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ユニファイねじ(UNC・UNF)の指定——JIS B 0206・B 0208 の呼び方と等級、M ねじとの取り違え

この記事のポイント(結論先出し)
ユニファイねじはインチ系のねじで、並目(UNC)は JIS B 0206、細目(UNF)は JIS B 0208 に基準寸法がある。どちらの JIS も適用範囲を「航空機その他特に必要な場合に限り用いる」としていて、国内の一般の締結はメートルねじが基本である。それでも輸入機械の保守部品や油圧ホースの継手などでは今も使われる。ねじ山の角度はメートルねじと同じ 60° なので、1/4-20UNC と M6、1/2-13UNC と M12 のように径の近い組み合わせは見た目では見分けにくい。発注書・図面では「1/4-20UNC-2A」のように、ねじの呼びに山数・系列と等級まで書き、受入はユニファイねじ用の限界ゲージ(JIS B 0255)で確かめる。
目次
JIS でのユニファイねじの位置づけ——「特に必要な場合に限り」
ユニファイねじは、1948 年にアメリカ・イギリス・カナダが協定して制定した、ねじ山の角度が 60° のインチねじである[7]。JIS では、並目を JIS B 0206(ユニファイ並目ねじ)、細目を JIS B 0208(ユニファイ細目ねじ)が基準山形・公式・基準寸法として定め、どちらも 1973 年 12 月 1 日に改正されて以降、2024 年 10 月 21 日に確認されている。両規格の適用範囲は「航空機その他特に必要な場合に限り用いる」ユニファイねじで、ISO 263 に規定されている ISO インチねじの並目系列・細目系列と一致しているとされている[1][2]。
この「特に必要な場合に限り」という書き方には経緯がある。1971 年にねじの JIS 改正を解説した記事によれば、当時の JIS は直径 9 mm を超える範囲でウイットねじを使い、ウイットねじは漸次ユニファイねじに切り替えることが推奨されていたが、切替えはほとんど進んでいなかった。1964 年に日本工業標準調査会は、一般には ISO メートルねじを採用し、ISO インチねじ(ユニファイねじ)は航空機その他特別な用途にだけ用いる、細密ねじとウイットねじは廃止する、という方針を決め、1965 年と 1968 年の 2 段階で JIS を改正した[7]。同じ記事は、1967 年の 2 回目の海外調査では ISO インチねじだけを採用する国はアメリカだけになっていたとも書いている[7]。
つまり、国内で新しく設計する部品にユニファイねじを使う理由はあまりない。一方で、北米で設計された機械の保守部品、航空機関連の部品、北米の規格に合わせた油圧機器などでは今も現役である。購買の実務で問題になるのは、こうした部品を国内や海外の別の仕入先に手配するときの指定の書き方と、メートルねじとの取り違えである。
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ねじの呼びと等級の書き方(JIS B 0123)
ねじの表し方を定める JIS B 0123 は、ユニファイねじの呼びを、直径(インチ)またはナンバーと、25.4 mm についての山数、系列の記号で表し、例として並目は「3/8-16UNC」、細目は「No.8-36UNF」を挙げている。ねじの等級は、めねじを 2B、おねじを 2A のように数字と文字の組み合わせで表し、必要がなければ省略してもよいとしている。左ねじは「LH」を付ける[4]。
等級の中身は、JIS B 0210(ユニファイ並目ねじの許容限界寸法及び公差)と JIS B 0212(同・細目)が決めている。めねじは 3B・2B・1B、おねじは 3A・2A・1A の 3 等級ずつで、必要に応じて異なる等級のめねじとおねじを組み合わせて使ってよい。許容限界寸法の数値は ANSI B1.1a-1968 と一致しているとされ、表の値は 1.5d 以下のはめあい長さを持つ製品に適用する[3]。3A の表では基礎となる寸法許容差が 0 で、おねじの外径・有効径が基準寸法を上限として決まっている[3]。めっきをする部品など、めっき厚の分の余裕が要る場合は等級の選び方が品質に関わるので、図面の等級を勝手に省かない。
ねじの検査は、原則として JIS B 0255(ユニファイねじ用限界ゲージ)のゲージによると JIS B 0210 は定めている[3]。JIS B 0255 は 2008 年 3 月 20 日に改正されている[9]。メートルねじの公差域クラス(6H/6g など)の指定はねじの公差域クラスの記事で扱っているが、ユニファイねじにはその記号の体系が当てはまらないので、図面に「6H」とあるのにねじがユニファイ、という食い違いがあれば発注前に確かめる。
