- お役立ち記事
- 溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定——HDZT の種類と膜厚、素材の厚さ、不めっき・ひずみの扱い
溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)の指定——HDZT の種類と膜厚、素材の厚さ、不めっき・ひずみの扱い

この記事のポイント(結論先出し)
溶融亜鉛めっき(JIS H 8641)は、2021 年の改正で付着量(g/m²)の区分から膜厚(μm)の区分に変わり、記号も HDZ から HDZT になった[1][3]。発注では「どぶめっき」とだけ書かず、種類の記号(HDZT 35〜HDZT 77)・有効面・膜厚の測り方・試験報告書の要否を書く。規格の表にある素材の厚さの適用例は参考であり、薄い素材に厚い種類を指定してよいかは加工業者と確かめる[1]。不めっきは幅 5 mm 以下ならあってもよく、それより大きいものは面積の条件で補修か再めっきになる[1]。変形・割れを防ぐための素材の設計(空気抜き・亜鉛抜きの孔、残留応力の除去など)は注文者側の仕事として規格に書かれているので、図面の段階で決めておく[1]。
目次
この記事の範囲
溶融亜鉛めっきは、鋼材を溶けた亜鉛に浸して表面に亜鉛と亜鉛鉄合金の皮膜を作る処理で、現場では「どぶめっき」「ドブ漬け」とも呼ばれ、表記も「メッキ」と書かれることが多い。この記事では JIS の表記に合わせて「めっき」と書く。対象は、架台・ブラケット・手すり・ボルト類など、部品や構造物を外注で溶融亜鉛めっきしてもらうときに、図面・注文書に何を書き、受け取るときに何を確かめるかである。
電気亜鉛めっきなど電気めっき全般の指定はめっきの発注で指定することで、表面処理の種類と図面記号の全体像は表面処理の種類と図面の記号で扱っている。配管用の白管(SGP の亜鉛めっき管)は管の規格が試験を別に決めているので、SGP(JIS G 3452)の指定の記事に送る。無電解ニッケルめっきは同じ束の無電解ニッケルめっき(JIS H 8645)の指定で扱う。受入で硬さを測るときの試験方法・試験力・測る位置の指定は図面の硬さ指定で、強度を確かめる引張試験の指定は引張試験(JIS Z 2241)を発注で指定するで扱う。硬さの値をスケールの間で読み替えるときの注意は硬さ換算(HRC・HV・HB)の扱いにある。
JIS H 8641 の適用範囲は、鋼材、鋼材加工品、鋳鍛鋼品、鋳鉄品に防食の目的で施す溶融亜鉛めっきの有効面の品質で、連続的にめっきした溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛めっき鉄線・鋼線、めっき後の後処理と上塗装は除かれている[1]。めっき鋼板のコイルを買う場合や、めっきの上に塗装する仕様は、この規格だけでは決まらない。
📄 実務で使うなら — 原価のつかみ方(全 5 章・無料サンプルあり)
2021 年の改正で、記号の読み方が変わった
現行の JIS H 8641:2021 は、2009 年の ISO 1461(第 3 版)を基に技術的内容を変更して作成された規格で、JIS H 8641:2007 を置き換えた[1]。めっきの種類は膜厚によって 7 種類に区分され、記号は HDZT 35・HDZT 42・HDZT 49・HDZT 56・HDZT 63・HDZT 70・HDZT 77 で、数字がそのまま膜厚の下限(μm)になっている[1]。
日本建設業連合会の鉄骨専門部会の Q&A は、改正前は付着量試験で付着量を測定していたが、対応国際規格が膜厚計で測る方法を主としていることや、膜厚計の精度が十分で使い方も簡便であることから、膜厚の方法に変更されたと説明している[3]。同じ資料には、改正前の記号(HDZ A・HDZ B・HDZ 35〜HDZ 55)と改正後の HDZT 35〜HDZT 77 が並べて示されている。HDZ 35〜HDZ 55 は付着量 350〜550 g/m² 以上の区分で、HDZ A(250)と HDZ B(300)の値には「平均膜厚に、めっき皮膜の密度を 7.2 g/cm³ としてこれに乗じた値」という注が付いている[3]。
