- お役立ち記事
- ガラエポ(FR-4)の発注——JIS C 6484 の GE4F・GE2F と Tg、切削用の板は JIS K 6912 で指定
ガラエポ(FR-4)の発注——JIS C 6484 の GE4F・GE2F と Tg、切削用の板は JIS K 6912 で指定

この記事のポイント(結論先出し)
「FR-4」は米国 NEMA の積層板のグレード名で、ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板のうち難燃タイプを指す[4]。JIS で同じ種類の材料(耐燃性のガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)を扱うのは JIS C 6484 で(NEMA のグレードとの対応は示していない)、ガラス転移温度(Tg)で GE4F(120 ℃以上)と GE2F(150〜190 ℃)に分けている[1]。Tg は TMA・DSC・DMA のどの方法で測るかで値の決め方が違うので[5]、下限値と試験方法を組で書く。厚さに銅はくを含むかは受渡当事者間の協定で、許容差は標準品・高品質品・超高品質品の 3 区分あり、指定がなければ高品質品、耐燃性は FV-0が適用される[1]。切削して治具や絶縁部品にする板は、銅張積層板ではなく JIS K 6912 のガラス布基材エポキシ樹脂積層板(EL-GEM・EL-GEF など)で指定する[3]。
目次
FR-4 は NEMA のグレード名、JIS では C 6484
「ガラエポ」「FR-4」は、プリント配線板の材料にも、切削して作る治具・絶縁板・スペーサーの材料にも使われる呼び名である。この記事は、どちらの用途でも発注で何を指定すれば仕入先と食い違わないかを扱う。
松下電工(当時)の松尾正人による基礎講座(サーキットテクノロジ 8 巻、1993 年)は、ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板(G-CCL)を NEMA のグレード別に大きく分けると、難燃タイプの FR-4・FR-5 と、難燃でないタイプの G-10・G-11 がある、と説明している[4]。つまり FR-4 は「燃えにくいガラスエポキシ」を指すグレード名で、JIS の記号ではない。
JIS では、JIS C 6484(プリント配線板用銅張積層板-耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂、2005 年改正)が同じ種類の材料を扱う。適用範囲は厚さ 0.05〜3.2 mm の耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板で、IEC 61249-2-7 と IEC 61249-2-8 を基に、技術的内容を変えて作られている[1]。種類は Tg で次の 2 つに分ける[1]。
GE4F
Tg 120 ℃以上。2 官能エポキシ樹脂を主体としたもの(IEC 61249-2-7 に対応)。
GE2F
Tg 150〜190 ℃。多官能エポキシ樹脂で変性した臭素化エポキシ樹脂からなるもの(IEC 61249-2-8 に対応)。
規格の参考には、IEC 規格自体はこの種類名を決めていないが、区分を明確にするため旧 JIS で使っていた名称を用いた、とある[1]。なお、JIS C 6484 は対応国際規格として IEC 規格を挙げるだけで、NEMA の FR-4・FR-5 との対応は示していない[1]。耐熱品の GE2F を NEMA の FR-5 と同じものとして扱わず、Tg などの値で指定する。記号の付け方の大もとは JIS C 6480(プリント配線板用銅張積層板通則)で、ガラス布基材エポキシ樹脂は GE、耐燃性のものは特性の数字の後に F を付け、GE4・GE4F は C 6484 を関連規格とする、と表で示している[2]。基板全体の発注での指定はプリント基板の発注で指定することで扱ったので、ここでは材料の積層板に絞る。
📄 実務で使うなら — 原価のつかみ方(全 5 章・無料サンプルあり)
Tg は「何度以上」と「どの方法で測るか」を組で書く
Tg(ガラス転移温度)は、樹脂が硬い状態から柔らかい状態に変わる温度で、はんだ付けや使用中の熱に対する余裕の目安になる。利昌工業の片山統夫の基礎講座(サーキットテクノロジ 8 巻、1993 年)は、Tg の測定には主に 3 つの方法があり、TMA 法は熱膨張が急に変わる変曲点、DSC 法は発熱・吸熱の変化が大きい点、DMA 法はねじり振動の減衰率が最大になる温度を Tg とする、と説明している[5]。同じ板でも、どの方法で測ったかで値の決め方が違う。
