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センター穴 JIS B 1011 の指定——60度・90度とA・B・C・R形、残す・残さないの図示 B 0041

この記事のポイント(結論先出し)
センター穴の JIS は B 1011(規格名は「センタ穴」)で、60 度・75 度・90 度の角度と、A・B・C・R の形式、呼び(先端の穴の径 d)で決まり、「60度センタ穴 C形4」のように呼ぶ[1]。75 度はなるべく用いない[1]。発注で一番大事なのは、センタ穴を最終の部品に残すのか、残してもよいのか、残してはならないのかを図面で決めることで、JIS B 0041 はこの 3 通りを記号で図面に示す方法を定めている[2]。図面の簡略指示は「JIS B 0041-B2.5/8」のように、種類の記号と、パイロット穴径・座ぐり穴径を斜線で区切って書く[2]。A・B・R の意味は両規格で同じだが、B 1011 には C 形と 75 度・90 度もあり呼び方も違うので、どちらの規格の呼びかと角度まで図面に書く。振れの公差を両センタで測るなら、その測り方を仕入先と合わせる。
目次
センタ穴 JIS B 1011:角度・形式・呼びの 3 つで決まる
旋盤や円筒研削盤で軸を両端から支えて回すとき、軸の端面にあけておく円すい形の穴がセンター穴である。JIS の規格名は「センタ穴」で、JIS B 1011:1987(センタ穴)は、機械加工、測定及び検査に用いるセンタ穴について規定している[1]。規格は 1987 年 10 月 1 日に改正され、2023 年 10 月 20 日に確認されている[1]。この記事は、軸部品を発注するとき、センタ穴について図面と注文書に何を書き、受け入れで何を確かめるかを扱う。
規格の種類は、センタ穴に合わせるセンタの角度(60 度・75 度・90 度)と、形式(A・B・C)の組合せで、60 度には円弧の形をもつ R 形もある[1]。ここに示す角度は適用するセンタの角度をいう、と規格は注記していて、75 度センタ穴はなるべく用いない、としている[1]。呼び方は、角度、名称、形式及び呼び(d)で、例として「60度センタ穴 C形4」が挙がっている[1]。
次の表は、規格の寸法表から、よく使われる 60 度と 90 度について、呼び d、座ぐり側の径 D、深さの参考値 t を抜き出したものである[1]。ほかの寸法(B 形・C 形の外側の径、R 形の円弧の半径など)は規格の表で確かめる。
| 呼び d(mm) | 60 度 D(mm) | 60 度 t(参考・mm) | 90 度 D(mm) | 90 度 t(参考・mm) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2.12 | 0.9 | 2.8 | 0.5 |
| 2 | 4.25 | 1.8 | 5.6 | 1.0 |
| 3.15 | 6.7 | 2.8 | 9 | 1.6 |
| 4 | 8.5 | 3.5 | 11.2 | 2.0 |
表の値は A・B・C 形の寸法表のもので、60 度でも 90 度でも、穴の長さ l は t より小さい値となってはならない、と規格は注記している[1]。括弧を付けた呼び(0.5、0.63、1.25、5、8 など)は、なるべく用いないとされている[1]。同じ呼びでも角度が違えば座ぐり側の径も深さも違うので、図面に角度を書き落とすと、穴の寸法は決まらない。
センタ穴ドリルの呼びは別にある
センタ穴をあける工具は JIS B 4304:2018(センタ穴ドリル)で規定されていて、ドリルの種類はセンタ穴の形式によって A形・B形・C形・R形の 4 種類、寸法と許容差によって A形-1、A形-2、B形-1 などに分かれる[3]。ドリルの呼びは「先端直径」「先端直径/シャンク径」「先端直径×センタ穴角」の 3 種類がある[3]。この規格は ISO 866・ISO 2540・ISO 2541(いずれも 2016 年版)に対応していて、対応の程度は「修正している」とされている[3]。
工具の呼びとセンタ穴の呼びは同じ数字が並ぶが、意味が違う。たとえば工具の「2/5」は先端直径 2 mm・シャンク径 5 mm を表す[3]。図面にはセンタ穴の呼びを書き、どのドリルで加工するかは仕入先に任せるのが普通である。
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一番大事なのは「残すか・残してよいか・残してはならないか」
