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リミットスイッチの選定と発注——JIS C 8201-5-1 の表示項目と、安全用途の直接開路動作

この記事のポイント(結論先出し)
工業用のリミットスイッチ(JIS では位置検出スイッチ)を型番だけで発注すると、何の負荷を開閉する前提の定格か、耐久回数が何を意味するか、安全用途に使えるかが抜け落ちる。JIS C 8201-5-1 は、使用負荷種別と定格使用電流、定格絶縁電圧、保護等級(IP コード)、汚損度などを製造業者が示す情報として定めている[1]。耐久性は製造業者が任意で行う特殊試験で、機械的耐久性は「全数の 90 % 以上が耐える無負荷の動作回数」と定義されている[1]。ガードの開閉を検出して機械を止める安全用途では、直接開路動作機能(ばねを介さずに接点を開く構造)をもつものを選ぶ。機械の電気装置の JIS は、安全関連制御機能の回路にある位置センサに直接開路動作機能または同様の信頼性を求めている[3]。発注書には型番に加えて、開閉する負荷、使う場所の条件、安全用途かどうかを書く。
目次
リミットスイッチは「何に使うか」で指定する項目が変わる
この記事は、工作機械・搬送装置・生産設備などに組み込む工業用のリミットスイッチを、装置メーカーや部品の仕入先に発注する側の目線で書く。JIS C 8201-5-1(低圧開閉装置及び制御装置-第 5-1 部:制御回路機器及び開閉素子-電気機械式制御回路機器)は、操作部が機械の可動部によって作動し、可動部が所定の位置に達したときに作動するスイッチを「位置検出スイッチ(position switch)」と定義している[1]。現場でリミットスイッチと呼んでいるものの多くがこれに当たる。
同じ形のスイッチでも、使い方は大きく二つに分かれる。一つは、可動部が端まで来たことを知らせて制御に使う「位置の検出」である。もう一つは、安全ガードの扉が開いたことを検出して機械を止める「安全用途」である。前者で問題になるのは寿命と誤動作、後者で問題になるのは故障したときに危険側にならないかである。発注のときに用途を書かないと、仕入先はカタログの標準品で応じる。安全用途の選び方は後半で扱う。
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JIS C 8201-5-1 で製造業者が示す情報と、発注で確かめる項目
JIS C 8201-5-1 の 5.1 は、製造業者が示す情報として、製造業者名、形式、定格使用電圧、使用負荷種別と定格使用電圧での定格使用電流、定格絶縁電圧、定格インパルス耐電圧、保護構造の場合の保護等級(IP コード)、汚損度、短絡保護装置の形と最大定格などを挙げている[1]。製造業者名と形式は本体か銘板に表示し、その他は場所が許す限り銘板か本体、または製造業者の技術情報(仕様書など)に含める、という形である[1]。つまり、型番から引けるカタログや仕様書に何が載っているかを、発注前に確かめればよい。
次の表は、規格が示す情報のうち、発注で食い違いが起きやすいものを並べたものである[1]。
| 製造業者が示す情報 | 発注側が合わせるもの | 食い違ったときに起きること |
|---|---|---|
| 使用負荷種別(AC-15・DC-13 など)と定格使用電流 | スイッチが直接開閉する負荷(リレーのコイル、電磁弁、PLC の入力など) | 誘導負荷を開閉する接点が早く傷む |
| 定格使用電圧・定格絶縁電圧 | 制御回路の電圧(AC 100 V、DC 24 V など) | 直流と交流で定格電流が違うのに、片方の値で選ぶ |
| 保護等級(IP コード) | 切削液・洗浄水・粉じんのかかり方 | 内部に液や粉が入り、接点や端子が不良になる |
| 汚損度 | 設置場所の汚れと結露 | 絶縁の前提が合わない |
| 直接開路動作機能の有無(表示記号) | 安全用途かどうか | 接点が溶着したまま扉が開いても止まらない |
使用負荷種別は「何を開閉するか」で選ぶ
JIS C 8201-5-1 の表 1 は、開閉素子の使用負荷種別を、代表的な適用例とともに次のように定めている。交流では AC-12(フォトカプラで絶縁した抵抗負荷及び半導体負荷の制御)、AC-13(変圧器で絶縁した半導体負荷の制御)、AC-14(小容量電磁負荷(72 VA 以下)の制御)、AC-15(交流電磁負荷(72 VA を超える)の制御)である。直流では DC-12(フォトカプラで絶縁した抵抗負荷及び半導体負荷の制御)、DC-13(直流電磁石の制御)、DC-14(回路内に節約抵抗を含む直流電磁負荷の制御)である[1]。