JIS C 6484 は、Tg を IEC 61189-2 の試験方法 2M11 で求めるとし、場合によっては 2M10(DSC)の使用も可能としている[1]。発注書には「Tg 150 ℃以上」と書くだけでなく、試験方法も書く。データシートの Tg を比べるときも、方法がそろっているかを先に見る。
🛠 発注の管理なら — 発注書の作成から送付、進捗の確認までをひとつの画面で行える Newji one(製造業の見積・発注クラウド/サービス資料は無料)
片山の講座は、耐熱性を「軟化・変形のような可逆的な変化への耐久性」と「熱劣化のような不可逆な変化への耐久性」に分けている。後者は長時間の熱処理で引張強度が初期値の 50 % になる温度で定義され、UL 規格の 746B に定格温度を決める試験方法がある、と書いている[5]。Tg が高いことと、長く熱にさらしても劣化しにくいことは、別の物差しである。
同じ講座は、JIS と NEMA の規格で、耐熱性ガラスエポキシ積層板(G-11 と FR-5)と一般品(G-10 と FR-4)の違いは、加熱時の曲げ強度保持率の項目が加わることと、加熱時の銅はく引きはがし強さの加熱温度が 125 ℃から 150 ℃に上がることの 2 点だ、と説明している(1993 年当時の規格の比較)[5]。高い温度で使う基板は、Tg だけでなく、高温での強さの項目まで見る。
GE4F と GE2F で、規格の値はここが違う
JIS C 6484 の値のうち、二つの種類で違うものを抜き出す(全項目は規格の各表を見る)。
| 項目(JIS C 6484) | GE4F | GE2F |
|---|---|---|
| ガラス転移温度(表 14) | 120 ℃以上 | 150〜190 ℃ |
| 曲げ強さ 縦方向(板厚 1.0 mm 以上・表 10) | 300 N/mm² 以上 | 400 N/mm² 以上 |
| 曲げ強さ 横方向(同) | 規定しない | 300 N/mm² 以上 |
| 耐燃性(表 11) | FV-0 または FV-1(協定がなければ FV-0) | |
出典は JIS C 6484 の表 10・表 11・表 14[1]。電気的特性(表面抵抗、体積抵抗率、比誘電率 1 MHz で 5.4 以下、誘電正接 0.035 以下など)は二つの種類に共通の値で、一部の項目は受渡当事者間の協定で省略できる[1]。どの項目を成績書に載せるかは、注文時に決める。
燃えにくさ——指定がなければ FV-0
JIS C 6484 は耐燃性を FV-0 と FV-1 に分け、受渡当事者間の協定がない場合は FV-0 とする[1]。FV-0 は、5 個 1 組の試料に計 10 回接炎したあとのフレーミング時間の合計が 50 秒以内、1 回ごとのフレーミング時間が 10 秒以内などの条件で、規格の備考は、この区分が UL 規格の規定を引用したもので、FV の F は UL の表記(V-0・V-1)に燃焼性を示す F を足したものだ、と説明している[1]。試験は厚さで方法が変わり、0.05 mm を超え 0.3 mm 以下と、0.3 mm を超え 3.2 mm 以下で別の試験方法を使う[1]。
樹脂部品の難燃等級と肉厚の関係の考え方は、UL94 V-0 対応の樹脂選定と肉厚設計で扱っている。積層板でも、等級は試験した厚さと組で読む。
厚さは「銅はくを含むか」と「どの許容差区分か」を書く
厚さの指定は、銅張積層板でいちばん食い違いやすい。JIS C 6484 は、銅張積層板の厚さに銅はくを含むかどうかは受渡当事者間の協定によるとし、一般的には 0.8 mm 未満の板は銅はくを含まない厚さ、0.8 mm 以上の板は銅はくを含んだ厚さとする、と書いている[1]。そのうえで、許容差を標準品・高品質品・超高品質品の 3 区分に分け、許容差の指定がない場合は高品質品の許容差を適用する[1]。
規格の表 4 で、銅はくを含む公称厚さ 1.30 mm を超え 1.70 mm 以下(よく使う 1.6 mm がここに入る)の許容差を見ると、標準品 ±0.20 mm、高品質品 ±0.13 mm、超高品質品 ±0.10 mm である[1]。区分を書かずに頼むと高品質品で受けることになるが、仕入先が標準品のつもりで見積もっていれば、そこで食い違う。
