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投稿日:2026年10月17日

曲げ試験 JIS Z 2248 の指定——曲げ角度・内側半径・試験片と合否の決め方

この記事のポイント(結論先出し)

曲げ試験の方法は JIS Z 2248 が決めるが、合否はこの規格では決まらない。結果の判定は製品規格の要求に従い、要求が無ければ湾曲部の外側にき裂が無いことを合格とする[1]。だから試験を求めるときは、曲げ角度・内側半径・試験片の種類・判定を製品規格か注文書で決めておく。製品規格の曲げ角度は下限、内側半径は上限として扱われる[1]。たとえば JIS G 3101 の SS400 の鋼板は 180°・厚さの 1.5 倍で、曲げ試験は製造業者の判断で省略してよいが、注文者が指定すれば行わなければならない[2]。溶接継手の曲げ試験は JIS Z 3122 で行い、評価は関連適用規格による[3]。溶接施工方法の確認試験では、曲げ表面に 3.0 mm を超える割れが無いことが基準になる[4]。

この記事は、金属材料や溶接部の曲げ試験を、材料の注文・溶接部品の発注・試験の外部依頼で指定するときに、何を書き、成績書の何を確かめるかに絞る。板金の曲げ加工で材料規格の曲げ性をどう読むかは板金の曲げ加工でできないことで扱ったので、ここでは試験そのものの指定に寄せる。

「曲げ試験を行うこと」だけでは、何も決まっていない

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JIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法)は、2020 年の ISO 7438 を基にした 2022 年の規格で、追補 1 が出ている[1]。試験の原理は、円形・正方形・長方形・多角形断面の試験片を一定方向に規定の角度まで曲げ、湾曲部の外側のき裂の有無を調べることである[1]。

この規格が決めるのは方法までで、合否ではない。箇条 9 は「結果の判定は,製品規格の要求に従って行う」とし、要求が無い場合は、試験片を曲げ装置から外した後に湾曲部の外側を肉眼等で観察し、き裂がない場合を合格とする、としている[1]。曲げ角度や内側半径も、製品規格が決める前提で書かれている。押曲げ法の押金具の先端半径は製品規格によるとし、規定が無い場合は規定の曲げ内側半径以下とする[1]。V ブロック法の角度と寸法も製品規格で規定する[1]。

つまり、製品規格のある材料(JIS の鋼板など)は製品規格が条件を持っている。製品規格の無い部品や、規格の条件と違う条件で確かめたいときは、発注側が条件を書かない限り試験の条件が決まらない。

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決める項目

項目 JIS Z 2248 の定め 発注で決めること
曲げ角度 製品規格の角度は常に下限とし、それ以上の角度で曲げる(8.2.1)[1] 90°・180°・密着曲げなど
内側半径 規定されている場合はその値を上限とし、それ以下で曲げる(8.2.1)[1] 「厚さの何倍」か、具体の mm か
試験片 1 号(主に厚さ 3 mm 以上の板・条・形材、幅 20〜50 mm)、2 号(丸・多角形断面の棒)、3 号(主に厚さ 3 mm 未満の板、幅 15〜50 mm)[1] 号と幅、採取の方向と位置
方法 押曲げ法・巻付け法・V ブロック法など(6.1)[1] 製品規格に無ければ指定
試験温度 通常 10〜35 ℃、注文者の要求で厳格に管理するなら (23±5) ℃(8.1)[1] 管理が要るかどうか
判定 製品規格の要求による。要求が無ければ外側にき裂が無いこと(箇条 9)[1] 許す割れの大きさ、見る倍率

表の上の 2 行は向きを取り違えやすい。製品規格が「180°・内側半径は厚さの 1.5 倍」と言うとき、試験はそれより緩くしてはいけない。180° 以上に曲げ、内側半径は厚さの 1.5 倍以下にする[1]。仕入先が「規格より大きい R で曲げて割れなかった」と言うなら、それは規格の条件を満たした試験ではない。

材料規格の曲げ性を、試験として求めるとき

JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)は、機械的性質の一つとして曲げ性を定め、曲げ試験片の外側に亀裂を生じてはならない、としている[2]。表 3 の鋼板・鋼帯・平鋼・形鋼では、SS400 の曲げ角度は 180°、内側半径は厚さの 1.5 倍、試験片は 1 号である(厚さ 5 mm 以下は 3 号でもよい)[2]。表 4 の棒鋼では SS400 が 180°・径または対辺距離の 1.5 倍、SS490 が同じく 2.0 倍で、試験片は 2 号である[2]。