ここで発注側が気を付けたいのは、古い図面や仕様書に残っている「HDZ 55」のような記号である。HDZ 35〜HDZ 55 の旧記号の数字は付着量(g/m²)の 10 分の 1 で、新記号の数字は膜厚(μm)なので、同じ「35」でも中身が違う。規格は付着量から膜厚への換算に、めっき皮膜の密度 7.2 g/cm³ を使うとしている[1]。たとえば旧 HDZ 55 の 550 g/m² をこの密度で割ると約 76 μm で、新しい区分の HDZT 77(77 μm 以上)とは 1 μm ずれる。読み替え表があるからといって機械的に置き換えず、図面を改訂するときは新しい記号で指定し直し、仕入先とどの種類で受けるかを確かめる(当方の提案)。
また、同じ Q&A は、溶融亜鉛めっき高力ボルトは国土交通大臣認定品で、認定取得時の条件を維持する必要があるため、当面は付着量表示になると書いている[3]。建築鉄骨の部材と一緒に買う場合、ボルトだけは記号の体系が違うことがある。
種類の記号は、素材の厚さを見て選ぶ
JIS H 8641 の表 1 は、種類の記号ごとに参考として適用例を載せている[1]。発注で効く部分を並べると次のようになる。
| 種類の記号 | 膜厚 | 表 1 の適用例(参考) | 改正前の記号(並べて示された対応) |
|---|---|---|---|
| HDZT 35 | 35 μm 以上 | 厚さ 5 mm 以下の素材、直径 12 mm 以上のボルト・ナット、厚さ 2.3 mm を超える座金などで、遠心分離でたれ切りをするもの、または機能上薄い膜厚が要求されるもの | HDZ A(250 g/m² 以上※) |
| HDZT 42 | 42 μm 以上 | 厚さ 5 mm を超える素材で、遠心分離でたれ切りをするもの、または機能上薄い膜厚が要求されるもの | HDZ B(300 g/m² 以上※) |
| HDZT 49 | 49 μm 以上 | 厚さ 1 mm 以上の素材、直径 12 mm 以上のボルト・ナット、厚さ 2.3 mm を超える座金 | HDZ 35(350 g/m² 以上) |
| HDZT 56 | 56 μm 以上 | 厚さ 2 mm 以上の素材 | HDZ 40(400 g/m² 以上) |
| HDZT 63 | 63 μm 以上 | 厚さ 3 mm 以上の素材 | HDZ 45(450 g/m² 以上) |
| HDZT 70 | 70 μm 以上 | 厚さ 5 mm 以上の素材 | HDZ 50(500 g/m² 以上) |
| HDZT 77 | 77 μm 以上 | 厚さ 6 mm 以上の素材 | HDZ 55(550 g/m² 以上) |
膜厚と適用例は JIS H 8641 の表 1・表 2[1]、改正前の記号は日建連の Q&A の並べ方[3]による。※は、その資料で「平均膜厚に、めっき皮膜の密度を 7.2 g/cm³ としてこれに乗じた値」と注記されている値[3]。適用例の厚さと直径は公称寸法による[1]。
表の右から 2 列目は「参考」である。規格が要求しているのは選んだ種類の膜厚であって、「厚さ 3 mm の素材に HDZT 77 を指定してはならない」とは書いていない。ただ、適用例は素材の厚さが厚いほど厚い種類が並ぶ形になっており、薄板の部材に一律に厚い種類を書いた図面では、仕入先が「この板厚ではその膜厚は付かない」と言ってくることがある。複数の板厚が組み合わさった部材なら、規格の試験方法は膜厚の測定箇所を主たる素材の有効面としている[2]ので、どの部材の膜厚で判定するかも書いておく。