もう一つ、厚さと許容差は銅張積層板の端から 25 mm 以内、仕入先が切って納めたカットパネルでは端から 13 mm 以内には適用しない、とされている(その範囲でも許容差の 125 % 以内)[1]。受入で板の端を測って「外れている」と言わないよう、測る位置を合わせておく。
注文情報として規格が挙げている 9 項目
JIS C 6484 は、注文情報に次の内容を含まなければならないとしている[1]。これをそのまま発注書の項目にすれば、規格で協定に任されている部分の書き漏れが減る。
a) この規格の引用(JIS C 6484 による、と書く)
b) 銅張積層板の種類(GE4F か GE2F か)
c) 寸法、厚さ及び銅はく
d) へこみ及び突起のクラス(協定がなければクラス A)
e) 膨れのクラス(協定がなければクラス A)
f) 厚さ許容差の区分(指定がなければ高品質品)
g) 寸法安定性のクラス(協定がなければクラス A=±0.03 %)
h) カット材の寸法許容差の区分(指定がなければ標準品=±2.0 mm)
i) 耐燃性の区分(協定がなければ FV-0)
かっこの中は、それぞれ規格が指定のない場合に適用するとしているもの[1]。カット材は、パネル寸法 300 mm 以下で高品質品なら ±0.5 mm まで詰められるが、指定しなければ標準品の ±2.0 mm になる[1]。基板メーカーに材料の手配を任せる場合でも、こうした区分は図面か仕様書に書いておく。
吸湿と熱で起きる不具合を知っておく
前述の松尾の講座は、吸湿したプリント配線板をリフローなどの加熱条件にさらすとミーズリング(ガラス布と樹脂の界面がはがれて白い点が見える不具合)が起きる場合があり、コネクタ部分へのスポットはんだ付けのような厳しい熱ストレスで発生しやすい、と書いている[4]。同じ講座は、高温・高湿の中で回路の間やスルーホールの間に電圧をかけ続けると、ガラス繊維に沿って導電性の物質が伸びる CAF が問題になっていると説明し、銅張積層板の側の要因(ガラス布と樹脂の結合力、樹脂中のイオン性不純物など)が大きいとしている[4]。
JIS C 6484 も吸水率とミーズリングを銅はく除去後の特性として規定している[1]。湿度の高い環境で長く使う機器や、配線の間隔が狭い基板では、積層板の材料メーカーと品番を固定し、変更を承認の対象にするのが基本である。
切削して使う板は、JIS K 6912 の積層板で指定する
治具、絶縁スペーサー、端子台のベースのように、ガラエポの板を切削して部品にする場合、銅はくは要らない。その場合の板は、JIS K 6912(熱硬化性樹脂積層板)のガラス布基材エポキシ樹脂積層板で指定できる。規格は、長繊維ガラス布基材で、電気及び機械用 EL-GEM、電気及び耐燃用 EL-GEF、電気及び耐熱用 EL-GEH、電気・耐熱及び耐燃用 EL-GEHF の 4 つの記号を決めている[3]。燃えにくさが要る部品なら、記号に F の付いたものを選ぶ。
品質は規格の試験方法で表 2 の値を満たすことが求められるが、試験の一部は売り手と買い手の協定で省いてよいことになっている[3]。厚さの許容差も記号ごとに決まっていて、ガラス布基材エポキシ樹脂積層板の厚さ 6.0 mm では ±0.60 mm である[3]。これは素材の板の許容差で、削った部品の寸法を保証するものではない。部品の寸法は図面の公差と普通公差の指定で決める。同じ規格のフェノール樹脂積層板の記号の読み方は、フェノール樹脂(ベークライト)部品の発注で扱った。
発注書に書くこと(ガラエポ)
以下は規格の要求ではなく、発注側の実務としての提案である。
1. 用途の区別
プリント配線板の材料(銅張積層板・JIS C 6484)か、切削部品の素材(積層板・JIS K 6912)か。
2. 種類と記号
銅張積層板なら GE4F/GE2F、積層板なら EL-GEM/EL-GEF/EL-GEH/EL-GEHF。「FR-4 相当」とだけ書かない。
3. Tg
下限値と試験方法(TMA・DSC・DMA など)。
4. 厚さ
銅はくを含むかどうか、許容差の区分(標準品・高品質品・超高品質品)。
5. 規格が挙げる注文情報
前の節の 9 項目。
6. 材料の固定
材料メーカーと品番を固定するか、特性で指定して使った材料を成績書に書かせるか。
7. 成績書
どの試験項目の結果を、ロットごとに出すか(省略できる項目があるため)。
受入で確かめること
JIS C 6484 は、協定がない場合の表示として、製造業者名、公称厚さ、銅はく厚さ、製造番号を挙げ、カットされたパネル材は包装への表示で識別するとしている[1]。受入では表示と注文の種類・厚さ・銅はくを照らし、成績書で Tg の値と試験方法、耐燃性の区分を確かめる。切削部品では、素材の積層板の記号とロットを、部品の成績書と結びつけて記録しておく。
