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端子台の選び方と発注——JIS C 8201-7-1 の定格断面積・接続容量と、保護導体用の緑黄色

この記事のポイント(結論先出し)
工業用の端子台は JIS C 8201-7-1 が規定していて、選ぶときの軸は定格断面積と定格接続容量(つなげる電線の太さの範囲)、定格絶縁電圧、締付けの方式(ねじ式かねじなしか)である[1]。たとえば定格断面積 2.5 mm² の端子台は、1・1.5・2.5 mm² の導体を接続できなければならない[1]。この規格の試験は形式試験で、受渡試験は規定されていないので、ロットごとの検査成績は出てこない[1]。保護導体(アース)用は別の規格 JIS C 8201-7-2 で、部分的に絶縁したものは緑と黄の 2 色と決まっている一方、一般の端子台に緑と黄の組合せの色を使ってはならない[1][2]。機械の電気装置の JIS は、一つの端子接続点には 1 本の保護導体だけを接続することを求めている[4]。発注書には、電線の太さと種類(より線か単線か、端末処理の有無)、電圧、方式、取付けレールの種類を書く。
目次
この記事が扱う範囲
この記事は、制御盤や機械の配線に使う工業用の端子台を、部品として、または制御盤の一部として発注するときの話である。家庭用及び類似の用途に使う接続器具は別の JIS(JIS C 2814 規格群)の範囲で[5]、ここでは扱わない。
JIS C 8201-7-1(低圧開閉装置及び制御装置-第 7 部:補助装置-第 1 節:銅導体用端子台)は、工業用途のねじ式またはねじなし締付具によって、銅導体の間を電気的・機械的に接続し、支持体に固定する端子台について規定している[1]。適用は、1,000 Hz 以下の周波数で定格電圧が交流 1,000 V 以下または直流 1,500 V 以下の回路に使う、断面積 0.2〜325 mm² の円形銅導体を接続する端子台である[1]。断路端子台は附属書 D に規定がある[1]。
機械の制御盤では、端子台を使う場面が規格で決まっている。機械の電気装置の JIS B 9960-1 は、エンクロージャの外へつながる制御用配線には端子台またはプラグ・ソケット対を用いなければならないとし、電力ケーブルと測定回路のケーブルは機器(部品)の接続用端子に直接つないでもよいとしている[4]。盤の外の機器との制御配線が多いほど、端子台の数と並びの指定が仕様の中で大きな部分になる。
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まず電線から決める:定格断面積と定格接続容量
端子台を選ぶ出発点は、つなぐ電線である。JIS C 8201-7-1 は、端子台の定格断面積を標準断面積(0.2、0.5、0.75、1、1.5、2.5、4、6、10 mm² など)から選ぶとし、JIS C 3307 と JIS C 3316 による導体(1.25・2・3.5・5.5 mm² など)に対応する表 1A も設けている[1]。
定格接続容量は、その端子台が接続できなければならない導体の断面積の範囲である。定格断面積 0.2〜38 mm²(単線は導体径 0.5〜3.2 mm)の端子台だけに適用され、表 2 または表 2A に示す範囲の導体を接続できなければならない[1]。表 2 からいくつか抜き出すと次のとおりである[1]。
| 端子台の定格断面積 | 接続できなければならない導体(定格接続容量) |
|---|---|
| 1.5 mm² | 0.75・1・1.5 mm² |
| 2.5 mm² | 1・1.5・2.5 mm² |
| 4 mm² | 1.5・2.5・4 mm² |
| 10 mm² | 4・6・10 mm² |
| 38 mm² を超える | 定格接続容量は規定しない |
規格は、導体は硬質(単線またはより線)でも可とうでもよいとし、製造業者が、接続できる導体の最大と最小の断面積と形式を明確にし、該当する場合は各締付具に同時に接続できる導体の数を明確にし、導体の端末に必要な処理方法も明確にする、としている[1]。つまり、同じ「2.5 mm² の端子台」でも、可とう線にフェルール(棒端子)を付けて使う前提か、単線をそのまま差し込めるか、1 か所に 2 本入れられるかは製品ごとに違い、製造業者の資料で確かめることになる。