小物は遠心分離でたれ切りをするので、ボルト・ナット・座金は HDZT 35 か HDZT 49 の適用例に入っている[1]。ねじ部品をめっきする場合は、ナットやめねじを大きめにタップを立てておくか、めっき後にねじ部をさらう処置が、素材の状態に応じた予防処置として規格に挙がっている[1]。ボルト・小ねじの機械的性質を決める JIS B 1051 は、締結用部品の溶融亜鉛めっきの規格として JIS B 1048(対応国際規格 ISO 10684)を引用し、溶融亜鉛めっきを施すおねじ部品には JIS B 1048 の材料に関する追加要求を適用するとしている[6]。強度区分のあるボルトをめっきに出すなら、JIS H 8641 だけでなく締結用部品の規格も確かめる。めっき後のねじのはめあいをどう保証するかは、ボルトの強度区分と一緒にボルトの強度区分と規格の指定の記事で決める。
有効面を決めないと、どこの膜厚かが決まらない
JIS H 8641 は、品質は有効面に適用するとし、有効面を「製品の用途上で指定されためっき品質が不可欠な面」と定義している[1]。めっき後の切削や溶接で皮膜が除かれる部分、規格の素材要件によらない素材で生じた欠陥の部分、ジグが当たる箇所などめっき施工上どうしても不めっきが避けられない部分は、有効面に含まない[1]。そして、有効面の範囲の指定は受渡当事者間の協定によるとしている[1]。
つまり、つり下げ用の孔やジグの当たる位置は、注文者が何も言わなければ加工業者の段取りで決まる。外観上の見せ面や、後で溶接する面、防食が特に効く面がある部品では、図面で有効面を示し、ジグの位置を避けてほしい面を書く(当方の提案)。
膜厚は電磁式膜厚計で測るのが基本
膜厚は JIS H 0401 の膜厚試験(電磁式膜厚計)で試験し、有効面の形状によってそれが難しい場合は付着量による方法で試験する[1]。付着量で試験する場合の試験片は注文者から提供を受けるとされている[1]。製品を壊せない、あるいは形状が複雑で膜厚計が当たらない部品なら、同じ素材の試験片を一緒に出す段取りを発注時に決めておく必要がある。
JIS H 0401 の膜厚試験は、測る前に厚さ既知の箔で膜厚計を調整し、測定箇所は切断面と端部を除く有効面とし、1 か所あたり 5 回測って平均を 1 か所の膜厚とする[2]。測定箇所の数は試験片の長さと有効面の面積で決まり、長さ 2 m 以下かつ有効面 2 m² 以下なら 1 か所以上、それ以外は 3 か所以上である[2]。ただし、測定箇所は受渡当事者間の協定によってもよい[2]。素材がすでに磁化されているものにはこの方法を用いない[2]。
検査の頻度は、加工業者の決定か受渡当事者間の協定による[1]。対応国際規格の ISO 1461 は検査ロットの大きさによる試料数を決めているが、JIS は多種多様な製品があるため加工業者の決定か協定によるとした、と規格の対比表に書かれている[1]。発注側が何もしなければ、何個に 1 個測るかは仕入先の判断になる。受入で抜取検査をする場合と同じく、頻度と測定箇所を書いておく。
外観:不めっきは「幅 5 mm」が境目
外観は目視で試験し、使用上支障がある不めっきと剥離(めっき後に局部的に素材からはがれたもの)は、あってはならないとされている[1]。ただし、不めっき・剥離が生じた場合の扱いが段階で決まっている[1]。
1. 幅 5 mm 以下
あってもよい。許容する数や面積は受渡当事者間の協定による[1]。
2. 幅 5 mm を超えるが、総面積が有効面の 0.5 % 以下で、かつ各々が 10 cm² 以下
補修した面があってもよい。補修の方法は高濃度亜鉛末塗料を用いるか、協定による[1]。
3. それを超える場合
注文者から指定があった場合を除き、加工業者の判断で再度めっきするか、協定による[1]。
規格の注記は、不めっきが小さい場合は周辺の亜鉛の犠牲的保護作用で耐食上大きな影響はなく、その効果が及ぶ幅は 5 mm までであることが実験的に確認されている、と理由を説明している[1]。発注側が決めることは二つある。幅 5 mm 以下の不めっきをいくつまで許すか(協定の部分)と、補修で済ませてよいか再めっきを求めるか(3 の「注文者から指定があった場合を除き」の部分)である。補修跡が見える面を嫌う部品なら、補修を認めない旨を書いておく。
