かめる考え方は電子部品の模倣品を避ける調達が参考になる)
組み付けた後の回転精度や音で問題が出たときに、どの段階の部品だったかをたどれるよう、ロットの記録も残しておく。歯車と組み合わせる軸受なら、歯車側の精度の決め方は歯車の精度等級の指定で扱う。
よくある質問
図面に「6204ZZ 相当」と書いてある
「相当」の範囲が決まっていない。外形とシールドの形式までなのか、すきまや等級、グリースまで含むのかを設計に確かめ、発注書には上の表の項目で書き直す。
仕入先から「C3 しか在庫が無い」と言われた
C3 は CN よりすきまの範囲が大きい側にある[3]。取付けたときのすきまが変わるので、受けてよいかは設計の判断である。購買だけで決めず、回答を記録に残す。
まとめ
軸受の呼び番号は基本番号と補助記号に分けて読む。基本番号は規格でそろうが、保持器・グリース・材料・熱処理の記号は受渡当事者間の協定によるので、同等品はここで食い違う。精度等級は書かなければ 0 級、内部すきまは書かなければ CN として扱われ、すきまの区分は範囲が重なるので記号で指定する。すきまは取付けのはめあいで変わり、軸と穴の公差は荷重の掛かり方で選ぶので、軸受の発注と軸・ハウジングの発注をつないでおく。
出典・参考資料
- JIS B 1513:1995 転がり軸受の呼び番号(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1995 年 2 月 1 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 1514-1:2017 転がり軸受-製品の幾何特性仕様(GPS)及び公差値-第1部:ラジアル軸受(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2017 年 9 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 1520-1:2015 転がり軸受-内部すきま-第1部:ラジアル軸受のラジアル内部すきま(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2015 年 3 月 20 日制定・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 1566:2015 転がり軸受-取付関係寸法及びはめあい(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2015 年 3 月 20 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 1512-1 転がり軸受-主要寸法-第1部:ラジアル軸受(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2011 年 5 月 20 日制定・2021 年 10 月 20 日確認)
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
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