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取引先コードの付け方——検索できる単位が、コードの単位を決める

この記事のポイント(結論先出し)
取引先コードが壊れる原因は、たいてい二つに絞られる。コードに意味を詰め込んだせいで、分類が変わったときに実態と合わなくなることと、同じ会社が支店や請求先ごとに別コードで登録され、一社としてまとめられなくなることである。設計の起点は好みではなく法令にある。取適法の 7 条記録を定める規則は、記録すべき事項の筆頭に「中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって中小受託事業者を識別できるもの」を挙げており[3]、電磁的記録で持つ場合にはその事項を検索の条件として設定できることを求めている[3]。つまりコードは社名の代わりに使ってよい。ただし条件は、一つの鍵で一事業者ぶんの記録を取り出せることである。この一点から、コードの単位は法人に置き、意味は別の列に出す、という順序が決まる。
目次
取引先コードは、社名の代わりとして法令に位置づけられている
取引先コードを社内の都合で決めてよいものと考えていると、設計の基準が「担当者が覚えやすいか」に寄る。実際には、コードは社外に出る書類と、行政の検査を受ける記録の両方に載る。まずその位置づけを確認しておく。
発注時の明示について定める規則は、明示事項の第一号に「委託事業者及び中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって委託事業者及び中小受託事業者を識別できるもの」を挙げている[4]。中小受託取引適正化法テキストも、具体的な明示事項の一つ目を「委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)」と書いている[1]。発注書に社名を書く代わりに取引先コードを書く形は、制度として認められている。
7 条記録の側も同じ書き方になっている。記録規則第 1 条第 1 項第 1 号は「中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって中小受託事業者を識別できるもの」を明確に記載し又は記録しなければならないと定める[3]。根拠となる取適法第 7 条は、給付・受領・代金の支払その他の事項を記載し又は記録した書類又は電磁的記録を作成し、保存しなければならないと定めている[2]。
ここで押さえるべきは、条文が付けている条件が「識別できるもの」という一語だけだという点である。桁数の指定も、体系の指定もない。逆に言えば、識別できなくなった瞬間に、この要件を満たさなくなる。同じ会社に二つのコードがある状態、コードは違うが実体は同じ会社という状態は、まさにその一歩手前にある。
調達現場で押さえるポイント
発注書に自社コードだけを印字する運用は制度上は成り立つが、相手が受け取る書面でもある。相手にとって自分を指すと分かる形になっているかは、コードの中身次第で変わる。コードと商号を併記しておけば、この論点は最初から発生しない。省く理由がないなら併記でよい。
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検索できる単位が、コードの単位を決めている
コード設計でいちばん効いてくるのは、記録の取り出し方に関する要件である。ここが「支店ごとに分けてよいか」への答えを持っている。
記録規則第 2 条第 2 項は、記録事項を書類に記載する場合には中小受託事業者別に記載しなければならないと定める[3]。テキストはこの点を、書類と電磁的記録の双方について「中小受託事業者別に記載し又は記録しなければならない」と説明している[1]。
電磁的記録で持つ場合の要件は同条第 3 項にある。訂正・削除の事実と内容を確認できること、画面表示と書面出力ができること、そして検索の機能を持つことの三つで、検索の機能はさらに二つに分かれる。第 1 条第 1 項第 1 号に掲げる事項——つまり商号・名称または識別できる符号——を検索の条件として設定できること、および製造委託等をした日について範囲を指定して条件を設定できることである[3]。テキストは、この要件が置かれている理由を「公正取引委員会等の検査に当たって、その内容が容易に確認できるようにするため」と説明している[1]。
