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SGCC(JIS G 3302)の発注——めっき付着量 Z12・Z18 の読み方、SECC との違いと溶接

この記事のポイント(結論先出し)
SGCC は JIS G 3302(溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)の冷延原板の一般用で、適用する表示厚さは 0.19〜3.2 mm である[1]。めっきの量は Z12・Z18 のような記号で指定し、数字は両面の合計付着量(Z18 なら 3 点平均で 180 g/m² 以上)を表す[1]。片面ごとに表す電気亜鉛めっき鋼板 SECC(JIS G 3313)とは数え方が違う[2]。SGCC は引張強さを規定せず[1]、板厚の許容差はめっき後の製品厚さに適用する[1]。化成処理の種類は規格に既定が書かれていないので、注文時に提示する[1]。重ね合わせて溶接する部品では、亜鉛の蒸気で溶接金属に気孔が出やすいことを前提に、継手の形と溶接の条件を仕入先と決めておく[3]。
目次
SGCC は「溶融亜鉛めっき鋼板」の一般用の記号
この記事は、工業製品の筐体・部品に使う溶融亜鉛めっき鋼板を発注するときの話である。JIS G 3302:2022 は、溶融亜鉛めっき鋼板(板)、鋼帯(コイル)、波板を規定し、冷間圧延鋼板を原板にする 11 種類と、熱間圧延鋼板を原板にする 6 種類を持つ[1]。SGCC はそのうち冷延原板の一般用で、適用する表示厚さは 0.19 mm 以上 3.2 mm 以下である。絞り用には SGCD1〜SGCD4、高強度一般用には SGC340〜SGC570、熱延原板の一般用には SGHC(1.6〜6.0 mm)がある[1]。
化学成分は SGCC で炭素 0.15% 以下、マンガン 0.80% 以下、りん 0.05% 以下、硫黄 0.05% 以下と定められている[1]。めっきの種類は、溶融めっき後に加熱せずに使う非合金化めっき(記号 Z)と、加熱してめっき層全体を亜鉛と鉄の合金層にした合金化めっき(記号 F)の 2 種類である[1]。
部品を作った後に溶融亜鉛浴に浸ける「どぶめっき」は、規格が別の JIS H 8641 で、記号も膜厚の決め方も違う。後めっきの指定は溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定で扱った。この記事は、めっき済みの鋼板を材料として買う場合に絞る。
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めっき付着量の記号の読み方
JIS G 3302 は、めっきを両面等厚めっきとし、付着量を両面の合計で表している。表 6 は、非合金化めっきの Z06〜Z60、合金化めっきの F04〜F18 について、3 点平均最小付着量と 1 点最小付着量を定めている[1]。3 点平均は 3 個の試験片の測定値の平均に、1 点最小はその 3 個のうち最小の値に適用する。片面の付着量は 1 点最小付着量(両面合計)の 40% 以上であることが望ましい、とも書かれている[1]。
| 付着量の記号 | 3 点平均最小付着量(両面合計) | 1 点最小付着量(両面合計) | 相当めっき厚さ(製品厚さの計算用) | めっき量定数(質量の計算用) |
|---|---|---|---|---|
| Z08 | 80 g/m² | 68 g/m² | 0.017 mm | 0.120 kg/m² |
| Z12 | 120 g/m² | 102 g/m² | 0.026 mm | 0.183 kg/m² |
| Z18 | 180 g/m² | 153 g/m² | 0.034 mm | 0.244 kg/m² |
| Z27 | 275 g/m² | 234 g/m² | 0.054 mm | 0.381 kg/m² |
