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投稿日:2026年10月26日

ZAMなど高耐食めっき鋼板 JIS G 3323の指定——SGMCCの記号・K付着量と切断端面の錆

この記事のポイント(結論先出し)

ZAM などの商品名で呼ばれる亜鉛・アルミニウム・マグネシウム系の高耐食めっき鋼板は、JIS では G 3323(溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯)にあたる。めっき浴の成分はアルミニウム 5.0〜13.0%、マグネシウム 2.0〜4.0% と幅で決まっている[1]。注文では、種類の記号(一般用は SGMCC)、めっきの付着量表示記号(K18・K27 など、両面の合計)、化成処理(クロメートフリーか無処理か)、寸法を書く。付着量の数字の並びは溶融亜鉛めっきの SGCC(Z18・Z27 など)と同じで[2]、耐食の違いは付着量ではなくめっきの成分から来る。めっきの耐食性試験は受渡当事者間の協定で行うもので、規格は耐食性の数値を保証していない[1]。シャーで切った端面はほとんどめっきに覆われないので[4]、切断後の端面の扱いも発注時に決める。

この記事は、工業用途の鋼板(筐体・架台・ケーブルラック・設備のカバーなど)として高耐食めっき鋼板を発注する人に向けたものである。表面処理の「メッキ」と書かれることも多いが、ここでは JIS の表記に合わせて「めっき」と書く。

ZAM と書けば足りるか:JIS では G 3323

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図面や見積の依頼書に「ZAM t1.6」とだけ書かれていることがある。ZAM は商品名で、鉄鋼メーカーの技術論文でも、亜鉛・アルミニウム・マグネシウム系の高耐食めっき鋼板として SuperDyma、ZAM、ZEXEED などの製品名が挙げられている[4]。商品名で指定すると、特定のメーカーの製品しか受け付けないのか、同じ系統の他社品でもよいのかが分からない。

JIS でこの系統を扱うのは JIS G 3323(溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯)で、2012 年に制定され、2022 年 12 月に改正された。対象は板、鋼帯(コイル)、波板である[1]。規格が決めているのはめっき浴の成分で、アルミニウム 5.0% 以上 13.0% 以下、マグネシウム 2.0% 以上 4.0% 以下、それ以外の意図的に添加した元素の合計 1.0% 以下、残りが亜鉛である[1]。商品名の製品がこの範囲に入るか、JIS の種類の記号で受注しているかは、仕入先に確かめる。メーカーを限定したいなら商品名、同じ規格の範囲なら他社品でもよいなら JIS の記号、と書き分ける。

めっき浴の成分の分析試験は製造業者が行い、製造業者の判断で省略してもよい。ただし省略しても規定値は満たしていなければならず、注文者の要求があれば受渡当事者間で試験方法を協定して試験を行う[1]。浴成分の値が成績書に出ていなくても、それだけで不備とは言えない。

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記号の読み方:SGCC と同じ組み立て

JIS G 3323 の種類の記号は、溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G 3302)の記号に M を挟んだ形になっている。冷延原板を使う一般用が SGMCC、溶融亜鉛めっきなら SGCC である[1][2]。冷延原板を使う種類は 13、熱延原板を使う種類は 8 ある[1]。主な記号と、比べられやすい 55% アルミニウム-亜鉛合金めっき(いわゆるガルバリウム鋼板の系統、JIS G 3321)を並べると次のようになる。

項目 JIS G 3302(溶融亜鉛) JIS G 3323(Zn-Al-Mg) JIS G 3321(55%Al-Zn)
めっき浴の主な成分 亜鉛 Al 5.0〜13.0%、Mg 2.0〜4.0%、残部 Zn Al 50.0〜60.0%、Si 1.0〜3.0%、残部 Zn
一般用(冷延原板) SGCC(0.19〜3.2 mm) SGMCC(0.20〜3.2 mm) SGLCC(0.24〜2.3 mm)
絞り用(冷延原板) SGCD1〜SGCD4 SGMCD1〜SGMCD4(0.40〜2.3 mm) SGLCD・SGLCDD
付着量の記号の例 Z27(275 g/m²) K27(275 g/m²) AZ150(150 g/m²)

