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段ボール箱の規格(JIS Z 1516・Z 1506)と強度の指定——S-1〜D-4 の記号と圧縮強さ

この記事のポイント(結論先出し)
段ボールの JIS は、材料の段ボール(JIS Z 1516)と、段ボール箱(JIS Z 1506)で分かれている。JIS Z 1516 は両面段ボール S-1〜S-4、複両面段ボール D-1〜D-4 の 8 種類を破裂強さで区分し、段の種類を A 段・B 段・C 段の 3 つとしている[1]。JIS Z 1506 は箱を CS-1〜CS-4・CD-1〜CD-4 の 8 種類に分け、種類ごとに最大総質量と最大寸法を示す一方、箱の圧縮強さは受渡当事者間の協定としている[2]。「S-2 の箱」と書いても、積み重ねに耐える強さは決まらない。原紙の圧縮強さは相対湿度 80 % 以上で急激に下がり[5]、パレットの上の積み付け方でも 1 箱あたりの強さは箱単体より小さくなる[6]。仕入先には、箱の種類と形式・内のり寸法に加えて、必要な圧縮強さと試験の条件(JIS Z 0212 の方法・前処置)を発注の時点で書いて渡す[4]。
目次
「段ボール A フルート」「5 mm の箱」では強さが決まらない
部品や製品を仕入先から納めてもらうとき、梱包の段ボール箱は仕入先任せにされがちである。指定するとしても「A フルート」「厚さ 5 mm」「K5 ライナー」のような書き方が多い。これらは段ボールの材料や構造の一部を表しているが、倉庫で何段まで積めるか、湿気の多い季節に箱がつぶれないか、までは決めていない。
この記事は、段ボール箱の規格の記号と強さの決め方を、仕入先に梱包を指定する側から整理する。段ボールや包装資材の値上げの申し入れを受けたときの考え方は段ボール・包装資材の値動きと購買単価で、輸送中の錆を防ぐ梱包の指定は出荷時の防錆の指定で扱った。
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段ボールの規格(JIS Z 1516)——種類は破裂強さで分かれる
JIS Z 1516(外装用段ボール)は、外装用段ボール箱の製造に用いる段ボールを規定している。種類は構造によって両面段ボールと複両面段ボールに分け、それぞれ 1 種〜4 種、記号で S-1〜S-4 と D-1〜D-4 の合計 8 種類である[1]。
種類を分けているのは破裂強さ(板に圧力をかけて破れるときの強さ)である。両面段ボールでは S-1 が 640 kPa 以上、S-4 が 1,570 kPa 以上、複両面段ボールでは D-1 が 785 kPa 以上、D-4 が 1,770 kPa 以上とされ、試験はミューレン高圧形の試験機による方法で行う[1]。ここで注意したいのは、破裂強さは段ボールの板の性質で、組み立てた箱を上から押したときの強さ(圧縮強さ)そのものではないことである。
段の種類は A 段(AF)・B 段(BF)・C 段(CF)の 3 つで、30 cm あたりの段の数が A 段 34±2、B 段 50±2、C 段 40±2 と決められている[1]。「フルート」は段のことで、A 段は段の数が少なく、B 段は多い。段ボールの幅と長さは受渡当事者間の協定による[1]。材料は、表裏のライナに JIS P 3902、中しんに JIS P 3904 に規定するもの、またはこれと同等以上のものを使うとしている[1]。
ライナと中しんの級
JIS P 3902(段ボール用ライナ)は、ライナを圧縮強さと破裂強さの品質特性で LA・LB・LC の 3 つの級に分け、級ごとに表示坪量を定めている[7]。JIS P 3904(段ボール用中しん原紙)は、中しん原紙を圧縮強さと引張強さで MA・MB・MC の 3 つの級に分けている[8]。現場でよく聞く「K5」「K6」のような呼び方は JIS の記号ではなく、JIS で指定するなら級と坪量で書くことになる。どちらで書くにしても、呼び方の意味を仕入先とそろえる。
段ボール箱の規格(JIS Z 1506)——種類と、協定に任されているもの
種類と最大総質量・最大寸法