発注書には「電線の種類と断面積」「単線か、より線か、可とう線か」「端末処理(棒端子・丸形端子など)の有無」「1 か所に入れる本数」を書く。電線そのものの指定はVCTF・VCT・CV ケーブルの違いと選び方で、配線を束ねたハーネスとして買う場合はワイヤーハーネスの発注で指定することで扱った。
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はんだあげした電線をねじで締めない
JIS C 8201-7-1 は、ねじ式締付具は端末をはんだあげした可とう導体の接続には適さない、と注記している[1]。機械の電気装置の JIS B 9960-1 も、より線接続用でない機器や端子により線を接続する場合には、よりを維持する手段を用いなければならず、はんだをこの目的に用いてはならない、としている[4]。より線の先をはんだで固めてからねじで締めるやり方は、配線の仕入先の慣行として残っていることがあるので、配線を外注するときは端末処理の方法を指定しておく(当方の提案)。
カタログで確かめる項目:規格が「示す」と決めている情報
JIS C 8201-7-1 は、端子台本体に、製造業者名または商標と、カタログなどから情報を得るための形式記号を、容易に消えない方法で表示しなければならないとしている[1]。そのうえで、規格の全ての要求事項に適合した端子台には、規格番号、定格断面積、定格接続容量(表 2 と異なる場合)、定格絶縁電圧、定格インパルス耐電圧(指定しているとき)、使用条件(標準と異なる場合)、開放熱電流を、形式試験成績書・カタログ・包装箱などに明示しなければならないとしている[1]。
性能の要求として、規格は、試験したときの温度上昇を 45 K 以下とし、定格短時間耐電流として 120 A/mm² の電流に 1 秒間耐えることを求めている[1]。ねじなし端子台には、エージング後の電気的特性の試験も加わる[1]。
試験は形式試験:ロットごとの成績は出てこない
発注側が知っておきたいのは、JIS C 8201-7-1 の試験の種類である。規格は、受渡試験は規定せず、定格断面積の検証を特殊試験とし、その他の全ての試験を形式試験としている[1]。つまり「JIS C 8201-7-1 適合」は、その形式の製品が試験に合格したという意味で、納入されたロットごとに試験した結果ではない。適合を確かめたいときは、ロットの成績書ではなく、形式試験成績書(または製造業者の適合の資料)を求める。
試験の取付け方にも注意がいる。規格は、一般的に通常に使用するように取り付けるとは、5 個の端子台を連結し、導電部が露出している側をエンドプレートで閉じ、エンドブラケットで支持体に取り付けることだと注記している[1]。エンドプレートを付けずに使えば、試験した状態とは違う使い方になる。制御盤の製作を外注するときは、製造業者の指示どおりの部材(エンドプレート、エンドブラケット)を付けることを仕様に入れる(当方の提案)。
| JIS C 8201-7-1 の扱い | 内容 | 発注側の読み方 |
|---|---|---|
| 本体の表示 | 製造業者名・形式記号[1] | 形式からカタログを引いて仕様を確かめる |
| 追加情報 | 規格番号・定格断面積・定格絶縁電圧などを試験成績書・カタログ・包装箱に[1] | 「適合」の根拠はここで見る |
| 試験の種類 | 受渡試験は規定しない。形式試験[1] | ロットごとの成績は求めても出ない |
| 温度上昇・短時間耐電流 | 45 K 以下・120 A/mm² に 1 秒間[1] | 試験した取付け状態で使う前提 |
保護導体(アース)用の端子台は別の規格・別の色
保護導体を接続する端子台は、JIS C 8201-7-2(低圧開閉装置及び制御装置-第 7-2 部:補助装置-銅導体用保護導体端子台)が規定している。対象は、銅導体の定格断面積が 120 mm² までの保護導体端子台と、定格断面積 10 mm² 以上の PEN 導体端子台で、保護導体端子台は銅導体と支持体との間で電気的・機械的接続をするために用いる[2]。
色の決まりが二つの規格で対になっている。JIS C 8201-7-1 は、一般の端子台には緑及び黄色を組み合わせた色を使用してはならないとし[1]、JIS C 8201-7-2 は、部分的に絶縁した保護導体端子台は緑及び黄色の 2 色でなければならないとしている[2]。発注で「同じシリーズの端子台を 30 個」とまとめて頼むと、保護導体用が抜けたり、一般用と取り違えたりする。保護導体用は別の行に分けて、形式を書く。