JIS B 0041:1999(製図-センタ穴の簡略図示方法)は、ISO 6411:1982 を翻訳した規格で、正確な形状と寸法を示す必要がなく、標準化されたセンタ穴の呼び方だけで図面情報として十分に伝えられる場合に使う図示方法を定めている[2]。この規格は、図面で示せる要求事項として次の 3 通りを挙げている[2]。
1. センタ穴を最終仕上がり部品に残すことを要求する場合
後工程の研削や、受け入れ・修理のときの測定でセンタ穴を使う部品。
2. センタ穴を最終仕上がり部品に残してもよいが、基本的な要求ではない場合
加工の都合であけてもよいが、無くても困らない部品。
3. センタ穴を最終仕上がり部品に残してはならない場合
端面が相手部品と当たる、外観面になる、などの理由で穴があっては困る部品。
規格の表 1 は、この 3 通りをそれぞれ別の記号で軸の端面に示すことにしている[2]。発注側から見ると、この指示が図面に無いことが、センタ穴でいちばん揉める原因になる。仕入先は加工の都合でセンタ穴をあけることが多いので、指示が無ければ、穴を残したまま納めてよいかで発注側と仕入先の解釈が分かれやすい。「残してはならない」を後から言うと、端を削り落とす追加の工程が要り、長さの余裕が無ければ作り直しになる。逆に、後で再研削や振れの測定に使うつもりの軸で、仕入先が穴を削り取ってしまうと、受け入れで測る基準がなくなる。
使ってはいけない書き方として挙げておく。センタ穴の要否を書かずに、両端の端面に面粗さや平面度だけを指定する図面は避ける。穴が残るかどうかで端面の扱いが変わるので、まず 3 通りのどれかを決めて記号で示し、そのうえで端面の要求を書く。
図面での書き方:JIS B 0041 の簡略指示
JIS B 0041 のセンタ穴の呼び方は、この規格の規格番号、センタ穴の種類の記号(R、A 又は B)、パイロット穴径 d、座ぐり穴径 D を並べ、d と D を斜線で区切る[2]。規格の例では、d=2.5 mm、D3=8 mm の B 形のセンタ穴を「JIS B 0041-B2.5/8」と指示するのがよい、とし、その加工には JIS B 4304 による d=2.5 mm・D=10 mm(D はシャンク径)のセンタ穴ドリルが使われる、と注記している[2]。センタ穴の呼び方はセンタ穴ドリルに基づいていて、センタ穴ドリルの JIS によって指示してもよい、とされている[2]。
B 0041 の種類の記号は R(円弧形状をもつもの)、A(面取りをもたないもの)、B(面取りをもつもの)の 3 つである[2]。A・B・R の意味は B 1011 の形式と同じで、たとえば呼び 2 の A 形の座ぐり側の径は、B 1011 の 60 度 A 形の表でも 4.25 mm である[1][2]。ただし B 1011 には C 形と 75 度・90 度もあり、呼び方も違う。図面に「センタ穴 B」とだけあると、角度もどちらの規格の呼びかも決まらない。B 1011 で指定するなら「60度センタ穴 A形2」のように角度・名称・形式・呼びで、B 0041 で指定するなら「JIS B 0041-A2/4.25」のように規格番号から書く。
B 0041 の附属書 A(規定)は、指示に必要なセンタ穴の寸法を表にしている。A 形で呼び 2 なら D2 は 4.25 mm、B 形で呼び 2.5 なら D3 は 8 mm である[2]。この表でも括弧を付けた呼びはなるべく用いないとされている[2]。
振れの公差を両センタで測るとき
軸の図面には、円周振れや全振れの公差がよく指定される。JIS B 0021:1998(幾何公差表示方式)は、円周振れ公差を、データム軸直線のまわりに部品を回転させる間に任意の横断面で測った振れが公差以下であること、と定義していて、共通データム軸直線 A-B のまわりに 1 回転させる例も示している[4]。
規格が決めているのは、どの軸のまわりに回したときの振れか、までである。その軸を実際の測定でどう作るか(両端のセンタ穴で支えるのか、データムの円筒部を V ブロックや回転テーブルで受けるのか)は、規格からは決まらない。センタ穴で支えて測るなら、センタ穴そのものの出来(傷、打痕、異物、角度のずれ)が測定値に入る。これは規格の要求ではなく、発注側の確認の提案である。図面のデータムが円筒部なのにセンタ支持で測っている、といった食い違いが無いように、振れの測り方を仕入先と合わせておく。幾何公差の測り方を合わせる手順は幾何公差の測定方法を仕入先と合わせるで扱った。
熱処理・表面処理との順番
センタ穴は、旋削のあとの熱処理、そのあとの研削でも使われることが多い。その場合、熱処理の前にあけたセンタ穴が、熱処理後の研削の基準になる。センタ穴を研削の基準として残すのか、熱処理後にセンタ穴を手直しするのかは、加工の工程を決める仕入先の判断になるが、最終の部品に残すかどうかは図面の指示に従ってもらう。熱処理や硬さの指定の書き方は熱処理を図面でどう指定するかを参照してほしい。