同じスイッチでも、どの種別で何アンペアまで開閉できるかは、種別ごとに示される。リミットスイッチで電磁弁やリレーのコイルを直接開閉するなら AC-15 か DC-13 の定格を、PLC の入力に信号を渡すだけなら AC-12・DC-12 に当たる使い方になる。発注書には「AC 100 V で電磁弁(○ VA)を直接開閉」「DC 24 V で PLC 入力」のように、電圧と負荷の中身を書いておく。PLC の入力のように流れる電流がごく小さい使い方では、定格電流の大きさよりも、小さな電流で確実に導通するかが問題になる。これは表 1 の種別だけでは読み取れないので、製造業者の資料で接点の材質や推奨する最小の電流を確かめる(当方の提案)。
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汚損度と保護等級は、設置場所を書いて決める
JIS C 8201-5-1 は、製造業者が特に指定しない限り、制御回路機器は汚損度 3 の環境で使うことを想定するとしている[1]。汚損度は通則の JIS C 8201-1 が 4 段階で定めていて、汚損度 3 は「導電性の汚損が生じる、又は結露のために導電性になる乾燥した非導電性の汚損が生じる」環境、汚損度 4 は導電性のじんあいや雨・雪による持続的な導電性汚損が生じる環境である[4]。屋外や、導電性の粉が舞う場所に付けるなら、その旨を仕様書に書いて、製造業者が想定する汚損度と合うかを確かめる。
切削液や洗浄水がかかる場所では、保護等級(IP コード)も指定する。IP コードの JIS は 2026 年に JIS C 60529 として制定された[2]。IP コードが保証するのは規定の試験条件での侵入に対する保護で、切削液による樹脂やシールの劣化までは示さない。指定の考え方と試験条件の決め方はIP 等級を買う部品に指定するときで扱った。ケーブルを引き込む部分の防水は、スイッチ本体の IP とは別に決まる。引込み部品の選び方は同じ束のケーブルグランドの選び方で扱う。
カタログの「耐久回数」は何を確かめた数字か
リミットスイッチのカタログには「機械的耐久性 1,000 万回以上」のような数字が載っていることが多い。JIS C 8201-5-1 では、この数字の根拠になる耐久性試験は附属書 C の特殊試験で、製造業者が任意で行うものである[1]。製造業者が機械的・電気的耐久性を指定する場合は、その特殊試験を満足しなければならない、という建て付けになっている[1]。
定義を読むと、数字の意味がはっきりする。機械的耐久性は「いずれの部品も修理又は交換なしに試験し、全ての機器の 90 % 以上が耐える無負荷の動作サイクルの回数」、電気的耐久性は「全ての機器の 90 % 以上が耐える負荷時の動作サイクルの回数」である[1]。確かめ方は統計的な抜取りで、たとえばシングル 8 テストでは 8 個を指定回数まで動かし、不具合が 2 個以下なら合格とする[1]。規格は、これらの試験が許容品質レベル 10 % の統計的特性を得るために選ばれたと注記している[1]。
ここから発注で押さえることが三つ出てくる。第一に、カタログの機械的耐久性は無負荷での回数で、実際に負荷を開閉する使い方の寿命は電気的耐久性のほうで見る。第二に、電気的耐久性は負荷の条件で変わるので、自社の負荷(種別・電圧・電流)での値を製造業者に確かめる。第三に、どちらも「全数がその回数まで壊れない」という意味ではない。動作の頻度から年間の動作回数を見積もり、交換の時期は耐久回数の上限ではなく余裕を持たせて決める(当方の提案)。動作回数の多い用途で、耐久性の値が仕様書に無い場合は、試験を行っていない可能性もあるので確かめる。
| 耐久性の種類 | JIS C 8201-5-1 の定義 | 発注側の読み方 |
|---|---|---|
| 機械的耐久性 | 全ての機器の 90 % 以上が耐える無負荷の動作サイクルの回数 | 機構の寿命の目安。接点の寿命ではない |
| 電気的耐久性 | 全ての機器の 90 % 以上が耐える負荷時の動作サイクルの回数 | 自社の負荷条件での値を確かめる |
| 試験の位置づけ | 製造業者が任意で行う特殊試験(附属書 C) | 値が無ければ、試験をしていない可能性がある |
規格が示す望ましい動作回数は、1 万回・3 万回・10 万回・30 万回・100 万回・300 万回・1,000 万回・3,000 万回・1 億回の段階である[1]。カタログの数字がこの段階のどれかになっているのはそのためで、数字の大小はこの段階の差として比べる。
安全用途では直接開路動作機能のあるものを選ぶ
安全ガードの扉に付けて、扉が開いたら機械を止めるリミットスイッチは、故障したときの壊れ方が問題になる。ばねで接点を開く構造のスイッチは、接点が溶着したり、ばねが折れたりすると、操作部が動いても接点が開かないことがある。これを避けるのが直接開路動作機能である。