JIS C 8201-7-2 は、取付けレールが規定の短時間耐電流値と熱定格電流値を超えていない場合は、保護導体ブスバーとして使用してもよいとしている[2]。レールを保護導体の経路として使う設計なら、そのレールの種類で条件を満たすかを設計側で確かめる。
一つの端子に入れてよい電線の本数
JIS B 9960-1 は、一つの端子に二つ以上の導体を接続することは、端子がそのようなことを意図して設計されている場合に限って許容され、一つの端子接続点には 1 本の保護導体だけを接続しなければならない、としている[4]。保護導体を 1 か所にまとめて締めると、1 本を外したときにほかの機器の接地まで外れる。これは感電につながる使い方なので、配線を外注するときは「保護導体は一つの接続点に 1 本」を明記する。
同じ規格は、端子台の端子には図面上の表記と一致するように明瞭にマーキングまたはラベル付けをし、端子台では配線が端子上で交差しないように取付けと配線を行わなければならない、としている[4]。端子番号の付け方と、図面との一致は、制御盤の製作を外注するときの検査項目にそのまま使える。
取付けレールの種類も書く
端子台の多くはレールに取り付ける。JIS C 8201-7-1 は、端子台はレールまたは取付面に確実に取り付ける手段を備えなければならないとし、レール取付けに関する情報は JIS C 2812 に記載するとしている[1]。JIS C 2812(機器取付け用レール、2025 年改正)は、継電器、接触器、開閉器、工業用端子台などを互換性のある方法で取り付けるレールの寸法と機能要求事項を規定し、トップハット形(TH)、C 形、G 形のレールを扱っている[3]。附属書には TH 15-5.5、TH 35-7.5、TH 35-15 などの鋼製レールが載っている[3]。
規格は、機器取付けの互換性は機能の互換性を意味するものではない、と注記している[3]。レールに付くことと、その端子台が同じ働きをすることは別である。また附属書の手引きは、TH 35-7.5 の場合、応力に対する最大許容モーメントが 750 N·mm になることを例に、固定点の間でレールに過大な変形が生じうることを説明している[3]。重い機器を同じレールに並べる場合は、レールの種類と固定のピッチを設計で決める。
発注書・仕様書に書く項目
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 電線 | 断面積、単線・より線・可とう線の別、端末処理(棒端子・丸形端子など)、1 か所の本数 |
| 電気の条件 | 回路の電圧(定格絶縁電圧を合わせる)、流れる電流 |
| 方式 | ねじ式かねじなしか、断路端子台が要るか |
| 保護導体用 | 一般用と別の行で形式を指定(JIS C 8201-7-2) |
| 取付け | レールの種類(TH 35-7.5 など)、エンドプレート・エンドブラケット |
| 表示 | 端子番号のマーキングを図面と一致させること |
| 資料 | 規格への適合を示す資料(形式試験成績書・カタログ) |
JIS C 8201-7-1 の附属書 B は、製造業者と使用者との合意事項として、特別な端末処理、試験導体のタイプ(可とうか硬質か)、試験導体を固定する締付トルクが規定値と異なる場合などを挙げ、これらの適用する項目は製造業者が提示するとしている[1]。標準と違う電線や端末処理で使う場合は、この附属書の項目に沿って製造業者に確かめるとよい。
受け入れるとき、制御盤として受け取るときに確かめること
部品として受け入れるときは、本体の製造業者名と形式記号が注文どおりか、部分的に絶縁した保護導体端子台が緑と黄の 2 色になっているかを見る[1][2]。制御盤として受け取るときは、端子番号のマーキングが図面と一致しているか、配線が端子上で交差していないか、保護導体が一つの接続点に 1 本ずつか、エンドプレートが付いているかを見る[1][4]。ねじの締付けは製造業者が示すトルクで行い、その管理の方法(トルクドライバの使用、締付け後の印)を仕入先と決めておく(当方の提案)。