めっきや塗装をする軸で、センタ穴を後の測定に使うつもりなら、穴の中にめっきや塗料が入ってよいか、マスキングするかも決めておく。穴の中の付着物はセンタの当たりを変える。
受け入れるときに確かめること
1. 有無
図面の指示(残す・残してもよい・残してはならない)と現品が一致しているか。残してはならない部品に穴が残っていないか。
2. 角度と大きさ
図面の角度(60 度など)と呼びに合っているか。座ぐり側の径 D は規格の表の値と比べられる[1]。
3. 状態
センタ穴の面に、打痕、ばり、異物が無いか。後で測定や再研削に使う穴では、ここが受入検査の項目になる。
4. 振れの測り方
検査成績書の振れの値が、どの支え方で測ったものか。図面のデータムと合っているか。
注文書・図面の書き方の例
決まった様式があるわけではない。ここでは発注側として図面に書いておきたい内容を一つの例にまとめる。
「両端:60度センタ穴 A形2(JIS B 1011)、最終仕上がり部品に残すこと(JIS B 0041 の記号で指示)。センタ穴の面に打痕・ばりがないこと。円周振れ 0.02(共通データム A-B)。振れの測定方法は、両センタ支持か V ブロック支持かを検査成績書に記載すること。」
センタ穴を残してはならない部品なら、両端に B 0041 の「残してはならない」の記号を付け、加工のために穴をあける場合の余肉の扱い(最後に切り落とす長さ)を仕入先と決めておく。
よくある質問
センター穴とセンタ穴は違うものですか
同じものである。JIS の規格名は JIS B 1011「センタ穴」で、機械加工、測定及び検査に用いるセンタ穴を規定している[1]。
60 度と 90 度はどう選びますか
規格は角度を適用するセンタの角度としている[1]。加工・測定に使うセンタの角度に合わせて決め、図面に角度を書く。75 度はなるべく用いないとされている[1]。
図面にセンタ穴の指示が無い軸は、穴を残して納めてよいのですか
図面に指示が無ければ、発注側と仕入先で解釈が分かれる。JIS B 0041 は、残すことを要求する、残してもよい、残してはならない、の 3 通りを記号で示す方法を定めている[2]。発注前に、どれにするかを図面に書いてもらう。
まとめ
センター穴は JIS B 1011 で、角度・形式・呼びの 3 つで決まり、「60度センタ穴 C形4」のように呼ぶ。75 度はなるべく使わない。発注でいちばん大事なのは、最終の部品にセンタ穴を残すのか、残してもよいのか、残してはならないのかを、JIS B 0041 の記号で図面に示すことである。B 0041 の簡略指示は「JIS B 0041-B2.5/8」の形で、B 1011 とは呼び方が違い、B 1011 には C 形と 75 度・90 度もあるので、どちらの規格の呼びかと角度まで書く。振れを両センタで測るなら測り方を仕入先と合わせ、熱処理やめっきとの順番も決めておく。受け入れでは有無、角度と大きさ、穴の状態、振れの測り方を確かめる。
同じ束では、軸の溝に使う止め輪、圧入ナット(クリンチナット)、溶接ナット・溶接ボルト、冷間成形リベットの指定も扱う。軸のはめあいははめあいの公差クラスの指定を、表面粗さは表面粗さの指定と測定条件を参照してほしい。
出典・参考資料
- JIS B 1011:1987 センタ穴(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1987 年 10 月 1 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 0041:1999 製図-センタ穴の簡略図示方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 3 月 20 日改正・2024 年 6 月 20 日確認)
- JIS B 4304:2018 センタ穴ドリル(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2018 年 7 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 0021:1998 製品の幾何特性仕様(GPS)-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1998 年 1 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
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