JIS Z 1506(外装用段ボール箱)は、外装に用いる段ボール箱を規定し、箱の種類を 8 種類としている。両面段ボール箱 CS-1〜CS-4 は両面段ボールの 1 種〜4 種を、複両面段ボール箱 CD-1〜CD-4 は複両面段ボールの 1 種〜4 種を使い、種類ごとに最大総質量と最大寸法が示されている[2]。最大総質量は内容品の質量と包装材料の質量の和の最大値、最大寸法は長さ・幅・深さの内のり寸法の和の最大値である[2]。代表的な行を並べると次のとおりである(全種類は規格の表 1 を見る)。
| 箱の種類(JIS Z 1506) | 使う段ボール(JIS Z 1516) | 段ボールの破裂強さ | 最大総質量 | 最大寸法(内のりの和) |
|---|---|---|---|---|
| CS-1 | S-1(両面 1 種) | 640 kPa 以上 | 10 kg | 120 cm |
| CS-4 | S-4(両面 4 種) | 1,570 kPa 以上 | 40 kg | 200 cm |
| CD-1 | D-1(複両面 1 種) | 785 kPa 以上 | 20 kg | 150 cm |
| CD-4 | D-4(複両面 4 種) | 1,770 kPa 以上 | 50 kg | 250 cm |
表の値は JIS Z 1506 の表 1 と JIS Z 1516 の表 1 から引いた[1][2]。最大総質量と最大寸法は、その種類の箱で入れてよい重さと大きさの上限の目安になる。ただし、これは 1 箱を単独で見たときの枠であり、何段まで積めるかは示していない。
圧縮強さは協定、形式は 0201 形が基本
JIS Z 1506 は、箱の品質について、圧縮強さは JIS Z 0212 の方法で試験を行い、その強さは受渡当事者間の協定によるとしている[2]。規格は箱の種類ごとに必要な圧縮強さの数値を決めていない。積み重ねに耐える強さが要るなら、発注する側が数値と試験の条件を書くしかない。
箱の形式は、JIS Z 1507(段ボール箱の形式)の 0201 形を基本とし、内容物によってはその他の形式を使ってもよいとしている[2]。JIS Z 1507 は形式を 4 桁のコード番号で表し、上位 2 桁で基本形式(02 溝切り形、03 テレスコープ形、04 組立形、05 差込み形、06 ブリス形、07 のり付け簡易組立形、09 代表的な附属類)を、下位 2 桁で個別形式を表す[3]。溝切り形は、通常ワンピースで、フラップがあり、継ぎ代をもつ形式とされ、0201 形はその個別形式の 1 つである[3]。同じ規格は、溝切り形のように天面または底面にフラップをもつ形式について、フラップの組合せや接合の方法、手掛け穴などを用途に合わせて基本の個別形式から変え、コード番号と記号で表せるとしている[3]。コード番号で伝わるのは基本の形までなので、フラップや継ぎ代、手掛け穴に指定があるなら図や記号を添える。
寸法は内のりで、許容差も決まっている
箱の寸法は内のり寸法を mm で表し、「長さ×幅×深さ」と書く。寸法許容差は両面段ボール箱で ±3 mm、複両面段ボール箱で ±5 mm とされ、特定の内容品については許容範囲を受渡当事者間で協定するとしている[2]。外のり寸法で指定すると、仕入先は板の厚さの分だけ内側が小さい箱を作ることになる。部品の寸法ぎりぎりに箱を決める場合は、内のりで書き、緩衝材の分を足した寸法にする。
構造の規定もある。箱の接合は平線(ステープル)か接着剤による重ね接合とし、継ぎしろの幅は両面段ボール箱で 30 mm 以上、複両面段ボール箱で 35 mm 以上、平線留めの間隔は 65 mm 以内である[2]。受入で継ぎしろがはがれた箱が多いときは、ここを確かめる。
圧縮強さを書くときの決め方
試験の方法(JIS Z 0212)を指定する
JIS Z 0212(包装貨物及び容器―圧縮試験方法)には、内容品による損傷を調べるために包装貨物を試験する方法 A と、容器自体の圧縮強さを知るために空容器を試験する方法 B がある[4]。圧縮の方向は対面を基本とし、圧縮速度は毎分 10±3 mm、供試品の数は方法 A で 3 個以上、方法 B で 5 個以上が望ましいとされている[4]。試験の前には JIS Z 0203 による前処置を行い、その温度・湿度の条件は試験の目的によって定めるとしている[4]。JIS Z 1506 自体は、箱の圧縮試験の試料を JIS P 8111 の前処置で整え、圧縮方向は上下対面を標準とすると書いている[2]。