| (参考)SECC の E16/E16 | 片面ごとの最小付着量 17.0 g/m²(等厚めっき) | 片面 0.003 mm | — | |
表の Z の行は JIS G 3302 の表 6・表 15・表 30、SECC の行は JIS G 3313 の表 4・表 18 による[1][2]。ほかの記号は規格の表で確かめる。
表から分かるとおり、SGCC の Z12 は両面合計で 120 g/m² 以上、SECC の E16/E16 は片面 17.0 g/m² 以上ずつ、両面で 34 g/m² 程度である。記号の数字の大きさが近く見えても、数え方(両面合計か片面か)とめっきの方法が違うので、SECC から SGCC へ、またその逆へ置き換えるときは、付着量を g/m² に直して比べる。SECC の指定項目は SPCC・SPHC・SECC の指定で扱った。
付着量の上限値は、受渡当事者間で協定してもよいとされている[1]。めっき後に塗装する部品や、厚い亜鉛層が曲げ加工の割れの原因になる部品で上限を持たせたいなら、協定で決める。表 6 の注には、Z35 以上は絞り用の SGCD1〜SGCD4 には適用しない、という限定もある[1]。
表面仕上げ・化成処理・塗油は注文時に決める
非合金化めっきの表面仕上げは、亜鉛の結晶模様(スパングル)がある「レギュラースパングル(R)」と、スパングルを極力微細化した「ミニマイズドスパングル(Z)」の 2 種類で、注文者の指定がある場合はスキンパス処理(記号 S)を行う[1]。外観部品や、めっきの上に塗装して模様を目立たせたくない部品では、R か Z かを決めておく。
化成処理は、クロメートフリー処理(六価クロムを含まない化成処理)と無処理(M)があり、クロメートフリー処理の記号は受渡当事者間の協定による[1]。電気亜鉛めっき鋼板の JIS G 3313 は「特に指定がない場合は,クロメートフリー処理とする」と既定を書いているが[2]、JIS G 3302 の化成処理の箇条には既定が書かれておらず、化成処理の種類または記号を注文時に提示する事項に挙げている[1]。SECC と同じつもりで化成処理を書かずに注文しないようにする。化成処理と後から行う三価クロメートの考え方は三価クロメート・化成処理の指定で扱った。
塗油は、特に指定がない場合、非合金化めっきは無塗油、合金化めっきは塗油とされている[1]。保管や輸送でさびが心配なら、塗油(O)を指定するか、梱包の条件を決める。輸送時のさび対策は防錆の指定で扱った。
機械的性質:SGCC は曲げだけを規定している(非合金化めっきの場合)
JIS G 3302 の表 12 は、適用する機械的性質を種類ごとに示しており、SGCC は曲げ性だけを適用し、降伏点・引張強さ・伸びは適用しない。ただし曲げ性は非合金化めっき(Z)に適用し、合金化めっき(F)には適用しない。SGCC を波板に使う場合も曲げ性は適用しない[1]。つまり合金化めっきの SGCC と波板の SGCC には、規格が適用する機械的性質がない。表 14 の注記には、SGCC では降伏点または耐力として 205 N/mm² 以上、引張強さとして 270 N/mm² 以上が受渡当事者間で協定されることがある、とある[1]。強度計算で SGCC の引張強さを使う部品なら、協定で引張試験を付けるか、強度を規定した SGC340 以上の種類を選ぶ。
曲げ性とめっき密着性は、規定された枚数の板を挟んで 180° に曲げる方法で確かめる。SGCC の場合、表示厚さ 0.19〜1.6 mm 未満で付着量 Z06〜Z27 なら内側間隔は板 1 枚分である[1]。曲げ試験は製造業者の判断で省略してもよいが、注文者の指定がある場合は試験しなければならない[1]。
板厚は「めっき後の製品厚さ」で判定する
JIS G 3302 は、めっきを施す前の原板の厚さを表示厚さ、めっきを施した後の厚さを製品厚さとし、厚さの許容差を製品厚さに適用する。許容差の基準となる製品厚さは、表示厚さに表 15 の相当めっき厚さを加えて小数点以下 2 桁に丸めた値である[1]。製品厚さの許容差は、縁から 25 mm 以上内側に適用する[1]。