メートルねじと取り違えやすい組み合わせ
ユニファイねじとメートルねじはどちらもねじ山の角度が 60° で、基準山形は ISO の一般用ねじとして共通の形が採用されている[7]。違うのは直径とピッチの系列だけなので、径の近いものどうしは目で見て区別しにくい。JIS B 0206 とメートルねじの JIS B 0205-2 から、取り違えやすい組み合わせを並べると次のようになる[1][5]。
| ユニファイ並目ねじ | 外径 d(mm) | ピッチ(mm) | 近いメートル並目ねじ | そのピッチ(mm) |
|---|---|---|---|---|
| 1/4-20UNC | 6.350 | 1.2700 | M6 | 1 |
| 5/16-18UNC | 7.938 | 1.4111 | M8 | 1.25 |
| 3/8-16UNC | 9.525 | 1.5875 | M10 | 1.5 |
| 1/2-13UNC | 12.700 | 1.9538 | M12 | 1.75 |
外径の差は 0.06〜0.7 mm 程度で、ノギスで外径だけを測ると「だいたい M8」と判断してしまうことがある。ピッチが違うので最後までねじ込めば止まるが、数山かかった状態で締め付けると、ねじ山を傷めたり、必要な締付け力が出なかったりする。細目でも、JIS B 0208 の 1/4-28UNF は外径 6.350 mm・ピッチ 0.9071 mm で[2]、M6 の細目ピッチ 0.75 mm とも並目 1 mm とも違う[5]。
インチねじどうしの取り違えも過去に議論されてきた。1958 年の機械学会の論文は、ユニファイねじとウイットねじは外径・ピッチの等しいものが多く、有効径・ひっかかりの高さなどもほとんど同じで、山の角度がユニファイねじは 60°、ウイットねじは 55° という点だけが違い、これも目で見ただけでは区別することは難しいと書いている[8]。古い英国系の機械にはウイットねじが残っている可能性があり、ユニファイねじとして手配すると、はまるのに規格が違うという事態になる。
今もユニファイねじが出てくる場所
国内の規格の中にも、ユニファイねじを前提にしたものがある。液圧用ゴムホースアセンブリの JIS B 8360 は、ホースとねじ継手の組み合わせの表に、管用テーパねじ・管用平行ねじ・メートルねじと並べてユニファイねじの呼びを載せていて、たとえばホースの呼び径 5 と 6 には「7/16-20UNF-2B」、呼び径 12 には「3/4-16UNF-2B」が対応している[6]。油圧機器では、同じ呼び径のホースでも継手のねじの系列が複数あるので、ホースの手配で「呼び径 12」とだけ書くと、ねじの合わない継手が届く。ホースの指定は油圧ホースの記事で扱う。
ほかに、米国の軍用規格品や航空機部品も、ユニファイねじやその派生のねじで指定されていることが多い。軍用規格品の調達の流れはMIL 規格品の記事を参照してほしい。海外の材料規格との読み替えと同じく、ねじも「同等品」として勝手に置き換えないことが基本で、材料の同等材の扱いは同等材の記事で扱っている。
図面・発注書に書くこと
1. ねじの呼びを省略せずに書く
「1/4 ボルト」「3/8 タップ」のような書き方は、ユニファイの並目・細目、ウイット、管用ねじのどれなのかが決まらない。JIS B 0123 の書き方どおり「1/4-20UNC」のように山数と系列まで書く[4]。
2. 等級を書く
おねじは 2A、めねじは 2B のように等級を明記する。等級を省略してよいのは必要がない場合に限られる[4]。めっき後の寸法を保証したい場合は、めっき前に削るのか、めっき後にゲージを通すのかも書く。
3. 現品から手配する場合は、ねじを特定してから
保守部品を現品合わせで手配するときは、外径だけでなくピッチ(山数)を測り、メートルねじかインチねじかを特定してから発注する。特定できない場合は、現品を仕入先に渡して判定させる。
4. 検査の方法を決める
受入でゲージ検査をするなら、JIS B 0255 のゲージを社内で持っているかを確かめる。持っていなければ、仕入先の検査記録で代えるのか、ゲージを用意するのかを発注前に決める。
5. めねじを加工させる場合はタップの系列も
部品にめねじを切らせる場合は、ねじの呼びと等級を図面に書けば足りるが、インサートを入れる場合はインサート側の呼びが別にある。ねじ穴とインサートの指示はねじ穴とインサートの記事で扱っている。
受入で確かめること
受入の基本はゲージによる確認である。JIS B 0210 はユニファイ並目ねじの検査を原則として JIS B 0255 のねじ用限界ゲージで行うとしている[3]。メートルねじのゲージを当てて「入らない」ことで判定する方法は、インチねじであることの確認にはなっても、等級に合っているかの確認にはならない。