規格には、静的な積み重ね荷重を所定の時間かける試験方法も附属書として入っている[4]。倉庫で長く積んでおく箱では、瞬間の最大荷重だけでなく、この方法で時間をかけた条件も候補になる。試験報告には、試験の方法、圧縮方向、試験年月日と温度・相対湿度、最大圧縮荷重などを書くことになっている[4]。仕入先に試験の記録を求めるなら、この報告の項目をそのまま求めればよい。
湿度で強さが落ちる
段ボールは紙なので、湿気を吸うと弱くなる。岐阜県産業技術センターの研究報告は、段ボール原紙の圧縮強さが相対湿度の上昇とともに低下し、要旨とまとめでは相対湿度 80 % 以上で急激に低下したとしている。考察では、相対湿度 90 % を超えるとさらに急激に低下して標準状態の半分以下になると述べている[5]。この傾向はライナの種類にかかわらず同じだったとしている[5]。同じ報告は、紙の物性は製造から流通まで標準条件(23 ℃・50 %)で評価されるので、保管の環境が違えば適正な設計でも破損が起きうると指摘している[5]。
発注で強さを書くときは、どの湿度の条件で測った値かを書く。梅雨どきの倉庫や、冷蔵品の出し入れで結露する場所に置く箱なら、標準状態の値だけで判断しない。
パレットの上では 1 箱あたりの強さが下がる
もう一つの落とし穴が積み付け方である。日本包装学会誌に掲載された神戸大学などの研究は、保管中の静荷重に十分耐えるかを見るために従来は箱単体の圧縮試験が行われてきたが、それでは段ボール箱の座屈損傷を十分に再現できないとし、段積みした箱の強度を、積み付けによる「有効周囲長」と関連づけて推定する方法を示している[6]。研究の試算では、同じ条件の箱でも、積み付けのパターン(風車積み・レンガ積み・二列並列積みなど)によって、6 段積み・圧縮量 5 mm で保管できる日数が 61 日から 5 日まで違った[6]。試算は箱の縦横比 3:2、1 箱 10 kg、箱単体の圧縮強度 2,697 N という条件での例である[6]。
この研究から読み取れるのは、箱の圧縮強さを決めるときに、パレットへの積み付け方と積み段数を条件に入れる必要があるということである。仕入先に箱の強さを指定するなら、パレットのサイズと積み付けのパターン、段数、保管の日数をセットで伝える。パレットの規格と取り決めはパレットのサイズと規格(JIS Z 0601・11 型)で扱う。
仕入先への指定書に書くこと
ここまでを、仕入先に梱包を指定するときの項目にまとめる。箱を自社で手配して仕入先に支給する場合も、仕入先が箱を手配する場合も、書く項目は同じである。
1. 箱の種類
JIS Z 1506 の記号(CS-2 など)か、段ボールの種類(S-2 など)と段の種類(A 段など)[1][2]。
2. 形式
JIS Z 1507 のコード番号(0201 形など)[3]。
3. 寸法
内のり寸法「長さ×幅×深さ(mm)」と許容差[2]。
4. 圧縮強さ
必要な値と、JIS Z 0212 の方法(A か B か)・前処置の条件・試験の頻度[4]。
5. 積み付けと保管の条件
パレットのサイズ、積み付けのパターン、段数、保管の日数と環境[6]。
6. 入り数・総質量・表示
1 箱の入り数と総質量(最大総質量の範囲か)、品番・数量などの表示の位置と書式。
表示については、部品の識別表示とあわせて部品の識別表示(刻印・ラベル)の指定で扱った。物流効率化法で荷主に求められている取組(荷姿の標準化など)との関係は物流効率化法で荷主に課される義務を参照してほしい。
受入で確かめること
JIS Z 1506 は、箱に段ボール箱の種類またはその記号、製造年月日またはその略号、製造業者名またはその略号を表示するとしている[2]。箱の材料の段ボールにも、種類または記号、段の種類、寸法、製造業者名、製造年月日を表示する決まりがある[1]。指定した種類の箱が使われているかは、この表示で確かめられる。