仕入先から「同等品」を提案されたときは、定格断面積と定格接続容量、定格絶縁電圧、方式(ねじ式とねじなしでは端末処理の前提が変わる)、レールへの取付けの互換性がそろっているかを確かめてから承認する。コネクタで接続する部分の選び方はコネクタを調達するとき確かめることで扱った。
注文書の書き方の例
可とう線を棒端子で受ける場合を例に、項目を並べた書き方を示す。書式に決まりは無い。
「品名:端子台(JIS C 8201-7-1 適合品)、形式:○○、定格断面積 2.5 mm²、ねじなし式。接続する電線:可とう線 1.25 mm²、棒端子付き、1 か所 1 本。回路電圧 AC 200 V。取付け:TH 35-7.5 レール、エンドプレート・エンドブラケット付き。保護導体用端子台(JIS C 8201-7-2 適合品):形式○○、○個(緑黄 2 色)。規格への適合を示す資料を添付すること。形式の変更は事前承認を要する。」
よくある質問
端子台の検査成績書をロットごとにもらえますか
JIS C 8201-7-1 は受渡試験を規定しておらず、試験は形式試験である[1]。規格への適合はロットの成績書ではなく、形式試験成績書やカタログの記載で確かめる。
アースの線を 1 か所にまとめて締めてもよいですか
機械の電気装置の JIS は、一つの端子接続点には 1 本の保護導体だけを接続しなければならないとしている[4]。1 本を外したときにほかの接地まで外れないよう、保護導体用の端子台を必要な数だけ用意する。
より線の先をはんだで固めて端子台に締めてもよいですか
ねじ式締付具は、端末をはんだあげした可とう導体の接続には適さないとされている[1]。よりを維持するのにはんだを使ってはならないともされている[4]。棒端子など、製造業者が示す端末処理を使う。
まとめ
端子台は、つなぐ電線の断面積と種類から定格断面積と定格接続容量を決め、定格絶縁電圧と方式を合わせて選ぶ。JIS C 8201-7-1 の試験は形式試験で、ロットごとの成績は出ないので、適合は形式試験成績書やカタログで確かめる。試験はエンドプレートで閉じた状態で行われるので、製造業者の指示どおりに取り付ける。保護導体用は JIS C 8201-7-2 の端子台を別に指定し(部分的に絶縁したものは緑と黄の 2 色)、一般用に緑黄色は使わない。一つの接続点に保護導体は 1 本、はんだあげした電線をねじで締めない、端子番号は図面と一致させる。レールは種類まで書き、取付けの互換性と機能の互換性は分けて考える。
同じ束では、ケーブルグランドの選び方、リミットスイッチの選び方、ステッピングモーターの選び方、電解コンデンサの寿命の見方も扱う。
出典・参考資料
- JIS C 8201-7-1:2016 低圧開閉装置及び制御装置-第7部:補助装置-第1節:銅導体用端子台(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2016 年 9 月 20 日改正・2021 年 10 月 20 日確認)
- JIS C 8201-7-2:2012 低圧開閉装置及び制御装置-第7-2部:補助装置-銅導体用保護導体端子台(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2012 年 7 月 20 日制定・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS C 2812:2025 機器取付け用レール(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2025 年 5 月 20 日改正)
- JIS B 9960-1:2019 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項(追補 1:2023 を含む)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2023 年 3 月 25 日改正)
- JIS C 2814-1:2009 家庭用及びこれに類する用途の低電圧用接続器具-第1部:通則(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2009 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
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