注意したいのは試験の実施の扱いである。JIS G 3101 の 9.2.1 は、曲げ試験は省略してもよいが、特に注文者の指定がある場合には試験を行わなければならない、とし、注で、製造業者の判断で省略してもよいが曲げ性は規定を満足しなければならないことを意味する、と説明している[2]。成績書に曲げ試験の結果が無くても規格違反ではない。曲げのきつい部品で材料の曲げ性を確かめたいなら、注文時に曲げ試験を求める。試験片の数は、鋼板と平鋼なら同一溶鋼で最大厚さが最小厚さの 2 倍以内の鋼材を一組として 1 個(一組が 50 t を超えれば 2 個)で[2]、試験片の採取位置は JIS G 0416 による[2]。

試験片の作り方で、結果が変わる

幅
JIS Z 2248 の附属書 B(参考)は、切り板または板材の曲げ性は試験片の幅に大きく依存し、幅が非常に狭い試験片で試験すると、高い延性、すなわち不合格が少ない傾向となる可能性がある、と書いている[1]。平面ひずみ条件にするには幅と厚さの比を 10 以上にすることが望ましく、この附属書は受渡当事者間の協定によって適用する[1]。仕入先を替えたら同じ材料で曲げ試験の結果が変わった、というときは、まず試験片の幅をそろえる。

切断面と角
試験片の採取で、せん断やガス切断などで影響を受けた部分は全て除去することが望ましい。ただし除去していない試験片でも、結果が合格であれば採用してよい[1]。長方形断面の角には、厚さ 10 mm 未満なら 1 mm 以下の丸みを付けなければならない(厚さに応じて区分がある)[1]。切ったままの縁から割れた試験片で不合格にされたときは、試験片の作り方が規格どおりだったかを確かめる。

厚い材料・太い棒
1 号試験片は、鋼板・鋼帯から採るとき製品と等しい厚さとするが、製品厚さが 25 mm を超える場合は片面だけを削った減厚試験片としてよく、その場合も厚さは 25 mm 以上とし、機械加工していない面を曲げの外側に置く[1]。2 号試験片は、追補 1 で、直径または内接円直径が 30 mm を超える場合に 25 mm を下回らない範囲まで減じて加工してもよく、加工した試験片は機械加工を行っていない面を曲げの外側に置く、と改められた[1]。どちらも、製品の表面を外側にして試すという考え方である。

溶接継手の曲げ試験は、別の規格で行う

突合せ溶接継手の曲げ試験は JIS Z 3122 で、摩擦かくはん接合や拡散接合などを含むあらゆる溶接による突合せ継手に適用できる[3]。ここに書いていない事項は JIS Z 2248 に従う[3]。試験片には、溶接の表側が試験面になる表曲げ、反対側が試験面になる裏曲げ、溶接継手の横断面が試験面になる側曲げなどがある[3]。表曲げ・裏曲げでは、試験材の厚さが 10 mm を超えると試験面の反対側から 10±0.5 mm まで削ってよく、側曲げの試験片の厚さは、関連適用規格に規定が無ければ最小で 10±0.5 mm とする[3]。

ここでも合否は方法の規格では決まらない。JIS Z 3122 の箇条 7 は、曲げ試験後に試験片の外表面と側面を検査し、評価は関連適用規格によって実施し報告する、としている[3]。関連適用規格の例が二つある。

溶接施工方法の確認試験方法の JIS Z 3040 は、附属書の評価基準で、曲げ試験の試験片の曲げ表面に、長さ 3.0 mm を超える割れ(縁角に生じる小さな割れを除く)がないこと、としている[4]。手溶接技術検定の JIS Z 3801 は、曲げた試験片の外面に 3.0 mm を超える割れがある場合、3.0 mm 以下の割れの合計長さが 7.0 mm を超える場合、ブローホールと割れの合計数が 10 個を超える場合などを不合格とし、肉眼で観察の難しい 0.3 mm 未満の不完全部は対象としない、としている[5]。前者は溶接施工方法の適否を、後者は溶接技能者の技量を確かめるための基準である。どちらも量産部品の合否の基準ではないので、部品の受入基準に流用するなら、その旨を仕様書に書く。溶接の方法と資格の指定は溶接を含む部品の発注で指定することで扱った。