内のり寸法の測り方も規格にある。箱を展開して折り曲げた部分を十分に伸ばし、反りがあれば板などを載せて直尺などで展開寸法を測り、内のり寸法に換算する[2]。組み立てた箱の外から巻尺を当てた値と食い違うときは、測り方をそろえてから議論する。
よくある質問
Q. 「S-2 の段ボール」を指定すれば、積み重ねても大丈夫ですか。
S-2 は段ボールの破裂強さの区分で[1]、箱の圧縮強さは JIS Z 1506 で受渡当事者間の協定とされている[2]。積み重ねに耐える強さは、別に数値と試験の条件で指定する。
Q. A 段と B 段のどちらを選べばよいですか。
JIS Z 1516 が決めているのは段の数で、A 段は 30 cm あたり 34±2、B 段は 50±2 である[1]。どちらが合うかは内容品の重さ・形と積み方で決まるので、必要な圧縮強さと寸法を示して仕入先に提案を求めるとよい。
Q. 夏に箱がつぶれる苦情が増えます。
湿度の影響が考えられる。原紙の圧縮強さは相対湿度 80 % 以上で急激に下がるという報告がある[5]。保管の環境を確かめ、高湿度の条件で試験した値を求めるか、積み段数を減らす。
まとめ
段ボールの規格は、材料の段ボール(JIS Z 1516)を破裂強さで S-1〜S-4・D-1〜D-4 に分け[1]、箱(JIS Z 1506)を CS-1〜CS-4・CD-1〜CD-4 に分けて最大総質量と最大寸法を示しているが、箱の圧縮強さは受渡当事者間の協定である[2]。だから仕入先に梱包を指定するときは、箱の種類・形式(JIS Z 1507 のコード)・内のり寸法に加えて、必要な圧縮強さと試験の条件(JIS Z 0212)を書く[3][4]。強さは湿度で下がり[5]、パレットの積み付け方でも下がる[6]ので、保管の環境と積み方も条件として伝える。
同じ束では、ポリカーボネート部品の発注と電線・ケーブルの種類と仕様書での指定も扱っている。
出典・参考資料
- JIS Z 1516:2003 外装用段ボール(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2003 年 9 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 1506:2003 外装用段ボール箱(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2003 年 9 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 1507:2013 段ボール箱の形式(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2013 年 3 月 21 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0212:1998 包装貨物及び容器-圧縮試験方法(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1998 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- 大平武俊・神山真一・浅野良直「紙の保管環境とその物性変化に基づくリスクマネジメント(第 1 報)―段ボール原紙の温湿度環境、平衡含水率及び圧縮強さの関係―」岐阜県産業技術センター研究報告 No.12(岐阜県産業技術センター/2018 年)
- 田村祥・斎藤勝彦・山原栄司「パレット積みされた段ボール箱の限界保管時間について」日本包装学会誌 Vol.18, No.3(日本包装学会/2009 年・神戸大学学術成果リポジトリ)
- JIS P 3902:2011 段ボール用ライナ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2011 年 4 月 20 日改正)
- JIS P 3904:2011 段ボール用中しん原紙(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2011 年 4 月 20 日改正)
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