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投稿日:2026年10月16日

油圧ホース(JIS B 8360)の発注——クラス・グレード・タイプ、最小曲げ半径、継手の指定

この記事のポイント(結論先出し)

油圧ホースは、ホース単体が JIS K 6349、継手を付けたホースアセンブリが JIS B 8360、継手金具が JIS B 8363 で決まっている。ホースアセンブリはクラス(最高使用圧力 3.5〜42 MPa の 8 区分)・グレード(衝撃圧力に耐える回数と温度で A〜D)・タイプ(標準とコンパクト)で選び、最高使用圧力には通常、過渡的に生じた衝撃圧力も含む。最小曲げ半径はクラス・タイプ・呼び径ごとに表で決まっていて、それより小さく曲げる取り付けは故障の原因になる。発注書は規格の呼び方の順序どおり、クラス・タイプ・呼び径・長さ・両端の継手の記号・取付角度を書く。JIS B 8360 の受渡検査は寸法だけで、耐圧や衝撃圧力の性能は形式検査の項目なので、ロットで確かめたいことは注文で決める。

ホース・ホースアセンブリ・継手で規格が分かれている

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この記事は、油圧機器の配管に使う鋼線または繊維補強のゴムホースを扱う。JIS は三つに分かれていて、ホース単体は JIS K 6349(液圧用の鋼線又は繊維補強ゴムホース)、ホースに継手金具を付けた製品は JIS B 8360(液圧用の鋼線又は繊維補強ゴムホースアセンブリ)、継手金具と附属金具は JIS B 8363(液圧用ホースアセンブリの継手金具及び附属金具)である[1][2][3]。

JIS B 8360 は 2015 年 10 月 20 日に改正され、呼び径 5〜76、最高使用圧力 3.5〜42 MPa、温度範囲 −40〜+100 ℃(グレード A・B)または −40〜+120 ℃(グレード C・D)で用いるホースアセンブリに適用できる。適用流体は通常、作動油の HH・HL・HM・HR・HV で、対応する国際規格は現時点で制定されていない[1]。ホース単体の JIS K 6349(2012 年制定)は呼び径 5〜102、最高使用圧力 3.5〜56 MPa までを扱い、ISO 18752:2006 を修正して作られている[2]。ホース単体には 56 MPa のクラスがあるが、アセンブリの JIS B 8360 のクラスは 42 MPa までなので、高い圧力の配管では、ホースアセンブリとして規格の範囲に入るかを確かめる。

適用流体の作動油は鉱物油系で、JIS B 8360 は ISO 6743-4 による定義を注記している(HH は無添加鉱物油、HL はさび止め剤と酸化防止剤を配合したもの、HM は耐摩耗性を付加したもの、など)[1]。水グリコールなどの難燃性作動油や、作動油以外の流体を流す場合は、この規格の前提の外になるので、ホースの材質の適合を製造業者に確かめる。

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クラス・グレード・タイプの選び方

JIS B 8360 のホースアセンブリの種類は、クラス、グレード、タイプの三つで区分する[1]。

クラスは最高使用圧力による区分で、35・70・140・210・250・280・350・420 の 8 種類がある。クラスの数字を 10 で割った値が最高使用圧力(MPa)で、各クラスの最高使用圧力は呼び径によらず同一である[1]。規格は最高使用圧力を「ホースアセンブリを連続して用いることができる最高圧力。通常,過渡的に生じた衝撃圧力も含む」と定義している[1]。回路の常用圧力だけでクラスを選ぶと、弁の切り替えなどで出る瞬間的な圧力を見落とす。

グレードは耐衝撃圧力性による区分で、A〜D の 4 種類がある。衝撃圧力試験の条件は、A が作動油温度 100 ℃・最高使用圧力の 1.33 倍・200 000 回、B が 100 ℃・1.33 倍・500 000 回、C が 120 ℃・1.33 倍(クラス 350・420 は 1.2 倍)・500 000 回、D が 120 ℃・1.33 倍・1 000 000 回である[1]。圧力の上げ下げが多い回路や油温の高い装置では、グレードの違いが寿命に効く。

タイプはホースの外径と最小曲げ半径による区分で、標準タイプ(AS・BS・CS)とコンパクトタイプ(AC・BC・CC・DC)がある[1]。コンパクトタイプは外径と最小曲げ半径が小さく、狭い場所の配管に向く。ただし、グレード・タイプ・クラスの組み合わせには対象サイズのないものがあり、たとえばグレード C・D の種類はクラス 210 以上にしかない[1]。

圧力の数字——最高使用圧力・耐圧試験圧力・最小破壊試験圧力

JIS B 8360 は、クラスごとに三つの圧力を決めている[1]。

クラス 最高使用圧力(MPa) 耐圧試験圧力(MPa) 最小破壊試験圧力(MPa)
70 7 14 28
140 14 28 56
210 21 42 84
350 35 70 140
420 42 84 168