例で計算すると、表示厚さ 0.80 mm・Z18 の SGCC は、0.800 mm に相当めっき厚さ 0.034 mm を加えて、製品厚さは 0.83 mm になる。表 20 では厚さ 0.80 mm 以上 1.00 mm 未満・幅 1 000 mm 以上 1 250 mm 未満の許容差が ±0.08 mm なので[1]、受入でマイクロメータを当てたとき 0.75〜0.91 mm の範囲なら適合である。図面に「t0.8」とだけ書いてあると、それが原板の厚さなのか、めっきを含む製品の厚さなのかで判定が変わる。図面には「表示厚さ 0.8(JIS G 3302)」のように、どちらの厚さかを書いておく。板厚と加工品の寸法公差の関係はプレス・板金品の公差の指定で扱った。
質量も同じ考え方で、原板の単位質量(7.85 × 表示厚さ)にめっき量定数を加えて計算する[1]。表示厚さ 0.80 mm・Z18 なら、6.280 kg/m² に 0.244 kg/m² を足して 6.524 kg/m² である。計算質量と実測質量の差は、一組の計算質量が 600 kg 未満で ±10%、600 kg 以上 2 000 kg 未満で ±7.5%、2 000 kg 以上で ±5% までとされている[1]。重量で見積・請求を受ける場合はこの計算方法に従う。鋼材の重量計算の全体は鋼材の重量の計算で扱った。
外観は片側の面に適用される
JIS G 3302 は、使用上有害となる程度の欠点があってはならないとしたうえで、コイルは検査で全長の欠点を見つけるのが困難で、欠点を除去する機会もないため、若干の欠点部分や溶接部を含むことがある、としている。表面の欠点は、特に指定のない場合、板は包装で上側にある面、コイルは外側の面の片側だけに適用する[1]。両面とも見える部品なら、両面に適用することを注文で指定する。
溶接する部品で決めておくこと
亜鉛めっき鋼板は溶接で特有の問題を起こす。溶接学会誌の解説(1991 年)は、表面処理鋼板の重ねすみ肉溶接では溶接金属中の気孔(ブローホール・ピット)とスパッタが顕著に増え、健全な溶接が非常に困難であることはよく知られている、としている[3]。同じ解説は、鋼板の表面にビードを置く溶接では気孔は発生しないが重ねすみ肉溶接では多発すること、重なり部分の表面処理層を除去すれば気孔は発生しないこと、重なり部分の間隔(ギャップ)を大きくすれば気孔が減ることを挙げ、亜鉛(沸点 907 ℃)が溶接のアーク熱で気化し、重なり部分の上下の板が密着していると蒸気の逃げ場がなく気孔になる、と説明している[3]。
スポット溶接にも影響がある。溶接学会誌の別の解説(1994 年)は、表面処理鋼板のスポット溶接では、溶接できる電流の範囲が狭く高電流になることと、電極の損耗の二点が問題になり、裸の鋼板に比べて同じ電極で打てる点数が劣り、めっきの付着量やめっきの種類でも違う、としている[4]。
ここから発注で押さえることは二つある。第一に、溶接条件を裸の鋼板(SPCC など)で決めた部品を、材料だけ SGCC に替えて同じ条件で溶接させない。気孔とスパッタの出方が変わる前提で、仕入先に溶接の条件出しと確認をしてもらう。第二に、溶接部の付着量を厚くすれば防食は良くなるが、溶接の側には不利に働く。付着量を上げる設計変更をするときは、溶接の仕入先にも連絡する。どちらも規格の要求ではなく、発注側の進め方の提案である。溶接方法の違いと指定はTIG 溶接と MIG 溶接の違いと溶接を含む部品の発注で指定することで扱った。
注文時に提示する事項と成績書
JIS G 3302 の箇条 17 は、注文者が注文時に少なくとも提示しなければならない事項として、板・コイル・波板の別、種類の記号、波板の場合の形状、屋根用・建築外板用の記号、めっきの付着量表示記号、めっきの表面仕上げの種類または記号、化成処理の種類または記号、寸法と寸法許容差、コイルの場合は実測質量か計算質量かの別を挙げている[1]。