表の値は各規格の種類の記号の表、めっき浴成分の表、付着量の表による[1][2][3]。付着量はいずれも両面の合計で、3 点平均の最小値を示した。SGCC の指定全般はSGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)の指定で扱っているので、この記事は G 3323 に固有の点に絞る。

付着量の記号 K は「両面の合計」

JIS G 3323 のめっきは両面等厚めっきで、付着量表示記号は K06 から K45 まである。値は両面の合計で、供試材から採った 3 個の試験片の平均値に「3 点平均最小付着量」、3 個のうち最小の値に「1 点最小付着量」を当てる[1]。片面の付着量は、1 点最小付着量(両面の合計)の規定値の 40% 以上であることが望ましい、とされている[1]。

付着量表示記号 3 点平均最小付着量 g/m² 1 点最小付着量 g/m² 相当めっき厚さ mm(Al 5.0〜9.0%) 相当めっき厚さ mm(Al 9.0% 超 13.0% 以下)
K12 120 102 0.031 0.033
K18 180 153 0.041 0.044
K27 275 234 0.064 0.068
K35(協定による) 350 298 0.076 0.082

付着量は JIS G 3323 の表 6、相当めっき厚さは表 14 による[1]。そのほかの記号は規格の表で確かめる。K06・K35・K45 は受渡当事者間の協定によって適用する記号で、K35 と K45 は絞り用の SGMCD1〜SGMCD4 には適用しない[1]。付着量の上限は規定されておらず、必要なら受渡当事者間で協定してよい[1]。

見落としやすいのは、溶融亜鉛めっきの Z27 と、この規格の K27 で、付着量の規定値(3 点平均最小 275 g/m²・1 点最小 234 g/m²)がどちらも同じことである[1][2]。SGCC Z27 から SGMCC K27 へ切り替えたときに変わるのは付着量ではなくめっきの成分である。逆に「同じ耐食性なら付着量を下げられる」と仕入先から提案されたときは、付着量の記号を下げることになるので、どの使用環境で、どの試験で同等と判断したのかを書面で出してもらう。

屋根用・建築外板用には付着量の下限がある

屋根用と建築外板用に使う場合は、種類の記号の後ろに R(屋根用)か A(建築外板用)を付け、使える付着量の記号が厚さごとに決まっている。屋根用で表示厚さ 0.35 mm 以上 1.0 mm 以下なら K14 以上、1.0 mm を超えると K18 以上である[1]。設備の外装に使う板でも、屋根や外壁として使うなら R・A の規定を当てるかどうかを設計に確かめる。

厚さは「表示厚さ」と「製品厚さ」を分けて書く

JIS G 3323 は、めっき前の原板の厚さを表示厚さ、めっき後の厚さを製品厚さと呼ぶ。厚さの許容差の基準になる製品厚さは、表示厚さに上の表の相当めっき厚さを加えて小数点以下 2 桁に丸めた値で、許容差は縁から 25 mm 以上内側に当てる[1]。たとえば表示厚さ 1.6 mm・K27(アルミニウム 5.0〜9.0% の区分)なら、基準の製品厚さは 1.600+0.064 を丸めた 1.66 mm になる。

図面の「t1.6」がどちらの厚さを指しているかを決めずに発注すると、受入でめっき込みの実測値を 1.6 mm と比べて「厚い」と判定してしまう。製造業者は、相当めっき厚さに使った区分(アルミニウムの質量分率)を報告することになっている[1]ので、成績書で区分を見て基準の製品厚さを計算する。

耐食性は規格が数値で保証していない

JIS G 3323 で「めっきの耐食性試験」は、受渡当事者間の協定によって実施してもよい試験で、評価基準も受渡当事者間の協定による。規格は試験方法の例として、JIS G 0594(表面処理鋼板のサイクル腐食促進試験)、JIS H 8502 のキャス試験とサイクル試験、JIS K 5600-7-9 の附属書 1(サイクル D)、JIS Z 2371 の中性塩水噴霧試験、ISO 16539 の Method B を挙げている[1]。