JIS C 8201-5-1 の附属書 K は、直接開路動作機能付制御スイッチを「操作部と接点との間に、弾性構造材(例えば、スプリング)を介在することなく、遮断接点素子が動作する制御スイッチ」と定義している[1]。附属書 K の区分では、接点素子を 1 個だけもつタイプ 1 と、直接開路動作機能付の接点素子に常開接点素子や切換接点素子を加えたタイプ 2 がある。これは後で触れる JIS B 9710 のインターロック装置の「タイプ 1・タイプ 2」とは別の分け方である。使用負荷種別は AC-15 または DC-13 とされている[1]。直接開路動作機能付の接点素子には、エンクロージャに規定の図記号を見やすく、容易に消えない方法で表示する[1]。
さらに製造業者は、直接開路動作機能までの最小動作距離、全ての遮断接点素子の直接開路動作に必要な最小の力、最大動作距離(動作限度)、リミットスイッチに対する操作の最大速度と最大頻度を、表示か回路図その他の文書に記載しなければならない[1]。規格は、附属書 K のタイプ 2 のスイッチは記載された距離より短い動作距離で開く可能性があると注記している[1]。安全用途で発注するときは、これらの数値が載った資料を一緒に受け取り、扉の動きの量と速さがその範囲に入るかを装置側で確かめる。
機械の電気装置とインターロックの JIS が求めること
機械の電気装置の JIS である JIS B 9960-1 は、位置センサ(ポジションスイッチ、近接スイッチなど)はオーバトラベルが発生しても損傷しないように取り付けなければならないとし、機械を安全な状態に維持するためなどの安全関連制御機能を備えた回路内の位置センサは、直接開路動作機能(JIS C 8201-5-1)または同様の信頼性を備えなければならないとしている[3]。
ガードと共同するインターロック装置の JIS B 9710 は、停止指令を出すのに単一のタイプ 1 またはタイプ 2 のインターロック装置(JIS B 9710 の区分)を使う場合、ガード・アクチュエータ・作動部の間は直接機械作動とし、接点要素間は直接開路動作としなければならない、としている[5]。取付けについても、締結具を緩めるのに工具が要ること、タイプ 1 の位置スイッチは調整後にピンやだぼなどで位置を恒久的に固定する準備をすること、自然に緩むのを防ぐこと、を求めている[5]。
見落とされやすいのが、ストッパとしての使い方である。JIS B 9710 は、位置スイッチの製造業者が機械的ストッパとしても使用できると明言していない限り、位置スイッチやアクチュエータを機械的ストッパとして使用してはならないとしている[5]。扉や可動部の止まる位置をスイッチ本体で受けると、スイッチが壊れたり位置がずれたりして、止まるべきときに止まらなくなる。止まる位置は別のストッパで決め、スイッチはその手前で作動するように取り付ける。
同じ規格は、インターロック装置を無効化しようとする動機を最小にするように機械を設計しなければならない、としている[5]。調整や段取りのたびにスイッチを外したくなる配置は、それ自体が問題になる。どの区分の安全部品として扱うか、EU に出す装置での扱いはEU 機械規則と、機械部品・安全部品の調達で扱った。安全回路の構成そのもの(何重にするか、どの性能レベルを狙うか)は装置の設計側の判断で、スイッチの発注書だけでは決まらない。
用途ごとに、発注書に書く項目
| 項目 | 位置の検出(制御) | 安全用途(ガードの開閉検出など) |
|---|---|---|
| 開閉する負荷 | 電圧と負荷の中身(PLC 入力・リレーコイルなど) | 同左(直接開路動作の接点は AC-15 または DC-13) |
| 接点の構造 | 常開・常閉・切換の別と数 | 直接開路動作機能付(表示記号のあるもの)と、附属書 K のタイプ 1・タイプ 2 の別 |
| 動作の条件 | 動作の頻度、オーバトラベルの量 | 直接開路動作までの最小動作距離・最小の力・操作の最大速度と最大頻度の資料 |
| 耐久性 | 自社の負荷での電気的耐久性 | 同左と、交換の時期の決め方 |
| 設置場所 | IP コード、汚損度、かかる液・粉 | 同左 |
| 取付け | オーバトラベルで壊れない位置 | 工具が要る締結、位置の恒久固定、ストッパにしない |
受け入れるとき、交換するときに確かめること
受入では、本体か銘板の製造業者名と形式が注文どおりかを見る[1]。安全用途なら、直接開路動作機能の図記号が本体に表示されているかも見る[1]。同じシリーズで外形が同じでも、接点構成が違う形式がある。装置メーカーが組み込む部品なら、装置の部品表と銘板の形式を突き合わせる。