同じ構図は税務の側にもある。電子取引の取引データを保存するときは、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できることが求められる[7]。日付と金額は範囲指定ができること、二以上の記録項目を組み合わせて条件を設定できることも要件に含まれる[7]。
| 制度 | 取り出しについて求めていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 取適法 7 条記録(書類) | 中小受託事業者別に記載する | 記録規則 第 2 条第 2 項[3] |
| 取適法 7 条記録(電磁的記録) | 商号・名称または識別符号を検索の条件に設定できる/発注日は範囲指定ができる | 記録規則 第 2 条第 3 項第 3 号[3] |
| 電子帳簿保存法(電子取引) | 日付・取引金額・取引先を検索の条件に設定できる | 一問一答 問 48[7] |
三つとも、取り出しの単位を取引先そのものに置いている。ここから逆算すると、コードの設計要件は一行で書ける。一つの取引先の記録が、一つの鍵で全部出てくること。支店ごとにコードを分けること自体が禁じられているわけではないが、分けた結果として一社ぶんが一度に出てこなくなると、この要件を満たしにくくなる。記録に何を残すかそのものは取適法が求める記録——何を書いて、2 年間どう残すかで、電子取引データの保存要件は電子帳簿保存法にシステム無しで対応するで扱っている。
なお、2026 年 1 月の施行で条番号は動いている。旧下請法の 3 条書面は取適法の 4 条明示に、5 条書面は 7 条記録になった。社内規程や購買基本契約書に旧法の条番号が残っているなら差し替えが要る。条文の対応関係と改訂箇所を一式で点検するなら法令・規格 改訂対応パック(中小受託取引適正化法)が使える。
意味を持たせるか、連番にするか
設計の分岐は最初にここへ来る。コードの桁に意味を持たせる方式(有意コード)と、意味を持たせず順番に振る方式(連番・無意コード)である。
有意コードは、コードを見ただけで相手の属性が分かるという利点を持つ。「1 で始まるのは国内、2 は海外」「3 桁目が取引区分」といった作りである。読めば分かるのだから、システムがなくても運用できる。実際、紙の台帳の時代から作られてきた方式で、いま残っている体系の多くはここから来ている。
問題は、意味を焼き込んだ属性が変わったときに起きる。コードを変えれば過去の伝票と記録が切れ、変えなければコードと実態がずれる。どちらを選んでも損をする形になり、たいていは「変えない」を選んで、コードの意味が信用できない状態が残る。
| コードに焼き込みがちな意味 | 変わる場面 | 起きること |
|---|---|---|
| 地区・所在地 | 本店移転、拠点の統廃合 | コードの地区と実際の所在地が食い違う |
| 取引区分(外注・購入品) | 同じ相手に別の種類の注文を出す | 一社に二つのコードができ、一社ぶんが一度に出てこなくなる |
| 品目分類 | 取扱品目が増える | どのコードで発注したかが担当者ごとに割れる |
| 連番の枠(分類ごとの桁数) | その分類の取引先が枠の上限に達する | 別の分類の空き番を借りて、体系そのものが壊れる |
二段目は取適法との関係で特に効く。取適法が適用されるかどうかは、相手が誰かだけでなく何を頼んだかでも変わる。同じ相手に対する注文でも、製造委託と、法の対象にならない取引とが混ざりうる。呼び名と取引区分の関係は仕入先・サプライヤー・ベンダー・外注先は何が違うかで整理しているが、コードの設計側の結論だけ言えば、注文ごとに変わりうる属性を、相手に一つしかないコードへ焼き込んではいけない。
結論はこうなる。コードは連番にして意味を持たせず、地区も取引区分も品目分類も、取引先マスタの別の列として持つ。列なら複数の値を持てるし、変わったときに更新しても過去の記録は切れない。何を列として持つかは取引先マスタに何を持つかで扱う。