たれ(亜鉛が多量に付着した状態)は、使用上支障がある接合部・はめあい部のたれと鋭利なたれがあってはならず、加工業者の判断でグラインダなどで除去してよい[1]。かすびき(亜鉛酸化物やフラックス残さの付着)も、使用上支障があるものは除去する[1]。どの程度・どの箇所のたれが支障になるかと仕上げの仕様は協定による[1]。はめあい部や組付け面があるなら、図面でその面を示す。
一方で、規格は、やけ(合金層がめっき表面まで発達したもの)、変色、白さび(保管中の雨水・結露で生じた亜鉛の酸化物)、シーム、ざらつきは防食の性能に悪影響を及ぼさないため補修は不要だとし、めっきの目的は耐食性の付与で装飾ではなく、外観の規定は美観的要求を満足させるものではない、と書いている[1]。見た目の均一さを求める部品なら、溶融亜鉛めっきの規格だけでは受入基準にならないので、限度見本などで別に合意するか、処理の選択から見直す。
変形・割れ・外観異常は、素材の設計で決まる部分が大きい
JIS H 8641 の附属書 JA(規定)は、めっき用素材の要件を注文者側の事項として書いている[1]。発注側が図面の段階で決めておくべきものを抜き出す。
空気抜き・亜鉛抜きの孔
素材は、形状によって空気抜き孔または亜鉛抜き孔がなければならない[1]。空気抜き孔がないとポケット部が空気だまりになって浮力で浸からないか、浸かっても空気だまりが不めっきになり、亜鉛抜き孔がないと亜鉛がたまるなどの不具合が生じる、と注記にある[1]。空気を密閉した中空体や、溶けた亜鉛が流入・流出しにくい構造は、素材の構造として認められていない[1]。管や袋状の箇所を含む素材は、管の両端か一端を必ずあけ、袋状の箇所はコーナ部をあける[1]。孔の位置と大きさは設計の判断になるので、図面にない場合に仕入先が勝手にあけるのか、問い合わせるのかを決めておく。
変形のおそれのある構造と、残留応力
作業中に破損または変形のおそれのある構造は、素材の構造として挙げられた「であってはならない」ものに入っている[1]。予防処置としては、板厚に大きな差のある組合せ部材で溶接部がある場合は極端な板厚の差を避け、品質に大きな支障を与える残留応力がある場合は適切な熱処理で取り除く、とされている[1]。可動部分がある素材は十分な隙間を設け、重ね合せ面は油と水分を除いて完全に連続溶接する[1]。
北海道立総合研究機構が技術支援成果(2026)として公表した事例では、鋼を曲げ加工したのち溶融亜鉛めっきした屋外構造物の部品が、現地で組み立てようとしたときに突然破断した[4]。破面の観察と聞き取りから、破損の原因は溶融亜鉛めっきの前処理の酸洗で母材が水素を吸蔵して破断した「めっき脆性」と考えられ、曲げ加工時の予加熱が不足して引張残留応力が生じたことが水素の吸蔵を加速した可能性が高い、としている[4]。曲げ加工や溶接をした部材をめっきに出す場合、加工の条件(熱間か冷間か、予熱の有無)を誰が決め、めっき業者に伝えるかを決めておくと、事故の後で原因を追える(当方の提案)。
素材の化学成分と表面
素材に含まれるけい素とりんは亜鉛と鉄の合金反応に影響するため確認することが望ましく、注文者が加工業者に素材を提供する場合は化学成分の情報を提供することが望ましい、とされている[1]。注記は、けい素濃度が 0.05〜0.12 % の範囲と 0.24 % 以上の場合に合金層が著しく発達し、剥離・やけ・ざらつきなどの外観異常が生じるおそれがあるとしている[1]。どちらも「望ましい」であって義務ではないが、外観で揉めたときに素材の成分を確かめられるよう、支給材ならミルシートの写しを渡しておく。ミルシートの種類の違いはEN 10204 のミルシート区分の記事で扱っている。
表面については、深いロールきずなどの材料きず、甚だしい腐食、前処理で除去できない付着物(油・塗料など)、鋳物の砂かみ・巣、溶接部のピットのある素材は、めっき用素材として認められていない[1]。フレーム切断・レーザ切断・プラズマ切断などの高温で切断した面は正常なめっき皮膜が形成されない場合があるため、切断面をグラインダなどで研削することが望ましい[1]。溶接部のスラグはブラスト処理などで完全に除去する[1]。外観異常の原因が素材側にある場合、注文者が素材を用意していれば、後から加工業者だけに責任を求めるのは難しい。