保守用の交換品を買うときに起きやすいのが、「同等品」への置き換えである。外形と取付け穴が合っても、使用負荷種別ごとの定格電流、直接開路動作機能の有無、操作に要る力が違えば、同じ働きにはならない。安全用途のスイッチを別の形式に替えるときは、装置の設計者か装置メーカーの確認を取ってから替える(当方の提案)。仕入先が形式を変えたいと言ってきたときの手続きの考え方はUL 認定部品を仕入先に確かめるの「変更は事前に知らせてもらう」の節と同じで、何が変わるのかを先に出させる。
注文書の書き方の例
様式は会社ごとに違ってよい。安全用途で使う場合を例に、上で挙げた項目を一続きの文にしておく。
「品名:リミットスイッチ(位置検出スイッチ、JIS C 8201-5-1 適合品)、形式:○○。用途:安全ガード扉の開検出(安全関連制御回路で使用)。接点:直接開路動作機能付の常閉接点を含むこと(本体に表示記号のあるもの)。開閉負荷:DC 24 V、安全リレーユニットの入力。設置場所:切削液がかかる、IP コード○○以上。直接開路動作までの最小動作距離・最小動作力・操作の最大速度と最大頻度、および電気的耐久性(上記負荷条件)の記載された資料を添付すること。形式の変更は事前承認を要する。」
よくある質問
カタログに「機械的耐久性 1,000 万回」とあります。1,000 万回までは交換しなくてよいですか
そうとは言えない。機械的耐久性は全数の 90 % 以上が耐える無負荷の動作回数で、負荷を開閉する接点の寿命ではない[1]。実際の負荷での電気的耐久性を製造業者に確かめ、動作の頻度から交換の時期を決める。
安全ガードの検出を、手持ちの普通のリミットスイッチで済ませてもよいですか
機械の電気装置の JIS は、安全関連制御機能の回路にある位置センサに直接開路動作機能または同様の信頼性を求めている[3]。インターロックの JIS も、単一の装置で停止指令を出すなら接点要素間を直接開路動作とすることを求めている[5]。ばねで接点を開く普通のスイッチを単独で使うのは避け、装置の設計者に確認する。
ストッパを兼ねる位置に付けたいと言われました
製造業者が機械的ストッパとして使えると明言していない限り、位置スイッチをストッパとして使ってはならない[5]。止まる位置は別の部材で決め、スイッチはオーバトラベルしても壊れない位置に付ける[3]。
まとめ
リミットスイッチは、型番だけでなく、開閉する負荷、設置場所、安全用途かどうかを書いて発注する。使用負荷種別は AC-15・DC-13 などで定格電流が変わるので、電圧と負荷の中身を書く。カタログの耐久回数は製造業者が任意で行う特殊試験の結果で、機械的耐久性は全数の 90 % 以上が耐える無負荷の回数である。安全用途では直接開路動作機能付(表示記号のあるもの)を選び、最小動作距離・最小の力・操作の最大速度と頻度の資料を受け取る。取付けは工具が要る締結と位置の固定を求め、スイッチをストッパにしない。形式の置き換えは、働きが同じかを確かめてから承認する。
同じ束では、端子台の選び方、ケーブルグランドの選び方、ステッピングモーターの選び方、電解コンデンサの寿命の見方も扱う。ハーネスとして配線ごと買う場合はワイヤーハーネスの発注で指定することを参照してほしい。
出典・参考資料
- JIS C 8201-5-1:2022 低圧開閉装置及び制御装置-第5-1部:制御回路機器及び開閉素子-電気機械式制御回路機器(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 10 月 20 日改正)
- JIS C 60529:2026 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2026 年 1 月 20 日制定)
- JIS B 9960-1:2019 機械類の安全性-機械の電気装置-第1部:一般要求事項(追補 1:2023 を含む)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2023 年 3 月 25 日改正)
- JIS C 8201-1:2024 低圧開閉装置及び制御装置-第1部:通則(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 8 月 20 日改正)
- JIS B 9710:2019 機械類の安全性-ガードと共同するインターロック装置-設計及び選択のための原則(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2019 年 5 月 25 日改正)
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