つまり「SGMCC K27」と注文しても、「塩水噴霧で何時間赤錆が出ない」といった数値は規格の要求に入っていない。高耐食めっきを選んだ理由が耐食性なら、試験方法・時間・判定(赤錆の面積など)・試験片(端面を塗るか、切りっぱなしか)を仕様書に書いて協定する。塩水噴霧試験の条件の書き方は塩水噴霧試験を受入・仕様に入れるときで扱った。

化成処理と塗油は書かないと決まらない

JIS G 3323 の化成処理の種類は、クロメートフリー処理と無処理(記号 M)の 2 つで、それ以外は受渡当事者間で協定してもよい。クロメートフリー処理の記号は受渡当事者間の協定による[1]。塗油は塗油(O)と無塗油(X)で、特に指定がない場合は無塗油になる[1]。スキンパス処理は注文者の指定がある場合に行い、記号は S である[1]。

注文者が注文時に提示しなければならない事項にも化成処理の種類又は記号が入っている[1]。後で塗装する部品、そのまま使う部品、溶接する部品で選ぶ処理が変わるので、加工先と塗装先の両方に確かめてから書く。化成処理の考え方の全体は三価クロメート・化成処理の指定にまとめてある。

切断した端面には、めっきがほとんど付いていない

めっき鋼板は、コイルや定尺板で買って、加工先で所定の寸法に切って使うことが多い。鉄鋼メーカーの技術論文(日本製鉄技報 419 号、2022 年)は、従来のシャーなどで切断した端面はほとんどめっきに被覆されておらず、建材向けなど比較的厚いめっき鋼板、特に 3.2 mm 以上では、切断後の端面の赤錆が目立つことがあると書いている[4]。そのため切断後の端面に防錆剤を刷毛やスプレーで塗る補修工程が必要になる場合がある、とも書いている[4]。

同じ論文は、めっきの溶解成分が端面へ回り込むことで端面の耐食性が出ること、施工直後のような初期の段階では回り込みが十分でないため端面から赤錆が出やすいことを説明している[4]。また、論文の切断技術を使った試験では、亜鉛めっきから亜鉛・アルミニウム・マグネシウム系の高耐食めっきに変えることで端面の耐食性がさらに向上した、と報告している[4]。これはあるメーカーの試験結果で、使用環境や板厚によって結果は変わりうる。

発注側が決めておくことは次の 3 つである。

1. 端面の補修をするかどうか
外観や初期の赤錆が問題になる部品では、端面の補修(タッチアップ)の有無と、使う塗料・範囲を図面か仕様書に書く。

2. 切断の方法
シャー、タレットパンチ、レーザーで端面の状態が変わる。レーザー切断を使う部品の指定はレーザー切断品の指定で扱った。

3. 受入での外観の基準
端面の白錆・赤錆をどこまで許すかを、納入時点と一定期間後で分けて決める。発注後に基準を厳しくして不合格にすると、受領拒否ややり直しの問題になる。

機械的性質と曲げ:種類によって規定がない

一般用の SGMCC には降伏点・引張強さ・伸びの規定がなく、曲げ性だけが規定されている(波板に使う場合は曲げ性も適用しない)[1]。SGMCC について、降伏点又は耐力 205 N/mm² 以上、引張強さ 270 N/mm² 以上が受渡当事者間で協定されることがある、と注記されている[1]。強度を設計で見込むなら、SGMC340 などの高強度一般用か、協定した値を注文に書く。