表のとおり、耐圧試験圧力は最高使用圧力の 2 倍、最小破壊試験圧力は 4 倍になっている(クラス 35・250・280 も同じ関係で、全クラスの値は規格の表 9 にある)[1]。耐圧性試験は JIS K 6330-2 の方法で水か油を使い、加圧を 30〜60 秒間保持して外観を調べる。最小破壊試験圧力は、加圧したときに継手の離脱・ホースの破裂・継手取付部の漏れなどを生じてはならない圧力である[1]。最小破壊試験圧力は使ってよい圧力ではない。設計で使うのは最高使用圧力である。

最小曲げ半径と、取り付けでの故障

JIS B 8360 は、最小曲げ半径を「ホースアセンブリの性能の低下なく使用できる曲げ半径の最小値」とし、ホースアセンブリを曲げたときにホースが描く内側の円弧から求めると定義している[1]。値はクラス・タイプ・呼び径ごとに表 8 で決まっていて、たとえば呼び径 12 のクラス 210 なら標準タイプで 180 mm、コンパクトタイプで 130 mm である[1]。

この値を守らない取り付けが、実際の故障の大きな原因になっている。10 万本以上の油圧ホースを使う製鉄所の保全の報告によれば、故障の分析では全体の半分以上が経年劣化によるもので、そのほかに取り付け不良と外層の摩耗があった。取り付け不良の例は、ねじれや最小曲げ半径以下での設置で、最小曲げ半径以下で使うと補強層の外側の鋼線に引張力、内側の鋼線に圧縮力がかかり、破壊圧力が下がって破損する。外層が摩耗して補強層が露出すると、補強層が腐食して強度が下がる[4]。同じ報告は、こうした原因には正しい取り付け方法・配置方法の施工標準を整えて運用することや、外面の保護などの対策が有効だとしている[4]。

購買の側でできることは、装置の配管スペースと最小曲げ半径の関係を、ホースを選ぶ段階で設計と確かめることである。スペースが足りないからコンパクトタイプにする、両端曲り継手にする、といった選択は、仕様書に書かれていれば発注で再現できる。

継手の記号とねじの組み合わせ

ホースアセンブリの継手は、JIS B 8363 の記号で指定する。JIS B 8360 の表 3 は、ねじ継手として R・G・C・4C-S・4C-M・9C-S・9C-M・ORFS・4ORFS-S・4ORFS-M・9ORFS-S・9ORFS-M・9ORFS-L・GO・F・M・MC・UF を、フランジ継手として S・4S・9S・H・4H・9H・HD・4HD・9HD・FA・FL・FF を挙げ、クラスによって使える継手を分けている。F・M・MC・UF の継手は使用しないのが望ましいとされ、呼び径 63・76 ではフランジ継手の使用が推奨されている[1]。

組み合わせの原則として、継手の最高使用圧力はホースの最高使用圧力以上とする[1]。ねじ継手を使う場合の通常の組み合わせは表 5 にあり、たとえばホースの呼び径 12 なら、管用テーパねじ R1/2、管用平行ねじ G1/2B(おねじ)・G1/2(めねじ)、メートルねじ M22×1.5、ユニファイねじ 3/4-16UNF-2B が対応する[1]。同じ呼び径のホースでも、相手の機器のポートが R なのか G なのか、メートルねじなのかで継手が変わる。管用ねじの違いは管用ねじの記事、インチ系のねじはユニファイねじの記事で扱っている。

継手金具そのものの条件は JIS B 8363 にある。継手と附属金具には、一般に JIS H 8610・JIS H 8625 の電気亜鉛めっきとクロメート皮膜(Ep-Fe/Zn5/CM1B など)か同等以上の防せい処理を施し、JIS Z 2371 の塩水噴霧試験を 72 時間行って素地金属に赤さびがないことを求めている。ただし、かしめのために保護皮膜が除去された箇所と流路の内孔部は除き、作動油の種類によって選ぶその他の防せい処理は受渡当事者間の協定による[3]。塩水噴霧試験の指定の考え方は塩水噴霧試験の記事で扱っている。ユニオン継手などには締付けトルクの上限も決められていて、表の締付けトルクを超えて使用してはならない[3]。

長さ・取付角度と呼び方

ホースアセンブリの長さの許容差は、500 mm 未満なら +10 mm/0、500 mm 以上 1 000 mm 未満なら +15 mm/0、1 000 mm 以上 2 000 mm 未満なら +20 mm/0、2 000 mm 以上 5 000 mm 未満なら +1.0 %/0、5 000 mm 以上なら +2.0 %/0 で、どれも短い側には許容差がない[1]。両端が曲り継手の場合の取付角度は、一端の継手を垂直下向きにした状態を 0° とし、手前の他端の継手の取付位置を時計回りに測った角度 α で表す。角度の許容差は受渡当事者間の協定による[1]。曲り継手を使うなら、角度とその許容差を発注で決めておかないと、取り付けでホースにねじれが入る。

JIS B 8360 は、ホースアセンブリの呼び方を、規格番号に続けてクラス、タイプ、ホースの呼び径、ホースアセンブリの長さ、両端の継手の記号、取付角度の順に並べると決めていて、例として「JIS B 8360 70 AS 19 400 G / C」「JIS B 8360 350 DC 25 1 000 4H / 9H 315」を挙げている[1]。発注書をこの形で書けば、仕入先が変わっても同じものが届く。