桁数と、打ち間違いの止め方
桁数は「いま何社あるか」ではなく「使い切ったときに何が起きるか」で決める。使い切れば体系の作り直しになり、そのときには過去の記録が全部ぶら下がっている。余裕を持たせる以外に手はない。
参考になるのが法人番号の作りである。法人番号は 13 桁で、12 桁の「基礎番号」と 1 桁の「検査用数字」で構成されており、検査用数字は基礎番号から算式で求められる[5]。設立登記法人の場合は、登記簿に記録される 12 桁の会社法人等番号の前に、この検査用数字を付した形になる[5]。検査用数字を持つコードは、相手に照会しなくてもその場で桁の整合を確かめられる。自社のコードでも、桁数に余裕を持たせたうえで検査用数字を 1 桁足す作りにしておけば、転記の事故を早い段階で拾える。
事業者・事業所・請求先・納入先——どこで切るか
「支店ごとに別コードにすべきか」は、切る位置を一つに決めようとするから難しくなる。実際には層が違うだけで、四つとも必要である。
まず、いちばん外側の層が法人であることは、公的な番号の作りからも読み取れる。法人番号は設立登記法人などに指定されるが、法人の支店・支部・事業所等に対しては指定されない[5]。公表されるのも、商号又は名称・本店又は主たる事務所の所在地・法人番号の三つである[6]。指定の材料として法務大臣から提供を受ける会社法人等番号も、本店又は主たる事務所の所在地を管轄する登記所で作成される登記簿に記録されたものに限られている[6]。
取適法の適用判定も同じ単位で行われる。委託事業者・中小受託事業者のどちらに当たるかは、法人たる事業者の資本金の額または出資の総額と、常時使用する従業員の数で決まる[2]。支店には資本金がないので、支店を単位にした判定はそもそも成り立たない。相手が中小受託事業者に当たるかどうかを見るには、法人としての情報が要る。この判定を含む新規取引先の見方は新規仕入先をどう審査するかにまとめてある。
| 層 | 何を指すか | 持たせる識別子 |
|---|---|---|
| 事業者 | 契約の当事者。取適法・電子帳簿保存法が見る単位 | 取引先コード(一事業者に一つ) |
| 事業所 | 支店・工場・営業所。発注のやりとりをする窓口 | 事業所コード(取引先コードの下に付ける) |
| 請求先 | 締め日・支払方法・請求書の宛先が付く先 | 請求先コード(取引先コードの下に付ける) |
| 納入先 | 現物を届ける場所。自社側の受入場所を指すこともある | 納入先コード |
この四層にしておくと、「支店ごとに請求がまとまらない」という症状が消える。請求先は事業者コードの下に何個あってもよく、集計するときは上の層で束ねればよいからである。逆に、支店を事業者と同じ層に並べてしまうと、上に束ねる場所がなくなる。
国税庁自身が、この問題を法人番号の使いどころとして例示している。各部署が別々のコードで取引先を管理している状態を法人番号で串刺しにする例と、売掛帳に法人番号の列を足すことで「取引先ごとの集計が簡単になる」例が挙げられており、後者の図では同じ法人の京都営業所と大阪支店が同一の法人番号で束ねられている[5]。公的資料が利活用の例として挙げるほど、拠点ごとにばらけた台帳はありふれているということでもある。
同じ会社が二つ登録されているのを見つける
すでにばらけている場合、まず現状を数えるところから始まる。手順としては次の順になる。
手順 1:法人番号で突き合わせる。取引先マスタに法人番号の列を作り、埋める。法人番号は利用範囲の制約がなく、誰でも自由に利用できる[5]。公表サイトには検索のほかに Web-API と、CSV・XML 形式でのダウンロードが用意されており、最新の情報を一括して取得する使い方も想定されている[5]。同じ法人番号が二つ以上のコードに付いていれば、それが重複の候補になる。
手順 2:商号の表記を正規化して突き合わせる。法人番号が埋まらない相手が必ず残る(次章)。そこで商号を機械的にそろえてから比較する。「株式会社」と「㈱」と「(株)」、前株と後株、全角と半角、旧字体と新字体、丁目・番地のハイフン表記が典型である。国税庁の一問一答も、ファイル名で検索要件を満たす方法の説明のなかで、日付について和暦と西暦の混在は抽出機能の妨げとなるのでどちらかに統一する必要があると書いている[7]。同じことが社名にも起きる。