やってはいけない組合せ:強さの違う材料を横曲げで比べる

母材と溶接金属、あるいは二つの母材の強さや伸びが大きく違う継手を、普通の横曲げで試すと、変形が弱い側に集中して、本来見たい部分が十分に曲げられない。JIS Z 3040 は、試験材が異なる母材の間または試験材と溶接金属との間で伸びが異なる場合には、曲げ試験を JIS Z 3122 に示す縦曲げ試験に読み替えて試験材と試験片を採る、としている[4]。JIS Z 3122 も、アルミニウム合金などで溶接金属または継手の一方の材料が他方より降伏点や強さが低く適切に曲げ試験ができない場合の代替として、巻付け曲げ試験を用いてよいとしている[3]。異材継手やアルミの溶接部品で曲げ試験を求めるときは、方法まで指定する。

熱処理にも注意が要る。JIS Z 3122 は、関連適用規格で熱処理の実施が規定または許容されている場合を除いて、溶接継手または試験片に熱処理をしてはならない、とし、アルミニウム合金など自然時効を考慮すべきものは溶接と試験の間の時間を記録するとしている[3]。

報告書に求める項目

JIS Z 2248 の報告は、受渡当事者間の協定によって、規格に従ったことの記述、試験片の識別(材料の種類、溶鋼番号、試験片の製品軸方向など)、試験片の形状・寸法、試験方法、協定した事項、判定結果の中から選ぶ形である[1]。何も求めなければ、判定結果しか載っていない成績書でも規格違反にはならない。溶接継手の JIS Z 3122 は、少なくとも、試験片の識別、形と寸法、曲げ試験の種類(表・裏・側、横方向・縦方向)、試験方法、押しジグの径、ローラの間隔、観察された不完全部の種類と寸法、曲げ角度または試験終了の定義を報告する、としている[3]。

注文書の書き方の例

決まった様式は無い。材料の注文の例を一つ挙げる。

「材質:SS400(JIS G 3101)鋼板 厚さ 12 mm。JIS G 3101 の 9.2.1 により曲げ試験の実施を指定する。曲げ試験は JIS Z 2248 の 1 号試験片、押曲げ法、曲げ角度 180°、内側半径は厚さの 1.5 倍以下とし、成績書に試験片の採取方向・幅・試験方法・内側半径・判定結果を記載すること。」

溶接部品の例:「突合せ溶接部は JIS Z 3122 の表曲げ・裏曲げ各 1 本で確認し、判定は JIS Z 3040 附属書の 2.2 による。母材が異材の箇所は縦曲げとする。報告は JIS Z 3122 の箇条 8 による。」

よくある質問

成績書に曲げ試験の結果がありません。規格違反ですか

JIS G 3101 のように、曲げ試験を製造業者の判断で省略してよい規格がある。その場合も曲げ性は規定を満足しなければならない[2]。結果が欲しければ注文時に試験を指定する。

製品規格の無い部品で曲げ試験を求めるとき、合否はどうなりますか

JIS Z 2248 は、製品規格に要求が無い場合、湾曲部の外側にき裂が無いことを合格とする[1]。角度と内側半径は注文書で決める。小さな割れをどこまで許すかも書いておく。

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試験片の幅を狭くすれば試験しやすいですか

幅が非常に狭いと不合格が少ない傾向になる可能性がある、と JIS Z 2248 の附属書 B に書かれている[1]。仕入先間で比べるなら幅をそろえる。

まとめ

JIS Z 2248 は曲げ試験の方法を決めるが、合否は製品規格の要求により、要求が無ければ外側にき裂が無いことが合格になる[1]。曲げ角度は下限、内側半径は上限として扱う[1]。材料規格の曲げ試験は省略されることがあるので、要るなら注文時に指定する[2]。試験片の幅・切断面・減厚の仕方で結果が変わる[1]。溶接継手は JIS Z 3122 で試し[3]、施工方法の確認なら 3.0 mm を超える割れが無いことが基準になる[4]。技能検定の基準を部品の受入に流用するなら仕様書に書く[5]。異材継手は縦曲げや巻付け曲げを指定する[3][4]。

同じ束では、疲労試験、X 線 CT 検査、銅めっき、亜鉛ニッケル合金めっきの指定も扱う。引張試験の指定は引張試験(JIS Z 2241)を発注・受入で指定するときを参照してほしい。

出典・参考資料

  1. JIS Z 2248:2022 金属材料曲げ試験方法(追補 1 を含む)(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 10 月 20 日改正)
  2. JIS G 3101:2024 一般構造用圧延鋼材(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2024 年 2 月 20 日改正)
  3. JIS Z 3122:2013 突合せ溶接継手の曲げ試験方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2013 年 6 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  4. JIS Z 3040:1995 溶接施工方法の確認試験方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1995 年 2 月 1 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
  5. JIS Z 3801:2018 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2018 年 12 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)

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