製品の規格が、めっきの試験を自分で決めていることがある
鋼管のように、製品規格の中に亜鉛めっきの規定を持っているものがある。配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)の白管は、硫酸銅溶液を使う均一性試験で、毎回約 60 秒の浸せきを 5 回行うまでに終止点(亜鉛層が消えて金属銅が析出した時点)に達してはならないとされ、呼び径 150A 以上の白管は、注文者の指定がない限り製造業者または加工業者の判断で膜厚試験に代えてもよく、その場合の膜厚は 40 μm 以上とされている[5]。この 40 μm は JIS H 8641 の 7 種類のどれとも一致しない。製品規格のある品物を買うときは、めっきの合否を JIS H 8641 で見るのか、製品規格で見るのかを混ぜないこと(当方の提案)。
注文書・仕様書に書く項目
規格の箇条から、発注側が決めておく項目をまとめる。規格が要求として決めている部分と、協定に任せている部分を分けて書く。
1. 規格番号と種類の記号
「JIS H 8641 HDZT 56」のように書く。旧記号の図面は新記号に改める。
2. 有効面
有効面の範囲は協定によるので[1]、外観面・機能面・ジグを避けてほしい面を図面で示す。
3. 膜厚の測り方と箇所
電磁式膜厚計が基本で、測定箇所は協定でもよい[2]。複数の板厚がある部材はどの部材で測るか、膜厚計が当たらない部品は付着量用の試験片を誰が出すかを決める[1]。
4. 検査の頻度
決めなければ加工業者の決定になる[1]。
5. 不めっき・たれの扱い
幅 5 mm 以下の許容数、補修か再めっきか、はめあい部・接合部の仕上げ[1]。
6. 試験報告書
加工業者は、あらかじめ注文者から要求がある場合に試験報告書を提出する[1]。要求しなければ出てこない。報告書には加工業者名、種類の記号、外観の検査結果と、電磁式膜厚計か付着量(間接法か直接法かを含む)のどちらかの膜厚が載る[1]。
7. 素材の情報
支給材なら化学成分の情報、曲げ・溶接の条件、高温切断面の処理の要否[1][4]。
表示については、規格の全ての要求事項に適合した製品に、荷札や送り状(納品書を含む)で、規格番号と種類の記号、加工年月、加工業者名またはその略号を表示するとされている(単位や事項は協定で変えてもよい)[1]。めっきを二次外注している仕入先から受け取るときは、実際に処理した加工業者がこの表示で分かる。
なお、取適法の対象となる取引では、発注時に検査基準がはっきりしていないのに受け取りを拒んだり、発注後に基準を厳しくして不合格にしたりすることは認められない。受入基準を後から足すのではなく、発注時の仕様書に書いておく。取適法上の扱いは受領拒否・返品・やり直しはどこまで許されるかで扱っている。
よくある質問
Q. 古い図面に「HDZ 55」と書いてあります。そのまま発注してよいですか。
旧記号は付着量の区分で、現行の JIS H 8641:2021 の記号ではない[1][3]。日建連の Q&A では HDZ 55 と HDZT 77 が並べて示されているが[3]、付着量を規格の密度 7.2 g/cm³ で膜厚に直すと完全には一致しない[1]。仕入先にどの記号で受けるかを確かめ、図面の改訂のときに新記号で書き直す。
Q. 試験報告書が付いてきません。
JIS H 8641 では、報告書はあらかじめ注文者から要求がある場合に提出するものとされている[1]。必要なら注文書に書く。膜厚をどちらの方法で測ったかも報告書で分かる[1]。
🛠 発注の管理なら — 発注書の作成から送付、進捗の確認までをひとつの画面で行える Newji one(製造業の見積・発注クラウド/サービス資料は無料)
Q. 白さびが出ています。不良として返せますか。
規格は、保管中の雨水や結露で生じた白さびを、防食の性能に悪影響を及ぼさないため補修不要の現象として挙げている[1]。白さびそのものを理由に不合格にするなら、発注時に保管・梱包の条件と合わせて取り決めておく必要がある。
Q. 溶接した架台がめっき後に反っていました。