手順 3:住所と電話番号で残りを拾う。商号がそろっても、屋号で登録された個人事業者などは名前が違うことがある。ここは自動で決めきれないので、候補として出して人が見る。
手順 4:統合する前に、どちらが使われているかを数える。ここを飛ばすと事故になる。重複したコードのどちらにも、発注・検収・支払の記録がぶら下がっている。7 条記録は、記載または記録をすべき事項の全部を記載・記録した日から2 年間保存しなければならない[3]。統合の作業でこの期間内の記録の紐づけが切れると、検索の要件を満たさなくなる。片方を消すのではなく、新しい発注を受け付けない状態にしたうえで、過去の記録はそのコードの下に残すのが安全である。
手順 5:入口を塞ぐ。重複は棚卸しでは減らない。新規登録のときに法人番号または商号で既存を検索する手順を入れないと、翌月から同じことが起きる。棚卸しの回し方そのものはマスタの棚卸しをどう回すかで扱う。
調達現場で押さえるポイント
重複コードは、たいてい誰かが必要だから作っている。支払条件が違う、担当部署が違う、通貨が違う。統合の前に「なぜ二つあるのか」を聞かないと、まとめた翌月に三つ目ができる。分ける理由が本物なら、事業者コードは一つのまま、請求先コードを二つにすれば足りることが多い。
登録番号や法人番号を、取引先コードの代わりにできるか
公的な番号がある以上、それをそのまま取引先コードにすれば重複は起きない、という発想は自然に出てくる。結論から言うと、どちらも識別子の代わりにはならない。理由は番号の作りそのものにある。
適格請求書発行事業者の登録番号は、法人番号を有する課税事業者であれば「T + 法人番号」、それ以外の課税事業者であれば「T + 13 桁の数字」となる[8]。この番号は、税務署長に登録申請書を提出し、審査を経て登録された事業者に通知されるものである[8]。ここに三つの制約がある。登録していない相手には番号が存在しないこと、登録が取り消されれば番号は失効すること、そして個人事業者の番号は法人番号とは別に割り当てられることである。識別子は、相手が誰であっても付いていて、時間が経っても消えないものでなければならない。登録番号はどちらの条件も満たさない。番号の確認のしかたと、マスタでの持たせ方はインボイス登録番号の調べ方にまとめてある。
法人番号は識別子としての性質がずっと強い。それでも代わりにはならない。個人事業者、民法上の組合、有限責任事業組合などは指定の対象外だからである[5]。取引先に個人事業者が一社でもいれば、その行は空欄になる。空欄が生じうる列を主キーには使えない。
| 見る点 | 自社の取引先コード | 法人番号 | 適格請求書発行事業者の登録番号 |
|---|---|---|---|
| 誰が付けるか | 自社 | 国税庁長官が指定する[6] | 税務署長の登録を受けて通知される[8] |
| 付かない相手がいるか | いない(自社で採番する) | 個人事業者・民法上の組合・有限責任事業組合などは対象外[5] | 登録していない事業者には無い[8] |
| 支店・事業所ごとに分かれるか | 分けられる(下の層に付ける) | 支店・支部・事業所等には指定されない[5] | 事業者に対する登録である[8] |
| 主な使い道 | 識別(記録を取り出す鍵) | 照合(重複を見つける・名寄せする) | 仕入税額控除の可否の確認 |
整理すると、採番するのは自社、公的番号は照合用の列として並べて持つという形になる。法人番号を取引先コードの中に埋め込むのも避けたい。埋め込んだ相手にだけコードの桁数が変わり、体系が二つに割れるからである。
なお、法人番号は国際的な取引でも使える形が用意されている。国税庁は国際標準規格の発番機関コードを取得しており、ISO/IEC 6523-2 では 0188、ISO/IEC 15459-2 では TAJ、UN/EDIFACT のデータエレメント 3055 では 402 が割り当てられている[5]。発番機関コードと組み合わせることで、法人番号は国際的に唯一のコードになる[5]。海外との電子商取引で相手先コードの体系をそろえる必要が出たときの選択肢になる。