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受入・保管・交換で確かめること

JIS B 8360 の検査は形式検査と受渡検査に分かれる。形式検査は耐圧性・破壊圧力・耐衝撃圧力性・耐負圧性の項目で、少なくとも 5 年に 1 回の間隔か、製造方法・材料を変えたときに実施する。受渡検査は合理的な抜取方式による寸法の検査で、規格に定めのない項目は受渡当事者間の協定で試験・検査を行う[1]。ロットごとの耐圧試験の記録が必要なら、注文で求める。

表示は、製造業者名またはその略号と製造年月(例:2014 年 9 月なら 1409)を、容易に消えない方法で付ける。製品の呼び方を表示するかどうかは受渡当事者間の協定による[1]。ホース単体には JIS K 6349 の表示があり、製造業者名、規格番号と発行年、タイプ、呼び径、最高使用圧力、製造年と四半期を少なくとも 760 mm ごとに表示しなければならない[2]。受入では、この表示でクラス(最高使用圧力)とタイプが発注どおりかを見る。

保管について、JIS B 8360 はホースアセンブリの内部を清浄にしてキャップなどで保護し、直射日光を避けて −10〜+40 ℃の乾燥した屋内に置き、まっすぐにして保管する(巻くなら規定の最小曲げ半径より大きく巻く)こと、製造時期の古いものから使うことを求めている[1]。保守用の在庫を持つ場合は、製造年月で先入れ先出しにする。輸送中の防せいの指定は防錆の記事で扱っている。

交換の時期は、計算だけでは決めにくい。前述の製鉄所の報告は、寿命計算式は補強層の金属疲労を前提にしているが、高温や水蒸気などの苛酷な環境で使う場合は計算の結果に比べて実際の寿命が短くなるとし、使用後のホースの破壊圧力から寿命の消費率を推定し、使用頻度に応じて交換周期を見直す方法を報告している[4]。同じ著者らの報告も、劣化を支配するパラメータが複数あり劣化のモードが複雑で、計算で寿命を評価するのが難しいことを課題に挙げている[5]。保守部品として買う場合は、交換した日と装置ごとの使用条件を記録しておくと、次の交換周期の見直しに使える。

よくある質問

Q. 常用圧力が 18 MPa なら、クラス 210 で足りるか。
A. 最高使用圧力には通常、過渡的な衝撃圧力も含むと定義されている[1]。弁の切り替えなどで瞬間的に 21 MPa を超えるなら足りない。回路の最高圧力を設計者に確かめる。

Q. 同じホースで長さだけ違うものを、別の仕入先に頼んでよいか。
A. 規格の呼び方でクラス・タイプ・呼び径・継手の記号・取付角度まで指定していれば頼める。継手の記号を省くと、ねじの系列が違う継手が付くことがある。

Q. 受入で耐圧試験をしてもらえるか。
A. JIS B 8360 の受渡検査は寸法だけなので、耐圧試験の実施と記録は注文で決める[1]。

ホースの外面ゴムなどゴム材料の指定はゴム部品の材質の記事、継手のシール部品はO リングとガスケットの記事で扱っている。油圧ユニットの架台や配管支持を留めるボルト・ナットは六角ボルト・ナットの記事、薄板の筐体を片側から留める部品はブラインドリベットの記事、鉄骨の架台を摩擦接合する場合は高力ボルトの記事で扱っている。

まとめ

油圧ホースは、ホースが JIS K 6349、ホースアセンブリが JIS B 8360、継手が JIS B 8363 で決まる。アセンブリはクラス(最高使用圧力 3.5〜42 MPa)・グレード(衝撃圧力の回数と温度)・タイプ(標準とコンパクト)で選び、最高使用圧力には過渡的な衝撃圧力も含む。最小曲げ半径以下での取り付けやねじれは故障の大きな原因になる。発注書は規格の呼び方どおりクラス・タイプ・呼び径・長さ・継手の記号・取付角度を書き、受渡検査が寸法だけであることを踏まえて、耐圧の記録など必要な確認は注文で決める。

出典・参考資料

  1. JIS B 8360:2015 液圧用の鋼線又は繊維補強ゴムホースアセンブリ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2015 年 10 月 20 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
  2. JIS K 6349:2012 液圧用の鋼線又は繊維補強ゴムホース(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2012 年 8 月 20 日制定・2022 年 10 月 20 日確認)
  3. JIS B 8363:2015 液圧用ホースアセンブリの継手金具及び附属金具(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2015 年 10 月 20 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
  4. 設備安定稼動の達成に向けた油圧ホース寿命予測・管理活動(藤井彰ほか/日本機械学会 Dynamics and Design Conference 2010 論文集/2010 年)
  5. 油圧ホースの劣化度評価手法の確立(藤井彰・田中宏典/日本機械学会 評価・診断に関するシンポジウム講演論文集/2009 年)

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