よくある質問
「FR-4」と書けば JIS C 6484 の GE4F と同じですか
FR-4 は NEMA のグレード名で[4]、JIS C 6484 は Tg で GE4F(120 ℃以上)と GE2F(150〜190 ℃)を分けている[1]。規格は NEMA との対応を示していないので、GE2F も NEMA の FR-5 そのものではない。どちらを求めるのか、Tg の下限と試験方法まで書いて指定する。
厚さ 1.6 mm と書けば、銅はくを含む厚さになりますか
含むかどうかは受渡当事者間の協定で、規格は一般的に 0.8 mm 以上は銅はくを含む厚さとする、としている[1]。誤解を避けるため、含むかどうかを書く。
治具用のガラエポ板にも成績書は付きますか
JIS K 6912 は試験の一部を協定で省けるとしているので[3]、どの項目の成績を出すかは注文時に決める。
まとめ
FR-4 は NEMA の難燃ガラスエポキシのグレード名で、JIS では C 6484 が GE4F(Tg 120 ℃以上)と GE2F(Tg 150〜190 ℃)を決めている(NEMA のグレードとの対応は示していない)。Tg は測り方で値の決め方が違うので、下限値と試験方法を組で書く。厚さは銅はくを含むかと許容差の区分を書き、指定がなければ高品質品・FV-0・クラス A などが適用されることを前提に、規格が挙げる 9 項目の注文情報を発注書に入れる。切削部品の素材の板は、JIS K 6912 の EL-GEM・EL-GEF などで指定する。
同じ束では、電気部品の成形材料をPBT 樹脂の選び方で、板材の塩ビを塩ビ板(硬質PVC)JIS K 6745 の発注で扱う。基板の実装品質の決め方は基板実装の品質はどう指定するかにまとめた。
出典・参考資料
- JIS C 6484:2005 プリント配線板用銅張積層板-耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2005 年 3 月 20 日改正)
- JIS C 6480:1994 プリント配線板用銅張積層板通則(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧)
- JIS K 6912:1995 熱硬化性樹脂積層板(追補 1・追補 2:2006)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧)
- 松尾正人「基礎講座『基板材料』第 4 回 ガラスエポキシ(FR-4)」サーキットテクノロジ 8 巻 5 号(エレクトロニクス実装学会/1993 年)
- 片山統夫「基礎講座『基板材料』第 5 回 耐熱ガラスエポキシ積層板」サーキットテクノロジ 8 巻 6 号(エレクトロニクス実装学会/1993 年)
基板と、絶縁材を加工した部品の生産先を選ぶ
newji の OEM/ODM 生産では、サプライヤーネットワークを通じて PCB・PCBA(実装済み基板)を調達でき、電子部品の組込み・検査・梱包まで対応します。切削などの加工では、複合材を含む材質に対応する生産先を国内外から選定します。選定した生産先で試作品を製作し、寸法・外観・機能を検証して量産に向けた課題を洗い出します。
この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント
製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。
FREE DOCUMENT — サービス資料(PDF・無料)
見積依頼から比較まで、
ひとつの画面にまとめる方法
Newji one は、製造業の調達・受発注に特化したクラウド/AIエージェント。見積依頼・発注書作成・進捗管理・承認をひとつの画面に集約し、AIが比較と異常検知を担当。最後の「GO」だけ人が押す仕組みです。
▶ 見積依頼から比較までをひとつの画面にまとめる方法を、資料で見る(PDF・無料)
- 見積〜発注〜納期を一元管理。催促・転記のムダをゼロに
- AIが相見積もり比較と異常検知。あなたは判断だけに集中
- 取引先は「招待」で完全無料。自社コストだけで取引先ごとデジタル化
※ 取引先から招待された企業様は完全無料でご利用いただけます
見積・発注クラウド Newji one
受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。