規格は、作業中に変形のおそれのある構造を素材として認めず、板厚差の大きい組合せや残留応力への予防処置を注文者側の処置として挙げている[1]。設計段階でめっき技能士など専門的知識をもつ者と協議することも望ましいとされている[1]。どの寸法を保証するのか(めっき後の矯正を認めるかを含む)を、発注前に決めておく。
まとめ
溶融亜鉛めっき(どぶめっき)は、JIS H 8641:2021 で膜厚の区分 HDZT 35〜HDZT 77 になり、旧 HDZ の記号とは数字の意味が違う[1][3]。注文書には規格番号と種類の記号、有効面、膜厚の測り方と箇所、検査の頻度、不めっきとたれの扱い、試験報告書の要否を書く[1][2]。表 1 の素材の厚さは参考の適用例なので、薄い素材に厚い種類を指定するときは仕入先と確かめる[1]。空気抜き・亜鉛抜きの孔、板厚差、残留応力、高温切断面といった素材側の要件は注文者の領分として規格に書かれており、曲げ加工した部材の割れの事例もある[1][4]。製品規格がめっきの試験を自分で決めている品物(白管など)は、どちらの規格で合否を見るかを混ぜない[5]。
出典・参考資料
- JIS H 8641:2021 溶融亜鉛めっき(JIS 検索)(日本産業標準調査会/2021 年 12 月改正)
- JIS H 0401:2021 溶融亜鉛めっき試験方法(JIS 検索)(日本産業標準調査会/2021 年 12 月改正)
- 鉄骨工事 Q&A A-7-28 溶融亜鉛めっき JIS 改正(日本建設業連合会 鉄骨専門部会/2024 年 7 月)
- 溶融亜鉛めっき部材のめっき脆性(水素脆化)(北海道立総合研究機構 材料技術部/技術支援成果 2026)
- JIS G 3452:2026 配管用炭素鋼鋼管(JIS 検索)(日本産業標準調査会/2026 年 5 月改正)
- JIS B 1051:2014 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-強度区分を規定したボルト,小ねじ及び植込みボルト(JIS 検索)(日本産業標準調査会/2014 年 9 月改正・2024 年 10 月確認)
受入基準を決めたうえで、部品・製品の生産先を探す
newji の OEM/ODM 生産では、品質要求・数量・納期・コストを総合的に判断し、国内外のサプライヤーネットワークから生産先を選定しています。部品・製品の生産先を探すときは、図面と仕様書をもとに相談できます。量産開始後は工程内検査・出荷前検査の体制づくりを行います。
この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント
製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。
AI 一次診断(無料・お名前の入力なし)
この症状の原因を、AIが分析します
材料・加工方法・条件と、起きている症状を書いてください。考えられる原因、まず確かめること、切り分け方、専門の会社に聞くことを AI が整理します。
社外秘・機密情報・個人情報・図番など、公開できない情報は書かないでください。
解決しませんでしたか? 入力した内容をそのまま newji に送って、無料で相談できます。専門の会社を探してつなぎ、まとめて進めます。
この内容で相談する →原因をさらに詳しく分析する(有料版・準備中)
AI が複数の質問をしながら原因の候補を絞り込み、原因を確かめる試験・測定の方法、対策案、報告書までまとめます。
※ 現在準備中です。メールアドレスは公開のお知らせにだけ使います。
AI の回答は可能性の整理で、原因を断定するものではありません。入力内容は AI 診断と改善のため 30 日間保存し、その後削除します(プライバシーポリシー)。
📄 取引先から受け取った仕様書の要求を、1 件ずつ一覧にします — 仕様書の要求事項一覧(無料・社数限定)
見積・発注クラウド Newji one
受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。