海外の仕入先が米国の規格(ASME の B1.1 系)で作った部品も、JIS B 0210 の数値が ANSI B1.1a-1968 と一致している範囲では寸法の考え方は同じである[3]。ただし、版の違いや社内規格での追加要求があり得るので、仕入先の図面や証明書に書かれた規格と版を確かめ、自社の図面の指定と食い違っていないかを見る。
よくある質問
Q. 1/4-20UNC のボルトの代わりに M6 を使ってよいか。
A. 使えない。外径もピッチも違うので、相手のめねじがユニファイなら数山かかることはあっても最後まで入らず、締結として成り立たない。相手側も含めてメートルねじに変えるなら、それは設計変更である。
Q. ユニファイねじは JIS にあるので、国内の新規設計に使ってもよいか。
A. JIS B 0206 と JIS B 0208 は、航空機その他特に必要な場合に限り用いるとしている。新規設計ではメートルねじが基本で、ユニファイねじを選ぶなら相手の機器の都合などの理由が要る。
Q. 等級 2A と 3A はどちらを指定すべきか。
A. 図面の指定に従う。図面に等級がない場合は、相手のめねじの等級とめっきの有無を設計者に確認する。JIS B 0210 の 3A の表では基礎となる寸法許容差が 0 である[3]。
管のねじ(R・Rc・G・NPT)の違いは管用ねじの記事、鉄骨の高力ボルトは高力ボルトの記事、片側から留める部品はブラインドリベットの記事で扱っている。
まとめ
ユニファイねじは並目 UNC が JIS B 0206、細目 UNF が JIS B 0208 に定められ、どちらも航空機その他特に必要な場合に限り用いるとされている。国内の一般の締結はメートルねじが基本だが、輸入機械の保守部品や油圧の継手では今も出てくる。山の角度はメートルねじと同じ 60° なので、径の近い組み合わせは見た目で区別しにくい。発注書・図面には JIS B 0123 の書き方どおり山数・系列・等級まで書き、現品手配ではピッチを測ってねじを特定し、受入は JIS B 0255 のゲージで確かめる。
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出典・参考資料
- JIS B 0206:1973 ユニファイ並目ねじ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1973 年 12 月 1 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 0208:1973 ユニファイ細目ねじ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1973 年 12 月 1 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 0210:1973 ユニファイ並目ねじの許容限界寸法及び公差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1973 年 12 月 1 日改正)
- JIS B 0123:1999 ねじの表し方(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 1 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS B 0205-2:2001 一般用メートルねじ-第 2 部:全体系(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2001 年 12 月 20 日制定)
- JIS B 8360:2015 液圧用の鋼線又は繊維補強ゴムホースアセンブリ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2015 年 10 月 20 日改正)
- 大学の研究室へまで波及した ISO ねじへの切替え(吉本勇/計測と制御 Vol.10 No.6・計測自動制御学会/1971 年)
- ユニファイねじとウイットねじとの互換性(山本晃・吉本勇/日本機械学会誌 Vol.61 No.470・日本機械学会/1958 年)
- JIS B 0255:2008 ユニファイねじ用限界ゲージ(日本産業標準調査会 JIS 検索の規格情報/2008 年 3 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
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