社名が変わった、合併した、分社したとき
コードの寿命を決めるのがこの場面である。判断の軸は一つで、法人格が同じままか、入れ替わったかを見る。
商号変更と本店移転は、法人格が同じままの変更である。設立登記法人が名称や所在地の変更登記を行った場合、変更登記の内容が法務省から国税庁へ連絡され、法人番号公表サイトの内容も変更されるため、法人番号について特段の手続は必要ない[5]。公表サイトでは名称・所在地の変更履歴も表示される[5]。番号は取り直さない。自社のコードも同じ扱いにする。コードは据え置き、商号の列だけを更新する。
このとき旧商号を消さないことが実務では効く。7 条記録の検索の鍵は、記録した商号・名称または符号である[3]。旧商号で発注していた期間の書類は旧商号で残っているので、旧商号でも辿れる状態にしておかないと、検査で「その会社の記録を出してください」と言われたときに片方しか出てこない。
合併と分社は、法人格が入れ替わる場面である。法もこの入れ替わりを前提にしている。取適法第 10 条は勧告の相手について、委託事業者が合併により消滅した場合は合併後存続し又は合併により設立された法人、分割により当該行為に係る事業の全部または一部の承継があった場合はその事業を承継した法人、事業の全部または一部の譲渡があった場合はその事業を譲り受けた事業者を名宛人にすると定めている[2]。会社が入れ替わっても義務と責任は追いかけてくるという建て付けである。
| 起きたこと | 取引先コード | 名称の扱い | 過去の記録 |
|---|---|---|---|
| 商号変更 | 変えない | 新商号に更新し、旧商号でも引けるようにしておく | 同じコードの下に残る |
| 本店移転 | 変えない | 所在地を更新する | 同じコードの下に残る |
| 合併(相手が消滅した) | 消滅した側を停止し、存続する側のコードへ新規発注を移す | 消滅した商号は残す | 消滅した側のコードの下に残す |
| 分社(新しい法人ができた) | 新しいコードを採番する | 両方を並べて持つ | 旧法人の記録は旧コードの下に残す |
四つに共通するのは、コードを消さない・使い回さないことである。欠番が出ても埋めない。番号を再利用すると、過去の記録が別の会社にぶら下がって見える。7 条記録は 2 年間の保存義務があり[3]、税務の側の保存期間はさらに長い。使い回した番号は、その期間ずっと誤読の原因になる。
進める前に決めておく五項目
体系を作り直す前に、答えを持っておく項目を挙げる。ここが空欄のまま採番を始めると、半年後に同じところで詰まる。
項目 1:採番の単位を法人に置いたか
取引先コードは事業者に一つ。支店・工場・請求先・納入先は下の層に置く。取適法の適用判定が法人の資本金と従業員数で行われる以上[2]、法人としてまとめて見られない形にはできない。
項目 2:意味を持たせないと決めたか
地区・取引区分・品目分類はすべて列に出す。コードは連番にする。「読めば分かる」利便より、変わったときに壊れない性質を取る。
項目 3:桁数と検査用数字を決めたか
いま何社あるかではなく、使い切ったときの作業量で決める。法人番号は 12 桁の基礎番号に 1 桁の検査用数字を付けた形になっている[5]。同じ作りにしておけば、転記の間違いをその場で拾える。
項目 4:法人番号の列を作ったか
採番はしないが、照合のために持つ。誰でも自由に利用でき[5]、Web-API とダウンロードで一括取得できる[5]。空欄になる相手(個人事業者など)が出ることは織り込む[5]。
項目 5:使わなくなったコードの扱いを決めたか
削除ではなく停止にする。停止した日と理由を残す。過去の記録は 2 年間の保存義務の対象で[3]、そのコードの下にぶら下がっている。
よくある質問
発注書に取引先コードだけを書き、社名を省いてよいですか