絞り用の SGMCD1〜SGMCD4 には引張強さ 270 N/mm² 以上と、厚さごとの伸びが決まっている。このうち SGMCD4 は、製造後 6 か月間、加工の際にストレッチャストレイン(表面の筋状の模様)を生じてはならない、とされている[1]。規格は、板とコイルは時効硬化によって降伏点又は耐力の上昇と伸びの低下が生じることがある、とも注記している[1]。絞りのある部品で在庫期間が長くなるなら、この点を種類の選択に入れる。冷延鋼板の絞り用との対応は同じ束のSPCD・SPCE の選び方で扱う。曲げの限界の考え方は板金の曲げ加工でできないことにある。

発注書に書くこと

JIS G 3323 は、注文者が注文時に少なくとも次の事項を提示しなければならないとしている[1]。板・コイル・波板の別、種類の記号、波板の形状、屋根用・建築外板用の記号、めっきの付着量表示記号、化成処理の種類又は記号、寸法と寸法許容差、コイルなら実測質量か計算質量か、である。

例えば「材質:JIS G 3323 SGMCC K27、化成処理:クロメートフリー処理、無塗油、表示厚さ 1.6 mm(図面寸法はめっき前の表示厚さ)、定尺 914×1829。商品名での代替は事前承認を要する。端面は補修なし。検査文書(3.1)を添付し、相当めっき厚さの区分とめっきの付着量の試験結果を記載すること。」のように書く。

受け入れるときに確かめること

検査文書は注文者の要求がある場合に提出されるもので、種類の指定がなければ JIS G 0415 の検査証明書 3.1 になる[1]。要求していなければ出てこないので、必要なら注文時に書く。成績書では、種類の記号と付着量表示記号、付着量の実測値(3 点平均と 1 点最小)、相当めっき厚さの区分、化成処理と塗油の記号を見る。結束ごとの表示にも、種類の記号、付着量表示記号、寸法、製品の識別番号が書かれる[1]。現品の表示と成績書の識別番号を突き合わせる。検査文書の区分の違いはEN 10204 のミルシート区分にまとめた。

よくある質問

SGCC Z27 を SGMCC K27 に替えれば、そのまま錆びにくくなりますか

付着量の規定値は同じで[1][2]、変わるのはめっきの成分である。ただし JIS G 3323 は耐食性を数値で保証していない[1]ので、「どれだけ錆びにくくなるか」は、使用環境に近い試験条件を決めて確かめる。端面や加工部の扱いも別に決める。

図面に「ZAM」とだけ書かれていて、他社品の見積が出てきました

商品名で指定したのか、系統で指定したのかを設計に確かめる。系統でよいなら、図面を JIS G 3323 の種類の記号と付着量表示記号に書き直し、他社品がその記号で受注できるかを仕入先に確かめる。

めっき浴の成分が成績書に載っていません

めっき浴成分の分析試験は製造業者の判断で省略してよいとされている(規定値は満たす必要がある)[1]。値が必要なら、注文時に試験方法を協定して試験を求める。

まとめ

ZAM などの亜鉛・アルミニウム・マグネシウム系の高耐食めっき鋼板は、JIS では G 3323 で、めっき浴の成分がアルミニウム 5.0〜13.0%、マグネシウム 2.0〜4.0% の範囲で決まっている。注文では種類の記号(SGMCC など)、付着量表示記号(両面の合計の K)、化成処理、厚さが表示厚さか製品厚さかを書く。付着量の数字は SGCC の Z と同じ並びで、耐食性は規格が数値で保証していないので、必要なら試験を協定する。シャーで切った端面はめっきにほとんど覆われないので、端面の補修と外観の基準も発注時に決める。

同じ束では、機械構造用の S20C・S25C の指定も扱う。溶融亜鉛めっきを部品に後からかける場合は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定を読む。

出典・参考資料

  1. JIS G 3323:2022 溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 12 月 20 日改正)
  2. JIS G 3302:2022 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 12 月 20 日改正)
  3. JIS G 3321:2022 溶融 55% アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 12 月 20 日改正)
  4. 端面耐食性向上ソリューション-初期端面耐食性向上のための切断技術の開発-(小林亜暢ほか、日本製鉄技報 第 419 号、2022 年)

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