検査文書は、注文者の要求がある場合に製造業者が提出し、種類は特に指定のない場合は JIS G 0415 の検査証明書 3.1 による[1]。JIS G 0415:2024 によれば、3.1 は製造業者自身が受渡検査の結果を記して適合を宣言する文書である[5]。めっき付着量の値まで受入で見たいなら、注文時に検査文書を求め、付着量の記載を指定する。
注文書の書き方の例
「材質:JIS G 3302 SGCC、板、表示厚さ 0.8 mm × 914 × 1 829 mm、めっき付着量 Z18、表面仕上げ Z(ミニマイズドスパングル)、化成処理:クロメートフリー処理(記号は別途協定)、塗油:O。厚さの許容差は製品厚さに適用。外観は両面に適用。検査証明書 3.1 を添付し、めっき付着量・化学成分・曲げ(非合金化めっきの場合)の結果を記載すること。」
受け入れるときは、現品の表示と成績書で、種類の記号、付着量の記号、表示厚さ、表面仕上げ・化成処理・塗油の記号を確かめる。JIS G 3302 は、これらの記号を注文者の指定がある場合に表示するとしている[1]。
よくある質問
SGCC の Z12 と SECC の E16/E16 は、どちらが亜鉛が多いですか
SGCC の Z12 は両面合計の 3 点平均で 120 g/m² 以上[1]、SECC の E16/E16 は片面 17.0 g/m² 以上ずつで[2]、両面で 34 g/m² 程度である。記号の数え方が違うので、g/m² に直して比べる。
SGCC で引張強さを保証してもらえますか
SGCC は引張強さを適用せず、曲げ性も非合金化めっき(Z)の板・コイルにだけ適用する(合金化めっきと波板には適用しない)[1]。降伏点 205 N/mm² 以上・引張強さ 270 N/mm² 以上が協定されることがある、という注記がある[1]。強さを規定したいなら協定するか、SGC340 以上の種類を選ぶ。
図面の板厚はめっき込みですか
規格は、許容差を表示厚さに相当めっき厚さを加えた製品厚さに適用する[1]。図面の数字がどちらの厚さかを書いておかないと、受入の判定が分かれる。
まとめ
SGCC は JIS G 3302 の冷延原板の一般用の溶融亜鉛めっき鋼板で、付着量の記号の数字は両面合計の付着量を表す。SECC は片面ごとに数えるので、置き換えでは g/m² に直して比べる。化成処理は SECC と違って規格に既定が書かれていないので、表面仕上げ・塗油と一緒に注文時に決める。SGCC は引張強さを規定せず、曲げ性も非合金化めっきだけに適用される。板厚の許容差はめっき込みの製品厚さに適用し、縁から 25 mm 以上内側で測る。重ね合わせて溶接する部品では亜鉛の蒸気で気孔が出やすく、スポット溶接でも電流範囲と電極の損耗が問題になるので、材料を替えたときは溶接の条件を確かめ直してもらう。
同じ束では、自動車用の高張力鋼板 SPFC・SAPH、熱延鋼板の板厚公差 JIS G 3193、電磁鋼板、電磁軟鉄 SUYの発注も扱う。
出典・参考資料
- JIS G 3302:2022 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 12 月 20 日改正)
- JIS G 3313:2021 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2021 年 2 月 22 日改正)
- 竹之内優・冷水孝夫「表面処理鋼板のアーク溶接」溶接学会誌 60 巻 6 号(溶接学会/1991 年)
- 小原昌弘・斎藤亨「表面処理鋼板の溶接」溶接学会誌 63 巻 4 号(溶接学会/1994 年)
- JIS G 0415:2024 鋼及び鋼製品-検査文書(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 6 月 20 日改正)
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