明示規則は、委託事業者と中小受託事業者の「商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって委託事業者及び中小受託事業者を識別できるもの」を明示事項としており[4]、テキストも「名称(番号、記号等による明示も可)」と書いている[1]。条文が求めているのは識別できることなので、番号だけの形が直ちに不可というわけではない。ただし相手が受け取る書面でもあるため、実務としてはコードと商号を併記しておくのが確実である。
支店ごとに別のコードを付けてはいけませんか
禁じられてはいない。ただし事業者と同じ層に並べると、一社ぶんの記録が一つの鍵で出てこなくなる。記録規則は書類について中小受託事業者別の記載を求め[3]、電磁的記録については識別できる符号を検索の条件に設定できることを求めている[3]。取引先コードは事業者に一つとし、支店は事業所コードとしてその下に付けるのが、要件と衝突しない形である。
法人番号をそのまま取引先コードにしてよいですか
勧めない。個人事業者・民法上の組合・有限責任事業組合などには法人番号が指定されないため[5]、番号を持たない取引先が必ず残る。取引先コードは自社で採番し、法人番号は照合用の列として別に持つ。
取引をやめた取引先のコードは削除してよいですか
削除しないほうがよい。7 条記録は、記載・記録すべき事項の全部を記載・記録した日から 2 年間保存しなければならない[3]。コードを消すと、その期間内の記録が何に紐づいていたか分からなくなる。停止の状態にして、停止日と理由を残す形にする。
部署ごとに違うコードを使っています。統一すべきですか
統一の目的を、取り出しに置くとよい。国税庁は法人番号の使いどころとして、各部署が別々に管理してきた取引先の情報を法人番号をキーにして部署横断で共有する例を挙げている[5]。部署のコードを一斉に置き換えるより、まず全部のマスタに法人番号の列を足して束ねられる状態を作り、そのうえで採番を一本化する順序のほうが止まりにくい。
取引先の呼び方を先に統一すべきですか
コードの設計とは別の話になる。仕入先・サプライヤー・外注先・協力会社といった呼び分けは社内の言い方であって、法が見ているのは取引の中身である。呼び方の整理は協力会社とは——下請けとの違いと、取適法での呼び方で扱っている。コードの体系は、呼び方が変わっても影響を受けない形にしておくのが本筋である。
まとめ
取引先コードの設計は、法令が求める取り出し方から逆算すると迷いが減る。7 条記録は商号・名称または識別できる符号を記録し、電磁的記録ではそれを検索の条件に設定できることを求めている[3]。電子帳簿保存法も取引先を検索の条件に挙げている[7]。求められているのは、一つの取引先の記録が一つの鍵で全部出てくることである。
そこから三つが決まる。単位は法人に置く——法人番号が支店・支部・事業所等に指定されないこと[5]、取適法の判定が法人の資本金と従業員数で行われること[2]と揃う。意味は焼き込まない——地区も取引区分も変わるが、コードは変えられないからである。公的な番号は照合用の列として持つ——登録番号は登録していない相手には無く[8]、法人番号は個人事業者などには指定されない[5]。
すでにばらけているなら、法人番号で突き合わせ、商号の表記をそろえ、残りを人が見る。統合の前に、どちらのコードに記録がぶら下がっているかを数える。そして最後に、新規登録のときに既存を検索する手順を入れて入口を塞ぐ。ここを塞がないかぎり、棚卸しは毎年同じ作業になる。
出典・参考資料
- 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第七条の書類等の作成及び保存に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 法人番号について(国税庁法人番号管理室/令和 8 年 6 月)
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(国税庁/令和 7 年 6 月)
- No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)
取引先コードを、発注と記録につながった形で持つ
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